肋骨を押すと痛いのはなぜ…?
どのような原因が考えられるのか、お医者さんに聞きました。
対処法や病院に行く目安も解説します。
原因不明の肋骨の痛みは、重い病気の可能性もあるので、不安な方はぜひ参考にしてください。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
大丈夫?すぐ病院行くべき?
自分の症状がどちらにあたるのか、確かめておきましょう。
いったん様子を見てもいい症状
- 一時的な軽い痛み
- 徐々に痛みが生じてきた
- 「ここが痛い」と痛みのある範囲を示せる
- 体を動かすと痛みがでる(下を向いたときや体を捻ったときなど)
早急に病院に行ったほうがいい症状
- 激しい痛みが続く(20分以上)
- 肋骨の広範囲で痛みを感じる
- 痛みがどんどんひどくなる
- 締め付けられるような痛み
- 冷や汗が出る
- 息苦しい
- 意識障害がある
この場合、心筋梗塞や気胸などの病気が、危険な状態になっている可能性があります。早急に病院を受診してください。
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肋骨を押すと痛い理由
主な原因としては
①肋間神経痛
②肋軟骨炎
③肋骨骨折・ヒビ
が考えられます。
それぞれの症状について解説します。
原因① 肋間神経痛
肋骨に沿うように走っている肋間神経が、何らかの影響を受けたために突然痛みが起こることをいいます。
肋間神経痛は、女性に多く見られる病気で、中年以上(40代~50代)に多く見られます。特に、骨粗しょう症などで、骨が弱っていると発症しやすいです。
思い当たる?肋間神経痛の発症原因
- 激しいせきが長期間続いた
- 脊髄神経が圧迫された(骨折・打撲・腫瘍・椎間板ヘルニア等)
- 肋骨神経が圧迫された(背骨が曲がる等)
- 帯状疱疹ウイルス感染の後遺症
- 内臓の病気
痛みの特徴
- 押すと痛みが悪化する
- 強い痛み(激痛)
- せき、くしゃみ、深呼吸、少しの体勢変化などで痛みが悪化する
- 片側のみに痛むことが多い
- 肋骨に沿うように痛む
自分でできる対処法
体を横にすることで痛みを緩和できることがあります。
痛みが続き、根本的に治したい場合は病院を受診しましょう。
病院に行くべき?
・激しい痛み
・締め付けられるような痛み
・息苦しい
・発熱がある
という場合は病院を受診してください。
病院では、胸部レントゲン検査、心電図、CT検査、MRI検査など画像診断や血液検査で体の状態を確認します。痛み止め(消炎鎮痛薬、湿布など)を用いた治療が行われることが多いです。
病院は何科?
内科・整形外科の受診をおすすめします。
内科を探す
※症状の状態や、病院の設備によって、適切な医療機関を紹介されることがあります。
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2023-02-28
胸や背中に激痛が走ることがある…。
肋間神経痛と言われたけど、どんな症状なのかよくわからない…。
そんな方のために、肋間神経痛について分かりやすくまとめました。
「治療法」や「予防につながる生活習慣」も紹介するので、肋間神経痛を改善したい人は必読です。
肋間神経痛とは
肋間神経痛とは、肋骨の間を走る「肋間神経」が、打撲などの外傷や帯状疱疹によって損傷したり、何らかの要因で圧迫されたりすることで、痛みが起こる状態です。
どんな症状?肋間神経痛セルフチェック
押すと痛みが悪化する
強い痛み(激痛)
せき、くしゃみ、深呼吸、少しの体勢変化などで痛みが悪化する
片側のみに痛むことが多い
肋骨に沿うように痛む
肋間神経痛の「原因」
骨折
腫瘍
椎間板ヘルニア
変形性脊椎症
帯状疱疹
などによって神経が傷ついたり、圧迫されたりすると発症します。
肋骨を骨折した人の場合、神経損傷によって発症するケースもあります。
肋間神経痛に「なりやすい人」
激しいせきが長期間続いた
脊髄神経が圧迫された(骨折・打撲・腫瘍・椎間板ヘルニア等)
肋骨神経が圧迫された(背骨が曲がる等)
帯状疱疹ウイルスに感染している(後遺症)
内臓の病気を患っている
上記がきっかけで、肋間神経痛を発症することがあります。
肋間神経痛になったら「してはいけないこと」
体を冷やす
重いものを持つ
「猫背」や「背中をそらす姿勢」
などは避けてください。
肋間神経痛は、体を冷やしたり、重いものを持って脊椎に負担をかけたりすると、痛みが強くなることが多いです。
また、体の歪みがあると痛みを発症しやすいので、正しい姿勢での生活を送りましょう。
肋間神経痛の「治し方」
「消炎鎮痛剤」や「湿布」の処方が、一般的な治療法です。
これらの治療と並行して、運動療法やリハビリが行われることもあります。
続発性の場合には、服薬治療、患部固定、手術等、それぞれの症状に適した治療が行われます。
予防方法は?
15分に一回程度体を動かす
ウォーキングなどの適度な運動を継続する
日頃からストレスを抱え込み過ぎない
肋骨神痛を予防するには、上記のような対策を日頃から意識してみましょう。
病院に行く目安
痛みが2~3日続いている
痛みが強い
といった場合には、隠れた病気の可能性があります。
腫瘍や帯状疱疹が原因の場合、治療しなければ痛みは治りません。
また、膵炎や心筋梗塞など、命に関わる病気も疑われるため、放置は危険です。
痛みが続くときは医療機関を受診し、原因を調べてもらいましょう。
病院は何科に行けばいい?
肋間神経痛がずっと痛いときは、まず整形外科で相談してみましょう。
ただし、帯状疱疹が疑われるときは、皮膚科を受診してください。
また、膵炎など内臓の病気が疑われるときは、内科を受診しましょう。
肋間神経痛を放っておくとどうなるの?
痛みをそのままにしていると、脳にその記憶が刻まれてしまい、痛みに過敏になってしまうことがあります。
これにより、余計に強く痛みを感じてしまう人もいます。
長引く痛みは放置せず、早めに受診して治療を受けましょう。
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原因② 肋軟骨炎
肋軟骨(肋骨と胸骨の間にある軟骨)が慢性的に炎症を起こしている状態です。
成人(特に40歳以上)に多くみられ、比較的女性に多い傾向があります。
風邪などのウイルス感染や、打撲などの外傷によって起こると考えられていますが、原因がはっきりとしないことが多いです。
肋骨の痛みの特徴
- 圧迫すると痛い
- 鋭い痛み
- くしゃみやせきで痛みが増す
- 片側だけに痛みが起こりやすい
- 第2肋骨から第5肋骨が痛みやすい
自分でできる対処法
体を動かさずに安静にしていると、痛みがやわらぎます。
病院に行くべき?
激しい痛みで日常生活に支障が出ている場合や、発熱がある場合は病院に行きましょう。
病院の治療では、超音波検査、胸部レントゲン検査、血液検査を行い、内科的な病気でないかを確認します。その後、痛み止めの薬(非ステロイド系抗炎症薬等)を処方することが多いです。
病院は何科?
病院を受診するときは、内科か整形外科をおすすめします。
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※症状の状態や、病院の設備によって、適切な医療機関を紹介されることがあります。
原因③ 肋骨骨折、ヒビ
- 転倒して胸部をぶつけた
- ゴルフで体を捻った
- 激しい咳やくしゃみが続いている
といったときに起こります。
肋骨の痛み以外にも、皮下出血・腫れといった症状があります。また、痛みのある部分を圧迫すると、骨がきしむような音がします。
肋骨の痛みの特徴
- くしゃみ、せき、深呼吸により痛みが増す
- 体を反らす、肩を動かすなどの動作で痛みが増す
自分でできる対処法
呼吸だけでも痛むような場合、応急処置として、患部に厚めのタオルを当てて上から軽く圧迫すると痛みが緩和することがあります。
病院に行くべき?
痛みが強くて日常生活に支障が出る場合は、病院を受診してください。
病院では、胸部触診、胸部レントゲン検査などを行います。体の状態が確認できたら、痛み止め(消炎鎮痛剤、湿布など)を処方して様子を見ます。
また、大きな力が加わったことで肋骨骨折やヒビが発生した場合、複数の肋骨が折れていることがあります。そういった場合、折れた骨によって、心臓、肺、血管などが損傷している可能性があるため、早急に病院を受診してください。
病院は何科?
整形外科の受診をおすすめします。
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痛みに加えて「しこり」も…もしやガン?
肋骨あたりにしこりがある場合、ガンと断言はできませんが、その可能性はあると考えられます。
肋骨あたりにしこりがあるガンには、胆のうガン・胆道ガン、成人原発性肝ガンが考えられます。
ガンの主な症状
<胆のうガン・胆道ガン>
- 上腹部の痛み(鈍痛)
- 右肋骨下周辺の痛み(鈍痛)
- 背中まで拡がる痛み
- 黄疸
- 食欲低下
- 体重減少
- 白っぽい便が出る
<成人原発性肝ガン>
- 腹部腫脹
- 右上腹部の不快感
- 右側の背中や肩甲骨周辺の痛み
- 黄疸
- 尿の色が濃くなる
- 発熱
- 筋力低下
- 倦怠感、疲労感
- 吐き気、嘔吐
- 体重減少
ガンの場合の対処
ガンが疑われる場合は、内科・消化器内科・消化器外科の受診をおすすめします。
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原因がわからなくて、何科に行くか迷う
肋骨に痛みがあり、原因がよくわからないときは、内科を受診して相談することをおすすめします。
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心配な痛みは早めに受診を
早く病院を受診することで、肋骨の痛みの原因が判明し、症状に合った治療が受けられます。そのため、早い症状の改善が期待できます。
また、深刻な病気の見逃しを防ぐこともできます。
肋骨の痛みの原因が、深刻な病気だった場合、放置によって症状の悪化、症状改善の遅れ、命に関わる状態に陥るなどの恐れがあります。
これまで解説した以外にも、次のような病気の可能性があります。
- 虚血性心疾患:極端に痛みが強い、発汗、左腕の痛み、吐き気を伴う
- 化膿性疾患(肺炎、気胸):発熱(高熱)、腫れ、赤くなる、息苦しさを伴う
- 胆石症:お腹の右上部に激痛が起こる
- 急性膵炎:みぞおちから肋骨下部周辺に持続して激痛が起こる
- 急性胆のう炎:右側のみぞおち、右上部肋骨あたりに痛みが起こる(主に食後)
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2023-01-30
膵炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
膵炎の主な症状も紹介するので、「膵炎かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしてみてください。
膵炎とは
膵炎とは、膵臓の消化液が漏れて、臓器を傷つけてしまう病気です。
この膵炎は「急性膵炎」と「慢性膵炎」に分かれます。
「急性膵炎」とは、消化酵素によって膵臓自体がダメージを受けて、炎症が起こっている状態です。
「慢性膵炎」とは、食べ物を消化するための膵液が、長期間に渡って膵臓自身を溶かしてしまう病気です。
「急性膵炎」と「慢性膵炎」それぞれの症状
急性膵炎
▼軽度~中等度の症状
みぞおち周辺から左上腹部の痛み
背中の痛み
吐き気、おう吐(吐いても症状が改善しない)
発熱(37度~38度程度が多い)
食欲不振
腹部膨満感
▼重度の症状
血圧低下
皮膚が黄色っぽくなる
呼吸困難
精神が錯乱してしまうほどの激しい痛み
失神
慢性膵炎
腹痛を5〜10年ほど繰り返す
急にお腹や背中が痛くなることがある
下痢や便秘の症状がある
みぞおちを押すと痛い
だるい
食欲不振
吐き気、嘔吐
お腹の張り(膨満感)
体重減少(※)
※人によって異なりますが、6か月で5%以上を病的な体重減少とすることが多いです。
膵炎の原因
膵炎の原因には、「お酒の飲み過ぎ」「胆石が胆管で詰まる」などが挙げられます。
ただし、はっきりと原因が分からないケースもあります。
膵炎になりやすい人
お酒をよく飲む
タバコを吸う
暴飲暴食している
脂肪分を多く含む食品のとり過ぎ
就寝直前に食事をとることが多い
刺激が強い飲食物を好む
急性膵炎を疑う場合はすぐ病院へ
膵炎が疑われる場合は、「内科」で受診することをおすすめします。
急性膵炎を発症すると、命に関わるケースもあります。
特に毎日飲酒している方は、腰・背中あたり痛みを感じたら早めに受診しましょう。
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慢性膵炎も放置はNG
慢性膵炎は症状が進行すると、インスリンの分泌量が低下し、糖尿病を発症する恐れがあります。
また、症状が悪化すると、膵臓ガンを発症する恐れもあるため、早めに受診してください。
膵炎の検査・治療法
医療機関では、必要に応じて血液検査、内視鏡、エコーなどを行います。
そこまで痛い検査はありません。
膵炎の治療は、
鎮痛剤の投与
輸血
絶食
などをおこなって症状の改善を図ります。
安定するまで集中治療の管理が行われるため、入院が必要になるケースが多いです。