女性の残尿感の原因と対処法を詳しく解説。
残尿感が生じる理由は、年齢や性別によって様々です。
「どんな人がなりやすいの?」
「病気の可能性もある…?」
このような疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
女性の残尿感はなぜ起こる?
- 膀胱や尿道の知覚異常
- 膀胱に炎症が生じている
- 血流不足によって膀胱の伸縮性が低下している
ということが原因で残尿感が起こると考えられています。
すぐ病院に行くべき?
一時的な残尿感で、残尿感以外の症状が出現していない場合には、一旦様子をみましょう。
しかし…
- 残尿感を繰り返す
- 痛みがある
- 発熱を伴う
- 排尿時の違和感・不快感
が出現している場合は、早めに泌尿器科、内科、婦人科など病院を受診してください。
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残尿感を引き起こす4つの原因
女性の残尿感でよくある原因として、
- 膀胱炎
- 更年期障害
- 骨盤性器脱
- 神経因性膀胱(機能麻痺)
が考えられます。それぞれ詳しく解説していきます。
原因① 膀胱炎
膀胱炎の刺激症状の一つとして残尿感が発生すると考えられています。
膀胱が細菌(大腸菌等)に感染し、炎症を起こしている状態です。
なりやすい人
20~30歳代の女性に多くみられます。
風邪・ストレス・睡眠不足・過労などが原因で免疫力が低下すると、発症しやすいです。
膀胱炎の主な症状
膀胱炎の残尿感、どう解消する?
早期改善のために病院に行くことをおすすめします。
軽度の膀胱炎であれば市販薬の使用も可能です。
自分でできる対策として意識的に
- 水分を多めに摂取する
- 安静にする
- 清潔な状態を保つ
- 体が温める
- 排尿を我慢しない
- アルコールや刺激物の摂取を控える
という行動を心掛けましょう。
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原因② 更年期障害
更年期になると下腹部の筋力低下・血流不足で膀胱が硬くなり、残尿感が生じる場合があります。
更年期障害は、エストロゲンという女性ホルモンの分泌量が急激に減ることが原因で起こると考えられています。
なりやすい人
閉経後の女性に多くみられます。
更年期障害の主な症状
- 泌尿器系症状(頻尿、尿漏れ、膀胱炎、膣炎等)
- 精神神経系症状(頭痛、イライラ感、不安感、憂鬱、不眠、めまい、倦怠感等)
- 消化器系症状(便秘、腹痛、吐き気、食欲低下等)
- 運動器官系症状(しびれ、手指の痛み、腰痛、肩こり、関節痛、知覚過敏等)
- 皮膚科系症状(皮膚の乾燥、湿疹、かゆみ等)
- 血管運動神経系症状(動悸、ほてり、発汗、のぼせ、息切れ、冷え性、高血圧等)など
更年期の残尿感、どう解消する?
骨盤底筋(お尻)を鍛える体操により症状の改善が期待できます。
体操方法
- つま先立ちになり、肛門を5秒間ほど締めます。
- ゆっくり緩めます。この動作を1日20回行います。
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原因③ 骨盤性器脱
膀胱の位置が下がってくることが原因で、残尿感が出現します。
閉経や加齢等によって骨盤底筋群が衰退し、内臓を支えられなくなることが要因であると考えられています。
なりやすい人
出産経験がある閉経後の女性に多いです。
肥満傾向の人に多くみられます。
骨盤性器脱の主な症状
骨盤性器脱の残尿感、どう解消する?
体を横にすると症状が緩和されるケースがあります。
そのほか、骨盤底筋体操の指導、一時的な治療としてリング式ペッサリー治療、根本的な治療として手術療法を行うことがあります。
原因④ 神経因性膀胱(機能麻痺)
膀胱神経が損傷を受けると膀胱の働きが低下します。その結果、膀胱に尿が残り、残尿感が生じると考えられています。
神経因性膀胱は上位型、下位型の2種に分類されています。
- 上位型(痙性)
尿道付近の筋肉が収縮し、出口が閉鎖すると排出機能が障害を受けて残尿が生じます。
脳梗塞(脳血管障害)・パーキンソン病・脊髄損傷・多発性硬化症等の疾患が原因だと言われています。
- 下位型(弛緩性)
排泄機能に異常が生じて膀胱が緩み、袋のような状態になります。その結果、排尿後も膀胱の中に尿が残り、残尿感が生じます。
糖尿病・骨盤外傷等による脊髄損傷等が原因だと言われています。
なりやすい人
糖尿病・脳梗塞・パーキンソン病等を患っている人が発症しやすいです。
60歳以上に多い傾向があります。
神経因性膀胱の主な症状
- 頻尿
- 尿失禁
- 尿がスムーズに出ない
- 膀胱から尿管へ尿が逆流しやすくなる
神経因性膀胱の残尿感、どう解消する?
原因となる疾患を治療する必要があります。病院へ行きましょう。
薬物療法で改善がみられない場合、膀胱訓練・カテーテルを用いた治療・神経ブロック治療、手術療法等が行われるケースがあります。
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この症状は早く病院へ
残尿感のほかに、高熱・激しい腹痛・悪寒、吐き気・背中の痛み・腰痛・血尿等の症状が出現している場合は、早めに病院を受診してください。
受診するのは何科?
泌尿器科、内科、婦人科を受診してください。
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