「酵素を飲むとどんなメリットがあるの?」
「ダイエットや美肌目的にいい?」
酵素の効果を栄養士に聞きました。
酵素サプリの効果的なとり方やタイミングも解説します。
監修者
株式会社Luce
栄養士・食育栄養インストラクター
神原 李奈先生
経歴
株式会社Luce・健康検定協会 所属
CA(客室乗務員)の仕事をきっかけに、健康と食の強い結びつきを実感し、食の世界に興味を持つ。大手料理教室の講師の経験を経て、栄養士を目指すことに。栄養士免許を取得後の現在は、現役CAとして世界中を飛び回りながら、栄養士として健康や食に関する情報を発信している。
酵素ってなに?
酵素とは、生物が生命を維持するために必要な「消化や分解」「吸収」「代謝」などに関わっているタンパク質のことです。
酵素を正常に分泌させたり、作用させたりすることができれば、病気のリスクを減らすことにつながります。
酵素を正常に分泌させたり、作用させたりするためには、体を健康に保つことが大切です。
- 規則正しい生活
- バランスの良い食事
- 良質な睡眠
- 適度な運動
を心がけましょう。
酵素を口からとっても“無意味”って本当?
残念ながら食品から摂る酵素に、健康効果は期待できません。
胃腸で分解されるので、体の中で作用することはないでしょう。
酵素はたんぱく質でできており、たんぱく質は胃腸の中のたんぱく質分解酵素によって消化され、吸収されます。
そのことから、酵素を口からとっても、胃腸で分解されるので体の中で作用することはないと考えて良いでしょう。
酵素サプリも、意味がない?
残念ながら、酵素そのものは、口から摂取しても効果が期待できません。
しかし、酵素サプリや酵素ドリンクには、酵素以外の成分の働きが含まれています。
そのため、酵素サプリ等を飲むことで
- ダイエットのサポート
- 美肌づくり
- 冷えにアプローチ
など、健康・美容のサポートに繋がる可能性があります。
「ダイエット」のサポートが期待できる例
水溶性食物繊維が多く含まれている場合、「脂肪の蓄積を予防」「便通改善」「栄養素の吸収率アップ」「代謝アップ」が期待でき、ダイエットのサポートになります。
乳酸菌が含まれている場合も、「便通改善」など腸内環境を整えることができます。
水溶性食物繊維の効果
糖質の吸収をゆるやかにし、血糖値の上昇抑制することで、脂肪の蓄積を予防し、ダイエットのサポートになります。
食物繊維は腸内で善玉菌の餌となり、善玉菌の増殖をサポートします。
そのため、腸内環境が改善され、お通じがスムーズになる可能性があります。
腸内環境が整うと、栄養素の吸収や代謝が良くなり、ダイエットに繋がります。
乳酸菌の効果
乳酸菌は腸内環境の改善に役立ちます。
腸内環境が改善されれば、お通じが良くなり、栄養素の吸収や代謝がアップします。
「美肌づくり」のサポートが期待できる例
ビタミンCが多く含まれている場合、抗酸化作用により、メラニンの生成を抑え、シミ予防につながります。
また、ビタミンCはコラーゲンの生成を促すため、しわ・たるみにもアプローチします。
「冷え」にアプローチが期待できる例
ビタミンEが多く含まれている場合、血行促進作用があるため、冷え性の改善につながります。
効果的なサプリのとり方ってあるの?
サプリを飲む “おすすめのタイミング”は摂りたい栄養素によって異なります。
例としては…
- 水溶性食物繊維を含む場合→ 食前に飲む
- 乳酸菌を含む場合→ 食後に飲む
- ビタミンCを含む場合→ 1日3回程度こまめに摂る
- ビタミンEを含む場合→ 油脂(オリーブオイル・牛乳など)と一緒に摂取する
◆水溶性食物繊維は“食前”に
水溶性食物繊維を食前に摂ると、食後の血糖値上昇を抑える効果があると言われています。
◆乳酸菌は“食後”に
乳酸菌は空腹時に摂ると胃酸により死滅する可能性があるので、食後に摂りましょう。
◆ビタミンCは“こまめ”に
ビタミンCは一度に大量にとると吸収率が下がり、過剰な分は体の外に出されてしまいます。少量をこまめに摂ると良いです。
◆ビタミンEは“油脂と一緒”に
ビタミンEは油脂と一緒に摂ることで、吸収が良くなります。
オイルを含むタイプの酵素ドリンクを選ぶと良いでしょう。タイミングは特に決まっていません。
酵素ドリンクやサプリメントは、効果や成分の性質によって、それぞれおすすめのタイミングが異なります。ご自身の目的に合わせて、飲みましょう。
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2021-09-10
「コーヒーやルイボスティーが糖化を防ぐって本当?」
糖化を防ぐ飲み物について栄養士に伺いました。
正しい飲み方や量、サプリメントでも糖化は防ぐことはできるのかも紹介します。
糖化を防ぐ飲み物は?
糖化を防ぎたいときは
コーヒー
お茶
ワイン
を飲むようにするとよいでしょう。
糖化ってなに?
糖化とは、必要な量以上に摂りすぎてしまった糖が体にあるタンパク質と結びつき、血管や細胞、皮膚を劣化させる反応のことを言います。
糖化によって生まれる「AGEs」は老化や病気の原因になるため、健康を保つうえで注意が必要です。
おすすめの飲み物① コーヒー
コーヒー豆には抗酸化の働きがあり、病気やしみなどの原因になる「AGEs」の蓄積を抑える働きがあるとされています。
AGEが増えなくなれば、動脈硬化を防ぎ、糖尿病などの生活習慣病も抑える働きも期待できます。
ただし、カフェインの摂り過ぎもよくないため、一日の摂取量としては、ブラックコーヒー1~2杯程度にしましょう。
特に、挽きたての豆を使用した入れたてのブラックコーヒーがおすすめです。
何かで割って飲みたい場合は、糖化の原因となる白砂糖は避けて、ハチミツや豆乳などを使いましょう。
おすすめの飲み物② お茶(ルイボスティー・カモミールティ 等)
ルイボスティー、カモミールティー、どくだみ茶、甜茶などのお茶は、抗糖化作用が豊富なため糖化を防いでくれます。
カフェインを含まないものであれば健康を害することも少ないので、1日に飲む量を心配する必要はありません。
おすすめの飲み物③ ワイン
ワインには、赤でも白でも抗糖化作用と抗酸化作用があります。糖分の少ないドライなタイプがよいでしょう。赤ワインには長寿遺伝子を活性化させるレスベラトロールも多く含まれています。
ワインはアルコールなので、飲みすぎると健康を害する場合があります。1〜2杯程度までとしましょう。お酒が飲めない方は無理に糖化予防だからといって飲むのはやめましょう。
これはNG!糖化を促進する飲み物
果糖入りのジュース
砂糖入りの清涼飲料水
スポーツドリンク
などを摂取すると、糖化が進行する可能性があるので、摂り過ぎないようにしましょう。
果糖は食後の血糖値をあげにくい成分とされていますが、摂りすぎは良くありません。
砂糖入りのジュース類もAGEsを作るリスクが高いので、できるだけ避けてください。
他にも果糖や砂糖は、ドレッシングや調味料にも配合されているので、これらをたくさんかけて食事を取る人は量を減らしましょう。
ドレッシングを減らして物足りないときは、代わりにレモン酢、少量の塩などを使うとよいでしょう。
糖化はサプリメントで防げる?
食生活の補助としてサプリメントを取り入れると、抗糖化のサポートになります。
大豆イソフラボン
アントシアニン
トウビシエキス
クロロゲン酸
など、抗糖化成分が配合されたサプリメントを選ぶとよいでしょう。
また、「糖化」と「酸化」は互いに関連が深く、どちらか一方のみを補うだけでは改善が難しいです。
α-リポ酸
ビタミンACE
βカロテン
アスタキサンチン
など、抗酸化サプリを活用して酸化を防止する成分を補いましょう。
※サプリメントはあくまでも食事の補助食品です。サプリメントを摂っているからといって、病気にならないわけではありません。
抗糖化のための「食事方法」
その① 食べる順番に注意する
食べる順番に気を付けることで、血糖値が急激に上がるのを避け、糖の吸収を穏やかに保ちます。
具体的には、食事は、野菜やおかずなど食物繊維やタンパク質の多いものからゆっくり食べるようにしましょう。
糖を含む、ご飯、パン、パスタなどは食事の後半にゆっくりと良く噛んで食べるようにしましょう。
その② 早食いをしない、食べ過ぎない
早食い・食べ過ぎは血糖値を急激に上げるため、糖化を進める原因となります。
TV、本や雑誌などを見ながら食事を摂ると無意識に食事をしてしまい、早食いになる傾向があるので避けましょう。
また、一人で食事をするよりも、他の人と一緒に食べる方が、ゆっくりと食事をすることができるので、食べ過ぎを抑えやすいです。
その③ AGEs含有量の少ないものを食べる
食事からとるAGEsの量を減らせば、それだけ体の糖化を防げます。
できるだけ、AGEsが少ない食品を選ぶようにしましょう。
<AGEsが多い食品の例>
ステーキ
フランクフルト
クリームチーズ
唐揚げ
ハンバーガー
トンカツ
<AGEsが少ない食品の例>
生野菜
刺身
果物
豆腐
高温で揚げたり、焼いたりする食品はAGEsが多いため、茹でた料理や、生のものも同時に取り入れるようにしてください。
例えばトンカツを食べたいときには、カツ丼ではなくトンカツ定食を選び、サラダや野菜の小鉢、冷や奴などを追加しましょう。
小鉢や野菜から食べ始めて、トンカツ、ご飯をゆっくり食べるようにすると、糖化を防ぎやすくなります。
食事に気をつけるだけでなく、運動を取り入れ、ストレスを溜めないようにしましょう。
体の循環をよりよく保つことで、AGEsの蓄積を防ぎやすくなります。
▼参考
厚生労働省 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ &A
厚生労働省 アルコール
厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』海外の情報 抗酸化物質
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2021-09-17
消化酵素を節約し代謝酵素の量を増やすことや代謝酵素の働きをサポートする役割が食べ物に含まれている「食物酵素」です。
栄養士さんに「おすすめの食べ物」や「食事メニュー」を聞きました。
サプリやドリンクでも体内酵素を節約できるのかどうかも紹介していくので、併せてチェックしましょう。
体内酵素を節約する食べ物は?
体内の酵素を増やすためには、
生の野菜や果物、ナッツ類
発酵食品
を摂るといいでしょう。詳しく解説していきます。
その① 生の野菜・果物・ナッツ類
酵素は、食べ物の中でも特に生野菜や果物に多く含まれています。
生野菜や果物から酵素を摂取すると、もともと体内にある酵素の消費量が抑えられます。
その結果、体内酵素を節約できると考えられています。
具体的には、以下の食材を取り入れるようにしてみましょう。
野菜
トマト、ほうれん草、レタス、小松菜、ブロッコリー、大根、ニンジン、アボカド等
果物
バナナ、イチゴ、キウイフルーツ、いちじく、りんご、パパイヤ、マンゴー等
ナッツ類
生アーモンド、生カシューナッツ
その② 発酵食品
微生物の力で発酵が促進された食べ物の中には、食物酵素が豊富に含まれています。
そのため発酵食品を積極的に摂取すると、体内酵素を補うことができます。
その結果、酵素を作り出す腸内細菌の活動も活性化します。
具体的には、納豆、味噌、醤油、酢、ヨーグルト、チーズ、漬物、キムチ、麹、鰹節、発酵玄米などを毎日の食事に取り入れることをおすすめします。
いつ、どんな風に食べるのがいいの?
食べた物がすぐにエネルギーとして使用される朝食時に摂ることがおすすめです。
特に果物に含まれている果糖は、体内への吸収が早く、素早くエネルギーに変換されます。
果物は食後に食べるイメージがありますが、食前または食間に食べる方が、果物がもつ栄養分を十分吸収できると考えられています。
また、ボリュームの多い食事や遅い夕食の前に摂っておくことで、消化がスムーズになります。
より効果が実感できる「おすすめの食べ方」は?
<野菜、果物の場合>
野菜、果物は新鮮なものをそのまま生で食べる
旬の食材を食べる
大根は生のまますりおろして使用する(ニンジン、タマネギもおすすめ)
果物はいろいろな種類を加えてミキサーで混ぜてスムージーやジュースにする
※生の食べ物には、熱に弱い酵素が多く、加熱(多くの場合50度以上)によって失活します。また、植物性の酵素を含む栄養分は細胞膜に包まれているため、細胞膜を破る食べ方(すりおろしやジュースなど)をすることで活性化します。 また、旬の食材はその時の栄養価が一番高いものを旬というので、酵素も多く含まれていると考えられます。
<発酵食品の場合>
納豆とキムチを合わせる
味噌と酒粕を合わせた粕汁(野菜も加える)
甘酒とヨーグルトを合わせる
酢とオリーブオイルを合わせてドレッシングとして活用する
体内酵素は、サプリやドリンクでも補える?
酵素配合のサプリメントやドリンクの摂取をしても、酵素による健康効果は期待できません。
口から摂取した酵素は、自身がもつ消化酵素により分解されてアミノ酸として吸収されるため、そっくりそのまま酵素としては吸収できません。
酵素を体内で増やすには、たんぱく質の材料となる栄養素やサポートする栄養素(ビタミン、ミネラル等)を摂ったり、腸内環境を整え腸内細菌酵素を活性化する必要があります。
そのため、栄養補助や整腸を目的としたサプリ・ドリンクであれば、酵素を増やすサポートができます。
他にも、こんなことを心がけよう
酵素の機能を向上できるよう、
体を冷やさない
ストレスを溜めない
生活習慣を見直す
といったことを心がけましょう。
その① 体を冷やさない
体を温めることで酵素の働きが活性化すると、大量に酵素を使用しなくても活動できるようになり酵素の無駄使いを抑制できます。
具体的には、
首、足、腹部等を温める
半身浴をする
足湯をする
冷たい飲食物を摂り過ぎない
薄着をしない
等、体が冷えないようにしてください。
その② ストレスを溜めない
過剰なストレスが掛かると酵素の機能が低下します。
ストレスを溜め込まないように、することで、代謝や体温が上昇し、酵素が活性化します。
ストレスを感じないようにするのは難しいため、そのストレスを上手に発散する方法を見つけて実践するようにしてください。
ウォーキング、ヨガ、ストレッチ、腹式呼吸等を無理のない範囲で行うことがおすすめです。
その③ 生活習慣を見直す
上記に加えて、十分な睡眠時間を確保する、食べ過ぎない等も心掛けるようにしてください。
酵素は眠りについている時間に作られるため、十分な睡眠時間を確保する
食べ過ぎると、消化するために多くの消化酵素を消費してしまう
▼参考
一般社団法人 日本ローフード協会 ローフードとは?
大正製薬ダイレクト 体の中から健康チャージ 食習慣で体は変わる!