「これって更年期障害…?」
「更年期障害を軽くする方法を知りたい」
更年期障害について、お医者さんに聞きました。
おすすめの食べ物や治療法についても解説します。
監修者
経歴
日本産婦人科学会専門医
2013年 東京大学医学部医学科卒業
巷には情報があふれ、正しい情報の選択はますます困難になっています。何を信じればいいか、不安でたまらない人の助けに少しでもなれれば幸いです。
更年期障害の症状
更年期障害の主な症状として
- イライラしやすい
- 落ち込みやすい
- 訳もなく気持ちが暗くなる
- 他のことに関心を示さなくなる
- 不安を感じやすい
- 落ち着きがない
などの症状が現れます。
更年期障害の症状には個人差があります。症状が全く現れない人もいれば、生活に支障をきたすくらい症状が重い人まで幅があります。
更年期障害を放置すると…
このような状態を対処せず放置したままにすると、症状が悪化し、うつ状態になることもあります。
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2022-12-23
更年期障害ってどんな症状が出るの?
なりやすい人の特徴は?
更年期障害について、分かりやすくまとめました。
普段の生活で心がけたいポイントや、病院に行く目安も紹介します。
更年期障害とは
女性は40代頃から、卵巣から分泌される「女性ホルモン」が急激に減少します。
これに伴ってあらわれる、さまざまな心身の不調を総称して、更年期障害と呼びます。
更年期障害は何歳から始まる?
更年期とは、閉経前後の5年ずつを指します。
50歳前後での閉経が平均なので、ほとんどの女性が45~55歳で更年期を迎えます。
更年期障害はいつ終わる?
更年期障害が、いつ終わるかは断言できませんが、長くても10年ほどです。
更年期障害の症状をチェック
のぼせ・顔のほてり(ホットフラッシュ)
息切れ・動悸
頭痛
めまい
不安を感じやすい、イライラしやすい
など
上記の症状は、更年期障害の主な症状の一例です。
更年期の症状は多岐にわたるため、上記以外の症状があらわれる人もいます。
「更年期の症状が出やすい人」の特徴は?
以下、それぞれの項目ごとに2~3個ずつ当てはまる場合、更年期障害を発症しやすいと考えられています。
▼睡眠
24時以降に眠り、10時以降に起床する日が週に3日以上ある
低血圧で、朝起きるのがつらい
夜中に目が覚めやすい
寝る前にスマートフォンやパソコンを使っている
浅い眠りしかとれず、熟睡感がない
▼食事
1日3食はとらない(よく欠食する)
食事の時間がバラバラ
食事量を過度に制限するなど「極端なダイエット」をしている
暴飲暴食している
好き嫌いがあり「偏った食生活」になっている
▼性格
人に比べて神経質
何事にも真面目
完璧主義
仕事などを頑張りすぎてしまう
怒りっぽく、些細なことでもイライラしやすい
▼その他
疲れやストレスが多い生活を送っている
休みが少なく、心身ともにリラックスできる時間がない
体が冷えやすい
運動する習慣がない
産後うつ・月経前症候群が重かった
※これらの症状に当てはまらない場合でも、更年期障害を発症する可能性はあります。
今からできる!更年期の症状を和らげる「5つの対策」
1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事をとる
1日7〜8時間程度の質のよい睡眠をとる
週3~4日、有酸素運動を行う
入浴のときは「湯船に浸かる」
こまめにストレスを発散させる
更年期の症状を和らげるには、自律神経を整えておくことが大切です。
上記の点を意識して、生活習慣を見直していきましょう。
こんな症状があったら「婦人科」で相談を!
眠れないことで憂うつな気分が続く
強い不安感がある
食欲がなく、体重が減った
息切れ・動悸がする
めまい・吐き気がする
激しい頭痛がある
上記のような症状が出ている方は、一度「婦人科」に相談してみましょう。
放置していると、症状が悪化して仕事に行けなくなるなど、日常生活に支障をきたす恐れがあります。
また、更年期症状の影響により不眠が続くと、睡眠に対するこだわりが強くなり、眠れないことへの恐怖心から症状が慢性化する恐れもあります。
どんな検査を受けるの?
更年期症状で病院を受診した場合は、一般的に、
問診
身長・体重・血圧の測定
検査(血液・子宮・卵巣・甲状腺・心臓等の検査)
を行い、患者さんの症状に合わせて治療が選択されます。
※検査内容等は、受診する医療機関によって異なることがあります。
どんな治療法があるの?
治療法としては、エストロゲン・プロゲステロンなどの女性ホルモンを飲み薬・塗り薬・貼り薬で補う「ホルモン補充療法(HRT)」や、「漢方薬」を使った治療法があります。
うつ症状が強く表れているときは、抗うつ薬や抗不安剤などの「向精神薬」が処方されます。
※飲み合わせの関係でホルモン補充療法や他の薬が使いにくい場合もあります。治療中の病気や飲んでいる薬は医師に伝えたうえで、薬を処方してもらいましょう。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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おすすめの「食べ物」
食事に関しては
- 和食中心の食生活にする
- デザートには果物を選ぶ
- 大豆製品をとり入れる
- ビタミンCやミネラルを摂る
- トリプトファンの多い食品を摂る
といった対処があります。
①和食中心の食生活にする
洋食に比べ、和食は良質な脂質を摂取でき、栄養バランスも良いのでおすすめです。
脂質はホルモンの材料になるので必要な栄養成分です。
しかし、過剰な摂取は更年期症状の一つでもある肥満を助長するので、過不足なく取りましょう。
②デザートは果物を選ぶ
デザートには、りんご・ブルーベリー・ぶどうなど、皮ごと食べられる果物がおすすめです。
これらの果物には食物繊維や抗酸化作用があるポリフェノールが豊富に含まれています。
また、ビタミン類やミネラル類には更年期症状を緩和する働きがあります。
③大豆製品を取り入れる
大豆には女性ホルモンと同じような働きをする大豆イソフラボンや食物繊維、カルシウム、オリゴ糖などが多く含まれています。
また、大豆は腸内環境を調整し、骨を強くしてくれます。
④ビタミンCやミネラルを摂るようにする
ストレスが多いと、体内のビタミンCが大量に消費されます。
イチゴ・グレープフルーツなど、ビタミンCを豊富に含む果物を食べて、消費したビタミンCを補いましょう。
また、カルシウムやマグネシウムに含まれるミネラル成分には気持ちを安定させる効果があるので、牛乳・チーズ・豆腐などを意識して取るようにしましょう。
⑤トリプトファンの多い食品を摂る
「セロトニン」という精神伝達物質が分泌されると、痛みを抑制させたり自律神経のバランスを整えたりと精神的安定が得られます。
セロトニンは別名「幸福ホルモン」とも呼ばれています。セロトニンは、トリプトファンというアミノ酸を摂取すると体内で作られやすくなります。
トリプトファンの多い食品は、カツオ・マグロ・牛乳・卵・豆腐などです。
サプリメントって…効果あるの?
更年期症状や更年期障害に対応して使用されるサプリメントはたくさんあります。
- イチョウ葉
- エクオール
- サポニン
- ローヤルゼリー
- ザクロ
- ホップ
- 月見草
- 朝鮮人参
- 甘草
- レモンバーム
しかし、どれも有効性を示す情報がとぼしく、中にはアレルギー症状を起こすようなサプリメントもあるので、使用の際は医師に相談してからにしましょうね。
更年期障害がつらいときは…我慢せず病院へ
重い症状で悩んでいる方は、我慢せず医師に相談してくださいね。
治療法としては、エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンを飲み薬・塗り薬・貼り薬で補うホルモン補充療法(HRT)や、漢方薬を使った治療法があります。
うつ症状が強く表れているときは、抗うつ薬や抗不安剤などの向精神薬が処方されます。
向精神薬と聞くと「心の病気」と思い、抵抗があるかもしれませんが、ちょっと手助けしてもらう、くらいに捉えるのがよいでしょう。
※更年期には、高コレステロール、高中性脂肪などの脂質異常症や高血圧症で治療中の方も多くいらっしゃいます。飲み合わせの関係でホルモン補充療法や他の薬が使いにくい場合もあります。治療中の病気や飲んでいる薬は医師に伝えたうえで、薬を処方してもらいましょう。
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