「ランニングでお腹は痩せないの…?」
「お腹の脂肪を落とす方法を教えて!」
ランニングでお腹の脂肪を落とすことは可能なのかを栄養管理士さんに聞いてみました。
ランニングによって、落ちやすい脂肪や、お腹に効くランニングフォーム、運動メニューについても詳しく解説していきます。
監修者
経歴
株式会社Luce代表/健康検定協会理事長、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、日本臨床栄養協会評議員、ダイエット指導士、ヨガ講師、サプリメント・ビタミンアドバイザーなど栄養・美容学の分野で活動をおこなっている。
ランニングで「お腹が痩せにくい」理由
ランニングでダイエットしているのですが…お腹が痩せません!
ランニングのような有酸素運動をしても、お腹の脂肪が落ちるまでには、時間がかかることが多いです。
個人差がありますが、基本的には肝臓から遠い場所から脂肪が落ちていきます。
具体的には、手首→ふくらはぎ→二の腕→太もも→お尻→お腹の順で痩せていく傾向があります。
今は焦らず、ランニングを続けましょう。
ランニングは全身を使う有酸素運動のため、お腹の脂肪を落とすことが可能です。
全身の脂肪をゆっくりと減っていく中で、お腹の脂肪も落ちていきます。
お腹のお肉がつまめる「皮下脂肪タイプ」の人は、時間がかかることも…!
ぽっこりとお腹周りだけ出ている「内臓脂肪タイプ」は、ランニングでもお腹の脂肪が落ちやすいです。
ただし、お腹周りだけでなく体全体に脂肪がついている場合は、「皮下脂肪タイプ」です。この場合、お腹の脂肪が落ちるのに時間がかかります。
ぽっこりお腹に”効く”ランニングフォーム
- 体の軸をまっすぐにし、背筋を伸ばしやや前傾姿勢になります。
- 肩の力を抜き上半身はリラックスした状態にします。
- 目線は正面にし、左右の重心のバランスを取りながらまっすぐ走りましょう。
正しいフォームでランニングすると疲れにくくなります。
疲れにくくなると、長距離を走れるようになるため、効率的に脂肪を燃焼し、お腹痩せにもつながります。
空腹時のランニングがおススメ
お腹痩せを効果的に行うためには、空腹時にランニングすることがおすすめです。
空腹の状態で走ると体に貯蔵された糖質が少ないため、脂肪をエネルギーとして効率的に使うようになります。そのため、お腹痩せにも効果的です。
また食後でも、1時間ほど経ってからランニングを行うことで、食べたものを効率的にエネルギーとして使うことができるので、お腹の脂肪蓄積予防になります。
また、ランニングだけで消費エネルギー量を増やすのではなく、「他の運動と組み合わせる」「生活の中で消費エネルギー量を増やす」といった工夫を併せて行うとさらに効率的です。
「筋トレ」を組み合わせるのがおすすめ!
ランニングは、大体30分以上行わないとエネルギー消費量を確保できません。
そのため、短時間の運動でもエネルギー消費量の多い「筋トレ」を組み合わせて行うようにしてください。
筋トレをプラスすると、より多くのエネルギーを消費することができるため、効率的に脂肪を減らすことができます。
お腹をグッと引き締め!運動メニュー
ランニング以外の「お腹を引き締める運動」メニューとして、
といったことがおすすめです。
その① 全身運動:バーピー
- その場にしゃがみ、両手を床に着け軽くジャンプして、両足を後ろにのばします。
- その後、両手を上に伸ばしながら、その場でジャンプし元の位置に戻ります。
30秒全力で行い、1分程度インターバルを取ります。これを3セット、週2~3回を目安に行いましょう。
バーピーは強度の高い運動なので、筋肉を休ませるためにも休息日をはさみながら無理のないペースで継続しましょう。
\ポイント!/
食前に行うことで、より効率的に脂肪燃焼を行うことができます。
また、運動後に食事でたんぱく質を補給することで、効率的に筋肉をつけることができます。
その② プランク
- うつぶせになり、両肘を床に着け上半身を起こします。
- 脚は、つま先を立てて下半身を持ち上げ、頭から全身が一直線になるよう姿勢をキープします。
1回20秒からスタートし、少しずつ姿勢をキープする時間を伸ばしていきましょう。インターバルを取りながら、1日に3セットくらいを目安に行いましょう。長時間行うよりも正しい姿勢をキープすることを意識して行った方が効果的です。
プランクは、強度がさほど高くない運動なので、毎日行っても問題ありません。
\ポイント!/
食後2~3時間後に行った方が、体にたんぱく質が補充されている状態なので、筋肉が分解されず効果的に鍛えることができます。
その③ ドローイン
- 床にあおむけに寝たら膝を立て、両手は床に着ける姿勢になります。
- 鼻から息を吸い、お腹を膨らませます。
- その後ゆっくりと息を吐いて、お腹を凹ませます。
はじめは2日に1回程度のペースからはじめ、慣れて来たらできるだけ毎日5分程度行うようにし継続して行いましょう。
継続して行うことで、インナーマッスルが鍛えられ、姿勢も正しくなり、お腹がへこみやすくなります。
自分にとってやりやすいタイミングで行い、継続させることが大切です。
さらに…食事コントロールもすれば完璧!
有酸素運動や筋トレなどの運動で消費ネルギーを増やすとともに、食事での摂取エネルギーの調整を行うとより効率的に痩せることができます。
消費エネルギー量を増やしていても、それ以上に摂取エネルギー量が多ければ痩せることはありません。そのため、食事の調整を行い、消費エネルギー量より摂取エネルギー量が下回るように調整しましょう。
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2022-02-25
「肥満が気になる…治療を受けようかな…」
「肥満治療は保険適用になる?」
肥満治療の保険適用について、お医者さんに聞いてみました。
肥満治療の保険適用になる条件や費用の目安なども解説します。
肥満治療の「保険適用の条件」
基本的に “BMI値が35以上の人”は、肥満治療が保険適用になります。
また、他にも
6ヶ月以上内科的治療を行っても肥満の症状改善が乏しい
「肥満症」と診断された
「糖尿病」「脂質異常症」「高血圧」「睡眠時無呼吸症候群」の中から一つでも合併している
などの条件に当てはまる人も、保険適用になる可能性が高いです。
ただし「保険適用される条件」は、各医療機関により異なる場合があるため受診前に確認するようにしてください。
▼BMI値の算出方法
BMI = 体重kg ÷ (身長m)2
(BMI値35以上になる人の例)
身長170cmの人…105㎏(BMI値:36.33)
肥満治療って「実際に何をするの?」
肥満治療は、
栄養管理・食事療法・運動指導
薬の内服
注射
減量・代謝改善手術
などが行われるケースが多いです。
治療は、基本的には医師の判断のもと行なわれます。
ただし、ご自身の希望を伝えることで加味されることもあります。担当する医師とよく相談するとよいでしょう。
「どんな治療を受けるか」によって保険適用の条件は異なる
治療の種類
保険適用の条件
サノレックス(食欲抑制剤)
BMI35以上(高度肥満症)
GLP-1注射
「2型糖尿病(※)」を持っている
(肥満は適応外)
漢方薬(防風通聖散、防已黄耆湯等)
肥満症
腹腔鏡下スリーブ状胃切除術
BMI35以上
6ヶ月以上の内科的治療で症状が改善しない
糖尿病、脂質異常症、高血圧、睡眠時無呼吸症候群の中から一つでも合併している
※2型糖尿病…遺伝要因に加えて、生活習慣(運動不足や食べ過ぎ 等)の影響が加わって発症する。糖尿病の約95%以上が2型。
治療費用はいくらくらい?
一般的な目安としては、検査費用込みで2,000円~1万円程度必要になるケースが多いです。
ただし、各医療機関により異なるため、受診前に確認しておくとよいでしょう。
「保険適用」のケースの治療費
2,000円~7,000円程度
「保険適用外」のケースの治療費
治療費 診察費…1回5,000円程度
薬剤費(30日分)…2万~5万円程度
肥満治療の種類別「費用目安」
治療の種類
費用の目安
リベルサス内服薬
300円/30mg1錠
ジャディアンス(内服薬)
300円/1錠
サノレックス(内服薬)
400~770円/1錠
GLP-1注射(自己注射/内服もあり)
5,5000円/30日分
トルリシティー(自己注射)
8,500円/1本
脂肪燃焼注射
2,750円/1回
腹腔鏡下スリーブ状胃切除術
70万円以上(保険適用外の場合)
※肥満治療の種類と費用は各医療機関によって異なるため、受診前に確認するようにしてください。
一般的な初診の流れ
初診の流れ(一例)
問診・カウンセリング(体重測定等)
診察
血液検査(※)
尿検査
内臓脂肪の検査
治療法の提示
※コレステロール値・中性脂肪量を明確にして、内臓や体の代謝状態等を確認します。
初診でよく聞かれること
初診の際には、
日々の食生活や生活習慣について
肥満に伴う病気を発症しているか
今までの経緯について
既往歴について
などを伝えると診察がスムーズに進むと考えられます。
肥満治療を検討している方は「内科」で受診しましょう。
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
東京都立多摩総合医療センター 外科(消化器・一般)
小牧市民病院 肥満症治療チーム
順天堂医院 肥満外来
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2018-12-18
「太り過ぎかもしれない…」
「肥満が原因の病気ってどんな病気?」
太り過ぎが原因の病気について、お医者さんに聞きました。
病気になる理由や肥満がもたらす体調不良についても解説します。
太りすぎで“体調不良”になるしくみ
脂肪がたまっていると、血糖値や血圧値、中性脂肪などが高くなり、血流が悪化します。
その結果、慢性的な疲労感など体調不良に陥ることがあります。
肥満になれば、体が重くて動きにくくなるため、さらに脂肪がたまりやすい状況になります。
早めに肥満を改善しなければ、どんどんと健康から遠ざかり、健康とはかけ離れた「悪循環の体質」になってしまうのです。
”太りすぎ”の目安
日本肥満学会では、肥満(太り過ぎ)はBMI25以上をいいます。
BMI25以上30未満が肥満度Ⅰ
BMI30以上35未満が肥満度Ⅱ
BMI35以上40未満が肥満度Ⅲ
BMI40以上が肥満度Ⅳ
とされています。
ただ、BMI25以上でも病気ではありません。
BMIはあくまでも簡易に肥満をみるための指標で、身長が高いほど体重が重くなるという理論で計算されます。
筋肉質の方は、体重が重くなりやすいので、太っていないのにBMIが高くでてしまうことがあります。
肥満によって健康障害が出ている場合は「肥満症」という病気になります。
太りすぎるとでる症状
息切れ
疲れやすくなる、だるい
足腰が痛くなる
などが出やすくなります。
※足腰の痛みは、体重が重いために起こる症状です。
特に注意「太り過ぎ」が原因になる3つの病気
肥満の状態が続くと、
2型糖尿病
心筋梗塞・脳梗塞・脳卒中
痛風
といった病気を招くリスクがあります。
それぞれの病気を詳しくご紹介します。
病気① 2型糖尿病
インスリンの分泌が悪くなることで、高血糖状態が続いてしまう病気です。
血管にダメージを与えるため、次第に全身の健康が損なわれていきます。
すい臓から出る「インスリン」というホルモンには、血糖値を下げる働きがあるため、不足すると血液内の糖分が多くなってしまいます。
食べ過ぎ・肥満・運動不足など、生活習慣の乱れが原因で、発病した場合は「2型糖尿病」と診断されます。
特に肥満になると発症する糖尿病を「肥満糖尿病」といいます。
「肥満糖尿病」である場合、今までの食生活を見直さないと、症状は悪化します。
ただし、体重を落とすように努力をし、実際に体重を落とせれば、改善する場合もあります。
糖尿病が悪化すると…
糖尿病は、
失明(糖尿病網膜症)
腎不全(糖尿病性腎症)
指先からの壊死
を招く恐れがあります。
指先が壊死すると、手足切断するケースもあります。
これらの重大な合併症を避けるためにも、血糖値のコントロール(管理)が必要になります。
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病気② 心筋梗塞・脳梗塞・脳卒中
血栓が脳や心臓に詰まると、心筋梗塞・脳梗塞・脳卒中を引き起こすリスクがあります。
これらの病気は命に危険が及ぶので、注意が必要です。
血栓は、揚げものなど「脂っこいもの」を食べ過ぎて肥満体質になった人に生じやすいです。
この場合、血液がどろどろ状態になっていると考えられます(脂質異常症)。
また、血管内にプラーク(※)が形成されると、血液が通りづらくなり、血管は柔軟性を失ってもろくなります。
状態によっては、もろくなった血管が切れてしまい、体内で大出血を起こすこともあります。
※プラーク:血液内の余分なコレステロールなどで形成される、血管内の異常な細胞
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病気③ 痛風
結晶化した尿酸によって関節炎が起こり、足の親指などに激痛が走る病気です。
激しい痛みで、一時的に歩行が困難になることもあります。
「尿酸値が高いですね」
人間ドックを受けたときなどに、そんなことを言われた経験はありませんか?
尿酸は、プリン体が分解されたときにできる老廃物で、尿や便と一緒に排せつされます。
尿酸の値が基準値より高いと、「高尿酸血症」という状態になります。
高尿酸血症になると尿酸が結晶化し、それが関節に沈着(付着)すると、激痛を伴う関節炎を引き起こします。
痛風は、おいしいものばかり食べて太り、それが原因で発症するので、「ぜいたく病」とも呼ばれています。
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無理のないダイエットから始めよう
太りすぎ・肥満が気になる人は、ダイエットが必要です。
無理のないダイエットから始めてみてください。
減量方法① 食事制限
食事制限と言っても、極端に食事量を減らせばいいというわけではありません。
急に肉類を絶つのも禁物です。
肉類を摂取しないと、筋肉を作るたんぱく質が不足し、善玉コレステロールなどの必要な栄養素が足りなくなり、体調を崩す要因にもなりかねません。
主食・主菜・副菜をきちんとそろえ、栄養バランスの整った食事を摂りましょう。
減量方法② 運動
無理のない運動で体を動かし、エネルギーを消費しましょう。
例えば、駅などではエスカレーターに乗らず、階段を歩くようにする、一駅分を歩いてみる、などの取り組みです。
食事制限も、運動も、「これならできそう」と思えるところから始めてみましょう。
肥満を解消し、病気を予防するには、まずは体質改善からです。
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▼参考
e-ヘルスネット-厚生労働省
メタボリック症候群の診断基準
e-ヘルスネット- e-ヘルスネット 肥満と健康