便に白くてふわふわしたものがついている…。
これって大丈夫なの?
便に白いふわふわしたものがつく原因について、お医者さんに聞いてみました。
腸が弱っている人向けにおすすめの食事も紹介するので、お通じの悩みを解消したい人は必読です。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
なぜ?便に「白いふわふわしたもの」が付く
便と一緒に「白いふわふわしたもの」が出ました。
これはいったい何でしょうか?
脂肪分のとりすぎで消化不良を起こし、便に白くてふわふわしたものがついていると考えられます。
一時的なものであれば、過度な心配はいりません。
ただし、こんな症状は病院へ
という場合は、腸が炎症を起こしているおそれがあるため、病院に行きましょう。
「消化器内科」で相談することをおすすめします。
消化器内科を探す
白い粘液便の正体は?
便についている白い粘液は、
などの可能性が考えられます。
脂っこい食べ物を過剰に摂取していたり、腸が弱っていたりすると、消化しきれなかった食べ物の油分が便に混じることがあります。
「腸粘液」は、腸から分泌されている腸液・腸粘膜などの物質です。腸内に多く存在しており、便をスムーズに運んで排出するために必要です。
腸が弱っていると、腸粘液が剥がれ落ちてきて、白いものが便についてふわふわして見えたり、泡だって見えたりします。
粘液便が出る原因
- 油っこい・脂肪分の多い食品の食べすぎ
- お酒の飲みすぎ
- ストレスがたまっている
粘液便が出るよくある原因として、上記3つが考えられます。
きちんと睡眠をとり、おかゆ・緑黄色野菜などの「胃に優しい食べ物」を中心に食事をとることで改善するケースが多いです。
腸が弱っている今こそ!腸活のススメ
腸が弱っていると感じる人は、消化の良い食品を積極的にとりましょう。
特に、
- 白米のおかゆ
- 緑黄色野菜が入った煮物
- 豆腐
- 鶏団子
など、温かくして食べられる食事がおすすめです。
逆に、油分が多い揚げ物・カレー・シチュー・ケーキなどは控えてください。
消化の良い食品、悪い食品は下記を参考にしてください。
▼穀類
消化が良い
|
白米・食パン・うどん
|
消化が悪い
|
もち・玄米・菓子パン・そば・ラーメン
|
▼イモ・豆・野菜
消化が良い
|
ジャガイモ・里芋・豆腐・にんじん・ほうれん草・かぼちゃ
|
消化が悪い
|
サツマイモ・こんにゃく・油揚げ・きのこ・もやし・ごぼう・海藻
|
▼肉・魚
消化が良い
|
ささみ・赤身肉・白魚
|
消化が悪い
|
豚バラ・イカ・タコ・貝類
|
▼果物
消化が良い
|
バナナ・りんご・桃
|
消化が悪い
|
みかん・梨・柿・パイナップル
|
「食べ方」も見直してみよう
食べ過ぎを防ぐために欠食しないようにしましょう。
また、1口につき30回程度を目安によく噛んで食べると、満腹感を得やすく、食べ過ぎの防止につながります。
食生活を整えても調子が悪い…整腸剤を飲んでもいい?
食生活を見直しても改善されないときは、市販の整腸剤を飲んでもよいでしょう。
ただし、市販薬を使うときは、購入の際に薬剤師に相談することをおすすめします。
注意!「繰り返す下痢・血便」は病気サインかも
粘液便に伴い
- 便秘や下痢を繰り返す
- 便に黒や赤いものも混じっている(血便)
という場合は病気の可能性があるので、「消化器内科」で相談しましょう。
上記に心当たりがある人は、過敏性腸症候群・潰瘍性大腸炎・大腸ポリープ・大腸ガン・クローン病などの病気が隠れているおそれがあるため、病院に行きましょう。
炎症を放置していると悪性の腫瘍(ガン)ができることもあるため、早めの受診が重要です。
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2023-01-30
過敏性腸症候群とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
過敏性腸症候群の主な症状も紹介するので、当てはまるものがないかチェックしましょう。
過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群とは、腹痛・腹部の不快感・便秘・下痢などを何度も繰り返してしまう病気です。
特にストレスを感じたときに発症しやすい傾向があります。
以前はなかった病気で、近年では若い人を中心に発症を増やしています。
検査で異常が見つからない点も特徴です。
過敏性腸症候群の症状チェック
お腹の痛み
お腹の不快感
下痢
便秘
吐き気・嘔吐
過敏性腸症候群の原因
根本的な原因は未だ不明ですが、発症にストレスが関わっていると言われています。
どの年代でも発症しますが、20〜30代の若い世代を中心に患者さんが増えています。
特に、ストレスに敏感な人、仕事が忙しい人に発症しやすい傾向があります。
過敏性腸症候群になりやすい人
不規則な生活を送っている
疲労・ストレスがたまっている
睡眠時間が短い
不規則な生活や疲労・ストレスは自律神経を乱しやすいため、過敏性腸症候群を引き起こしやすくなります。
過敏性腸症候群は自分で治せる?病院行くべき?
過敏性腸症候群の場合、腸自体に問題はないため、すぐに治療が必要なわけではありません。
ただし、長期間症状が続くと、それ自体がストレスとなって自律神経がさらに乱れる原因となります。過敏性腸症候群を疑う症状が続く場合は、病院で相談しましょう。
過敏性腸症候群の治し方
一日三回バランスの良い食事を摂りましょう
十分な睡眠をとりましょう
ストレスは溜めずに発散しましょう
定期的に運動をしましょう
市販薬を使ってもいい?
過敏性腸症候群に対する市販薬もあるため、症状が軽い場合は使用してもよいと考えられます。
ただし、市販薬を使用できるのは、医師による診断を以前に受けたことがある人に限ります。
また、市販薬を使用する場合は、自己流の治療で症状を悪化させる可能性もあると念頭に置いておきましょう。市販薬で症状が良くならない場合は、必ず病院を受診してください。
こんな症状は早く病院へ
排便のリズムが定まらない
ストレスを感じると便意を催す
急に便意を催すことが頻繁にある
腹痛を伴う下痢、便秘を数日間で何度も発症している
上記に該当する人は、医療機関の受診をおすすめします。
病院は何科?
過敏性腸症候群が疑われる場合は、消化器内科を受診しましょう。
まずは、他の消化器疾患がないかを確認することが大切です。過敏性腸症候群が疑われる場合、一度は胃腸内科、消化器疾患を受診することが望ましいでしょう。
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胃腸内科を探す
病院での治療法は?
生活習慣を見直しても症状が良くならない場合、薬を使用して治療します。
過敏性腸症候群では、一般的には消化管の機能を調節する薬や、プロバイオティクス(※)などが処方されます。
ガス型の症状に対しては、ガスを吸着する薬としてガスコンという薬が使われます。その他、漢方薬の処方で症状が良くなる人もいます。
また、ストレスが原因の場合や、うつ症状がある場合には抗不安薬や抗うつ薬を使います。
プロバイオティクスと抗不安薬を組み合わせた治療をすることもあります。
(※)プロバイオティクス…人間や動物の体に対して、良い働きをする生きた微生物のこと
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2023-01-30
潰瘍性大腸炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
潰瘍性大腸炎の主な症状やなりやすい人、原因なども紹介するので、心当たりがないかチェックしてみましょう。
潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎とは、大腸に炎症ができ、表面が赤く腫れたり、潰瘍ができたりする疾患です。
初期段階は、下痢と便秘を繰り返すことが多いのですが、症状が悪化すると血便や下血が現れる場合もあります。
どんな痛み?潰瘍性大腸炎の症状
下痢
血便(赤黒い色の血便、粘血便)
激しい腹痛
下腹部の違和感
発熱
倦怠感
貧血
脱水
食欲低下
体重減少
下痢と血便を主症状として、激しい腹痛を伴うケースが多いです。
ゼリー状の粘液のような血便が出る場合もあります。
悪化すると、1日10回以上血便が出るようになります。
潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎の発症原因は未だ明確になっておらず、国の指定難病に定められています。
考えられる原因としては、免疫異常・遺伝的要因・環境要因が挙げられます。
潰瘍性大腸炎になりやすい人・性格は?
ストレス過多・ストレスを感じやすい
腸内細菌のバランスが崩れている
生活習慣が乱れている
家族が潰瘍性大腸炎やクローン病を発症している
発症に男女差はなく、男性の発症ピークは20~24歳、女性の発症ピークは25~29歳にみられます。
ストレスが潰瘍性大腸炎の直接的な原因となるわけではありません。
ただし、過剰なストレスは腸内環境の悪化や免疫力の低下につながるため、潰瘍性大腸炎の発症に影響するという意見もあります。
「ストレスが溜まっている」「ストレスを感じやすい性格」などの自覚があり、潰瘍性大腸炎の症状が見られる場合は、注意が必要です。
家庭内で発症するケースもあり、遺伝的因子も関与すると考えられています。
そのため、家族に同様の病気の人がいると、発病のリスクが高くなる可能性があります。
▼参考
潰瘍性大腸炎(指定難病97)
潰瘍性大腸炎とは?症状と予防のために気をつけたい注意点を解説
潰瘍性大腸炎について- どのような病気か分かりやすく解説! -
潰瘍戦大腸炎を疑う場合は病院へ
潰瘍性大腸炎は再発しやすく、重症化して手術が必要になる場合もあるため、早めに病院を受診してください。
潰瘍戦大腸炎を疑う場合は、内科・消化器内科・胃腸内科の受診をおすすめします。
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潰瘍性大腸炎の治療法
潰瘍性大腸炎の治療では、「薬物治療」や「手術」が行われます。
薬物治療は、大腸の炎症を抑える薬、免疫機能を調整する薬などを使用します。
薬が効かない、症状が重いなど、薬物治療で対処できない場合に、大腸を全摘出する手術が行われることがあります。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。