「鼻をかみすぎて鼻の下がヒリヒリする!」
「思いっきり鼻をかんだら、なんだか耳が痛い…」
そんな経験はありませんか?
この記事では、鼻の下のヒリヒリをはじめ、鼻をかむことで耳や頭が痛くなる理由について、医師に伺いました。
鼻のかみすぎで生じる痛みの対処法や上手な鼻のかみ方もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
鼻の下がヒリヒリ痛い・皮がむける
鼻の下が痛くなったり皮がむけたりするのは、ティッシュによる皮膚への刺激や弱っている皮膚に鼻水が触れて、刺激を与えるのが主な原因となります。
オロナイン・保湿力の高いティッシュで対応
まずは、できるだけヒリヒリする部分に触れないように鼻をかんでください。
そして皮膚を保護する薬を塗りましょう。
市販薬では、炎症を抑える・化膿を防いでくれるオロナインも使用可能です。
ただし、傷口につけるとしみる・痛むというものは、皮膚を余計に傷めてしまうので避けてください。
また、保湿力が高いティッシュも販売されています。
保湿されていると皮膚への刺激が弱まるので、何度も鼻をかむときは皮膚を傷つけないため、おすすめです。
耳が痛い・違和感がある
両鼻を強くかむと、耳の鼓膜に圧がかかり、耳管から風邪のウイルスや細菌を含んだ鼻水が中耳に送り込まれてしまいます。
すると、急性の中耳炎を引き起こす場合があり、耳が痛い・聞こえにくい、めまい、耳の違和感などが現れるようになります。
鼻を強く噛むのは避けて
耳へ鼻水が送られてしまうのは、強く鼻をかむのが原因です。
鼻をかむときは、優しくかみましょう。
治らない場合は病院へ
中耳炎は、自然に治癒する場合もあります。
炎症の程度により異なりますが、1週間ほどで快方に向かいます。
しかし、長期的に耳に違和感がある・痛みが強いという場合は耳鼻咽喉科を受診して、診察・治療を受けましょう。
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鼻のかみすぎで頭痛がする
鼻が詰まっているときや鼻水がたくさん出て鼻をかむ回数が増えている場合は、急性副鼻腔炎や慢性副鼻腔炎が原因となっている場合があります。
副鼻腔炎は、急性・慢性ともに鼻の奥にある空洞に鼻水や膿が溜まり、鼻づまりの他にも頭痛・顔の痛みなどを引き起こします。
鎮痛剤で頭痛が緩和することも
副鼻腔炎が原因の頭痛は鎮痛剤で一時的に痛みが緩和される人もいます。
軽度の急性副鼻腔炎では、対症療法を行いながら快方に向かうことがあります。
長引く場合は病院へ
対症療法で良くならない場合は、抗菌薬を投与して、原因となっている病原体を殺菌する必要があります。
鼻づまりがなかなか良くならない場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。
副鼻腔炎の症状は、3ヶ月以上続くと慢性副鼻腔炎になり、長引くことがあります。
1ヶ月くらい続いていたら、まずは医療機関へ行きましょう。
その他、日常生活が辛いと感じる症状がある場合も、医療機関を受診してください。
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副鼻腔炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
副鼻腔炎の主な症状も紹介するので、「副鼻腔炎かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしましょう。
副鼻腔炎とは
副鼻腔炎とは、副鼻腔(鼻の奥にある空洞)や鼻の粘膜に、細菌やウイルスが侵入し、炎症が起こる病気です。
副鼻腔に膿が溜まったり、腫瘍が発生したりすることで、目の下の骨に痛みが生じることがあります。
副鼻腔炎の症状
鼻がつまる
黄色や緑色の鼻水(膿性鼻水)が出る
発熱する
痰がからむ咳が出る
ほほ、おでこに痛みが出る
頭が痛い
目が痛い
歯が痛い
副鼻腔炎の原因
副鼻腔炎にかかる原因としては、下記が挙げられます。
風邪
ハウスダスト
花粉
カビ
風邪以外の原因に関しては、それらが鼻から入って副鼻腔にまで侵入し、炎症を起こして鼻水が臭うこともあります。
副鼻腔炎になりやすい人
副鼻腔炎は、誰にでも発症する可能性のある病気ですが、次のような人は特に注意が必要です。
75歳以上の高齢者
糖尿病、慢性肺疾患、慢性腎疾患などにかかっている方
ウイルスや細菌感染による鼻症状を繰り返している方
過去一ヵ月に抗菌薬を使用した方
肥満傾向の方
喫煙習慣のある方
ぜんそくや気管支炎のある方
副鼻腔炎に使える市販薬は?
市販の鼻炎薬を使用することで、回復することもあります。
市販薬の例
アレルギー性副鼻炎の場合…
ナシビンメディ:佐藤製薬
アルガード鼻炎クールスプレーa:ロート製薬
風邪による副鼻炎の場合…
パブロン鼻炎アタックJL:大正製薬
アレルギーによる場合には、副鼻腔炎だけでなく鼻閉(鼻づまり)も併発している可能性があるため、点鼻薬がおすすめです。
また、最近では漢方薬による副鼻腔炎の治療薬も出始めています。
蓄膿症の漢方薬としても用いられている辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)がおすすめです。
こんな症状は早く病院へ
副鼻腔炎が悪化している場合、自然に治りにくいです。症状が2週間以上続いているときは、早めに受診しましょう。
副鼻腔炎が悪化すると、症状の慢性化や中耳炎を発症するリスクがあります。
中耳炎は聴力に悪影響を及ぼす恐れがあるため、注意したいものです。
さらに、重症化して髄膜炎(※)を引き起こすケースも稀にあります。放置しないようにしましょう。
※「髄膜炎」…頭蓋骨と脳の間にある「髄膜」という膜に、細菌・ウイルスなどが感染し、炎症を起こす病気。頭痛や嘔吐、錯乱などの症状が現われ、最悪の場合命に関わることもある。
病院は何科?
副鼻腔炎の症状は、耳鼻いんこう科で相談しましょう。
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副鼻腔炎の治療法
薬の処方、点鼻噴霧ステロイド、鼻洗浄を行います。
処方するお薬には、鼻の中の環境を整える「抗菌薬」、痰を出しやすくする「去痰薬」などがあります。
症状によっても異なりますが、2〜3ヶ月程度で治るケースが多いです。
なお、薬物療法で改善が見られない場合には、内視鏡での手術も検討されます。
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「鼻がツーンと痛い…」
副鼻腔炎に伴う頭痛の治療法について、お医者さんに聞きました。
副鼻腔炎を放置した際のリスクについても解説します。
その頭痛、副鼻腔炎かも
「鼻の病気なのに頭痛がおきるの?」と思う方もいらっしゃいますが、副鼻腔炎(蓄膿症)が原因で、頭痛が起こるのは珍しいことではありません。
病院で調べたら、「頭痛ではなく、実は副鼻腔炎だった」ということがよくあります。
副鼻腔炎とは
「副鼻腔」とは、鼻の穴の奥にある空洞です。
この副鼻腔の粘膜に、ウイルスや細菌などが感染すると炎症が起こります。その炎症が頭痛の原因です。
また、副鼻腔と鼻腔の通り道は狭いので、粘膜が炎症を起こして腫れると通り道はふさがってしまいます。すると、副鼻腔の換気や分泌物排せつができなくなり、副鼻腔に膿がたまります。
この状態を「急性副鼻腔炎」と言い、三カ月以上続いた場合を「慢性副鼻腔炎」と言います。
「副鼻腔炎」と「蓄膿症」って何が違うの?
「副鼻腔炎」と「蓄膿症」は同じ病気です。
以前は膿のような鼻水がでることから「蓄膿症」と呼ばれていましたが、現在は「副鼻腔(びくう)炎」の病名が使われています。ちなみに、蓄膿症は医学用語ではありません。
副鼻腔炎の症状「鼻づまり・おでこの痛み」
鼻づまり
黄色や緑色の鼻水(膿性鼻水)
頭痛
眼痛
歯痛
ほほの痛み
おでこの痛み
発熱
痰がからむ咳
など
頭を下げると、頭やおでこなどの痛みが強くなることもあります。
とりわけ副鼻腔内に鼻水がたまると、頭や頬に痛みを感じることがあります。ひどくなると、口臭・嗅覚障害が起こることもあります。
副鼻腔炎を放っておくと…
副鼻腔炎は、放っておくと悪化してしまいます。
頭痛や鼻づまりなどが長く続くと不快感も続き、生活の質が低下します。
病院では、どんなお薬が処方されるの?
細菌の発育を阻止するお薬(抗菌薬)、粘膜の炎症を抑えるお薬、痰や鼻水を出しやすくするお薬などが処方されます。
細菌の発育を阻止するお薬
ペニシリン系の抗生物質「ワイドシリン」「サワシリン」などが処方されます。
これらが効かない場合や症状がひどい場合はセフェム系の「メイアクト」「フロモックス」が処方されます。
他にマクロライド系の「クラリシッド」「ジスロマック」などがあります。
粘膜の炎症を抑えるお薬
粘膜の炎症を抑えるスプレー式の点鼻薬「フェニレフリン」「オキシメタゾリン」などがあります。
痰や鼻水を出しやすくするお薬
「カルボシステイン」「アンブロキソール」などがあります。
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▼参考
草津総合病院 副鼻腔炎(蓄膿症)
鼻血が出た
鼻の入り口から1センチほどの箇所は、毛細血管が非常に多く存在していて、傷をつけたり力を加えたりすると出血する場合があります。
また、鼻をかむときに片方を強く押さえすぎると出血する場合もあります。
鼻血の止め方
鼻血が止まるまで下を向いて軽く鼻をつまみ止血しましょう。
通常は、数分で止まります。
繰り返す鼻血は病気の可能性も
頻繁に鼻血が出る背景には、他の病気が隠れている可能性があります。
その場合は、医療機関を受診して、原因となっている病気の治療を行う必要があります。
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2020-12-09
鼻血が毎日のように出る…。
頻繁に鼻血が出る理由は…いったい何?
ひょっとして、”深刻な病気”のサインなのかも。
病院に行きべき?
毎日のように出る鼻血について、お医者さんにお話しをうかがいました。
「毎日のように鼻血」は病院へ!
毎日鼻血が出ている時点で、何かしら体の異変が生じている可能性があります。
特に、以下のような症状がある場合には、早めに病院を受診しましょう。
大量の鼻血が出る
繰り返し鼻血が出る
体中にあざがある
鼻血により、貧血を起こしている
まずは、耳鼻いんこう科を受診しましょう。
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※大量に出血し、止血をしても20分以上も止まらない場合は、救急車を呼んでください。
病院ではどんな治療をするの?
血管収縮性のある薬液や、止血用圧迫タンポンを鼻のなかに詰めて止血します。
繰り返し鼻血が出る場合は、原因となっている血管を焼いて止血処置をし、再び出血しないよう予防処置をします。
なぜ?毎日のように鼻血がでる理由…
鼻の粘膜が刺激されたり、鼻の中の血管が破れたりすると、鼻血が出ます。鼻をかんだりほじったりすることによる外傷や、冬場の乾燥により起こります。
ときには
全身の病気
全身の血管の異常
鼻や鼻の中の腫瘍
出血しやすくなる病気
という深刻な原因が隠れているケースもあります。
病院に行くまで、どう対処べき?
鼻を強くかんだり、鼻をほじったりしないでください。
鼻の粘膜に刺激を与えて血管を傷つけてしまわないようにしましょう。
鼻をほじって粘膜に傷がつくと、そこから細菌感染を起こすこともあります。鼻を強くかみすぎると、鼻水の中のウイルスや細菌などが奥に入り込み、鼻の中に影響を及ぼす可能性があります。
鼻のかみ方~3つの約束~
鼻をかむときは「片方ずつ」
「口で息を吸ってから」鼻をかむ
「優しく少しずつ」かむ
一気に強くかみすぎないように気をつけてくださいね。
鼻血がでてしまって喉に血が流れてきたら、飲み込まずに口から出しましょう。
鼻血の止め方~3ステップ~
椅子に座り、軽く口を開けて呼吸する
前かがみになり、少し下を向いて、鼻の付け根を親指と人差し指で強めにおさえる
そのままの状態で、20分間待つ
正しい場所を押さえられていれば、血は止まります。もし、止まらないようであれば、抑える位置を変えましょう。
もしや…「病気のサイン」のケースも
頻繁に鼻血が出るときは、以下のような病気が隠れていることがあります。
病気1.オスラー病
鼻出血が主な症状です。
肺や脳、消化管、肝臓など、異常な血管がある部分にそれぞれ症状がみられます。
放置すると…
重度の血管破裂や敗血症、脳膿瘍などの合併症を起こすことがあります。
病気2.上咽頭がん
鼻づまり
鼻血
血の混じった鼻水
耳の閉塞感
耳が聞こえにくい
目が見えにくい
ものが二重に見える
首のしこり(首のリンパ節に転移した場合)
などの症状がみられます。
初期には自覚症状がない場合もあります。
放置すると…
がんが脳神経や耳下腺、眼のくぼみなどに転移するリスクがあがります。
▼参考
国立がん研究センター がん情報サービス 上咽頭がん
MSDマニュアル家庭版 鼻血
公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター オスラー病
上手な鼻のかみ方
ティッシュを当てたら、片方の鼻を軽く押さえて(穴は塞いで)、優しく少しずつかみます。
一気に強い力で噛むのは避けましょう。
また、湿度の高い空間(お風呂場など)で鼻をあたためて加湿すると、鼻水が出やすくなるので試してみましょう。
鼻の中にティッシュを直接入れる方法は、粘膜を傷つけて血が出る原因となりますので、避けてください。
まとめ
間違った鼻のかみ方をすると、病気を発症する場合があるので注意が必要です。
また、鼻をすすることも病気の原因になります。
鼻をすすると、鼻の内部で細菌が増殖し、中耳炎を発症しやすくなりますのでやめましょう。
<参考>
一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会 鼻の病気
http://www.jibika.or.jp/citizens/daihyouteki2/hana_disease.html#fukubiku