「日本脳炎予防接種を一度も受けていないけど、これって大丈夫?」
日本脳炎の予防接種を受けずにいるリスクを、お医者さんに聞きました。
発症すると後遺症が残るだけでなく、最悪の場合、死に至るケースもあるので要注意です。
監修者
経歴
公益社団法人 日本小児科学会 小児科専門医
2002年 慶應義塾大学医学部を卒業
2002年 慶應義塾大学病院 にて小児科研修
2004年 立川共済病院勤務
2005年 平塚共済病院小児科医長として勤務
2010年 北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室勤務
2012年 横浜市内のクリニックの副院長として勤務
2017年 「なごみクリニック」の院長として勤務
2020年 「高座渋谷つばさクリニック」院長就任
日本脳炎の予防接種を一度も受けていない…これって危ない?
日本脳炎は稀な病気ではありますが、治療薬がないため、感染するとてんかんや麻痺などの神経障害を残したり、死亡したりするケースも多いです。
必ず予防接種を受けて、発症しないようにしましょう。
「日本脳炎」は、日本脳炎ウイルスを持つ蚊が、ヒトを刺すことで感染が広がります。発症すると意識障害や麻痺といった、神経に障害を起こします。
もし発症したら、どうなるの?
潜伏期間は、6日〜16日ほどで、発症すると
- 38~40度以上の高熱が数日間続く
- 頭痛・嘔吐
- 意識障害やけいれん
などの症状を示す急性脳炎を起こします。重症度は高く後遺症や死亡例が多いです。
致死率は何%ぐらい?
脳炎症状を起こすと、20~40%前後の方が死に至ります。特に小児、高齢者の死亡リスクは高いです。
後遺症のリスクは?
発症後に良くなっても、半数以上の方は重度の後遺症が残っています。
具体的には、
- 麻痺
- 痙攣
- 運動機能や言語機能の低下
- 精神発達の遅滞
が残ります。
日本脳炎の予防接種はどこで受けられる?
予防接種はどこで受けられるの?
予防接種は、全国の医療機関で受けられます。主に小児科、内科で接種できます。
取り扱いがあるかは、受診前に各医療機関に問い合わせください。
主な対象者は、子どもですが、大人でも受けられます。
現在は、標準接種として、3歳(2回接種)、4歳(1回)を接種後に、9歳から12歳でもう一度接種します。
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費用はいくら?
予防接種の費用の目安はいくらくらい?
任意接種の場合、平均7〜6千円程度必要です。
医療機関によって異なるので、事前に確認をして受診しましょう。
2・3回目を受け忘れていたら、どう対応する?
2・3回目を受け忘れていたときは、忘れていた分をすぐに接種するのが望ましいです。
近くの医療機関にご相談してください。救済措置が対応できる場合もあります。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2020-02-28
「風疹の予防接種、受けたっけ…?」
「抗体があるかどうかって、どうやって調べるの?」
妊娠を希望する夫婦は特に要チェックです。
大人の風疹の予防接種を受け方(回数・間隔・費用など)も解説します。
風疹の予防接種を受けていない世代
<女性の場合>
昭和37年〜平成元年に出生した女性は、予防接種を受けていても1回です。抗体が着いていない可能性があります。
<男性の場合>
昭和54年度から平成元年度に生まれた男性も、予防接種を受けていても1回です。抗体がついていない可能性があります。
さらに昭和54年4月1日以前に生まれた男性は、予防接種を受ける機会が1回ありませんでした。そのため、自然に風疹に感染していないと抗体を持っていない可能性が高くなります。
(厚生労働省「風疹について」より)
抗体があるかチェックするには?
病院で、抗体検査を受けられます。
内科で受けられます。
検査を実地しているかは、事前に病院のホームページなどで確認するか、電話で問い合わせればわかります。
風疹の予防接種を受けないと…どうなる?(妊娠希望者は注意!)
最大のリスクは風疹の抗体を持たない女性が妊娠して、風疹にかかると妊娠中に胎児に風疹が感染し、先天性風疹症候群と言う病気を発症する可能性があることです。
先天性風疹症候群は、心臓や目・耳といった箇所に障害を高い確率で持って生まれてくるリスクがあります。
そもそも、風疹ってどんな病気?
風疹は、大人が感染すると長期間症状に悩まされる傾向があります。
発熱や赤い発疹、リンパ節の腫れといった通常の症状に加え、関節炎症状を訴える人が多くいます。
インフルエンザと比べても強い感染力も特徴です。
感染者と接触する接触感染や、くしゃみやつばなどによって感染する飛沫感染があります。
風疹の予防接種は3回以上打っても大丈夫?
風疹の予防接種を受けたかどうかわかりません。
念のため、予防接種を受けても大丈夫でしょうか?
3回以上打ってもかまいません。
予防接種を受けていても抗体がついていない、または抗体が弱っている場合もあります。抗体を強化するためにも予防接種を受けることは推奨されています。
\ワンポイント・アドバイス/
まず、いきなり予防接種を受ける前に「抗体検査」を受けられた方がよいと思われます。
風疹の予防接種の受け方
風疹の予防接種の受け方を解説します。
回数
予防接種は2回受けておけば、抗体がほぼつき、長期的な予防に役立ちます。
1回目の後、1ヶ月あければ2回目を接種できます。
女性は、現在妊娠してない方は予防接種が可能です。
男性は、どなたでも受けられます。
※ただし、予防接種後は、少なくとも2か月は避妊が必要です。
費用
価格帯の目安は、5000円〜7000円ほどです。
費用は、各医療機関によって異なります。問い合わせをしましょう。
また、年代によっては、自治体から補助が出る場合もあるので、併せて確認をしましょう。
何科で受ける?
大人の風疹の予防接種は、何科で受けられますか?
内科で受けられます。
風疹の予防接種後の注意点
現在妊娠が明らかな方は、予防接種を受けられません。
また予防接種を受けたあと2ヶ月間は避妊をしましょう。妊娠していると予防接種で胎児に障害発生のリスクがあるためです。
副反応は?
最も多いのが発熱の副反応です。予防接種後1週間程度で現れます。
2回目の接種では、注射をした場所だけ反応が出て、発熱や発疹といった副反応はあまり見られません。
【参考】
風疹Q&A(2018年改訂) - 厚生労働省-戸山研究庁舎
https://www.niid.go.jp/niid/ja/rubellaqa.html
職場における風しん対策 - 厚生労働省-戸山研究庁舎
https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2315-related-articles/related-articles-425/5782-dj4257.html
厚生労働省風しんについて
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index.html
予防接種ガイドライン等検討委員会 執筆、監修
予防接種ガイドライン2015
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2020-04-09
RSウイルスの検査方法についてお医者さんが解説!
検査タイミングや、費用(保険適用・自費)についても紹介します。
RSウイルス感染症の検査をするかしないかは、RSウイルス感染で重篤化する年齢なのかどうかが重要です。重篤化する可能性のある1歳未満の子どもには、検査が推奨されます。
(1歳以上の子どもはRSウイルスによって重篤化することが少ないので、検査を行わず、対症療法が取られます。)
RSウイルス感染症はどんな症状が出る?
RSウイルス感染は、秋から冬の季節にかけて流行する風邪の症状を引き起こすウイルスです。2歳くらいまでにほぼ全員の子どもが、1度はRSウイルスに感染します。1歳までの子どもが重症化しやすいと言われています。
RSウイルスの初期症状
・鼻水
・咳
・発熱 など
が初期症状としてみられます。
小さな赤ちゃんは重症化しやすい!
特に、生後3ヶ月未満の赤ちゃんは命に関わる場合があるので、注意が必要です。
生後3ヶ月未満の赤ちゃんの場合は、風邪症状が出ずに、ぐったりしたり、ミルクを飲まなくなったりする場合もあります。
<生後3ヶ月未満の赤ちゃんの要注意症状>
チアノーゼがみられる
呼吸をしていない
「無呼吸発作」や「急性脳症」などをおこすと命に関わる可能性があります。
<1歳未満の子どもの要注意症状>
息をすると「ゼーゼー」や「ヒューヒュー」と音がする
息をすると胸がペコペコと凹む
呼吸が速く苦しそう
「肺炎」「気管支炎」「細気管支炎」などをおこしている可能性があります。
病院で検査を受けるタイミング
RSウイルス感染症の症状(鼻水・咳・発熱)が現れていれば検査可能です。
保育園などに通っている1歳未満の赤ちゃんは、園で他の子どもに感染が確認された後に風邪症状が出た場合、検査を受けましょう。
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RSウイルスの検査方法
RSウイルス確定診断は、鼻の奥に細めの綿棒を挿入し、採取した液を検査キットで診断します。結果は15分ほどで出ます。
検査を受けるメリット
1歳未満の場合、ただの風邪だと思っていても、容態が急変する場合があります。
検査を受けて適切な治療を受けることで、重症化のリスクをかなり下げることができます。
検査はどこで受けられる?
小児科・内科で検査可能です。
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検査費用はいくらくらい?
1歳未満の子どもや、下記の条件を満している場合、保険診療で検査を受けることができます。
医療保険適用になる条件
1歳未満の子ども
入院患者
シナジス(抗RSウイルス薬)適応患者
1歳以上でどうしても検査が受けたい場合は、自費検査になります。事前に病院に確認してから受診すると良いでしょう。
保険適用の場合の費用
未就学児は2割負担なので1000〜2000円ほどですが、小児医療費助成制度により0歳児は無料という自治体がほとんどです。
自費の場合の費用
診察料と検査料で6,000〜8,000円程度です。
※医療機関で料金は異なりますので、事前に病院にご確認ください。
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RSウイルス感染症の治療方法
1歳未満で陽性結果が出た場合は、重篤化することもあるので、細心の注意を払い治療を進めます。
出ている症状に合わせ、解熱剤、咳止め、痰を取り除く薬などを使用する、対症療法が基本です。
参考
“Dr.365”のこどもの病気相談室 著/白岡亮平
https://www.shogakukan.co.jp/books/09311410