脂肪腫を取りたい!
皮膚科と形成外科、どっちに行くべき?
脂肪腫は何科で受診するとよいか、お医者さんに聞きました。
除去手術の費用や処置時間の目安、傷口を目立たせない方法も詳しく解説します。
悪性腫瘍の可能性もあるので、脂肪腫が気になっているか方は要チェックです。
監修者
経歴
札幌医科大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
関東労災病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜市立大学附属病院 形成外科
を経て
平成30年10月より小田原銀座クリニックに勤務
令和2年6月よりよこはま港南台形成クリニックに勤務
脂肪腫は「皮膚科」か「形成外科」のどっち?
脂肪腫がある場合は、「形成外科」で受診しましょう。
脂肪腫は、基本的に切除による治療となります。
形成外科は、手術が得意な診療科なので、皮膚や皮下の“できもの”を取り除く治療に適しています。
脂肪腫は「自然に治らない」
脂肪腫は自然に治ることがなく、放っておくと徐々に大きくなっていきます。
切除が検討されるのは、
といったケースです。
※気になるほどでない場合は、経過観察することもあります。
「悪性腫瘍だった」というケースも
「しこりが急に大きくなった」という場合、脂肪腫だけでなく悪性腫瘍も疑われます。
心当たりがある場合は、早急な受診をおすすめします。
病院では、悪性の腫瘍かどうかも調べてもらえます。
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脂肪種は「手術による治療」が基本
手術では、脂肪腫の大きさに合わせて皮膚を切開して、できものを取り出します。
通常、手術は脂肪腫が大きいものでも30分〜1時間程度で終わります。
基本的に手術は日帰りです。
ただし、サイズや部位によっては入院が必要になるケースもあります。
また、麻酔をして行うので、治療中の痛みはありません。
治療後、麻酔が切れた際に痛みが出ることもありますが、鎮痛剤で対応できます。
「傷口が目立たない」方法もある
必要最低限の切り口から器具を入れて取り除く、「スクイージング手術」という方法もあります。
この方法を用いると、手術の傷跡を1〜3cm程度に抑えられます。
スクイージング手術は、
におすすめの方法です。
※通常の手術・スクイージング手術のどちらが適応となるかは、医師が判断します。
※脂肪腫が小さい場合は、通常の手術でも跡が目立ちにくいです
治療費はいくらかかる?
脂肪腫の治療には保険が適用されます。
治療にかかる費用は、診察回数にもよりますが、トータルで1〜2万円程度です。
※手術費用・診察料・薬代・病理検査の費用を含んだ目安です。
※病理検査は、悪性の腫瘍ではないかを確認するために行われます。
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2020-12-09
粉瘤が破裂した!
どうすればいいの?
お医者さんに、「正しい処置の方法」を聞きました。
皮膚科を受診するまでの間に注意すべきことも解説します。
粉瘤が破裂した!応急処置は?
自分で膿を出したり、除去したりしようとせず、患部を清潔な状態にして、できるだけ早く皮膚科などを受診してください。
もし粉瘤が破裂してしまった場合は、ほかの部分が感染しないよう、清潔なガーゼなどで軽く抑え、速やかに受診しましょう。
こんな対処はNGです!
粉瘤が破裂したのに放置
自分で膿を排出する
患部に摩擦や圧を加える
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どんな治療をするの?
粉瘤が破裂した場合、病院ではどのような治療が行われますか?
破裂した場合は切開をして膿を出します。
その上で、炎症を抑制するために抗生物質を用いた治療などを行います。
炎症が重度の場合、局所麻酔で患部を切開して排膿し、きれいに洗浄して軟膏で治療を行ないます。
治療は…痛い?
局所麻酔下で手術が行われるため痛みは少ないです。
手術後の痛みも少ないことが多いです。
しかし痛みの感じ方には個人差があるため、痛みがないとは断言できません。
治療の費用はどれくらい?
粉瘤の治療は保険適用となります。
一般的に外科的手術を行った場合の費用は、5000円~15000円程度となります。
※これに加えて、診察料、抗生物質や痛み止め等の薬の処方、採血等の検査費用、病理組織検査費用等が別途必要になります。
通院が必要?
基本的に治療は一回では終了せず、その後また受診しての処置が必要になります。
通常、手術後7~10日後くらいに、傷口の状態の確認や抜糸のために受診します。
一般的に、傷口は手術後1~2週間程度で塞がることが多いです。
切開排膿による治療の場合は、炎症が落ち着くまで処置が必要な場合が多いため、3か月程度の通院を要するケースがあります。
放置はNG!粉瘤の破裂は必ず皮膚科へ
粉瘤の破裂を放置することで、症状が悪化したり、慢性化したりする恐れがあります。
重度の炎症の場合は、発熱や倦怠感等の症状を併発してしまう可能性があります。
また、患部が赤く腫脹し、痛みを伴うようにもなります。
さらに症状が悪化すると、患部の中心部分(開口部分)がただれた状態になり、強い臭いを伴う内容物が出てくる場合があります。
傷跡が汚く、大きくなってしまうので、皮膚科への早期の受診をおすすめします。
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▼参考
健康保険組合連合会大阪連合会 皮膚・形成外科の診療と疾患
公益社団法人 日本皮膚科学会 アテローム(粉瘤)
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2022-05-24
「デリケートゾーンに粉瘤ができた…!」
「どうすれば治るの?」
デリケートゾーンの粉瘤の対処法を、お医者さんに聞きました。
おすすめの診療科・治療方法なども解説しますので、粉瘤を治したい方は必見です。
デリケートゾーンに粉瘤ができた…対処法は?
デリケートゾーンの粉瘤は、ご自身で対処できません。
自然治癒しないため、取り除くには病院で手術を受ける必要があります。
粉瘤は放っておくとどんどん大きくなります。
大きくなると、そのぶん治療による傷跡も大きくなるため、できるだけ小さいうちに処置することをおすすめします。
粉瘤とは…
皮膚の下に袋状の組織が形成され、その中に垢・皮脂が溜まっている状態です。
しこり状のできものが発生し、中心部に黒い点が見えるのが特徴です。
通常痛みはありませんが、炎症を起こすと痛みが出てくるようになります。
市販薬で治せないの?
粉瘤は市販薬を塗っても治る病気ではありません。
むやみな市販薬の使用は控え、早めに医療機関へ行きましょう。
粉瘤を潰すのはNG!
触ったり潰したりして、自分で膿を出そうとするのはNGです
傷ができて細菌が侵入すると、化膿して強い痛みが出るようになります。
また、潰して治ったように見えても、中に袋状の組織が残ったままなので時間が経つと再発します。
「痛みが強い」「腫れている」は早く病院へ!
痛みが強い
赤く腫れている
膿が出ている
といった場合には、早めに医療機関へ行きましょう。
炎症による痛みを治すには、粉瘤を切除する必要があります。
※粉瘤が破裂した場合は、清潔なガーゼなどで患部を軽く抑えて、すみやかに受診してください。
何科で相談すればいい?
デリケートゾーンに粉瘤ができたときは、皮膚科で相談しましょう。
「患部を見せるのが恥ずかしい」という場合には、
女性医師が診察に当たっている
個室で診療を行っている
クリニック・医院をおすすめします。
医院HPを見ると、担当医の性別や院内設備だけでなく、診療の様子も確認できることがあります。
ご自身に合った通いやすい皮膚科を探してみましょう。
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粉瘤の「治療方法」
粉瘤の手術の流れ
局所麻酔を行う
メスで表面の皮膚ごと粉瘤を切り取る
皮膚を縫い合わせる
※手術から7~10日後に、傷口の状態を確認したり抜糸をしたりします。
※重症のケースでは、患部を切開して膿を出すこともあります。
粉瘤の治療は手術による切除が基本です。
事前に麻酔を導入するため、手術による痛みはほとんどなく、身体への負担も少ないです。
治療にかかる費用は?
粉瘤の治療は保険適用で、5000~15000円程度が目安です。
※診察料・採血等の検査費・病理組織検査費用・薬の処方料等が別途加算されます。
粉瘤は早めの治療がおすすめ!
粉瘤は大きさによって治療費用が変わるため、小さいうちに治療をうけると費用も安く抑えやすくなります。
また、放置して粉瘤が大きくなってしまうと、「傷跡が大きくなりやすい」というデメリットもあります。
ごく稀に粉瘤が「ガン化」するケースもあるので、健康のためにも早めの治療をおすすめします。
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デリケートゾーンの粉瘤は、どう予防する?
粉瘤の発生する原因がはっきりとわかっていないので、完全に予防するのは難しいです。
ただし、「摩擦の多い部分にはできやすい」と考えられているため、肌触りの良い下着を身につけることが対策となる可能性があります。
【まとめ】デリケートゾーンの粉瘤について
粉瘤市販薬を使っても効果はなく、自然治癒もしない。
自分で潰すと悪化する恐れがある
粉瘤を取り除くには、皮膚科での手術が必要
手術費用は保険適用で5000~15000円程度