最近、よく汗をかく…。
もしかして更年期?
「更年期の汗のかき方」にはどんな特徴があるのか、お医者さんに聞きました。
発汗の症状を緩和する対処法についても解説するので、汗に悩んでいる方は必読です。
監修者
経歴
医療法人社団 石野医院
日本医科大学
日本医科大学付属病院
日本医科大付属第二病院
国立横須賀病院
東部地域病院
石野医院
更年期特有の汗のかき方
- 上半身に汗をかきやすい(顔・首筋・胸等)
- 突然顔がほてって熱くなり、汗が噴き出すように出る(滝のような汗が止まらない)
- ベタベタするような汗をかきやすく、乾きにくい(汗の濃度が濃いため)
- 汗がにおう(アンモニア等の、ニオイの原因となる物質が含まれているため)
- 大量の寝汗で起きてしまう
- 食事中に汗が出てきて止まらない
上記のうち、一つでも当てはまる項目がある場合、更年期特有の発汗が疑われます。
発汗の程度には個人差があり、中には「寝汗を大量にかくので眠れない」「汗が気になって外出しづらい」など、日常生活に支障が出る人もいます。
更年期症状の一つ、ホットフラッシュとは?
ホットフラッシュは、更年期の代表的な症状です。
更年期に現れる上半身の発汗・のぼせ・ほてり等の症状を指します。
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2022-12-23
更年期障害ってどんな症状が出るの?
なりやすい人の特徴は?
更年期障害について、分かりやすくまとめました。
普段の生活で心がけたいポイントや、病院に行く目安も紹介します。
更年期障害とは
女性は40代頃から、卵巣から分泌される「女性ホルモン」が急激に減少します。
これに伴ってあらわれる、さまざまな心身の不調を総称して、更年期障害と呼びます。
更年期障害は何歳から始まる?
更年期とは、閉経前後の5年ずつを指します。
50歳前後での閉経が平均なので、ほとんどの女性が45~55歳で更年期を迎えます。
更年期障害はいつ終わる?
更年期障害が、いつ終わるかは断言できませんが、長くても10年ほどです。
更年期障害の症状をチェック
のぼせ・顔のほてり(ホットフラッシュ)
息切れ・動悸
頭痛
めまい
不安を感じやすい、イライラしやすい
など
上記の症状は、更年期障害の主な症状の一例です。
更年期の症状は多岐にわたるため、上記以外の症状があらわれる人もいます。
「更年期の症状が出やすい人」の特徴は?
以下、それぞれの項目ごとに2~3個ずつ当てはまる場合、更年期障害を発症しやすいと考えられています。
▼睡眠
24時以降に眠り、10時以降に起床する日が週に3日以上ある
低血圧で、朝起きるのがつらい
夜中に目が覚めやすい
寝る前にスマートフォンやパソコンを使っている
浅い眠りしかとれず、熟睡感がない
▼食事
1日3食はとらない(よく欠食する)
食事の時間がバラバラ
食事量を過度に制限するなど「極端なダイエット」をしている
暴飲暴食している
好き嫌いがあり「偏った食生活」になっている
▼性格
人に比べて神経質
何事にも真面目
完璧主義
仕事などを頑張りすぎてしまう
怒りっぽく、些細なことでもイライラしやすい
▼その他
疲れやストレスが多い生活を送っている
休みが少なく、心身ともにリラックスできる時間がない
体が冷えやすい
運動する習慣がない
産後うつ・月経前症候群が重かった
※これらの症状に当てはまらない場合でも、更年期障害を発症する可能性はあります。
今からできる!更年期の症状を和らげる「5つの対策」
1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事をとる
1日7〜8時間程度の質のよい睡眠をとる
週3~4日、有酸素運動を行う
入浴のときは「湯船に浸かる」
こまめにストレスを発散させる
更年期の症状を和らげるには、自律神経を整えておくことが大切です。
上記の点を意識して、生活習慣を見直していきましょう。
こんな症状があったら「婦人科」で相談を!
眠れないことで憂うつな気分が続く
強い不安感がある
食欲がなく、体重が減った
息切れ・動悸がする
めまい・吐き気がする
激しい頭痛がある
上記のような症状が出ている方は、一度「婦人科」に相談してみましょう。
放置していると、症状が悪化して仕事に行けなくなるなど、日常生活に支障をきたす恐れがあります。
また、更年期症状の影響により不眠が続くと、睡眠に対するこだわりが強くなり、眠れないことへの恐怖心から症状が慢性化する恐れもあります。
どんな検査を受けるの?
更年期症状で病院を受診した場合は、一般的に、
問診
身長・体重・血圧の測定
検査(血液・子宮・卵巣・甲状腺・心臓等の検査)
を行い、患者さんの症状に合わせて治療が選択されます。
※検査内容等は、受診する医療機関によって異なることがあります。
どんな治療法があるの?
治療法としては、エストロゲン・プロゲステロンなどの女性ホルモンを飲み薬・塗り薬・貼り薬で補う「ホルモン補充療法(HRT)」や、「漢方薬」を使った治療法があります。
うつ症状が強く表れているときは、抗うつ薬や抗不安剤などの「向精神薬」が処方されます。
※飲み合わせの関係でホルモン補充療法や他の薬が使いにくい場合もあります。治療中の病気や飲んでいる薬は医師に伝えたうえで、薬を処方してもらいましょう。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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「更年期特有の汗」は、どんな人がかきやすい?
- 40~50歳代の更年期世代の女性(閉経前後)
- ストレス過多
- 疲労過多
- 睡眠不足
- 運動不足
- 過食
上記に当てはまる人は、自律神経が乱れやすく、更年期特有の汗をかきやすいと言えるでしょう。
ただし、更年期特有の発汗といっても、更年期世代の女性全員が同じ症状が出ているとは限りません。
これらの特徴・生活習慣がある場合でも、症状が出なかったり軽かったりする人もいます。
更年期による発汗はいつまで?
一般的には、閉経後1年程度で改善するケースが多いと考えられています。
個人差があるため、閉経後数年が経過しても、上半身の発汗・のぼせ・ほてりといった症状が続く人もいます。
更年期の汗を改善したい!心がける5つの習慣
- 大豆製品を積極的にとる
- ビタミンEを含む食品をとる
- ストレッチ・ウォーキングなどの続けやすい運動を行う
- 深呼吸(腹式呼吸)を意識して行う
- 湯船に浸かって体を温める
更年期症状は、女性ホルモンが減少し、自律神経が乱れることが要因の一つと考えられています。
自律神経を整えるために、普段の生活で上記5つのことを心がけましょう。
おすすめ習慣① 大豆製品を積極的にとる
豆腐や納豆などの大豆製品を積極的にとりましょう。
大豆に豊富に含まれている「大豆イソフラボン」には、女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きがあると言われています。
※ただし、薬の様な即効性はありません
おすすめ習慣② ビタミンEを含む食品をとる
ビタミンEを豊富に含む食品を、毎日の食事に取り入れるようにしてください。
ビタミンEには、「血液の流れを改善する」「ホルモンのバランスを整える」「ほてり・のぼせ等の症状を緩和する」といった働きがあります。
ビタミンEを豊富に含む食品
- 緑黄色野菜(かぼちゃ等)
- ナッツ類(アーモンド等)
- オリーブオイル
- うなぎ
- 小麦胚芽
など
おすすめ習慣③ ストレッチなどの続けやすい運動を行う
適度に体を動かすことで、自律神経の乱れが改善され、更年期症状の緩和が期待できます。
ストレッチ・ヨガ・ウォーキングなどの手軽で続けやすい運動がおすすめです。
忙しくて、まとまった時間が確保できない場合は、
- 仕事や家事の合間にストレッチする
- 通勤の際に、一駅手前で降りて職場まで歩く
- テレビを見ながらスクワットする
など、生活の中に運動をとり入れるとよいでしょう。
おすすめ習慣④ 深呼吸(腹式呼吸)を意識して行う
「汗をかき過ぎて気持ちが焦ってしまう」「パニックになる」という人は、深呼吸をしましょう。
深呼吸は、気持ちを落ち着かせるだけでなく、異常な発汗の症状緩和にもつながると考えられています。
自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」の二つに分けられ、お互いにバランスをとっています。
発汗は、交感神経によって促され、副交感神経の働きが優位のときに落ち着きます。
深呼吸を行うと、自律神経に作用して「副交感神経」が優位になるため、異常な発汗の症状緩和につながると考えられています。
深呼吸(腹式呼吸)の方法
- 鼻から大きく息を吸い込み、お腹を膨らませる
- 膨らませたお腹をへこませるように、ゆっくり口から息を吐く
- ①~②を数回繰り返す
おすすめ習慣⑤ 湯船に浸かって体を温める
40度程度の湯船にゆっくり浸かって、体を温めましょう。
発汗が促進されるため、多汗予防につながると考えられています。
入浴で体を芯から温めることで、自律神経の乱れの改善も期待できます。
良質な睡眠につなげるために、就寝の2~3時間ほど前に入浴しましょう。
汗を引きやすくする「ツボ」を押すのもおすすめ
汗が気になるときは、屋翳(おくえい)・大包(だいほう)というツボを押すのもおすすめです。
おすすめのツボ① 屋翳(おくえい)
屋翳は、鎖骨とバストトップの真ん中辺りの左右に二つあるツボです。
汗が引きやすくなる作用があると考えられています。
2分程度かけて押しましょう。
おすすめのツボ➁ 大包(だいほう)
大包は、「みぞおち」に指を当てて横にずらしていき、脇から一直線に下がった部分と交わる点にあるツボです。
顔の汗を抑える作用があると考えられています。
更年期の汗で病院に行く目安は?
- 突然、滝のような大量の汗をかくようになった
- 暑くもないのに汗が止まらない
- 大量の寝汗で夜眠れない
- のぼせ・ほてり・めまい等、他の更年期症状も出るようになった
上記に当てはまる場合は、一度病院を受診することをおすすめします。
放置していると、「汗が気になり外出できなくなる」等、日常生活に支障が出るようになることがあります。
また、精神的なストレスにより、「抑うつ状態」になる恐れもあると考えられています。
何科で相談すればいい?
発汗などの更年期が疑われる症状に悩んでいる場合は、「婦人科」の受診をおすすめします。
病院を受診し、症状に合った治療を受けることで、更年期による様々な症状の緩和が期待できます。
日常生活に悪影響が及ぶまで悪化する前に、一度病院を受診して相談することをおすすめします。
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病院ではどんな検査をするの?
発汗などの更年期症状で病院を受診した場合は、一般的に、
- 問診
- 身長・体重・血圧の測定
- 検査(血液・子宮・卵巣・甲状腺・心臓等の検査)
を行い、患者さんの症状に合わせて治療が選択されます。
※検査内容等は、受診する医療機関によって異なることがあります。
どんな治療をするの?
薬・漢方薬を使った治療やカウンセリング、運動療法などがあります。
更年期症状の治療例
- ホルモン補充療法(飲み薬・貼り薬・塗り薬)
- 漢方薬を用いた治療(加味逍遥散・桂枝茯苓丸等)
- 抗うつ薬を用いた治療(SSRI・SNRI等)
- カウンセリング・心理療法
- 運動療法
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2022-07-29
「デリケートゾーンがかゆい…どうすれば治るの?」
更年期に多い「陰部の違和感」の正体について、お医者さんに聞いてみました。
デリケートゾーンの“痛み”や“かゆみ”が生じる原因と対処法を紹介するので、むずむず感を改善させたい人は必読です。
更年期に多い“陰部の違和感”の正体
更年期の陰部の違和感は、「デリケートゾーンの乾燥」が原因として考えられます。
更年期に伴って女性ホルモンが減少すると、膣内の粘液をつくる働きが低下します。
これにより皮膚や粘膜が乾燥した状態になるため、「むずむず感」「かゆみ」「痛み」などの不快な症状が起こりやすくなります。
「何もしなくても痛い」のは、なぜ?
更年期は、膣内での粘液分泌の低下によって「膣壁」も薄くなります。
この影響で膣の粘膜が“傷つきやすい状態”になると、雑菌による炎症で「何もしてないのに痛い」という症状を引き起こすことがあります。
どうやって陰部をケアすればいい?
陰部の違和感・かゆみがある場合は、まず保湿をしましょう。
「デリケートゾーン専用の保湿剤」を塗る
ナプキンの中央に「ワセリン」を塗る
といったケアがおすすめです。
膣や外陰部に潤いを与えると、症状が和らぎやすくなります。
また、専用の石鹸やぬるま湯で洗い、デリケートゾーンを清潔な状態を保つことも大切です。
通気性をよくして、「蒸れ」を防ごう
デリケートゾーンの皮膚トラブルは、蒸れると悪化しやすいものです。
「綿でできた下着」を着ける
「ゆとりのあるサイズ」のズボンを履く
といった対策で通気性をよくしましょう。
蒸れやすい素材のものは、着用を控えてください。
特に「化学繊維でできた下着」「きついズボン」などはNGです。
他にも、こんなことに気をつけて!
悪化を招くNG習慣
石鹸でゴシゴシ洗う
トイレで強く拭く
睡眠不足
ストレス・疲れを溜める
石鹸でゴシゴシ洗うと、膣内の常在菌が減ったり、必要な皮脂まで落ちたりして雑菌が繁殖しやすくなります。
デリケートゾーンを洗う際には、「デリケートゾーン専用の石鹸」でやさしく洗いましょう。
トイレの際もやさしく拭くようにしてください。
紙で強く拭くと、デリケートゾーンを傷つけるおそれがあります。
また、睡眠不足やストレスは、ホルモンバランスの乱れにつながり、症状の悪化を招きます。
遅くとも0時には寝て、1日6~8時間程度は睡眠をとるようにしましょう。
陰部の違和感は、婦人科で相談を
デリケートゾーンの違和感が続く場合は、婦人科で相談しましょう。
特に「痛みやかゆみがつらい」という方は、早めの受診をおすすめします。
初診ではどのような診察・検査を行う?
初診では「膣の粘膜の状態」や「出血がないかどうか」を確認するために、まず内診を行います。
加えて、膣分泌物の「細菌培養検査」や、膣の細胞から「ガン細胞の検査」を行うこともあります。
緊張や不安があるかと思いますが、深呼吸をしてリラックスすると、痛みも少なく終えることができるでしょう。
主な治療方法
更年期の陰部の違和感には、「ホルモン補充療法」による治療が一般的です。
女性ホルモンが配合された「膣の座薬」を投与することもあります。
さらに、炎症などの症状に合わせて「抗生物質」「ステロイド軟膏」「抗ヒスタミン剤」なども使用されます。
病院で説明するとよいこと
具体的な症状
いつから症状が出始めたのか
どんな時に症状が強くなるのか
今までかかったことがある病気
服用している薬の有無
病院の診察では、上記について説明すると、診察をスムーズに行うことができます。
婦人科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
一般社団法人日本家族計画協会:デリケートゾーンの乾燥の悩み
大東製薬工業株式会社:【ヘルスケア情報】女性の性機能障害 萎縮性膣炎・老人性膣炎とは
厚生労働省:健康づくりのための睡眠指針2014\
小林製薬株式会社:女医さんが教えるおりものとの上手な付き合い方
厚生労働省研究班 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ:Q14.「デリケートゾーンがかゆくて困っています。」
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。