おならが止まらなくてつらい…。
これって病気?病院に行くべき?
おならの回数が増え、止まらなくなってしまった原因と対処法を、お医者さんに聞きました。
「何科に行くべきか」も解説します。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
おならが止まらないのは病気のせい?
肉や炭酸飲料を多量に摂取した後に、おならの回数が増えるのは正常なことです。
また、便秘症状にお悩みの方も、おならが多くなる傾向があります。ただし…
これらの症状が現れている場合は、病院を受診するべき可能性があります。
消化器内科を探す
ストレスが原因の「過敏性腸症候群」かも…
おならが止まらないのは、「過敏性腸症候群」などの病気かもしれません。
過敏性腸症候群は、ストレスなどが原因で胃腸の動き活発になりすぎたり、逆に動かなくなったりする病気です。
なりやすい人
主な症状
- 排便すると症状が改善する。
- ここ3ヵ月の中で1ヵ月のうちに3日以上、腹痛や腹部に不快感がある。
- 排便の頻度が変わる(排便回数が増えたり減ったりする)ことによって症状が始まる。
- 便の形状が変わる(便が柔らかくなったり硬くなったりする)ことによって症状が始まる。
自分でできる対処法はある?
規則正しい生活を心掛けましょう。特に気をつけたいのが次の4ポイントです。
- 良質な睡眠をとりましょう
- 定期的に運動をしましょう
- ストレスをためないようにしましょう
- 1日3回、バランスの良い食事を摂りましょう
避けた方がいい食事
- 冷たいもの
- 高脂肪の食事
- 糖質が多い食事
- 乳製品
- コーヒー
- 酒
- 香辛料
また、空気を飲み込まないために、お茶漬け・チューインガム・ストロー・たばこの使用を控えましょう。
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2023-01-30
過敏性腸症候群とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
過敏性腸症候群の主な症状も紹介するので、当てはまるものがないかチェックしましょう。
過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群とは、腹痛・腹部の不快感・便秘・下痢などを何度も繰り返してしまう病気です。
特にストレスを感じたときに発症しやすい傾向があります。
以前はなかった病気で、近年では若い人を中心に発症を増やしています。
検査で異常が見つからない点も特徴です。
過敏性腸症候群の症状チェック
お腹の痛み
お腹の不快感
下痢
便秘
吐き気・嘔吐
過敏性腸症候群の原因
根本的な原因は未だ不明ですが、発症にストレスが関わっていると言われています。
どの年代でも発症しますが、20〜30代の若い世代を中心に患者さんが増えています。
特に、ストレスに敏感な人、仕事が忙しい人に発症しやすい傾向があります。
過敏性腸症候群になりやすい人
不規則な生活を送っている
疲労・ストレスがたまっている
睡眠時間が短い
不規則な生活や疲労・ストレスは自律神経を乱しやすいため、過敏性腸症候群を引き起こしやすくなります。
過敏性腸症候群は自分で治せる?病院行くべき?
過敏性腸症候群の場合、腸自体に問題はないため、すぐに治療が必要なわけではありません。
ただし、長期間症状が続くと、それ自体がストレスとなって自律神経がさらに乱れる原因となります。過敏性腸症候群を疑う症状が続く場合は、病院で相談しましょう。
過敏性腸症候群の治し方
一日三回バランスの良い食事を摂りましょう
十分な睡眠をとりましょう
ストレスは溜めずに発散しましょう
定期的に運動をしましょう
市販薬を使ってもいい?
過敏性腸症候群に対する市販薬もあるため、症状が軽い場合は使用してもよいと考えられます。
ただし、市販薬を使用できるのは、医師による診断を以前に受けたことがある人に限ります。
また、市販薬を使用する場合は、自己流の治療で症状を悪化させる可能性もあると念頭に置いておきましょう。市販薬で症状が良くならない場合は、必ず病院を受診してください。
こんな症状は早く病院へ
排便のリズムが定まらない
ストレスを感じると便意を催す
急に便意を催すことが頻繁にある
腹痛を伴う下痢、便秘を数日間で何度も発症している
上記に該当する人は、医療機関の受診をおすすめします。
病院は何科?
過敏性腸症候群が疑われる場合は、消化器内科を受診しましょう。
まずは、他の消化器疾患がないかを確認することが大切です。過敏性腸症候群が疑われる場合、一度は胃腸内科、消化器疾患を受診することが望ましいでしょう。
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病院での治療法は?
生活習慣を見直しても症状が良くならない場合、薬を使用して治療します。
過敏性腸症候群では、一般的には消化管の機能を調節する薬や、プロバイオティクス(※)などが処方されます。
ガス型の症状に対しては、ガスを吸着する薬としてガスコンという薬が使われます。その他、漢方薬の処方で症状が良くなる人もいます。
また、ストレスが原因の場合や、うつ症状がある場合には抗不安薬や抗うつ薬を使います。
プロバイオティクスと抗不安薬を組み合わせた治療をすることもあります。
(※)プロバイオティクス…人間や動物の体に対して、良い働きをする生きた微生物のこと
便秘で「おならが多い…」ときの対処法
おならが止まらない原因として最も多いのは、「便秘」です。
次の3つの対処法を実践して、お腹にガスが溜まらないようにしましょう。
①食生活の見直し
食事はよく噛んでゆっくり食べましょう。
水分は1.5Lを目安にこまめに摂りましょう。
おすすめの食品
腸内環境を整えるためにヨーグルトや納豆など発酵食品を積極的に摂りましょう。
善玉菌のエサとなり、増殖を助ける食物繊維やオリゴ糖を一緒に摂るとさらに良いです。
食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」がありますが、バランスよく両方を摂るようにしましょう(下記参照)。
- 水溶性食物繊維:大豆製品、海藻類、ドライフルーツなど
- 不溶性食物繊維:オートミール、きくらげ、おから、干し柿など
- オリゴ糖:市販のオリゴ糖、オリゴ糖を含む乳製品や大豆製品、たまねぎ、にんにく、ごぼう、バナナなど
※食物線維を摂りすぎた場合、便秘が悪化する、下痢をする、ガスがたまるなどの症状があらわれることがあるので、注意してください。
避けるべき食べ物
②腸の働きをよくする運動
心地よいと感じるレベルの有酸素運動をしましょう。
20~30分のウォーキングや階段を日常的に使うことを心掛けてください。
腹筋運動もおすすめです。
腹筋運動
- 仰向けに寝て、ひざを立てます。
- 両手を胸の前で交差し、息を吐きながら肩から上半身を起こします。
この体勢を5~10秒間維持しましょう。
- 息を吸いながら、ゆっくりと元の状態に戻します。
これを10回程度、繰り返しましょう。
③体を温めてリラックス
- お風呂にゆっくりつかる
- 腹巻などでお腹を冷やさない
- ストレスをためないように気をつけましょう。
リラックスすると、副交感神経が優位になります。
副交感神経が優位なときに腸の運動は活発になります。
市販薬を使ってもいい?
便秘が原因の場合は、市販薬を使用してもよいでしょう。
ビオフェルミンやガスピタンなどの整腸剤などは腸内環境を整えて、腸のぜん動運動を活発化させるのでおすすめです。
病院に行く目安
- 1ヵ月のうち3日以上おならが止まらない
- お腹が痛い
- お腹に不快感がある
- 日常生活に支障をきたしている
これらの症状が現れている場合は、病院で一度診てもらうと良いでしょう。
過敏性腸症候群と診断された場合は、次のような生活習慣の改善を行います。
- 1日3回、規則的でバランスの良い食事を摂る
- 暴飲暴食、夜間の大食を避ける
- ストレスを溜めず、睡眠、休養を十分に取る
- 刺激物や高脂肪の食べもの、アルコールを控える など
それでも、改善されない場合は、薬による治療を行います。
受診するのは何科?
胃腸内科や消化器内科を受診しましょう。
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