顔のほてりは、顔が熱くなるだけでなく赤みも出て、恥ずかしいと感じる方が多いです。
特に冬場の寒い時期や運動後は、ほてりが気になりますよね。中には頭痛を伴う場合も。
何か他の病気が隠れているのでは…と心配な方もいるでしょう。
この記事では、顔のほてりの原因や対策を医師が解説しています。
ほてりを改善するために日常でできる対処法や、おすすめの漢方もご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
ほてりの原因
顔のほてり、赤みは体質?
ほてりは「自律神経の乱れ」が原因となることが多いです。
では、なぜ自律神経に乱れが生じるのでしょうか?
生理・妊娠など女性ホルモンの影響
女性ホルモンのバランスが乱れると自律神経に影響が及びます。
自律神経が乱れると、血管の収縮、拡張の指令が乱れ、急に血流がよくなり、汗をかいたり、ほてったりといったが症状が起きやすくなります。
女性ホルモンのバランスは、妊娠・出産後や更年期に乱れやすくなります。
また、生理前になると、月経前症候群(PMS)の症状として、ほてりが出ることもあります。
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2022-12-23
PMSってどんな症状が出るの?
つらいときはどうすればいい?
PMSの主な症状やセルフケア方法など、分かりやすく解説します。
病院へ行く目安も紹介するので、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
PMSとは
PMS(Premenstrual Syndrome:月経前症候群)とは、月経の3~10日前から始まり、月経が始まると解消する心や体の不調のことです。
PMSが生じる原因は明らかにされていませんが、排卵後に起きる女性ホルモンの分泌量の変化や、ストレスなどが影響しているといわれています。
PMSは誰でもなるの?
日本では、月経のある女性のうち約7~8割が月経前に何らかの症状を抱えています。
また、100人中5人程度の人が「生活に支障が生じるほどつらいPMS」であるといわれています。
思春期の女性でPMSを示す割合が多い、という報告もあります。
PMSになりやすい人は?
真面目
几帳面
我慢しがち
上記に当てはまる人は、PMSになりやすいといわれています。
PMSの主な症状
頭痛
腹痛(下腹部痛)
腰痛
めまい・のぼせ
吐き気
乳房の張り感、痛み
食欲低下
倦怠感
イライラする
など
生理が始まると、「症状が軽くなる」「無くなる」という特徴があります
「PMS」と「PMDD」の違いは?
生理周期に伴う心と体の不調をまとめて、PMS(月経前症候群)と呼びます。
その中でも心の不調が強く出る場合は、PMDD(月経前不快気分障害)と診断されます。
PMSの対処法
1日3食、栄養バランスのとれた食事をとる
1日6~8時間程度の質のよい睡眠をとる
お腹を温める
ストレッチや軽い運動をする
PMSの症状には、上記の方法で対処するとよいでしょう。
対処法① 1日3食、栄養バランスのとれた食事をとる
PMSの症状は、ホルモンバランスの乱れにより悪化しやすくなります。
主食・主菜・副菜の揃った食事をとることで、栄養をバランスよく摂取でき、ホルモンバランスが整いやすくなります。
和定食のイメージで食事をとると、栄養バランスが整いやすいです。
食事を抜くと、体のリズムが乱れやすくなり、エネルギー不足になる可能性があるので、きちんと3食とるようにしましょう。
対処法② 1日6~8時間程度の質のよい睡眠をとる
ホルモンバランスを整えるためには、十分な睡眠時間を確保する必要があります。
毎日6~8時間程度、質のよい睡眠をとることを心がけましょう。
ただし、理想の睡眠時間には個人差があります。朝目覚めたときに疲れがとれていて、日中に眠気を感じない状態になるように心がけましょう。
「深い眠り」を得るためのポイント
朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びる
昼寝は15時までに30分以内にする
夜は11時(遅くとも12時)には寝る
夕方以降は「カフェインを含む食品」を控える
夕食は就寝の2~3時間前までに済ませる
飲酒は、就寝の3~4時間前までにする
就寝の2~3時間前に入浴する
就寝前はできるだけパソコン・スマホを触らない
対処法③ お腹を温める
お腹を温めると腹痛の緩和につながります。お腹にカイロをあてて患部を温めるとよいでしょう。
温かい飲み物を飲んで、体の中から温めることもおすすめです。
対処法④ ストレッチや軽い運動をする
PMSによる頭痛には、肩や首回りの筋肉をほぐし、血流をよくすることがおすすめです。
ストレッチや軽い運動で、体をほぐしましょう。
ただし、体を動かしていて、ズキンズキンと血流に合わせて頭痛が起きたら、体を動かすのをやめて楽な姿勢で休みましょう。
病院に行く目安
体や精神面の不調によって「つらい」と感じているときは、医療機関の受診をおすすめします。
特に、
PMSのつらい症状が毎月起こる
日常生活や対人関係に支障が出ている
痛みや倦怠感が重く、仕事や学校を休むことがある
といった場合は、早めの受診をおすすめします。
PMSが悪化すると、脳機能のバランスを崩し、うつ病を発症するケースもあります。
心当たりのある方は、放置しないようにしましょう。
PMSの治療法
PMSで受診した場合、病院では飲み薬・低用量ピル・漢方薬などを用いて治療をします。
低用量ピルを使うと、生理前と後のホルモンの量の差を軽減できるため、PMSの症状がかなり楽になります。
ただし、妊娠を望んでいる場合には、低用量ピルが使用できないため、生活指導を中心とした治療になります。
婦人科を探す
精神的ストレスや過度の緊張、長引く精神の緊張など
ストレスが多く常に緊張状態にある人は、交感神経が優位になっていることがあります。
更年期など年齢が原因の場合も
更年期障害は、閉経前後10年ほどの間に起きるホルモンバランスの乱れにより起こります。
特にほてりは、「ホットフラッシュ」と呼ばれ、急激にほてりを感じ、汗をかいたり、顔が赤くなったりします。
最近は、若い女性でも乱れた生活や無理なダイエット、ストレスなどでホルモンバランスが乱れ、若年性更年期障害を発症して、ほてりを訴える人もいます。
顔のほてりで疑った方がよい疾患
顔にほてりがある場合、下記の疾患の疑いがあります。
- 自律神経失調症
過度のストレス、生活習慣の乱れなどで、自律神経のバランスが乱れ、顔のほてりや疲労感・頭痛・めまい・しびれ・息切れ・動悸、めまい・便秘、下痢などの症状が出る。
- 甲状腺機能亢進症
ホルモンバランスが崩れ、全身のほてり・発汗・動悸・頻脈などの症状が現れる。
- 高血圧症
頭痛、めまい、むくみ、動悸、顔のほてりといった症状が現れる場合もある。
風邪やインフルエンザでほてりを感じることも
ウイルス感染により、(インフルエンザ、風邪など)発熱すると顔が熱く感じる場合もあります。この場合、顔のほてり以外にも間接痛や喉の痛み、寒気、頭痛などを感じるでしょう。
ほてりの予防と対策
日常生活で取り組める予防法
顔のほてりを予防するには、緊張を解き、下記のようなストレス対策をするのがおすすめです。
- 深呼吸する
- 体の力を抜く
- 1日の終わりには、ゆっくり入浴して体を温め、疲れを取る
- マッサージやストレッチを行う
- 定期的に軽い運動を取り入れる など
顔のほてりに効く漢方薬
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
のぼせや肩こりに。
- 五積散(ごしゃくさん)
冷えや更年期障害に。
漢方薬は、薬です。漢方を処方できる医師に体調に合った漢方薬を処方してもらいましょう。
同じような症状でも体質によって使う漢方が違いますので、改善がなければ専門医などを受診してください。
ほてりが引かないとき…病院は何科?
生理や更年期が原因と思われる場合は婦人科、他の原因には内科での診察をお勧めします。
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まとめ
何度もほてりや顔が赤くなると言う症状が現れるのは、ホルモンバランスや自律神経が影響している場合があります。
そのままにしていると悪化して、疲労感、震え、頭痛といった体調不良を引き起こします。早めに病院に相談しましょう。