へそが痛い…。
こんな症状には、どんな原因が考えられるのでしょうか?
痛みを抑える方法や、受診する診療科など、へそが痛くなった時の対処法をお医者さんにお聞きました。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
へそが痛くなる原因は何?
- ガス溜まり
- 便秘
- ストレス
- 虫垂炎
- 急性腸炎
- 急性膵炎
- 化膿性尿膜管嚢胞
- 潰瘍性大腸炎
- 臍(へそ)ヘルニア
便秘やストレスに心当たりがある方は生活習慣を見直しましょう。
ただし「治療が必要な病気」である可能性もあるので、注意が必要です。
次から、へそ周辺が痛くなる病気について紹介します。
病気①:化膿性尿膜管嚢胞
細菌感染により、へそに炎症が生じることが原因で発症すると考えられています。
症状の特徴
- へそ周辺から下腹部周辺の痛み
- へその腫れや、臭いのある膿や分泌物が出る
- 発熱
- 腹部腫にしこりが生じる
対処法
内科、泌尿器科、消化器内科を受診して検査を行い、症状に合った治療を受けてください。
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病気②:臍(へそ)ヘルニア
腹部内にある臓器が脱出することで生じると考えられています。
放置してしまうと、壊死する恐れがあります。
肥満や妊娠が原因で、へその筋膜が破れ、腸が脱出し発症します。
また、内視鏡を使用した手術後の傷が原因で起こるケースもあります。
症状の特徴
- へそが膨らむ
- へそ周辺に痛みが生じる
- 便秘
- 吐き気
- へそが出たり入ったりする
対処法
外科や形成外科を受診しましょう。
縫合閉鎖や人工膜を用いた修復治療(手術)が行われる場合があります。
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病気③:急性膵炎
中高年世代に多くみられる病気です。
アルコールや脂肪分が多い食べ物の過剰摂取が原因で発症します。
症状の特徴
- 腹痛(へそ周辺の上腹部や背中)
- 吐き気
- 嘔吐
- 背中の痛み
- 発熱
- 膨満感
- 食欲低下
- 仰向けに寝ると痛みが増す
対処法
急性膵炎が疑われる場合は、早急に内科、消化器内科を受診してください。
早期発見、早期治療開始によって症状の重症化を予防できます。
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2023-01-30
膵炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
膵炎の主な症状も紹介するので、「膵炎かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしてみてください。
膵炎とは
膵炎とは、膵臓の消化液が漏れて、臓器を傷つけてしまう病気です。
この膵炎は「急性膵炎」と「慢性膵炎」に分かれます。
「急性膵炎」とは、消化酵素によって膵臓自体がダメージを受けて、炎症が起こっている状態です。
「慢性膵炎」とは、食べ物を消化するための膵液が、長期間に渡って膵臓自身を溶かしてしまう病気です。
「急性膵炎」と「慢性膵炎」それぞれの症状
急性膵炎
▼軽度~中等度の症状
みぞおち周辺から左上腹部の痛み
背中の痛み
吐き気、おう吐(吐いても症状が改善しない)
発熱(37度~38度程度が多い)
食欲不振
腹部膨満感
▼重度の症状
血圧低下
皮膚が黄色っぽくなる
呼吸困難
精神が錯乱してしまうほどの激しい痛み
失神
慢性膵炎
腹痛を5〜10年ほど繰り返す
急にお腹や背中が痛くなることがある
下痢や便秘の症状がある
みぞおちを押すと痛い
だるい
食欲不振
吐き気、嘔吐
お腹の張り(膨満感)
体重減少(※)
※人によって異なりますが、6か月で5%以上を病的な体重減少とすることが多いです。
膵炎の原因
膵炎の原因には、「お酒の飲み過ぎ」「胆石が胆管で詰まる」などが挙げられます。
ただし、はっきりと原因が分からないケースもあります。
膵炎になりやすい人
お酒をよく飲む
タバコを吸う
暴飲暴食している
脂肪分を多く含む食品のとり過ぎ
就寝直前に食事をとることが多い
刺激が強い飲食物を好む
急性膵炎を疑う場合はすぐ病院へ
膵炎が疑われる場合は、「内科」で受診することをおすすめします。
急性膵炎を発症すると、命に関わるケースもあります。
特に毎日飲酒している方は、腰・背中あたり痛みを感じたら早めに受診しましょう。
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慢性膵炎も放置はNG
慢性膵炎は症状が進行すると、インスリンの分泌量が低下し、糖尿病を発症する恐れがあります。
また、症状が悪化すると、膵臓ガンを発症する恐れもあるため、早めに受診してください。
膵炎の検査・治療法
医療機関では、必要に応じて血液検査、内視鏡、エコーなどを行います。
そこまで痛い検査はありません。
膵炎の治療は、
鎮痛剤の投与
輸血
絶食
などをおこなって症状の改善を図ります。
安定するまで集中治療の管理が行われるため、入院が必要になるケースが多いです。
病気④:虫垂炎(初期)
虫垂炎(盲腸)になると、胃からへそ周辺に痛みが生じ、その後痛みが右下腹部に移動していきます。
症状の特徴
- へそ周辺の痛み
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
- 発熱
- 胃痛
- 胃不快感
対処法
緊急手術を必要とする場合があるため、虫垂炎が疑われる場合は早急に外科を受診してください。
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病気⑤:急性腸炎
細菌やウイルス、ノロウイルスなどが原因で発症します。
お腹の痛みが続いたり、強くなったり、和らいだりを繰り返す症状です。
症状の特徴
対処法
下痢、嘔吐が続くと脱水状態になる恐れがあるため、水分補給を行ってください。
症状が改善しない場合は消化器内科や内科を受診し、症状に合った治療を受けてください。
病気⑥:潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜が攻撃を受けることで潰瘍が生じる病気です。
腹痛、下痢、血便、腰痛などが、数週間から数か月程度持続し、完全完治は困難と言われています。
症状の特徴
- 血便
- 粘血便
- 下痢(血性下痢)、腹痛(へそ周辺や下腹部の痛み)
- 発熱
- 倦怠感
- めまい
- 動悸
- 食欲低下
- 体重減少
- 発疹
- 関節痛
- 腰痛
- 手のこわばり感
対処法
重症化を予防するため、潰瘍性大腸炎が疑われる場合はまず消化器内科を受診してください。
病院では薬物療法が行われます。しかし、根本的な治療薬がないため、症状を緩和させる治療が続けられます。
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2023-01-30
潰瘍性大腸炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
潰瘍性大腸炎の主な症状やなりやすい人、原因なども紹介するので、心当たりがないかチェックしてみましょう。
潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎とは、大腸に炎症ができ、表面が赤く腫れたり、潰瘍ができたりする疾患です。
初期段階は、下痢と便秘を繰り返すことが多いのですが、症状が悪化すると血便や下血が現れる場合もあります。
どんな痛み?潰瘍性大腸炎の症状
下痢
血便(赤黒い色の血便、粘血便)
激しい腹痛
下腹部の違和感
発熱
倦怠感
貧血
脱水
食欲低下
体重減少
下痢と血便を主症状として、激しい腹痛を伴うケースが多いです。
ゼリー状の粘液のような血便が出る場合もあります。
悪化すると、1日10回以上血便が出るようになります。
潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎の発症原因は未だ明確になっておらず、国の指定難病に定められています。
考えられる原因としては、免疫異常・遺伝的要因・環境要因が挙げられます。
潰瘍性大腸炎になりやすい人・性格は?
ストレス過多・ストレスを感じやすい
腸内細菌のバランスが崩れている
生活習慣が乱れている
家族が潰瘍性大腸炎やクローン病を発症している
発症に男女差はなく、男性の発症ピークは20~24歳、女性の発症ピークは25~29歳にみられます。
ストレスが潰瘍性大腸炎の直接的な原因となるわけではありません。
ただし、過剰なストレスは腸内環境の悪化や免疫力の低下につながるため、潰瘍性大腸炎の発症に影響するという意見もあります。
「ストレスが溜まっている」「ストレスを感じやすい性格」などの自覚があり、潰瘍性大腸炎の症状が見られる場合は、注意が必要です。
家庭内で発症するケースもあり、遺伝的因子も関与すると考えられています。
そのため、家族に同様の病気の人がいると、発病のリスクが高くなる可能性があります。
▼参考
潰瘍性大腸炎(指定難病97)
潰瘍性大腸炎とは?症状と予防のために気をつけたい注意点を解説
潰瘍性大腸炎について- どのような病気か分かりやすく解説! -
潰瘍戦大腸炎を疑う場合は病院へ
潰瘍性大腸炎は再発しやすく、重症化して手術が必要になる場合もあるため、早めに病院を受診してください。
潰瘍戦大腸炎を疑う場合は、内科・消化器内科・胃腸内科の受診をおすすめします。
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潰瘍性大腸炎の治療法
潰瘍性大腸炎の治療では、「薬物治療」や「手術」が行われます。
薬物治療は、大腸の炎症を抑える薬、免疫機能を調整する薬などを使用します。
薬が効かない、症状が重いなど、薬物治療で対処できない場合に、大腸を全摘出する手術が行われることがあります。
いますぐ病院!こんな症状は要注意!
以下の症状が出現している場合は早急に病院を受診してください。
- 激しい痛み
- 嘔吐を繰り返す
- 発熱(38度以上の高熱)
- 下血
- 吐血
- 黄疸
- 腹部が硬くなる
- 背中に痛みが生じている
- 激しい動悸が生じている
何科に行けばいい?
内科、消化器内科、消化器外科の受診をおすすめします。
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放置すると…?
治療しないで放置した場合、以下のようなリスクが考えられます。
- 症状の改善に時間がかかる
- 症状がどんどん悪化し重症化する
- 緊急手術が必要な状態になる
- 命に関わるような危険な状態に陥る
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2020-12-15
みぞおちが痛い…。
おへそ周りがズキズキする…。
その症状は「盲腸のサイン」かもしれません。盲腸の疑いがある場合は早めの病院受診が重要になってきます。注意すべき症状や、病院へ行く目安を解説します。
お腹がズキズキ…「盲腸の前兆」かも
次のような症状が出ている場合、それは「盲腸のサイン」かもしれません。
痛みの特徴
みぞおち、へそ周辺がズキズキ痛い
右下腹部が痛い(みぞおちの痛みが移動する)
お腹を押して、パッと離すと痛い
ジャンプして着地すると右下腹部が痛い
痛み以外の症状の特徴
食欲低下
吐き気
嘔吐
下痢
腰痛
発熱(37~38度程度)
盲腸は、正確には「急性虫垂炎」といいます。
大腸の入り口(盲腸)の先にぶら下がっている虫垂が炎症を起こす病気です。
虫垂は右下腹部にありますが、炎症を起こして神経を刺激するため、みぞおち・へそ周辺の痛みや吐き気が、前兆症状としてあらわれるのです。
盲腸になりやすい人
盲腸は幅広い年代で発症する病気ですが、比較的若い世代(10代~)で多く見られます。
ただ、どの世代でも発症することはあります。
盲腸の原因は、はっきりわかっていませんが、次の発症原因と考えられています。
体力や免疫力の低下
血行不良
ストレス過多
暴飲暴食
食物繊維の摂取不足
腸内環境の悪化
便秘(便が固まって虫垂を塞ぐ)
胃腸炎
過労 など
早めの受診がオススメ!薬で治るケースも
盲腸は、早期発見・治療ができれば、手術ではなくお薬で症状改善が期待できます。
盲腸を発症すると、時間の経過とともに重症化することが多いです。
自己判断で痛みを我慢せず、早めに病院を受診してください。
盲腸を放置すると、虫垂に膿が溜まります。症状が進行すると、虫垂が破裂して、腹膜炎などの深刻な合併症を起こす可能性があります。
盲腸は自然に治ることはほぼありません。
発症から24時間前後で、命にかかわるような深刻な症状になる可能性もあります。
病院に行く目安
次の症状が出ていたら、盲腸の可能性があります。
早めに病院を受診してください。
みぞおちの痛みが右下腹部に移動した
鈍痛が続く
食事が摂れないほどの痛みがある
腹痛と発熱がある
腹痛と吐き気、嘔吐が続く
歩くと右下腹部に痛みが響くような感覚がある
この症状が出たら要注意!
上腹部や右下腹部に激痛がある
歩くときに前屈みの姿勢になる
我慢できない痛みがある
何時間も経過したのに腹痛が治まらない
仰向けだと寝にくい
血圧が急激に低下して意識障害がある
これらの症状は特に注意です。早急に病院を受診してください。
受診するのは何科?
内科、消化器内科、消化器外科の受診をおすすめします。
内科を探す
参考
NHK おうちで学ぼう! ガッテン 突然の激痛!盲腸(虫垂炎)の新事実
一般社団法人 奈良県医師会 かくれ虫垂炎(ちゅうすいえん)について
時事メディカル 虫垂炎(盲腸炎)
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2020-10-09
おへそから膿が出ている…!
病院は何科に行けばいいの?
おへその膿について、お医者さんに詳しく聞きました。
病気の可能性や、要注意な症状も解説します。
おへそから膿「これ大丈夫?」
おへそから膿が出る状態の放置は要注意です。
何も異常がないのにおへそから膿が出てくるケースはほぼありません。
何らかの感染症が原因でおへそから膿が出てきていると考えられます。
おへそは血液排出に最も関係している部分であり、腹部の静脈がおへそから分岐しています。
そのため、おへそ周辺で何らかの感染が起こると、血流に乗り細菌が体中にまわってしまい、体に異常を起こす恐れがあると考えられています。
おへそトラブル「病院は何科?」
おへそから膿がでて、かゆみや腫れが発生した場合は、皮膚科または形成外科がよいでしょう。
発熱や腹痛などの諸症状を伴う場合は、内科や泌尿器科をおすすめします。
おへそから膿が出るということは、様子をみても大丈夫という状態ではなく、なんらかの感染等が起きている可能性が高いと考えられるため、症状に気が付いた時点で早急に医療機関を受診してください。
※症状の状態によって、適切な診療科を紹介されることがあります。
皮膚科を探す
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おへその膿の「3つの原因」
おへそから膿が出る原因は
1細菌感染
2化膿性尿膜管嚢胞
3尿膜管遺残症
のケースが多いです。
原因① 細菌感染
おへそのケアをしようとして奥の方までいじった、爪で引っ掻いてしまった、腹部の手術の後等が原因で細菌が侵入してしまうことで起こると考えられています。
膿の特徴
酸っぱいような臭いを伴う膿
青白い膿
黄色っぽいくすんだ色の膿
薄緑色の膿
症状の特徴
下腹部に痛み
腹痛を繰り返す
発熱を伴う
という症状を併発する場合があります。
また、おへそとその周辺が
痛い
腫れる
かゆみを伴う発疹が出る
というケースもあります。激しい痛みが生じる場合があります。
原因② 化膿性尿膜管嚢胞
細菌感染により、おへそに炎症が生じることが原因で起こると考えられています。
おへそに炎症が生じて膿が出る疾患としては、臍炎、臍肉芽腫、尿膜管遺残、臍腸管遺残等が挙げられます。
膿の特徴
鼻水のような膿
悪臭を伴う膿
など
症状の特徴
下腹部に痛みが生じる
下腹部にしこりが触れる
発熱を伴う
おへそから尿が漏れる
など
※上記のような症状が出現しないケースも多いです。
原因③ 尿膜管遺残症
おへそと膀胱を繋いでいる「尿膜管」が残ってしまっている状態です。
胎児期に尿を母親の方へ流すための通り道が「尿膜管」です。
通常、尿膜管は成長に合わせて閉じておへそと膀胱との繋がりが消失します。
しかし、消失することなく残存してしまった状態が尿膜管遺残です。
尿膜管遺残が消えずに残っているというだけで、痛み等の症状が出現することはありませんが、おへそから細菌が侵入し炎症が起きたり、がんの合併等が起こったりした場合に症状が出現すると考えられています。
膿の特徴
じゅくじゅくするような膿
臭いを伴う膿
など
症状の特徴
下腹部に痛みが生じる
下腹部にしこりが触れる
発熱を伴う
嘔吐を伴う
血尿
おへそから尿が漏れる
耐え難いほどの強い痛みが生じる場合があります。
※上記のような症状が出現しないケースもあります。
この症状は要注意!
我慢できないほど痛い
発熱(高熱)を伴う
腹痛を繰り返す
炎症を繰り返す
汚れた尿がおへそから出てきた
血尿
膀胱に違和感がある
尿路感染症が疑われる症状がある
以上のようなケースは、特に早急に病院を受診しましょう。
おへその膿は早めに病院へ
早期受診により、症状の重症化の予防が期待できます。
また早期受診により、手術が必要な状態を見逃すことなく治療を開始することができます。
放置することで、腹膜炎やおへそ周辺に炎症が広がり問題になることがあります。早めの受診をおすすめします。
皮膚科を探す
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参考
日本小児外科学会 臍腸管遺残、尿膜管遺残
国立がん研究センター 希少がんセンター 尿膜管がんについて