「ランニングしているのにお腹が痩せない…」
「走り方がいけない?」
走ってもお腹が痩せない理由を、栄養士さんに聞いてみました。
ランニングフォームなど、お腹のお肉を落としやすくする走り方も解説します。
監修者
株式会社Luce
栄養士・食育栄養インストラクター
神原 李奈先生
経歴
株式会社Luce・健康検定協会 所属
CA(客室乗務員)の仕事をきっかけに、健康と食の強い結びつきを実感し、食の世界に興味を持つ。大手料理教室の講師の経験を経て、栄養士を目指すことに。栄養士免許を取得後の現在は、現役CAとして世界中を飛び回りながら、栄養士として健康や食に関する情報を発信している。
ランニングで「お腹が痩せない」5つの理由
- 走るペースが速すぎる
- ランニング時間が短い
- ランニングを始めたばかりである
- 摂取エネルギー量の方が多い
- ランニング時の姿勢が正しくない
理由1. 走るペースが速すぎる
速すぎるランニングは、脂肪が燃焼されにくくなります。
脂肪燃焼には、楽〜ややきつい程度のスピードがおすすめです。
目安としては、最大心拍数の40〜60%の強度です。
それよりも速く走ってしまうと、脂肪より糖質がエネルギー源として使われる可能性が高くなり、脂肪燃焼の効果が期待できなくなります。
「最大心拍数」の算出方法・心拍数の計り方
最大心拍数は、「220-年齢」で算出することができます。
心拍数は、心拍数と脈拍数はほとんど同じで、以下の方法で測ることができます。
- 利き手の人差し指・中指・薬指の3本の指で、利き手でない側の手首の内側にある動脈(親指側で拍動が触れるところ)を10 秒間計る
- その数値を6 倍する(1分間の脈拍数となる)
理由2. ランニング時間が短い
ランニング時間が短すぎると脂肪燃焼効果はあまり期待できません。
少なくとも20分間以上行うようにしましょう。
ランニングは、開始~10分は「糖質」を燃焼します。
10分継続後から徐々に「脂肪」が燃焼され、効果的に脂肪燃焼が行われるのは20分後といわれています。
理由3. ランニングを始めたばかりである
ランニングは即効性のあるダイエット方法ではありません。
コツコツ続けることが大切になります。
日々の食生活や運動不足などで蓄積した脂肪は、簡単には落とせません。
始めたばかりでは、エネルギー消費量も少なく実感するのは難しいです。
まずは1ヶ月続けてみよう
体重1kg落とすには、7200kcal消費する必要があります。
つまり、今よりも1日に240klcal多く消費できれば、30日で1kg痩せることができます
消費エネルギーをさらに増やせば、より早くお腹の変化を実感できるでしょう。
理由4. 摂取エネルギー量の方が多い
運動で消費するエネルギー量は、想像しているよりも少ないです。
ランニングを言い訳に食べ過ぎていないか注意しましょう。
食べる量が多ければ、ランニングをしてもお腹周りの脂肪は落とせません。
例えば、50kgの人が30分ランニング(6.4km/時)をした場合の消費エネルギー量は150kcalで、ごはんお茶碗一杯分よりも少ないエネルギー量です。
「睡眠時間を削って走る」のは逆効果!
睡眠時間が短いと、食欲が沸くホルモンが多く分泌され、過食の原因になります。
ランニングで減量を試みる場合は、しっかりと睡眠時間を確保しましょう。
理由5. ランニング時の姿勢が正しくない
姿勢が正しくないと、
- 脂肪の燃焼が効率的に行われない
- 疲れやすく長時間走れない
などの原因で、痩せにくくなります
また、膝や腰に過剰な負担がかかり、痛めてしまうリスクもあるので注意が必要です。
パーソナルトレーナーに「正しい走り方」を教えてもらうなどもおすすめです。
ランニングを「毎日すると痩せにくくなるって本当?」
マラソンランナーのように強度の高いランニングを毎日行なっていると、筋肉が落ちて基礎代謝が下がり痩せにくくなることがあります。
また、体が十分に回復しないまま走ることでフォームが崩れ、効率よく脂肪燃焼が行われなくなる可能性もあります。
ランニングは毎日行っても構いませんが、負荷をかけすぎないように注意しましょう。
“お腹痩せ”したい人のランニングの4大原則
お腹痩せしたい人は、
- 姿勢
- 足の上げ方・踏み出し方
- 腕の振り方
- 力み過ぎないようにする
の4点を意識してランニングしましょう。
チェックポイント① 姿勢
- 猫背にならないように背筋を伸ばす
- 肩の力は抜く
- 重心を高い位置に置く
- お腹は少し引っ込める
- 軽く前傾姿勢になるようにする
- 目線はしっかりと正面を向き、下げない
正しい姿勢で走ることで、効率よく筋肉を使って脂肪を燃焼しやすくします。
また、体への負担も軽減できます。
チェックポイント② 足の上げ方・踏み出し方
- 自然と上がる程度で、無理に上げる必要はない
- 力を抜いて軽く踏み出す
- 骨盤を前に倒す姿勢で走り出す
骨盤を前傾させると、足が自然に前に出るようなイメージで走ることができ、膝への負担も少なく走りやすくなります。
チェックポイント③ 腕の振り方
- ひじを引き上げるようなイメージで振る
- 腕の力を抜いて小刻みに振る
腕と足は連動しているため、腕の振り方がよいと走りやすくなります。
チェックポイント④ 力み過ぎないようにする
力みすぎるとすぐに疲れてしまいます。
周りの景色を見たり、音楽を聴いて、走っている間リラックスができるようにしてみてください。
正しい姿勢で走るのは大切なことですが、意識しすぎず、なるべく自然な状態を保ちましょう。
ランニングの効果がでるまで…どれくらいかかる?
脂肪は内臓脂肪から燃焼されるため、内臓型肥満の方は比較的早い段階で変化を実感できるでしょう。
ただし、生活習慣、食事内容、走る時間や速さなど、人によって条件が異なるため個人差が大きいです。
1〜2日で実感できるものではないため、焦らずに継続してみましょう。
もっと効率的に!プランク+ランニング+ストレッチがおすすめ
ランニング前にプランクしよう
プランクは、以下の手順で行いましょう。
- 伏せをして、肘を90℃に曲げて地面につく
- 足を伸ばし、つま先を立てる
- お尻を上げてその状態を1分キープする
プランクは、腹筋が鍛えられるだけなく、正しい姿勢でランニングを行うのに必要な体幹を鍛えることもできます。
また、走る前に行うことで体が温まり、脂肪燃焼の準備が整います。
プランクが大変な場合には、代わりに腹筋20回を行っても構いません。
ランニング後にストレッチをしよう
以下の手順で行いましょう。
※1か所につき20秒は伸ばすようにしましょう。
① 二の腕のストレッチ
肘を頭の横で抱えるようにして、二の腕を伸ばす。
② 背中のストレッチ
背中の後ろで手を組み、手のひらを後ろに向けて伸ばす。
③ お腹のストレッチ
うつ伏せになり、肘を床について天井をみるように反る。
④ 足のストレッチ
床に座り、片足は伸ばし、片足は曲げた状態で上半身を前倒す。
(足を変えて反対も伸ばしましょう)
⑤ アキレス腱ストレッチ
足を前後に開き、前に体重をかける。足を変えて反対も伸ばす。
直接腹筋に関わるわけではありませんが、ランニング後のストレッチは、疲労回復や筋肉痛の軽減につながります。
体のコンディションが良くなると、翌日以降のランニングも正しいフォームで行えるようになり、脂肪燃焼が促進されやすくなります。ぜひ、取り組んでみてください。
合わせて読みたい
2022-08-30
湯船につかるのがダイエットにいいって本当?
どれくらい湯船につかれば痩せる?
湯船につかることとダイエットの関係について、専門家に聞いてみました。
正しい湯船のつかり方も紹介するので、痩せやすい体を手に入れたい人は必読です。
湯船につかると痩せるってホント?
湯船につかっても筋肉を動かしているわけではないので、運動のような脂肪燃焼効果は期待できません。
ただし、血流が促進されて代謝がよくなるため、痩せやすい体作りに役立つ可能性はあります。
また、ゆったりと湯船につかると、ストレス解消や疲労回復の効果が期待できます。
これにより「自律神経の安定」が促されると、食欲を抑えやすくなります。
湯船につかる習慣は「美肌効果」もある!
湯船につかって体を温めると、肌のターンオーバーが促されます。
古い角質や余分な皮脂が取り除かれるため、美しい肌を保ちやすくなります。
ダイエットをサポートするお風呂の入り方|温度・入浴時間など
入浴の際には、以下の点を守るようにすると効果が出やすいです。
▼おすすめの温度
40度がおすすめです。
冬場は、温度が低くなっていないか確認しましょう。
熱いお湯(42度以上)の入浴は避けましょう。
▼おすすめの入り方
全身浴で、しっかりと湯船につかりましょう。
半身浴では体が温まりにくいです。
▼おすすめの入浴時間
湯船には、10分〜15分程度つかるようにしましょう。
「体が気持ちよく温まるまで」が目安となります。
入浴中の「マッサージ」もおすすめ
湯船の中で「足の裏」や「ふくらはぎ」を押してみましょう。
マッサージを行うと、代謝の向上や血流改善効果が高くなりやすいです。
マッサージは「体の外側」から「体の中心部」に向かって行います。リンパに老廃物が流れるように行いましょう。
足や腹部など冷えやすい部分を中心に揉むことがおすすめです。
「長湯」は避けよう
長湯は避け、体が温まったら入浴を終了しましょう。
長くお湯につかっていると、体への負担になったり、脱水や肌の乾燥を招いたりすることがあります。
特に
心臓や循環器に不調がある人
体調が悪い人
疲労が溜まっている人
妊娠している人
は、長くお湯に入りすぎないようにしてください。
また、脱水を避けるために、入浴前と後でしっかりと水分補給を行いましょう。
効果を実感するまでの期間は?
毎日湯船につかっているのに、あまりダイエット効果を感じません…。どれくらいの期間続けるとよいでしょうか。
「基礎代謝がアップする」といった体質改善には、数週間〜1ヶ月ほどかかると考えられます。
まずは1ヶ月程度継続して、変化を確認してみましょう。
さらに効果をだすために!+α
入浴前に筋トレを行う
入浴後にストレッチを行う
毎日20分以上の有酸素運動を行う
糖質や脂質を控える
睡眠をたっぷりとる
湯船につかる習慣に加えて上記の点を心がけると、ダイエット効果がさらに高まります。
その① 入浴前に筋トレを行う
筋トレをすることで、筋肉量を増やして基礎代謝を上げる効果が期待できます。
眠る前に筋トレをすると、体が興奮して眠れなくなるので、入浴前に行いましょう。
筋肉がほぐれて質の高い眠りにつながります。
その② 入浴後にストレッチを行う
入浴後は血流がよくなり、体も柔らかくなっているため、ストレッチが効果的です。
首のストレッチ
両足・片足前屈
などを行ってみましょう。
ストレッチを行うと「代謝の促進」「血行促進による冷え性の改善」「筋トレ効果の向上」などが期待できます。
首のストレッチ
首をゆっくり前に倒して、右に3回まわす
反対も同様に3回まわす
※首が背後にまわるときは息を吸って、前に倒れるときに息を吐きましょう。
両足・片足前屈
両足前屈
床に座り、両足を揃えて前に伸ばす
両手を前に伸ばしながら、上体を前に倒す
(倒すときに息を吐いて、戻るときに息を吸う)
「2」を10回繰り返す
片足前屈
片足だけ前に伸ばし、上体を倒す(2と同じ呼吸法で)
「2」を10回繰り返す
上記を続けていくと体の動かせる範囲が広がって、運動しやすい体になります。
その③ 1日20分以上の有酸素運動を行う
脂肪燃焼には20分以上の有酸素運動が効率的です。
ウィーキング・ヨガ・ジョギングなど、簡単な運動でよいので、毎日行いましょう。
さらに、入浴で運動の疲れを癒すと、夜もぐっすり眠れるでしょう。
その④ 糖質や脂質を控える
糖質や脂質の多い食事ばかりだと、脂肪代謝が低下し、太りやすくなります。
特に夕食は、食べた後に眠るだけなので、糖質の摂取を控えましょう。
また、油分は「オリーブオイル」「亜麻仁オイル」「コメ油」など、良質な油を少量ずつ補給してください。
その⑤ 睡眠をたっぷりとる
ダイエット効果を高めるために、夜更かしや寝不足は避けましょう。
個人差はありますが、6~7時間程度の睡眠時間を確保するといいでしょう。
睡眠不足は
基礎代謝の低下
自律神経の乱れによる食欲増進
など、ダイエット効果を下げる原因になります。ダイエット中は、特に十分な睡眠を意識するようにしてください。
また、入浴は就寝時間の2~3時間前に済ませると、質の高い睡眠につながりますよ。
▼参考
e-ヘルスネット 快眠と生活習慣
合わせて読みたい
2022-02-25
「運動してるのに痩せない…なぜ?」
「どうすれば痩せるの?」
女性の「運動しても痩せない理由」を栄養士さんに聞いてみました。
5つの痩せないパターン・どうすれば痩せるのかなども詳しく解説します。
女性に多い「運動しているのに痩せない」5つの理由
ダイエットしているのになかなか体重が減らないとつらいですよね。
「運動しているのに痩せない」という場合、意外な原因が隠れていることがあります。
例えば
痩せにくい時期に入っている(生理前の黄体期)
運動の効率が良くない
有酸素運動しかしていない
摂取カロリーが多い
糖質が足りていない
といった理由が考えられます。
次から、それぞれのパターンの「効率よく痩せるポイント」をご紹介します。
パターン① 痩せにくい時期に入っている(生理前の黄体期)
生理前の2週間程度は、脂肪が燃焼しにくい状態になって痩せにくい時期になります。
これは「プロゲステロン」の分泌が増え、妊娠に向けて体に栄養を蓄えようと働くからです。
焦らずに「痩せ期」まで待とう
生理が終われば、脂肪も燃焼しやすくなります。
痩せにくい時期は、無理にこれ以上運動量を増やさず、できるだけリラックスして過ごしましょう。
「今はそういう時期なんだ」と受け止めて、生理後にまた頑張りましょう。
パターン② 運動の効率が良くない
間違ったフォームでの運動などで筋肉を効率よく動かせていないと、消費エネルギー量が少なくなります。
「正しいフォームでの運動」を心がけよう
「ウォーキング」の場合、正しいフォームで行うと「おなか・太ももの筋肉」をしっかり使うことができます。
「ウォーキング」を正しい姿勢にする4つのポイント
頭は揺らさず、姿勢は真っすぐ伸ばす
目線は下げずに20m程先を見る
肩は、力を抜いて落とす
ひじを後ろに引くイメージで腕を振る
パターン③ 有酸素運動しかしていない
有酸素運動は脂肪燃焼につながりますが、筋肉量が少ない人は基礎代謝量も少ないため、痩せにくい傾向があります。
なかなか痩せられないときは、併せて筋トレを行ってみましょう。
筋トレは「スクワット」がおすすめ!
スクワットで「下半身の大きな筋肉」を鍛えると、効率よく基礎代謝量を増やすことができます。
「スクワット」の正しいやり方
脚を腰幅から肩幅に開いて立つ
つま先は膝と同じ向きにする
手を胸の前で軽く組む
太ももと床が並行になるくらいまで、お尻を下げる
お尻の力を抜かないようにしながら、ゆっくりと元の位置に戻す
1セット10回として、1日3セット行いましょう。
パターン④ 摂取カロリーが多い
いくら運動しても、消費カロリーより摂取カロリーが上回っていると、痩せるのは難しいです。
1kg減量するためには今よりも7,200kcal多く消費する、もしくは摂取を控える必要があります。
「運動後のご褒美」は控えめに!
運動をしたからといって食べ過ぎないようにしましょう。
摂取カロリー量を変えないまま運動でカロリーを消費できれば、少しずつ痩せていきます。
パターン⑤ 糖質が足りていない
最近は「糖質制限ダイエット」が流行していますが、糖質が全くない状態では、脂質をうまく消費できません。
そのため、過度の糖質制限をしていると逆に痩せにくくなることがあります。
空腹を感じるときは、運動前に糖分補給しよう
空腹を感じるときは、適度に糖分を摂取してから運動するほうが代謝は良くなります。
糖分補給は、バナナなど手軽なもので構いません。
まだまだある…!痩せるために大切な3つのこと
健康的に痩せるためには、
睡眠時間を確保する(1日7〜8時間目安)
生活リズムを整える
こまめにストレスを発散させる
といった生活習慣の見直しも大切です。
① 睡眠時間を確保する(1日7〜8時間目安)
睡眠不足は「食欲増進ホルモン」の分泌を促してしまいます。
「食欲が抑えられない」と悩んでいる人は、まず十分な睡眠をとるようにしましょう。
② 生活リズムを整える
生活リズムを整えることで、自律神経が整いやすくなります。自律神経が乱れると食欲が増進したり、交感神経が優位な状態が続いてストレスフルになったりします。
③ こまめにストレスを発散させる
ストレスが溜まると、つい食べ過ぎてしまいやすいです。
映画を見る・体を動かすなどご自身に合った方法で気持ちをリフレッシュさせましょう。
「ダイエットしても痩せない…」とお悩みの人へ!
ダイエットしても痩せないのには“何かしらの原因”があるはずです。
一度食事や生活習慣などを見直してみましょう。
▼参考
タカハラ整形外科クリニック vol.43歩き方指導 ~個々にあった方法で~
コナミスポーツ株式会社 お腹の脂肪燃焼にも!? スクワットのダイエット効果と実践方法