「メタボを解消したい!」
「腹囲を1センチ減らすには何キロカロリー消費すればいいの?」
正しいダイエット方法を栄養士に伺いました。
無理せずご自身ペースで実践してみましょう。
監修者
株式会社Luce
栄養士・食育栄養インストラクター
神原 李奈先生
経歴
株式会社Luce・健康検定協会 所属
CA(客室乗務員)の仕事をきっかけに、健康と食の強い結びつきを実感し、食の世界に興味を持つ。大手料理教室の講師の経験を経て、栄養士を目指すことに。栄養士免許を取得後の現在は、現役CAとして世界中を飛び回りながら、栄養士として健康や食に関する情報を発信している。
メタボの腹囲を減らすためには、どうすればいいの?
腹囲を減らすために必要なのは「食生活の見直し」と「運動」です。
適切な食生活と運動習慣を取り入れて、基礎代謝の他に1日あたり約240kcalのエネルギーを消費しましょう。
ただし、短期間で無理に摂取エネルギー量を減少させるのは危険です。
1ヵ月で体重の5%以内を目安に減量しましょう。
\腹囲を減らすための具体的なカロリーは?/
腹囲1cmの減少は、体重約1kgの減少に相当します。
体脂肪1kg減らすには、約7200kcalのエネルギーを減らす必要があります。
腹囲を減らす3つの方法
無理なく一日240kcalのエネルギーを減少させていくためには、
- バランスのよい食事を1日3回とる
- 適度な有酸素運動をする
- お酒を控える
といったことを行うとよいでしょう。
その① バランスのよい食事を1日3回とる
必要な栄養素を過不足なく摂ることで、代謝が促され、減量につながります。
反対に、朝食を抜いたり、食事の間隔が空きすぎたりすると、血糖値の上昇につながり、脂肪を蓄積しやすくなります。
食事で心がけたいポイント
- 主食・主菜・副菜の揃った食事をする
- 和定食(焼き魚・ごはん・味噌汁・サラダや煮物)のような献立を目指す
- 野菜は1日に350g以上食べる
- 毎食、サラダなど野菜が主材料の副菜を1皿以上食べる
- 香辛料・ハーブ・減塩調味料・柑橘類・酢などの酸味を活用する
- よく噛んで、ゆっくり食べる
その② 適度な運動習慣を身に着ける
1日30~60分の有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・水泳など)を週3日以上行いましょう。
メタボリックシンドロームの予防・改善には、深い内臓脂肪の減少に繋がる「有酸素運動」がおすすめです。
最初は無理のない範囲で行い、少しずつ運動量を増やしていくと良いでしょう。
筋トレも、筋肉量が増えることで、基礎代謝が上がり、消費エネルギー量の増加につながりますので、効果が期待できるでしょう。スクワットがおすすめです。
ただし、エネルギー消費量を増やし、余計に付いた脂肪をなくすためには、筋トレよりも有酸素性運動を優先的に行うのがよいでしょう。その上で、筋トレを組み合わせてください。
その③ お酒を控えめにする
成人男性では1日平均2ドリンク(純アルコールで20g)程度まで、女性はさらに少ない量にしましょう。
週に2日は休肝日を作ってください。
お酒を飲むと食欲が増すので、食べ過ぎを予防するためにもお酒は控えましょう。
お酒の種類 |
お酒の量 |
目安 |
ビール・発泡酒(5%) |
500ml |
ロング缶1本 |
酎ハイ(7%) |
360ml |
350ml缶1本強 |
焼酎(25%) |
50ml |
― |
日本酒(15%) |
80ml |
1合 |
ウイスキーなど(40%) |
30ml |
シングル2杯 |
ワイン(12%) |
100ml |
ワイングラス2杯弱 |
(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット 飲酒量の単位)
腹囲を減らすために「大事なポイント」
食事と運動を組み合わせて、無理のない方法で減量しましょう。
摂取するエネルギー量を極端に制限すると、代謝が下がり、痩せにくい体質となり、リバウンドにつながります。
また、急激に食事量を減らしたり無理な運動を始めたりすると、心身への負担が大きく、体調を崩すことがあります。
ご自身に合ったペースで、ダイエットをすすめましょう。
注意!肥満を悪化させるNG行動
- 食べ過ぎ
- 早食い
- 脂質や糖質の過剰摂取
- 夜遅い食事
- ドレッシングや醤油などをたっぷりかける
- 塩辛い漬け物をよく食べる
就寝2~3時間前以降の食事は控えましょう。
肥満を悪化させないよう、上記の行動を控えて生活しましょう。
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2021-09-17
「食べていないのに、痩せないのはなぜ?」
「40代を超えてから、痩せにくくなった気がする…」
停滞期や代謝低下が関係している可能性があります。
痩せにくくなった原因や対処法を管理栄養士が解説します。
食べないのに痩せない…!これは一体なぜ?
食べないのに痩せない場合、
停滞期に入っている
代謝が悪くなっている(40代以上)
などの可能性が高いです。
理由① 「停滞期」に入っている
体重が減少しないよう、勝手に体が調整している状態です。
そのため、食べていないのに体重が減らない状態が続きます。
食べていない状態を続くと、体は「今後、食事をとることができずに飢えてしまうかも…」と判断します。
すると、これ以上体重を減らさないように体が状態を調整(体温・血糖・免疫調整など)し、食べていないのに体重が減らない状態が続きます。
どう対処すればいい?
3食しっかりと食事を食べて、運動しましょう。
「食べない」のではなく、ヘルシーな料理を食べるのもおすすめです。
米を玄米や雑穀を選ぶなど、カロリーが低いものに変更しましょう。
「蒸す」など油を控えた調理方法に変えて、摂取カロリーを落とすことを心掛けてください。
摂取カロリーを減らすと消費カロリーが上回るため、痩せることができます。
おすすめの運動方法
ウォーキングを毎日20〜30分行いましょう。
理由② 代謝が悪くなっている(40代以上)
代謝が落ちると、昔より食事の量を減らしても痩せなくなることがあります。
基礎代謝は20歳をピークに低下し、40歳を過ぎると急激に低下するので、中高年の方に多い原因です。
どう対処すればいい?
筋肉量を増加させると、代謝機能が向上します。
筋肉のもととなるたんぱく質(肉・魚・大豆製品・卵)を3食で食べてください。
食事を食べないと、筋肉に使われるはずのたんぱく質が、体を動かすエネルギーに使われてしまいます。
すると、どんどん筋肉が痩せて、代謝が上手にできなくなります。
また、ウォーキングなどの運動も行って効率よく筋肉をつけましょう。
気にしすぎもNG。ストレスもダイエットの敵です
ストレスが溜まると、ホルモンバランスや自律神経が乱れる原因になります。
これにより、消化吸収能力の低下やドカ食いなどを引き起こし、ダイエットに悪影響を及ぼす場合があります。
ストレスを溜めないために、
食べないダイエットは控える
「○○だけダイエット」など制限するダイエットは控える
我慢やストレスばかりのダイエットはせず、ご褒美を設ける
適度に運動する
趣味の時間を設ける
などを意識して、上手にリフレッシュしましょう。
注意!痩せないのは「病気サイン」のケースも
食べていないのに痩せない場合、
甲状腺機能低下症
クッシング症候群
といった病気の可能性もあります。
病気① 甲状腺機能低下症
体の新陳代謝を促す「甲状腺ホルモン」の分泌量が減ってしまう病気です。
代謝が低下して痩せにくくなったり、体重が増加したりします。
30〜40歳代の女性に発症しやすい傾向があります。
<主な症状>
疲労感
むくみ
寒気
便秘
無気力
月経異常
脱毛
皮膚の乾燥
病気② クッシング症候群
副腎から出ている副腎皮質ホルモンの「コルチゾール」というホルモンが多く出てしまう病気です。
「コルチゾール」は体の代謝に関係しているホルモンです。
食欲コントロールに関わっているため、食べていないのにやせなくなります。
クッシング症候群は、女性に発症しやすいと言われています。
高血圧・骨粗鬆症・糖尿病・脂質異常症・骨粗鬆症など生活習慣に関わる病気を合併しやすくなるため、気をつけたい病気です。
<主な症状>
満月のような顔になる
手足は痩せて、体幹が太る(中心性肥満)
皮膚が薄くなる
月経異常が起こる
うつ傾向になる
「私、病気かも…」何科の病院に行くべき?
内科または内分泌内科を受診しましょう。
病気が原因の場合、放置すると高血圧、糖尿病、骨粗鬆症などの悪化、免疫力低下などを引き起こします。
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
甲状腺機能低下症 一般社団法人 日本内分泌学会
クッシング症候群 一般社団法人 日本内分泌学会
難病情報センター
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2022-03-31
「ランニングでお腹は痩せないの…?」
「お腹の脂肪を落とす方法を教えて!」
ランニングでお腹の脂肪を落とすことは可能なのかを栄養管理士さんに聞いてみました。
ランニングによって、落ちやすい脂肪や、お腹に効くランニングフォーム、運動メニューについても詳しく解説していきます。
ランニングで「お腹が痩せにくい」理由
ランニングでダイエットしているのですが…お腹が痩せません!
ランニングのような有酸素運動をしても、お腹の脂肪が落ちるまでには、時間がかかることが多いです。
個人差がありますが、基本的には肝臓から遠い場所から脂肪が落ちていきます。
具体的には、手首→ふくらはぎ→二の腕→太もも→お尻→お腹の順で痩せていく傾向があります。
今は焦らず、ランニングを続けましょう。
ランニングは全身を使う有酸素運動のため、お腹の脂肪を落とすことが可能です。
全身の脂肪をゆっくりと減っていく中で、お腹の脂肪も落ちていきます。
お腹のお肉がつまめる「皮下脂肪タイプ」の人は、時間がかかることも…!
ぽっこりとお腹周りだけ出ている「内臓脂肪タイプ」は、ランニングでもお腹の脂肪が落ちやすいです。
ただし、お腹周りだけでなく体全体に脂肪がついている場合は、「皮下脂肪タイプ」です。この場合、お腹の脂肪が落ちるのに時間がかかります。
ぽっこりお腹に”効く”ランニングフォーム
体の軸をまっすぐにし、背筋を伸ばしやや前傾姿勢になります。
肩の力を抜き上半身はリラックスした状態にします。
目線は正面にし、左右の重心のバランスを取りながらまっすぐ走りましょう。
正しいフォームでランニングすると疲れにくくなります。
疲れにくくなると、長距離を走れるようになるため、効率的に脂肪を燃焼し、お腹痩せにもつながります。
空腹時のランニングがおススメ
お腹痩せを効果的に行うためには、空腹時にランニングすることがおすすめです。
空腹の状態で走ると体に貯蔵された糖質が少ないため、脂肪をエネルギーとして効率的に使うようになります。そのため、お腹痩せにも効果的です。
また食後でも、1時間ほど経ってからランニングを行うことで、食べたものを効率的にエネルギーとして使うことができるので、お腹の脂肪蓄積予防になります。
また、ランニングだけで消費エネルギー量を増やすのではなく、「他の運動と組み合わせる」「生活の中で消費エネルギー量を増やす」といった工夫を併せて行うとさらに効率的です。
「筋トレ」を組み合わせるのがおすすめ!
ランニングは、大体30分以上行わないとエネルギー消費量を確保できません。
そのため、短時間の運動でもエネルギー消費量の多い「筋トレ」を組み合わせて行うようにしてください。
筋トレをプラスすると、より多くのエネルギーを消費することができるため、効率的に脂肪を減らすことができます。
お腹をグッと引き締め!運動メニュー
ランニング以外の「お腹を引き締める運動」メニューとして、
全身運動:バーピー
プランク
ドローイン
といったことがおすすめです。
その① 全身運動:バーピー
その場にしゃがみ、両手を床に着け軽くジャンプして、両足を後ろにのばします。
その後、両手を上に伸ばしながら、その場でジャンプし元の位置に戻ります。
30秒全力で行い、1分程度インターバルを取ります。これを3セット、週2~3回を目安に行いましょう。
バーピーは強度の高い運動なので、筋肉を休ませるためにも休息日をはさみながら無理のないペースで継続しましょう。
\ポイント!/
食前に行うことで、より効率的に脂肪燃焼を行うことができます。
また、運動後に食事でたんぱく質を補給することで、効率的に筋肉をつけることができます。
その② プランク
うつぶせになり、両肘を床に着け上半身を起こします。
脚は、つま先を立てて下半身を持ち上げ、頭から全身が一直線になるよう姿勢をキープします。
1回20秒からスタートし、少しずつ姿勢をキープする時間を伸ばしていきましょう。インターバルを取りながら、1日に3セットくらいを目安に行いましょう。長時間行うよりも正しい姿勢をキープすることを意識して行った方が効果的です。
プランクは、強度がさほど高くない運動なので、毎日行っても問題ありません。
\ポイント!/
食後2~3時間後に行った方が、体にたんぱく質が補充されている状態なので、筋肉が分解されず効果的に鍛えることができます。
その③ ドローイン
床にあおむけに寝たら膝を立て、両手は床に着ける姿勢になります。
鼻から息を吸い、お腹を膨らませます。
その後ゆっくりと息を吐いて、お腹を凹ませます。
はじめは2日に1回程度のペースからはじめ、慣れて来たらできるだけ毎日5分程度行うようにし継続して行いましょう。
継続して行うことで、インナーマッスルが鍛えられ、姿勢も正しくなり、お腹がへこみやすくなります。
自分にとってやりやすいタイミングで行い、継続させることが大切です。
さらに…食事コントロールもすれば完璧!
有酸素運動や筋トレなどの運動で消費ネルギーを増やすとともに、食事での摂取エネルギーの調整を行うとより効率的に痩せることができます。
消費エネルギー量を増やしていても、それ以上に摂取エネルギー量が多ければ痩せることはありません。そのため、食事の調整を行い、消費エネルギー量より摂取エネルギー量が下回るように調整しましょう。
▼参考
e-ヘルスネット
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。