インフルエンザで熱が上がったり下がったりするのはなぜなのでしょう。
インフルエンザを発症すると全身の痛みや関節痛、40度以上の発熱がみられ大人でも動くことができなくなる場合があります。
「せっかく高熱が下がってきたのに、また熱が上がってきた…!」
こんなときは、一刻も早く症状を改善したいですよね。
なぜ、インフルエンザで熱が上がったり下がったりするのか、原因から対処法まで詳しく医師に伺いました。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
インフルエンザで熱が上がったり下がったりする理由は?
インフルエンザで熱が上がった下がったりする場合、
- 無理に体を動かすなどして再度ウイルスが増殖した
- 二峰性発熱(にほうせいはつねつ)が生じている
※子どもに多い
といった原因が考えられます。
無理をして再度ウイルスが増殖した
体の免疫機能がウイルスをやっつけて優勢になっていたところで、無理に体を動かすなどして、再度ウイルスが優勢になってしまったケースが考えられます。
インフルエンザウイルスに感染すると高熱が出ます。これはインフルエンザウイルスが強力であり、体内でウイルスをやっつけるために、通常風邪などで出す熱以上に高い熱が必要となって発熱している状態です。
そのため、37度台の熱であれば、解熱剤を使って無理に熱を下げる必要はありません。(診察した医師の判断によります。)
一度熱が下がってくれば、ウイルスが減り始め、体がウイルスを攻めている証拠です。
しかし、熱が下がったからといって体を動かしてしまうと、まだ本調子でない体は、すぐに疲れてしまいます。すると、ウイルスへの抵抗力が弱まってしまい、また熱が上がるという症状が現れる場合があるのです。
二峰性発熱が生じている(子どもに多い)
子どもの場合は、一旦平熱に下がった後に再び熱が上がる「二峰性発熱(にほうせいはつねつ)」の可能性があります。二峰性発熱は子どもに多い熱型で、大人にみられることはほとんどありません。
二峰性発熱は、半日~1日くらいの間平熱に下がった後に、再び半日~1日程度熱が上がる状態です。
これは、 抗インフルエンザ薬の効き目が十分ではないせいでウイルスの量が増加し、再度熱が上がってしまうことが原因の一つとされています。
発熱は何日くらい続く?ピークは?
インフルエンザは、1〜3日の潜伏期間の後に急激に症状が現れます。熱は、個人差がありますが3〜5日がピークとなる場合が多いようです。
熱が下がって1日以上経ってぶり返すことも!
ウイルスを完全に排除できていない場合には、ぶり返す場合もあります。
息苦しさや胸痛は要注意!再度病院に行く目安
一度平熱まで下がったものの、再度38度以上の熱が出て2日以上下がらない場合は、病院を受診しましょう。症状が長引くと体力がなくなり、脱水が進んでしまう場合もあります。
また、インフルエンザの症状だけでなく、息苦しさや胸の痛みを伴う場合は、気管支炎・肺炎などを発症している可能性があります。このような症状が出ている場合は、できるだけ早く病院に行ってください。
特に、乳幼児や小さなお子さんは、急激に症状が悪化する場合があります。一度熱が下がってもまた、38度以上の発熱が確認できたら早急に病院を受診してください。
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熱が上がったり下がったりするときは、動かず安静に
熱がぶり返した場合は、すぐに安静にして横になってください。少し熱が上がっただけだと軽くとり、そのまま動き続けると、夜にはまた高熱になる場合があります。
熱は、朝はもっとも低くて、夕方にかけて上がります。油断しているとぶり返しますので、全身症状がなくなるまでは、安静にして栄養補給を行ってください。
まとめ
特に、熱が下がると子どもの面倒を見る必要がある・家事をしたいという主婦の方や、じっとしていられないお子さんは、起き上がって熱をぶり返す場合が多く見られます。
インフルエンザは、強力な病気です。ぶり返せば、体力が奪われ、悪化してしまう可能性もあります。
なるべく安静にして早く良くなるように努めましょう。
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「もしかしてインフルエンザ?」
「風邪かな、インフルエンザかな?」
インフルエンザの初期症状の特徴と、インフルエンザにかかったらとるべき対処法をお医者さんが解説します。
子どものインフルエンザの初期症状
インフルエンザにかかった場合、以下のような初期症状が出ることがあります。
<よくある初期症状>
発熱
頭痛
関節痛
倦怠感
咳・くしゃみ
鼻水
吐き気・嘔吐
下痢
インフルエンザと風邪の違い
「インフルエンザ」と「よくある風邪」の症状の違いは、いったいどういったことがあるのでしょうか?
インフルエンザ
風邪
症状
発熱、頭痛、咳、喉の痛み、鼻水、関節痛、倦怠感等
発熱、喉の痛み、鼻水、くしゃみ等
進行の早さ
急激に進行する
(A型は特に)
緩やかに進行するケースが多い
発熱
38度以上の高熱
微熱
または37度台の発熱
症状がでる体の部位
全身に症状が現れる
主に上気道炎症状喉(喉、鼻)
「インフルエンザ」と判断するポイント
38度以上の高熱が出る
激しい悪寒
強い倦怠感・疲労感
頭痛
関節痛
地域の学校、幼稚園、保育園、会社等でインフルエンザが流行しているかどうか
上記は目安なので、気になる症状がみられる場合は医療機関を受診してください。
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インフルエンザ初期の対処法
インフルエンザにかかったら、どう対処すればいいのか。インフルエンザ感染初期の過ごし方と自宅ケアの方法を解説します。
早く治すための過ごし方
安静にする。
睡眠を十分とる。
水分補給をこまめに行う。
高熱が出ている場合はお風呂に入らない。
食欲がある場合は、免疫力を高めるため食事を摂る。
部屋が乾燥しないように注意する。
家族にうつさない方法
家庭内パンデミックを防ぐために、以下のことを気をつけましょう。
手洗い、うがいをこまめに行う。
マスクを付ける。
手指をアルコールで消毒する。
感染者とは違う部屋で寝るようにする。
免疫力を高めるために、十分な栄養と睡眠をとる。
部屋の中は適度な湿度を保つようにする。
インフルエンザは自然治癒する?
インフルエンザを発症しても、症状が軽い場合は自然治癒するケースがあります。
検査のタイミング
(症状や病状にもよりますが)発熱などの症状が出てから12時間以上~48時間以内の受診が適しているといわれています。
インフルエンザが疑われる場合、迅速判定キット等を用いることで診断できます。
近年、迅速判定キットの性能が向上したため、以前より正確に診断できるようになったようですが、基本的には、インフルエンザの症状が現れてから12時間ほど経過していないと正確な診断ができない場合があります。
すぐに病院を受診した方がいい場合
以下のような症状がある場合は、すぐに時間外でも病院を受診してください。
息苦しそうにしている
水分を摂れない
呼びかけても反応が薄い
顔色が悪い
嘔吐や下痢が治まらない
排尿量が少ない
けいれん
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2022-02-28
2歳児の子どものインフルエンザの予防接種スケジュールや費用など、全て解説します。
「そもそも必要なの?」「1回だけではダメなの?」というママ・パパの疑問にも答えます。
2歳児にインフルエンザ予防接種は必要?
インフルエンザの予防接種を受けることで、インフルエンザに罹らなくなるわけではありません。しかし発病の予防、重症化の予防が大いに期待できます。
特に乳幼児がインフルエンザに感染すると、脳症・肺炎・急性中耳炎などの合併症を引き起こし、重症化する恐れもあります。
保育園等に通っている場合は、感染リスクの軽減ができるのはもちろん、万が一感染しても早く回復することも期待されます。
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予防接種の受け方(時期・回数・間隔)
2歳児の予防接種は、「いつから」「何回」「どれくらいの間隔」で受けるべきか解説します。
予防接種の時期
何月ごろ予防接種をうけるのが適切ですか?
10月~11月中に1回目、
11月~12月初旬に2回目を接種するのがおすすめです。
予防接種後、およそ2週間経過すると免疫がつきはじめ、その免疫作用は、約5か月間継続されると考えられています。
予防接種の回数・間隔
2回の接種が推奨されています。
1回目の2~4週間後に2回目を接種します。
実際は、4週間後に2回目を接種するケースが多いです。
万が一、発熱や風邪で2回目の間隔が4週間以上あいてしまっても問題ありません。子どもの体調が回復し、医師の承認を得たら、2回目の予防接種を行いましょう。
1回じゃだめ?
1回だけでは、効果がでないのでしょうか?
2歳(乳幼児)頃は、1回の予防接種だけでは十分な免疫作用を獲得できないため、2回の接種が推奨されています。
予防接種の副反応
子どもも大人も、副反応には大差ありません。
<よくある副反応>
発熱(微熱)
接種部位の疼痛、腫脹、しこりの出現
機嫌が悪くなる
頭痛
接種部位を触ると熱くなっている
だるそうにしている(倦怠感)
蕁麻疹が出る
<注意>
高熱(目安として38.5度以上)、けいれん、呼吸困難等が生じた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
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予防接種の費用
目安としては、1回あたり3000円~4000円程度が多いです。
2歳児では、2回のインフルエンザワクチンの接種が推奨されているため、2回接種で合計6000円~8000円必要になると考えられます。
予防接種後のお風呂
予防接種後は、お風呂に入っても大丈夫でしょうか?
予防接種後、発熱等の症状がみられなければ入浴しても問題ありません。
しかし、接種後1~2時間経過してから入るようにしてください。
また入浴時、接種した部位を強くこすらないように気を付けてください。
予防接種後の保育園
予防接種後は、保育園に行っても大丈夫でしょうか?
発熱等、体調に異変がなく元気な状態であり、医師の許可があれば、保育園に登園しても問題ないと考えられています。
その際は、保育園に予防接種を受けてきたことや、接種後の注意点等を伝えてください。
ただし、予防接種後、保育の受け入れをしていない保育園もあるので、事前に確認してください。
<注意>
予防接種後30分は急な体調変化が起こる可能性があるため、接種した医療機関で様子をみる必要があります。登園するのはその後にしましょう。
▼参考
インフルエンザQ&A|厚生労働省
予防接種:予防接種Q&A | 健診・検診・予防接種のお知らせ
予防接種とは? | 公益社団法人 東京都医師会
IDSC感染症情報センター国立感染症研究所