子どもがマイコプラズマ肺炎になったら、登園はどう判断すべきか。症状や日数の目安をお医者さんが答えます。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
保育園はいつから登園OK?
厚生労働省の保育所における感染症対策ガイドラインでは、登園の目安として「発熱や激しい咳が治まっていること」とされていますが、もっと具体的な判断基準が知りたいですよね。
休む期間の目安
発熱後、咳がおさまるまでに7日間ほどかかることが多いです。
1週間~10日程度のお休みが必要でしょう。
症状の目安
咳がおさまり、息も苦しくない、熱もない、体調もよい状態になったら保育園に行っても大丈夫です。
マイコプラズマ感染症は、発熱や鼻水、喉の痛みといった風邪のような初期症状が現れた後に、咳が出ます。咳は、激しい強い場合もあり、なかなか止まりません。感染初期には、痰が絡まない乾いたこんこんという咳をします。
このように病気が進んでいる時期は、最も感染率が高いので、感染者は、保育園をお休みします。
登園の際にすること
ぶり返さないように、他の子どもにうつさないように保育園内で気をつけることを解説します。
登園する際の処置
しばらくは、マスクを着用してください。
咳がおさまってもマイコプラズマは、排出されています。個人差がありますが、4〜6週間、排出されている場合もあります。
唾や鼻水から、他の子どもにうつります。口や鼻を触って後は、手洗いをしましょう。
報告の必要性は?
マイコプラズマ感染症は、必ず園の先生に報告をしてください。
感染者が出たら、ほかの方にも予防措置を取れるように通達されます。
保育園内の活動の注意点
食欲が出て、元気に動け回れるようになるまでは、運動などはお休みするようにしましよう。
とはいえ、保育園に通う小さな子どもに「無理しないように安静にしよう、体を動かすのは控えよう」といっても通じません。他のお友達が遊んでいたら、一緒に走り回りたくなるでしょう。
ママ・パパが、いつも通りの体調に戻ったなと思うまでは、お家で安静に過ごすのがぶり返させないコツです。
登園許可証のもらい方
登園許可証が必要な場合、病院でどのように頼めばいいでしょうか?
診察を受け、症状がおさまっていると判断されれば登園許可証を記入してもらえます。
保育園で指定のものがあれば持参しましょう。
小児科を探す
早く治すためにできること
早く治すための過ごし方や食べ物を解説します。
お家での対処法
安静にして、消化にいいものを食べさせましょう。
喉が痛い時は、プリンなどでも構いません。食事は、おかゆやうどんなどをあげましょう。
自然に治る?
マイコプラズマ感染は、自然治癒することがあります。
ただし、小さな子どもは、咳が激しいと体力を奪われるので、病院を受診して、お薬を処方してもらい早めに治しましょう。
予防対策のために
マイコプラズマ肺炎は、一度かかっても再発することがあります。
感染の予防対策
マスクを着用し、マイコプラズマが鼻や口から入らないように予防してください。うがい手洗いといった予防も行いましょう。
特に食事の前や帰宅時は、手をしっかり洗見ましょう。
感染期間
マイコプラズマの潜伏期間は、2〜3週間と長めです。感染者と接触した場合、2〜3週間は子どもの体調を観察しましょう。
病院を受診するとき
病院へいったほうがいい症状が出ている場合は要注意です。
重症化を防ぐために
- 発熱が38度以上となった場合
- 咳が止まらずに呼吸が辛い
- 呼吸困難
- ぐったりしている
- 歩行不可能
といった症状があったら早急に病院を受診しましょう。
何科を受診?
小児科、内科、呼吸器内科を受診してください。
小児科を探す
内科を探す
呼吸器内科を探す
合わせて読みたい
2022-02-28
マイコプラズマ肺炎になって発熱したとき、どう看病するのが正しいの?
熱が続くとき、熱が上がったり下がったりするときの症状別の対処法と、熱が続く期間も解説します。
熱が下がらないときの対処
熱が長引いてなかなか下がらないとき、どうしたらいいのでしょうか・・・?早く治す方法を聞きました。
対処法
熱があるときは、体が病気と闘っています。無理に冷やさずに安静にしましょう。
体は温めてください。あまりに高熱(38度以上)となると体に支障が出る場合もあるので、病院を受診します。
熱が上がりきるまでは、寒がったり、ガタガタ震えたりする症状が現れる場合もあります。
汗を掻き、手足が温まったら、熱が上がりきった証拠なので、着替えをこまめに行い、体を冷やさないようにしてください。
小児科を探す
原因
発熱は、感染と体が戦っている体の免疫反応です。
熱が上がったり下がったりするときの対処
熱が下がってもぶり返したり、夕方から夜だけ上がるという子どももいます。
対処法
熱が下がって回復したと思っても、もう少し体を動かさずに安静にしてください。
体は、病気と闘っている最中です。病気を快方に向かわせることに集中しましょう。
原因
少し元気になってくると起き上がり、TVを見たり、インターネットをしたりしていませんか?
じっとしているのに飽きて家の中で動き回っていませんか?
日中も安静にせず、動いてしまうと、まだ、体調が万全でない体は疲れてしまい、熱がぶり返す場合があります。
マイコプラズマ肺炎の熱、いつまで続く?
熱が続く期間
マイコプラズマ肺炎は、初期に発熱が2〜3日ほど続きます。
その後咳が見られます。咳は解熱した後も3週間ほど続くことがあります。
自然治癒する?
マイコプラズマ肺炎は自然治癒することもありますが…。
抗生物質や気管支拡張薬を使うことで、症状が長引かず、早く治癒します。
病院にいく目安
マイコプラズマ肺炎になったら、子どもは、小児科、もしくは内科、呼吸器内科を受診してください。大人の方は、内科、呼吸器内科を受診しましょう。
小児科を探す
内科を探す
呼吸器内科を探す
症状の目安
発熱が38度以上になったら病院を受診しましょう。
マイコプラズマ感染の合併症には、肺炎、無菌性髄膜炎や脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群など様々な合併症があります。
熱はそのサインの場合もありますので、体調が急変する前に病院を受診してください。
病院での検査方法
病院では、マイコプラズマ感染の可能性があれば迅速キットを用いて検査します。検査結果は、15分ほどでわかります。
マイコプラズマ肺炎は、RSウイルスなどの風邪、気管支炎、肺炎を引き起こすウイルスや細菌と症状が似ています。区別が難しいのです。咳が主体の風邪の症状でインフルエンザウイルス感染やRSウイルスでもないようなら、マイコプラズマ肺炎を疑って検査されます。マイコプラズマ肺炎の検査は、綿棒でのどを拭い取るだけの簡単な検査で、どんな人でも受けられます。
入院が必要な場合
肺炎や脳炎など、他の病気の可能性がある場合や、各種症状が重い場合は、入院を必要とする場合もあります。
▼参考
マイコプラズマ肺炎とは - 国立感染症研究所
合わせて読みたい
2022-02-28
子どもがマイコプラズマに感染したら…。
どんな症状がでるのか、どう看病したらいいのか、感染予防対策のためにどんなことができるのか、お医者さんに聞きました。病院受診のタイミングも。
子どものマイコプラズマ肺炎の「症状」
感染初期は、咳や鼻水、喉の痛み、発熱がみられます。
マイコプラズマ肺炎になると、発熱して、喉の痛み等が出ます。
他にも、頭痛が起こる場合もあります。筋肉痛や体がだるい症状なども現れます。熱が出た数日後に、「こんこんこん」と咳が出てきます。乾いた咳で、初期は、痰が絡みません。その後、痰が絡み始めます。ひどくなるとゼーゼーという息をする場合もあります。
気づかないこともある?
人によっては、感染に気づかない場合もあります。
症状には、個人差があります。軽度の症状で気がつかないで自然におさまる人もいるでしょう。
自然治癒する?
マイコプラズマ感染症は、自然に治癒することがあります。その場合は、7日程度かかります。
しかし、体力のない小さな子どもは、咳が続くと体力を奪われます。また、肺炎を発症する場合もあります。小さな子どもの場合は苦しそうな症状に気がついたら、早急に病院を受診しましょう。
小児科を探す
子どものマイコプラズマ肺炎の「対処法」
マイコプラズマ肺炎の代表的な症状「熱」と「咳」の自宅ケアの方法を知っておきましょう。
熱が下がらないときの対処
体を無理に冷やさず、暖かくして安静にしましょう。
38度以上になった場合は、早めに病院を受診しましょう。
【医師監修】夜になると子どもの熱が上がる&咳もでる!対処法は?
2020-01-31
続きを読む
咳がとまらないときの対処法
喉の乾燥をさけるために、部屋を加湿したりマスクをつける等の対処をしましょう。
通常の咳止めではなく、病院から処方された抗菌薬を服用してください。食べ物は刺激物をさけて、おじややうどんなど消化にいいものを与えましょう。
どうやってうつる?
マイコプラズマは、症状がでる前から治まった後まで感染に注意が必要です。
感染経路
マイコプラズマに感染している人の唾液、鼻水が飛んで口、鼻から感染します。咳やくしゃみ、痰でもうつります。
感染期間
初期症状が出る1週間ほど前から菌の排出が始まります。急性期の症状が出ているときに最も感染力が高いです。
その後4〜6週間程度も菌が排出され続ける場合もあります。
感染の予防
マイコプラズマの感染者が出た場合は、予防のためにマスクを着用してください。
マイコプラズマは、口や鼻粘膜から感染します。この部分をマスクで覆い守りましょう。また、手についたマイコプラズマが口や鼻に触れれば感染します。手洗いをこまめに行いましょう。特に食事前には、念入りに洗ってください。
一度感染してもまたかかることはありますか?
マイコプラズマ感染は再発します。
一度感染してもまた感染します。感染者がでた報告があった場合は、マスクを着用しましょう。
感染しやすい年代
5歳から14歳くらいまでの感染者が多いとされています。大人は重症化に注意です。
学校や幼稚園で集団感染することもあります。1歳以下の発症は、少ない傾向があります。
幼児・児童がかかりやすい一方、重症化するのは、大人に多く見られます。風邪と間違いやすい症状ですが、息苦しい、ゼーゼーという息の仕方、咳が辛いという場合は、マイコプラズマ感染を疑い、早めに受診しましょう。
病院受診のタイミング
熱が38度を超え、2日以上熱が下がらない。
呼吸困難
息切れ
これらの症状がある場合は、肺炎を疑い病院を受診してください。
急激に症状が進行すると、歩行困難、意識障害などを引き起こすことがあります。早めに受診して、適切な治療を受けましょう。
小児科を探す
検査の方法
迅速検査は喉を拭うだけの簡単な検査です。15分程度で結果が出ます。
治療方法・薬
一般的には抗菌薬を使い治療が行われます。
マイコプラズマは、一般的な細菌とは異なる形をしているため、一部の抗菌薬には治療の効力がありません。
マイコプラズマの治療に使用されるのは、主にマクロライド系の抗菌薬となります。
しかし、マクロライド系の抗菌薬も、効かない耐性菌が報告されています。
マクロライド系の抗菌薬で症状がよくならない場合は、テトラサイクリン系やニューキノロン系の抗菌薬を使用します。
保育園・学校へはいつからOK?
保育園や幼稚園・学校は、いつから登園・登校可能でしょうか?
保育園・幼稚園の場合
抗生剤を投与後24〜48時間過ぎ、熱も下がれば登園してもいいといわれています。
小学校・中学校・高校の場合
咳と熱がおさまり、体が元気になってから登校しましょう。
▼参照
マイコプラズマ肺炎とは - 国立感染症研究所