「熱が出た!」と思ったら「朝にはすっかり下がっていた…」。
このような経験をお持ちの方も多いと思います。
一晩で下がる発熱の原因を、医師が詳しく解説します。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
大人なのに…「熱が一晩で下がった?」
一晩で熱が下がった場合、心因性発熱(ストレス)または風邪のケースが主に考えられます。
それぞれのケースについて、次の項目で詳しく解説します。
原因① 心因性発熱(ストレス)
心因性発熱とは、主にストレスによって起こる発熱を指します。
過度のストレスで交感神経が活発になると、「熱を発生させる細胞」に刺激が加わり、一時的に発熱する場合があります。
◆心因性発熱の症状
心因性発熱の場合、一晩で熱が下がったり、高熱を繰り返したりします。
熱の程度には個人差があり、37度の微熱の人もいれば、38度以上の高熱になる人もいます。
また、
- 頭痛
- 腹痛
- 躁鬱などの気分障害
- パニック障害などの不安障害
を伴うこともあります。
ストレスで発熱しやすい人の特徴
- 日常生活でストレスを感じやすい人
- 几帳面な人
- 頑張りすぎる人
- 神経質な人
- 心配性な人
心因性発熱の対処法
まずはゆっくり体を休めることが必要です。
落ち着いた環境(アロマ、音楽、間接照明など)を作り、眠れるようであれば、目を閉じて休みましょう。
なお、心因性発熱の場合、解熱鎮痛剤は効果を発揮しません。
原因② 風邪のケース
風邪のウイルスがそこまで強くなければ、自分の免疫が勝って一晩で熱が下がることもあります。
風邪をひくと、侵入したウイルスの繁殖を抑えたり、体の免疫機能を高めたりするために体温が上がります。
通常は、おおよそ3日くらいで下がることが多いです。
風邪をひきやすい人の特徴
- 忙しくてなかなか休めない人
- ストレスや疲労を溜めがちな人
- 睡眠不足の人
- 栄養バランスが偏っている人
上記の人は免疫力の低下によって、風邪を引きやすくなります。
風邪の対処法
そのまま眠れるようであれば、おでこや首などにタオルにくるんだ保冷剤を当てたり、冷やすシートを貼って休みましょう。
また、熱が高かったり、長時間も高熱が続く場合は、解熱剤を服用しましょう。
「夜に発熱を繰り返す」のは、疲れ・感染症が原因かも
夜に発熱を繰り返す場合、
などの原因が考えられます。
① 尿路感染症
尿路感染症は、膀胱などに細菌感染を起こして発症する病気です。
症状が進むと、疲れのたまる夜間に発熱することがあります。
尿路感染症の対処法
軽い症状の場合、こまめに水分を補給していれば、細菌が尿で排出されて数日で快方に向かいます。ただし、重いものであると抗菌剤の投与が必要となるため、泌尿器科で治療を受けましょう。
泌尿器科を探す
② 疲労・ストレス
疲労やストレスがたまると、1日の疲れが出て夜間に発熱をするケースがあります。
また、免疫機能が低下するため、風邪も引きやすくなります。
疲労・ストレスによる症状
- 倦怠感
- 疲労感
- 食欲不振
- めまい
- 頭痛
- 冷え
- 集中力低下
疲労・ストレスの対処法
ゆっくり休息を取る必要があります。仕事が休めないときでもこまめに休憩を入れましょう。
毎日の睡眠、食事が大事です。しっかり睡眠をとり、バランスの良い食事をとりましょう。
③ 関節リウマチ
免疫機能の異常によって、関節の痛み、関節の変形、発熱、倦怠感などを起こす病気です。
倦怠感も強く出るので、夜間に日中の疲れが出て発熱することもあります。
関節リウマチの対処法
専門機関での治療が必要です。
朝起きた時の関節の腫れ、関節の動かしにくさなどが現れてきたら、早めにリウマチ科を受診しましょう。
リウマチ科を探す
④ がん
がんを発症していると、体に疲れが溜まりやすくなります。
そのため、1日の疲れが出る夜間に発熱するケースもあります。
がんの症状
- 倦怠感
- 食欲不振
- 気分が悪くなる
- 体に痛みが走る
- 不正出血(女性器のがん)
がんの対処法
専門機関での治療が必要です。早急に内科を受診しましょう。
早めに取り除かなければ、身体中にがんが広がって死に至る恐れがあります。
内科を探す
熱が下がった後の過ごし方
熱が下がって体が楽になっても、すぐに油断せず、熱以外の症状も治まるまでは、下記の点に気を付けてください。
- 安静にして体力を温存する。
- 消化の良い物を食べ、弱った消化器官の負担を軽くする。
- 辛味が強く刺激的な物や、油分の多い物を控え、消化器管の負担を軽くする。
- ビタミン、ミネラルが豊富な物を食べ、免疫力を高めて感染などの再発を防ぐ。
- アルコールを控え、肝臓を休ませる。
- 喫煙を控え、気道への刺激を軽減する。
- 高熱による発汗で失った分、水分と塩分を多めに摂り、脱水を防ぐ。
- 良質なたんぱく質を摂り、消耗した体力を補う。
熱が下がったら出社してもいい?
風邪の場合、熱が下がり、気分も良く、動くのに支障がないようでしたら、出社しても大丈夫でしょう。
ただし、だるさや、倦怠感がある場合は、まだ体力が戻っていないので無理しないようにしてください。
無理をすると、発熱を繰り返すことがあります。
出勤する場合は、マスクをしましょう。
咳やくしゃみが出ても、他の人に移さないように対策をして出勤しましょう。
こんな症状は病院へ
- 水分・食事がとれない
- 胸が痛くなるほどの酷い咳が出る
- 口の中の痛みが増し、喉の奥に腫れや水疱がでる
といった症状が出た場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
「水分・食事を受け付けない」場合は、脱水や体力消耗の危険があるため、点滴などの治療が必要です。
「胸が痛くなるほどの酷い咳が出る」場合は、結核・喘息・肺炎・急性気管支炎・胸膜炎などの恐れがあります。
「口の中の痛みが増し、喉の奥に腫れや水疱が生じる」ときは、ヘルパンギーナのなどの可能性があります。
患者の多くが小児ですが、大人が感染すると、脳炎、髄膜炎、心筋炎などを誘発する恐れがあります。
病院は何科へ行けばいい?
受診すべき診療科は、出ている症状によって異なります。
以下の表を参考にしてみましょう。
受診すべき診療科
|
症状
|
内科
|
心理的な原因の発熱・吐き気・食欲不振
|
呼吸器内科
耳鼻いんこう科
|
喉の痛みや咳が続いている
|
「心理的な原因の発熱」も、まずは内科を受診して検査を受けることをおすすめします。
体に異常がないと判断された後は、心療内科を紹介してもらうことも可能です。
あまりにも高い熱が翌朝には平熱に下がっていたりすると不思議に思いますよね。
その場合は、他に目立った症状が現れなかったとしても、隠れた病気の前兆かもしれません。
少しでも気になるようなことがある時は、早めに医療機関を受診し、医師の診察を受けることをおすすめします。
内科を探す
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2020-05-21
初めて心療内科に行くけど…実際には何を話すの?
心療内科で初診を受ける際の流れについて、お医者さんに聞きました。
当日準備していくことをはじめ、初診でかかる料金、診断書はもらえるのかどうかも解説します。
心療内科の初診の流れ
初めてで緊張する方もいらっしゃるかと思いますが、基本は一般の内科などと変わりません。
問診→診察という通常の病院受診と同じ流れで行われます。
<治療開始までの流れ(一例)>
電話やウェブで予約
来院、問診表を書く
診察を受ける
必要であれば検査
治療の開始
心療内科の予約のしかた
電話予約が一般的かと思われますが、最近ではウェブ予約ができるところも増えてきています。
時間がなくて電話ができない、電話が苦手という方でも予約することができます。初診は日時が決まっているところが多いため、調べてから行くのがよいでしょう。
心療内科を探す
受診前に準備しておいたほうがいいことはある?
次のことが伝えられるように準備しておくと良いでしょう。
今、何に困っているのか
受診に至った経緯
いつから困っているのか
どのようなときに、どのような症状がでるか
思い当たるストレス要因 等
初診で聞かれること
(症状や状態にもよりますが)ストレス要因に関連するような質問をされる可能性があります。
例えば、家族との関係や本人の職業・仕事内容、交友関係や休日の過ごし方、趣味などの話です。あくまで関連のある事柄に対してなので、あまり言いたくないことは言わなくても大丈夫です。
いずれにしても専門家がお話を聞くので、安心して相談してみてください。秘密は守られます。
初診で持っていくもの
心療内科の初診には、次のものを持参すると良いでしょう。
保険証
お薬手帳(あれば)
現状「困っていること」や「医師に相談したいこと」を受診の経緯をスムーズに話せるようにメモを持っていくのもよいでしょう。
初診の費用目安
自己負担3割の方で、初診時は約2,500円~3,000円、2回目以降は1,500円程度です。
薬を処方された場合、診察とは別に薬代が5000円前後かかります。
検査を行った場合には別途1,000~3,000円かかりますが、検査の種類にもよります。
こんなときは、悩まず心療内科に相談してください
「ストレスで胃が痛い」「悩み事があり夜眠れず、不眠気味だ」「ストレスが多く髪が抜ける」「イライラが収まらない」などの症状がある場合は、早めに専門医に相談してみましょう。
心配事や悩み事、ストレスがあり、気持ちや情緒が不安定で「いつもと違う」と感じられているのであれば、受診することをお勧めします。
辛い、苦しい、不安な状態を長く我慢してしまうと、症状がより重いものになる可能性もあります。
早期受診のメリット
早期に治療を始めることで、治療期間が短く済む、正常な状態に戻るのも早くなる、通院の回数や医療費も安く済むというメリットがあります。
ストレスが要因の病気は特に、放置し続けることで症状が悪化してしまうケースが多く、うつ病もそのうちの一つです。
何よりも、軽い症状のうちに治療を受けた方が心身の負担もあまりかからずに済みます。
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はじめての心療内科「よくある質問」
「診断書はもらえるの?」「心療内科に行ってはいけないと言われるのはなぜ?」
心療内科に関するよくある質問にお答えします。
質問1.診断書が欲しいのですが…
休職等の申請に診断書が必要な場合、すぐにもらえるものなのでしょうか?
診断書は本来診断がついて初めて発行されるものです。しかし診断書は医師に申し出れば、比較的速やかに発行されるところも多いです。
休職や職場に提出が必要な書類として、すぐに必要な場面が多いためです。病院によっては別に窓口が設けられている場合もあるため、受診の際に確認すると良いでしょう。
質問2.よく「心療内科に行ってはいけない」と言われるけど…
「行ってはいけない」「行ったら最後」と言われているのは、なぜなのでしょうか?
「行ったら最後」ということはありません。
そう言われるのは、精神科や心療内科のお薬を服用すると、患者さん自身の判断で勝手にやめることができず、飲み続けなければならないことが要因となっている可能性があります。
もしくは、薬の副作用が強くて日常生活により支障が出るなどという想像での発言かもしれません。
また、精神科・心療内科に行って診断を受けた時に、自分が精神病患者なのだと認めてしまうのが怖いと思ったり、周りの目を不安に感じる方もいらっしゃいます。
精神科や心療内科は、重い精神疾患を持つ人が行く場所というネガティブなイメージが少なからずあるというのが背景にあるようです。
つらい時は我慢せずに病院に行った方が良いのでしょうか?
ネット上でも多くの情報が錯綜していますが、自分の体の声を聞き、本当に辛い、苦しいと感じていて、日常生活に支障が出ているのであれば、相談だけでもいいので受診してみてください。
実際に、精神的な症状や心身症が現れているにも関わらず、受診を躊躇している方が多くいらっしゃいます。
しかし、自己判断で市販の漢方薬などの薬を飲み続けていたとしても、根本的な治療にはなりません。その点、専門の医師に相談することで、症状の要因をふまえた治療を受けることができます。
一人で抱え込まずにまずは相談してみましょう。
心療内科を探す
参考URL
・心療内科で初診を受ける場合の流れを分かりやすく解説!/ひだまりこころクリニック栄院
https://hidamarikokoro.jp/sakae/blog/心療内科で初診を受ける場合の流れを分かりやす/
・精神科・心療内科の診察料金 | こころみ医学
https://cocoromi-cl.jp/knowledge/other/psychiatry/cost/
・診察にはどれくらいの費用がかかりますか? | 心療内科・精神科
https://namba-minato.com/faq/faq09/
・心療内科に行くべきかどうか迷う。受診すべき兆候とは?/神楽坂こころのクリニック
https://www.kagurazaka-mc.com/colum/psychosomatic-medicine/
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2020-07-10
原因不明の熱が続くのはなぜ…?
病院に行った方がいい?
長引く熱の原因と対処法を、お医者さんに聞きました。
深刻な病気が隠れていることもあります。
原因不明の熱のよくある4つの原因
代表的な原因として
心因性発熱(ストレスが原因)
感染症(ウイルス・細菌が原因の肺炎)
薬剤熱(薬の副作用)
熱中症
が考えられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
原因① 心因性発熱
ストレスによって交感神経が活発になることで発熱すると言われており、これを心因性発熱と呼びます。
通常の発熱では、炎症性サイトカインやプロスタグランディンE2(PGE2)という物質の働きにより発熱しますが、心因性発熱の場合はこれらの物質が関わっていないのが特徴です。
症状の特徴
病気などの異常がないにもかかわらず、発熱します。
急性型心因性発熱と慢性型心因性発熱の2種類のタイプに分かれ、それぞれ症状が異なります。
<急性型心因性発熱>
ストレスを感じる状況になると一時的に高熱が出て、24時間以内に下がります。
<慢性型心因性発熱>
慢性的なストレスによって、数か月間微熱が続き、ストレスがなくなっても、平熱に戻るまで時間を要します。
心因性発熱には、風邪薬や解熱剤は効きません。
自分でできる対処法
発熱により体力を奪われるため、しっかりと水分と睡眠をとり、ストレスを抱えないように心がけましょう。
病院は何科?
心療内科を受診しましょう。
心療内科を探す
原因② 感染症(肺炎)
ウイルスや細菌に感染し、肺炎を起こしている場合、熱が続くことがあります。
免疫力が下がっていると、さらに治りづらいです。
症状の特徴
38℃以上の発熱が1週間近く続きます。発熱以外には、咳や痰、動悸、息苦しさ、悪寒などの症状があります。
胸膜炎(※)などを併発している場合は、息を吸ったときに胸の痛みを感じることがあります。
※肺の表面を覆う胸膜に炎症が生じて、肺に水が溜まってしまい、胸痛や呼吸困難が起こる病気
自分でできる対処法
肺炎を疑う場合は、病院で治療を受けることをおすすめします。
その上で、安静に過ごし、食事がとれるようであれば、消化に良い物を食べましょう。汗をかいて脱水症状にならないよう、水分・塩分の補給もしてください。
病院は何科?
内科、呼吸器内科を受診しましょう。
内科を探す
原因③ 薬剤性(薬の副作用)
薬に対してアレルギー反応として発熱することがあります。
また、薬の影響で体温調節機能が変化してしまい、熱が続くこともあります。
薬剤性の発熱は、どんな薬でも起こる可能性があります。
症状の特徴
発熱の原因である薬を使用した3~14日後に症状があらわれます。はじめは微熱で徐々に熱が上がっていく傾向にあります。頭痛や寒気、筋肉痛などの症状がある場合もあります。
原因の薬の使用をやめることで熱はさがります。
自分でできる対処法
薬剤の処方を受けている医師に相談しましょう。
病院は何科?
かかりつけの医師か、または内科を受診しましょう。
内科を探す
原因④ 熱中症
外気温が高い場合、体内の体温調節がうまくいかず、体内に熱がこもることで発症します。
暑い夏はもちろんですが、湿度が高くなる梅雨の時期から注意が必要です。
(湿度が高くなると、汗が蒸発しにくくなり、体温調整が難しくなるため)
症状の特徴
微熱や高熱が続きます。
その他の症状は、重症度によって変わります。
<軽度>
めまい、たちくらみ、倦怠感、筋肉痛、大量の発汗 など
<中度>
頭痛、吐き気、不快感 など
<重度>
けいれん、意識障害、高体温 など
自分でできる対処法
軽度であれば、涼しい場所へ移動し、衣服を緩め、安静に過ごしましょう。しっかりと水分・塩分を補給してください。
中度から重度の場合は救急車を呼ぶ必要があります。
病院は何科?
内科を受診しましょう。
内科を探す
長引く熱を楽にする方法
頭や首まわりを、氷や冷却シートで冷やすとつらさが和らぎます。
微熱の場合でも無理をせず、安静にして過ごしましょう。
市販薬は使ってもいい?
原因がわからないまま、市販薬を使用するのは避けてください。
自己判断で市販薬を使用すると、逆に症状を悪化させてしまう可能性もあります。医師や薬剤師に相談してから使用してください。
病院に行く目安
3~4日熱が続いたら、病院へ行きましょう。
また、38度以上の高熱が出ていたり、倦怠感や脱水、その他にもつらい症状が場合、病院へ行きましょう。
こんな症状があったら即病院へ
次の症状がある場合、早急に病院で処置を受ける必要があります。すぐに受診しましょう。
頭が痛い。
首が硬直している。
血圧が低下している。
40℃以上の熱がある。
心拍数や呼吸数が増えている。
息切れしている。
皮膚に赤紫色の小さな斑点が出ている。
水分や食事がとれない。
意識障害を起こしている。
けいれんしている。
体が熱いのに汗が出ない。
注意!「深刻な病気」が隠れていることも
「よくある病気」以外にも
悪性腫瘍
自律神経失調症
慢性疲労症候群
膠原病
などを発症しているケースもあります。
何科に行けばいい?
まずは内科(総合診療内科)を受診しましょう。
その後、必要に応じて、適した診療科を紹介してもらうと良いでしょう。
内科を探す
参考
MSDマニュアル家庭版 成人の発熱
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/16-感染症/感染症の生物学/成人の発熱
国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス [115] 肺炎...予防・治療のポイント
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/general/pamph115.html#s2
環境省 熱中症予防情報サイト
https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php
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2020-02-12
「すぐに熱を下げるには、どんな薬を選べばいいの?」
「どこを冷やせば熱が下がるの?」
この記事ではすぐに熱を下げる4つの方法を、医師が詳しく解説します。
大事な予定があってどうしても休めない!という方も、ぜひ参考にしてください。
無理に熱は下げない方がよい
発熱は、体を守るための必要な働きです。
発熱しているということは、何らかの異物と体が戦っている状態です。
ウイルスや細菌が進入すると、熱を上げて退治しようとします。無理に熱を下げれば、逆に異物が優勢となり、体調悪化・症状悪化につながる可能性もあります。
一般的な発熱であまりに熱が高い場合(40度以上)は、体を楽にさせ、脳症や合併症を避けるため、ロキソニンなどの鎮痛剤(※)を使用します。
それ以下の熱の場合は、自然に任せておくのが本来はいいのです。
※インフルエンザの場合は、使用できない鎮痛剤もあるので注意が必要です。
なぜ?「熱が出る理由」
発熱は、体の中にウイルスや細菌などの異物が侵入してきたのを倒そうとする免疫反応で起こります。
そのため、熱が上がり切るまではウイルスや細菌も大量に増殖しているので、体は辛い症状を多く感じます。
熱が下がる頃には、ウイルスたちを押さえ込み、体調が徐々に快方に向かい始めます。
なぜ?「震え」がおきる理由
体温が上昇すると血液や他の部位も一緒に熱を作ろうと、体熱の放散を減少させ、体全体の熱産生を増やそうとします。
その際、皮膚の血流を少なくしたり、筋肉を震わせて熱を作ったりします。
方法①お薬を飲む
解熱鎮痛剤を使いましょう。
すぐに熱を下げたい場合、風邪薬に解熱剤が入っていれば、そちらを使用していただいても構いません。しかし、熱に関して対処するのであれば、解熱鎮痛剤を使います。
解熱剤・鎮痛剤は、一時的に熱を下げ、体を楽にすることはできます。
※インフルエンザの場合は、使用できない鎮痛剤もあるので注意が必要です。
風邪のひき始めなら漢方薬もおすすめ
風邪のひき始めであれば葛根湯(カッコントウ)がおすすめです。
生姜やクズの根配合で、体を温めて早く熱をさげる作用が期待できます。
ただし、葛根湯にも解熱作用があるため、解熱剤との併用は避けましょう。
成分によっては重複して思わぬ副作用が生じることがあります。
漢方薬を使用する際は、薬剤師、登録販売者に相談をしましょう。
方法②首・鼠径部・ワキの下を冷やす
血流が多い部分を冷やすと早く熱は下がります。冷やす場所としては、首・鼠径部・ワキの下などがおすすめです。
熱が出ると、額を冷やす方法をイメージする方が多いかと思いますが、 これには熱を下げる働きはあまりありません。
また、冷却シートは、熱を下げるというよりも、頭を冷やすことで気持ちがよくなり、すっきりして気分が落ちつくという働きが期待できるものです。
方法③食べ物・飲み物
温かい食事や、冬が旬の野菜・果物で体を内部から温めて発汗を促せば、 汗で熱は下がりやすくなります。
ココアや生姜湯、チャイ等(温かい飲み物)
加熱したトマト、にんにく等(温かい食べ物)
かぼちゃ、かぶ、りんご、ブドウ等(冬が旬の野菜や果物)
また、いちごやスイカは、薬膳の世界では熱冷ましとしての働きもあるようです。薬のようにはいきませんが、水分補給ができるので体が楽になるでしょう。
方法④ツボ押し
首の後ろ側にある、髪の生え際あたりに位置する左右二つのツボ「風池」 は、熱っぽい・咳などの症状を和らげる働きがあると言われています。
お風呂で汗をかくのは有効
発汗を促すことで解熱効果が期待できます。
ただし、熱が上がっている途中で入浴しても、熱を下げる働きは期待できません。
熱が上がりきった後に汗が出始めているのであれば、入浴や岩盤浴などで発汗を促すことで解熱効果が期待できます。
その際は、水分が急激に失われるので十分に水分補給をしてください。
逆効果!「発熱症状を悪化させる行動」
寒気を感じた時に、余計に体を冷やすのは避けましょう。体を冷やすと熱はどんどん上がり、体調も悪くなっていきます。
寒気を感じたら、体を温めましょう。
熱が上がりきって熱く感じるようになったら、衣類を脱ぎ体温を調節してください。
熱が下がっても「数日は安静」にしましょう
熱が下がっただけでは、まだ体は本調子ではありません。
熱が下がっても、数日は安静にして過ごすのがいいです。
熱が下がったからといって急に動くと、体力が落ちている体はすぐに疲れてしまい、症状をぶり返す原因になります。
熱が下がった後は、栄養を摂って快方に向かいます。
免疫力をつけるためにも、抗酸化作用のあるビタミンC、体力をつけるためにたんぱく源などを中心に、スタミナ補給を行いましょう。
ビタミンC…緑黄色野菜、果物 等
タンパク源…卵、豆腐 等
ただ、風邪のときは胃腸も弱っていることがあるので、消化をよくするためにも、加熱して柔らかく煮込んだものがいいです。
基本的に、熱は無理に下げる必要はありません。
何らかの病気にかかった信号と受け止め、病院を受診し、安静にできる場所・スケジュールを確保して体を休めましょう。
内科を探す