乳歯の反対咬合（受け口）は自然治癒する？自分で治す方法はある？幼児期に出来る対処法も｜歯科医監修

子どもの歯が生えてきた！
でも…受け口（反対咬合）かも。

乳歯の反対咬合は自然に治るの？
治療するなら、いつがベストタイミング？

歯医者さんに聞いてみました。

監修者

むかい歯科
歯科医

迎 和彦先生

経歴

平成2年　昭和大学歯学部卒 昭和大学第三歯科補綴学教室入局
平成8年　昭和大学第三歯科補綴学教室退職 同上特別研究生 都内歯科医院管理者（院長）勤務
平成15年   同上退職
平成16年   大田区大森にて「むかい歯科」開業

乳歯の反対咬合「自然治癒する？」

乳歯の生え始めの反対咬合であれば、これから顎も発育していくため、自然治癒する可能性もあります。

しかし、ほとんどの場合は、放置して改善することはありません。反対咬合に気がついたら早めに歯科に相談しましょう。

乳歯の反対咬合を放置すると…

• 発音が分かりにくくなる
• 噛み合わせが悪くなる
• 食べ物を上手く噛めなくなり、栄養が偏る
  などの影響がでる可能性が考えられます。

また、他にも噛み合わせが悪いのが原因で、顎の痛みや体に歪みが出て、腰痛などを発症してしまう場合もあるため、放置はNGです。

乳歯の反対咬合は「自分で治せる？」

反対になっている歯（受け口なら上の歯）の本数が少ない（数本程度）場合、永久歯に生え変わるタイミングや舌のトレーニングで、自力で治せる可能性も少なからずはあります。

また、姿勢やクセなども反対咬合の原因となっていることがあるので見直しましょう。

「自力で治せない」のはどんな場合？

反対咬合の歯が6本以上あるケースだと、生え変わりの時期を待ったり、トレーニングを行っても自力で治せない場合が多いです。

反対咬合が6本以上あるというのは、受け口なら噛み合わせたときに下の歯が上の歯よりも前にある状態が6本以上ということになります。

幼児期にできる「反対咬合」の対処法

• 姿勢を正す
• 舌を正しい場所に置くトレーニング（アイスの棒使用）
  などを行ってみましょう。

対処法①　姿勢を正す

顎が出ている、お腹を出している姿勢は反対咬合を強くすることがあります。正しい姿勢で立たせ、歩行させるようにしましょう。

対処法②　舌を正しい場所に置くトレーニング

次の①→②→③を1日何度か行い、舌を正しい位置に置く感覚に慣れさせるとよいでしょう。

1. 口を大きく開き、アイスの棒など（医療用の場合は舌圧子）を上顎の前歯2本の裏に当てて置く
2. 置いた棒に舌を当てて5秒程度数えて、その感覚を覚える
3. 棒を取り除いて、口を閉じて棒があった場所に舌をおき、同じく5秒ほど数える

アイスの棒は細く折れやすいので噛ませないように注意しましょう。
また、喉の奥に入れてしまうと窒息の危険があります。取り扱いには注意してトレーニング中はお子さん一人にしないようにしてください。

反対咬合を悪化させないために…この2つはNG！

NG①　頬杖はつかない！

頰杖は、顎を緩めて反対咬合によくありません。TVを見ている時なども顎を引いて、正しい姿勢で見るようにしましょう。

NG②　うつぶせ寝をさせない！

うつ伏せ寝の癖がつくと、顎の成長を妨げることがあります。仰向けで眠るようにしましょう。

反対咬合の治療時期はいつがよい？

反対咬合だと気づいたらすぐに治療を始めた方が早く矯正できることが多いため、できるだけ早めに歯医者に相談してできることを始めましょう。

生活環境や舌を置く位置などは、長く続けば直していくのが困難となります。できるだけ早い時期に歯医者を受診しましょう。

早期治療が望ましいケース

前歯が生え揃った時点で、6本以上の反対咬合が認められる場合は、急いで受診して相談しましょう。

強い反対咬合は、治療にも時間がかかりことがあります。早めに治療を始めれば子どもにとっても、楽な治療が選択できることが多くなります。

早い時期に治療を始めるとこんなメリットも

早い時期に治療を始めることで、矯正を行う場合も、夜間寝ているときにだけ、矯正器具を付ければよい治療で済む場合があります。

早い段階から取り付ければ、それだけ顎の形の変化も早く、治療も軽いもので早期に終えられるようになります。

乳歯の反対咬合の「治療方法」

• マウスピース矯正
• ブランケット矯正

による歯列矯正による治療がほとんどです。

治療方法①　マウスピース矯正

それぞれの歯の形に合わせたマウスピースを作成し、理想の歯並びになるよう何度かマウスピースを取り換えながら矯正していく治療法です。

マウスピース矯正は、永久歯に生え変わる前の乳歯の時期に使用できます。

マウスピース矯正のメリット

マウスピース矯正は、ワイヤー矯正に比べて見た目が目立ちにくく、小さなお子さんの場合は、夜間の使用のみで治療できます。

また、長くつけている時も、簡単に取り外しが可能なので歯磨きの時にも不便はありません。

治療期間の目安

治療期間は6ヶ月〜2年ほどかかるケースが多いです。

治療費用の目安

保険適用外なので、10万〜30万円ほどかかるケースが多いです。

治療方法②　ブランケット矯正

ブランケットという器具を歯につけてワイヤーで矯正します。
表側の矯正と裏側から行う矯正がありますが、反対咬合には、表側矯正が基本的に行われます。

永久歯に生え変わったタイミングでこの治療が可能です。

ブランケット矯正のメリット

歯医者で取り付けてしまえば、自身で管理する必要がないので、マウスピース矯正のように自宅での毎日の取り付けなどは必要無くなります。

ただし、ワイヤー矯正は簡単に取り外しができないので、虫歯にならないためにも定期的に歯科でクリーニングが必要です。

治療期間の目安

治療期間は、2年ほどかかるケースが多いです。

治療費用の目安

保険適用外なので、50万〜100万円ほどかかるケースが多いです。

乳歯の反対咬合は、早い段階で治療や歯医者さんからのアドバイスを受けることで、その分早い改善につながります。

反対咬合かも…と疑える場合は、一度歯医者さんに相談してみましょう。

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