「視界に黒い点が見える…」
「もしかして飛蚊症?」
飛蚊症の原因について、お医者さんに聞きました。
予防法や他の病気のケースについても解説します。
ストレスや疲れのせいで「黒い点が動いて見える!?」
黒い点が動いて見える症状は、「飛蚊症」の可能性が高いです。
過度のストレス・疲労が原因で発症することもあります。
飛蚊症は、実際にあるものが見えているのではなく、目の硝子体にできた濁りです。
硝子体は目の中にあるドロドロした物質で、この中に濁りが生まれると、網膜にそれが写り込んで黒い点が見える場合があります。
主に加齢によって発症する症状ですが、過度のストレス・疲労で活性酸素が増えて硝子体が変質すると、若くても飛蚊症を発症することがあります。
飛蚊症の特徴
1色塗りの壁、空などを見て視線をずらすと、目の端に黒い点のようなものがサッと見えます。
「虫かな?ゴミかな?」と思ってよく見ようとしても見当たりませんが、諦めてまた他の場所を見ると、目の端に黒いものがまた見えます。
スマホの見過ぎで余計に悪化するケースも…
また、パソコンやスマホの画面をよく見る人は、眼精疲労が蓄積されます。
目を休ませなければ、目の健康状態が悪化して視力低下を招きます。
目の状態を悪化させないためには…
- 目の紫外線予防
- こまめに目を休ませる
- 睡眠不足を避ける
といった点を心がけましょう。
紫外線予防には、「サングラス」や「紫外線カット仕様のメガネ」がおすすめです。
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2021-03-30
「飛蚊症が急に悪化した…これって大丈夫?」
黒い虫や糸くずのような物が見える原因をお医者さんに聞きました。
目の違和感を放置するのは危険です。
検査方法と治療方法も解説します。
飛蚊症が増えた…これ大丈夫?
「飛蚊症」は誰にでも起こりうる症状です。
「飛蚊症」には、加齢・強い近視が原因で発症するケースもあります。
これは“硝子体”という眼球内部のゼリー状の組織が変化し、濁ることによって起こります。この場合、目の状態が急速に悪化することはないため、過剰に心配しなくて大丈夫です。
ただし「急に症状が変わった」ときは要注意!
元々ある飛蚊症の症状が大きく変化した場合は、要注意です。
飛蚊症の数が急に増えた
飛蚊症の色が濃くなった
飛蚊症のサイズが大きくなった
視力が急に下がった
目に痛みがある
視野が欠けている
といった場合は、重い目の病気も考えられます。
放置すると視力低下や失明を招く恐れがあるため、早急に眼科で検査を受けてください。
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考えられる3つの病気
飛蚊症の原因として
網膜裂孔・網膜剥離
ぶどう膜炎
硝子体出血
といった病気が考えられます。
病気① 網膜裂孔・網膜剥離
網膜裂孔・網膜剥離によって、眼球内で出血が拡がった場合、飛蚊症が増えることがあります。
飛蚊症として目に映っているのは、硝子体の中に侵入した“目の細胞”や“剥がれた網膜から出た血液”です。
「網膜裂孔(もうまくれっこう)」とは
網膜に、穴や亀裂が生じた状態です。
「網膜剥離(もうまくはくり)」とは
網膜が、眼底から剥がれた状態です。
主な症状
飛蚊症
視力低下
視野が欠ける
物が歪んで見える
網膜裂肛・網膜剥離になりやすい人
強い近視の人
白内障の手術経験がある人
重度のアトピー性皮膚炎を患っている人
目を怪我した人
に発症しやすいです。
40~60歳代に多くみられますが、強い近視の場合には20代前後の若年層でも発症するケースがあります。
放置するとどうなる?
網膜裂孔を放置すると網膜剥離になり、失明になるリスクもあるため、早めに受診しましょう。
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病気② ぶどう膜炎
「ぶどう膜」に炎症が起こると、眼球内の濁りの悪化に伴い、飛蚊症も増えるケースが多いです。
「ぶどう膜炎」は、細菌感染などによって発症します。
飛蚊症として目に映っているのは、炎症によって発生した“白血球”や“細胞から染み出た液体”と考えられます。
※「ぶどう膜」とは
眼球全体を包みこんでいる膜状の組織。
虹彩や毛様体、網膜後方の脈絡膜などを指す。
主な症状
飛蚊症
目の痛み
視力の低下
目のかすみ
ぶどう膜炎になりやすい人
疲労、ストレスが溜まっている人
睡眠不足な人
白内障の手術を受けたばかりの人
に発症しやすい傾向があります。
過度の疲労・ストレス、睡眠不足は免疫力の低下を招くため、ぶどう膜炎の発症リスクを高くなります。
放置するとどうなる?
網膜剥離を起こし、失明のリスクが高まりますので、早めに受診しましょう。
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病気③ 硝子体出血
眼球内にある“硝子体”というゼリー状の組織の中で、出血が起こっている状態です。
硝子体での出血量が多いと、飛蚊症が増えると考えられています。
主な症状
目の前に膜ができたように見える
物が見えにくくなる
目のかすみ
視力低下
硝子体出血になりやすい人
血圧値、血糖値が高い人
目を怪我した人
に起こりやすい傾向があります。
高血圧・糖尿病は、硝子体出血を起こしやすいため、生活習慣が乱れている人は要注意です。
放置するとどうなる?
網膜剥離を起こし、失明のリスクが高まりますので、早めに受診しましょう。
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どんな検査を受けるの?
網膜に異常がないか調べるために、眼底検査を行います。
検査の際には、網膜を隅々までしっかり診るために、瞳を拡大する点眼薬を使用します。
その後、検眼鏡という機器を使用し、瞳孔から光をいれて眼球奥の網膜の状態を確認します。
硝子体の出血などによって眼底検査ができない場合は、超音波検査等が行われるケースがあります。
治療方法は?
症状に合わせ、点眼薬や内服薬の処方、手術などによる治療を行います。
処方する薬には、目の炎症を抑える薬、抗菌薬、抗ウイルス薬といったものがあります。
糖尿病など、原因となる病気も考慮しながら、症状の改善を図ります。
日帰りで手術を行うところが多いです。
医療機関によって異なるので、確認しましょう。
手術後は、1週間ほどは目に負担を与えないように過ごしましょう。
目や体に負担を与えない仕事であればよいですが、主治医に確認しましょう。
病気を疑う場合は早めに眼科へ!放置すると…
飛蚊症を起こす病気は、重症化すると失明してしまう恐れがあるため、放置せず早めに眼科を受診してください。
また、目の病気を早期発見できた場合、入院や手術を避けられる可能性が高くなります。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
公益社団法人 日本眼科医会 飛蚊症と網膜剥離 なぜ?どうするの
徳島県医師会 飛蚊症
一般社団法人 大阪府眼科医会 <飛蚊症とは?>
飛蚊症、どうすれば治る?
加齢やストレスが原因の「硝子体の変質による飛蚊症」は、治療方法がありません。
ただし病気が原因の場合は、病気の治療に伴って飛蚊症が良くなることがあります。
病気が原因でないかを確認するためにも、飛蚊症の症状があるときは眼科を受診してください。
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黒い影が消えない…どうすれば?
飛蚊症の黒い小さな影は、すべて消えることはありません。
加齢や生理的な飛蚊症であれば、基本的に視力に支障をきたすことはなく、慣れてくると気にならなくなります。
要注意!病気が隠れているケースも
飛蚊症には、網膜剝離・網膜裂孔といった病気が隠れているケースもあります。
これらの病気は放置すると失明を招く恐れがあるため、早急の治療が必要です。
こんな症状は病気が疑われます
- 黒い点の量が一気に増えた気がする
- 視力低下を伴っている
- 視野の一部欠損を感じる
こんなときは眼科へ!
黒い点が見えるときは、一度眼科受診をおすすめします。
原因には加齢や生理的症状が多いですが、万が一病気が隠れていた場合、治療が遅れると視力低下を招くリスクがあります。
目の病気に行われる治療
現在は、レーザー治療のように、短時間で行える治療も増えています。
症状が進行していた場合は手術を行い、入院が必要になることもあります。
早めの発見のためにも、定期的に眼科検診を受けましょう。
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2020-09-24
「眼底出血」は、初期の段階ではさまざまな症状があらわれます。
目のかすみや視力の低下、飛蚊症などの初期症状に気づいたとき、「どう対処すればいいか」をお医者さんが解説しています。
眼底出血の「初期症状」
眼底出血とは、目の網膜や硝子体で出血が起こることで、次のような初期症状があらわれます。
目がかすむ
視力が低下する
飛蚊症
物が歪んでいるように見える
視野が欠ける
視界の中心が見えない(中心暗点)
眼底出血の初期症状に気づいたら、擦ったり、押したり、市販の目薬等を使用したりしないでください。
安静にして、できるだけ早めに医療機関を受診してください。
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症状を「放置するリスク」
眼底出血を治療しないで放置すると、次のような危険があります。
眼底出血を繰り返し、網膜に膜が張ってしまう
網膜剥離や緑内障を起こす
脳血栓を発症するリスクがある
視力回復が困難になる(重度の視力障害が残る)
原因によっては失明の恐れがある
「原因」は何?
眼底出血の原因は、ひとつではありません。
外傷や病気などが考えられます。代表的なものをいくつか紹介します。
原因① 目のケガ(眼球打撲など)
眼に強い衝撃を受ける等の外傷が原因で、眼底出血を起こします。
原因② 高血圧
高血圧や高脂血症等の病気を抱えている場合、動脈が固くなりやすい状態になっています。
固くなった動脈が静脈を押し潰し、詰まってしまって眼底出血が起こります。
原因③ 糖尿病
糖尿病によって高血糖状態が続くと、血管の流れが滞り、網膜が酸素不足になります。すると、酸素不足を改善するため新生血管が発生します。
しかし新生血管はとても脆いため、眼底出血が起こってしまうと考えられています。
原因④ 網膜静脈閉塞症
高血圧症、動脈硬化症によって、目の血管が詰まって出血を起こします。高齢者に多い病気です。
原因⑤ 腎臓の病気
腎不全(腎臓病が悪化し腎臓機能が低下した状態)が進行して尿毒症になると、眼の症状として眼底出血が起こる場合があります。
症状があったら…「やってはいけないこと」
放置したり、自己判断で目薬を使用したり、触ったりしないでください。
症状があるときは、早めに医療機関を受診してください。
眼底出血の症状が現れた場合、原因によっては失明する恐れがあります。そのため、医療機関で、検査・治療を受けることをおすすめします。
病院の「受診目安」
片目で見ると物が歪む、視野が欠ける、突然目が見えなくなる等の症状は、早急に医療機関を受診してください。
早期受診によって、眼底出血の原因をはっきりさせられます。早い段階で治療を始めることで、症状の重症化を防いだり、視力低下や失明を回避したりすることが期待できます。
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眼底出血の「治療方法」
眼底出血の場合は、次のような治療を行います。
薬物療法
レーザー治療(網膜光凝固)
硝子体注射
硝子体手術(切除術)
受診の結果、網膜剥離が起きていないと診断された場合は、出血が徐々に引いていくことがあるため、すぐに手術等を行わずに様子を見るケースがあります。
網膜静脈閉塞症の場合は、レーザー治療(網膜光凝固)や硝子体注射を行う場合があります。糖尿病と診断された場合は、自覚症状がなくても眼科を受診してください。
▼参考
一般社団法人 杉並区医師会 糖尿病網膜症はどんな病気?
http://www.sgn.tokyo.med.or.jp/hanasi/index.php?no=20170216
今治市医師会 眼科
http://www.imabari-med.jp/ophtha.htm
一般社団法人 全国腎臓病協議会 腎臓病について
https://www.zjk.or.jp/kidney-disease/symptom/