最近、肩が痛い…。
つったような痛みなのだけど、これってどういう状態?
「肩がつったような痛み」がする原因について、お医者さんに聞いてみました。
狭心症・心筋梗塞などの危険な病気が隠れているおそれもあるので、心当たりのある症状がないかチェックしましょう。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
肩に「つったような痛み」…これってどんな状態?
肩に「つったような痛み」を感じる場合、
- 肩周りの血流が悪くなっている
- 肩周りの筋肉が凝り固まっている
という状態だと考えられます。
これらは、運動不足やストレスの蓄積、体の緊張、冷え性などによって引き起こされます。
特に、同じ姿勢を続けているときに痛みが出やすいです。
改善しないまま放置していると、慢性的な肩こり・首こり・頭痛などを発症しやすくなります。
痛くて体を動かせないときは…
痛みで体が動かせないときは、無理に動かさずに、まずは楽な姿勢をとってください。
その後、深呼吸をしてリラックスしましょう。
つった感じがなくなり、肩周りを動かせるようになったら、肩甲骨をほぐすように、少しずつ腕を回しましょう。
慣れてきたら範囲を広げていき、徐々に大きく前・後ろに回してください。
このほか、
- ホットタオルで肩周辺を温める
- 入浴をして体全体をほぐしてあげる
といった方法もおすすめです。
血流や筋肉の凝りの改善につながるため、痛みの緩和が期待できます。
痛みが続く場合は病院へ!

- 数時間〜半日程度しても痛くて腕を動かせない
- 温めても痛みがとれない
などの場合は、
整形外科で受診しましょう。
何らかの病気が隠れている疑いがあります。
放置していると、症状が悪化して治療が長引くおそれがあるので早めに受診しましょう。
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考えられる3つの病気
肩につったような痛みがある場合、上記の3つの病気が隠れている可能性も考えられます。
病気① 狭心症・心筋梗塞
血管が狭くなって酸素や栄養が行き届かず、心臓が正常に機能できなくなっている状態です。放散痛※により、肩に痛みが生じることがあります。
※放散痛…病気になった臓器の痛みが、そこから離れた別の部分にあらわれること。
主な症状として、
- 胸の締め付け感
- 息苦しさ
- 息を吸うとつらい
- 左肩・右腕の痛み
- 背中や胃の痛み
などがあります。
加齢や、糖尿病・高血圧症などが原因で、心臓や周辺の血管が動脈硬化を起こしていると、発症しやすくなります。
ほかにも、「喫煙している」「ストレスや疲労がたまっている」「睡眠不足」「お酒の飲みすぎ」などに当てはまる場合、発症リスクが高まります。
心筋梗塞かも、どうすればいい?
早めに医療機関へ相談しましょう。
まずは「内科」に相談してください。
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病気② 慢性閉塞性肺疾患
肺の機能が低下し、呼吸困難を引き起こす病気です。肺が硬直して横隔膜の働きが悪くなっているため、呼吸をして酸素を取り入れる際、肩周りの筋肉を多く使うため、痛みやつった感覚が起こりやすくなります。
酸素をうまく体に取り込めなくなるため、息切れ・息苦しさを感じます。
- 息苦しさが常につきまとっている
- 風邪ではないのにタンや咳が続いている
という人は、慢性閉塞性肺疾患の疑いがあります。
「長期間にわたり喫煙している」「空気が汚染されているところで長時間仕事をしている」といった人に多い病気です。
慢性閉塞性肺疾患かも、どうすればいい?
早期の診断と治療が必要です。
思い当たる点がある人は、早急に医療機関へ相談しましょう。
まずは「内科」に相談しましょう。
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病気③ 慢性肝炎(慢性の肝機能障害)
肝臓が慢性的に炎症を起こし、機能障害が続く病気です。
肝臓の近くにある横隔膜が痛み、肩こり・肩の痛みがあらわれる場合があります。
また、肝臓の機能が低下することにより、「体に必要な成分の合成ができなくなる」「有害な物質を解毒できなくなる」という状態になるため、倦怠感や免疫力の低下などを引き起こします。
という人は、肝臓の負担が大きいため発症リスクが高いです。
その他、「肝炎ウイルス」への感染により、発症するケースもあります。
慢性肝炎かも、どうすればいい?
セルフケアでは対処できないので、医療機関へ相談しましょう。
病院は「内科」に相談しましょう。
食生活の見直しも重要です。
などを心がけてください。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2021-07-13
「肩がズキズキ痛い…20代の場合、何が原因?」
肩腱板損傷や肩こりなど、考えられる病気を解説します
病院に行く目安、受診すべき診療科もチェックしましょう。
何これ!肩がズキズキ痛い…
20代の若い方で肩がズキズキ痛い場合、
肩の筋肉が傷ついている
肩につながる神経に異常がある
といった状態が考えられます。
痛みを抑える方法は?
患部の状態に合わせて、冷やすか、温めてください。
<冷やしたほうがよいケース>
急に強く痛み出した
肩に熱感がある
といった場合は、患部を冷やすと症状が和らぎやすいです。
湿布を貼って、安静にしましょう。
<温めたほうがよいケース>
肩が動かしにくい
冷えが原因で発症した
といった場合は、温めて血行を良くしましょう。
温湿布を使ったり、湯船に浸かったりすると、体が温まります。
これはNG!間違った対処法
原因がわからないときに、患部を揉みほぐすのは止めましょう。
やみくもに強く揉んでしまうと、筋肉や腱を余計に痛め、症状が悪化する恐れがあります。
病院に行った方がいいの?
症状が3、4日以上続いている
快方に向かう気配がない
痛みが強くなっている
といったときは、医療機関の受診をおすすめします。
上記の場合、放置すると痛みが広がるケースもあります。
症状を重くさせないよう、早めの治療を心がけてください。
何科で受診すればいい?
肩のズキズキした痛みは、整形外科で相談できます。
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20代に多い!肩がズキズキ痛む2つの原因
20代の若い方で、肩がズキズキと痛いのは、
肩腱板損傷
肩こり
といった原因が考えられます。
原因① 肩腱板損傷とは
肩腱板という、肩関節にある筋肉の腱を損傷すると、肩がズキズキと痛むことがあります。
肩腱板損傷は中高年に多い病気ですが、肩の使いすぎ・ケガによって20代の人も発症します。
「肩腱板損傷」の症状の特徴
肩の鈍痛
感覚異常、張り感
ズキズキ感じる
朝や夜に痛む
動かすと痛む
動かさないときも痛む
動かそうとしても、思うように動かない
動く範囲が狭くなってくる
「肩腱板損傷」を発症するキッカケ
肩の使いすぎ
重い荷物を持つ動作
ケガ
悪い姿勢
などをきっかけとなって発症します。
自分でできる対処法は?
患部に熱感・張り感があるときは、冷やしてください。
症状が落ち着いてきたら、患部を温めたり、少しずつ肩を動かしたりしましょう。
上記のケアを行っても改善が見られない場合は、早めに医療機関を受診してください。
病院は何科?
肩腱板損傷は、整形外科で治療を受けられます。
医療機関では、運動療法や温熱療法で治療を行なうケースが多いです。
<運動療法>
痛みの具合や可動域に合わせ、医師や理学療法士がリハビリ方法を指導します。
<温熱療法>
ホットパック、マイクロ波などの機器を用いて患部を温めます。
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原因② 肩こり
肩こりがひどくなると、周りの筋肉が固まってしまい、肩がズキズキと痛むことがあります。
肩こりは、20代の若い人でも発症します。
「肩こり」の特徴
肩や首周辺の張り
肩を動かす時の痛み
動かしていなくても痛みを感じる
頭痛
吐き気
腕や手の痺れ
「肩こり」を発症するキッカケ
運動不足
同じ姿勢での長時間のデスクワーク
眼精疲労
体の冷え
ストレス
などがきっかけとなって発症します。
スマートフォンやパソコンをよく使用する人は、眼精疲労による肩こりに注意しましょう。
若い世代の肩こりは、受験勉強をしている人、緊張を感じやすい人にも発症しやすいです。
自分でできる対処法は?
1時間に1回、腕を回して肩周辺の筋肉をほぐしましょう。
また、パソコンやスマホの画面を長時間見すぎない、肩まわりが冷えないようにする、といった点も意識してください。
液晶画面を見るときは1時間に10分程度、画面から目を離して休憩しましょう。
また、湯船に入って体を温める習慣をつけると、症状が改善しやすくなります。
病院は何科?
肩こりでお困りの場合は、整形外科を受診しましょう。
肩こりの治療法には、
湿布の処方
温熱療法
運動療法
筋膜リリース療法
生活改善指導
などがあります。
「筋膜リリース療法」は、患部に生理食塩水を注射して肩こりを楽にする治療法です。
注射から数日間は効果がありますが、吸収されると肩こりがまた発生するため、運動療法や生活改善を組み合わせて行う必要があります。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
公益社団法人日本整形外科学会 肩こり
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2021-05-28
腕を上げると肩が痛むのは、なぜ?
肩の痛みで考えられる原因を、お医者さんが解説します。
筋トレ・ストレッチなどの対処法も、併せて確認しましょう。
なぜ?腕を上げると肩が痛い…
腕を上げると肩が痛む場合、
肩の関節に、炎症が起こっている
肩まわりの組織に、損傷が起こっている
と考えられます。
病院を受診すべき?安静で大丈夫?
症状が出て間もない場合には、一旦様子を見てみましょう。
寝違え
血行不良
肩を酷使する仕事(重い物を運ぶ等)
スポーツ(ベンチプレス、野球等)
などが原因となり、一時的に肩の痛みが起こる場合もあります。
ただし、こんな症状は、病院で相談を
症状が3日以上改善しない
痛みが強い
痛みがどんどん悪化する
腕にしびれがある
背中や胸も痛む
安静時にも痛みがある
といった場合は、受診をおすすめします。
腕にしびれが生じる場合、頚椎(首)の病気も考えられます。
また、背中や胸の痛み、安静時の痛みには、心臓や肺の病気が隠れているケースもあります。
病気が悪化すると手術や入院が必要になることもあるため、早めの受診を心がけましょう。
何科で受診すればいい?
腕を上げると肩が痛いときは、まず整形外科を受診してください。
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よくある2つの原因
腕を上げると肩が痛いのは、
肩関節周囲炎(五十肩、四十肩)
腱板断裂
の可能性が高いです。
原因① 肩関節周囲炎(五十肩、四十肩)
肩関節・肩の関節包に炎症が起こる病気です。
代表的な症状として、「腕を上げたときの肩の痛み」が挙げられます。
この病気によって、関節包が厚みを帯びたり癒着したりすると、肩を動かしにくくなります。
肩関節周囲炎に「なりやすい人」
40~60代の人
日頃から姿勢が悪い人
運動不足の人(肩を動かさない生活)
慢性的に肩が凝っている人
デスクワーク中心の人
日頃から肩をあまり動かしていない生活を送っていると、血行不良によって発症リスクが上昇します。
10~20代の若い世代での発症は、ほとんどないと考えられています。
肩関節周囲炎の「原因」
原因がはっきりわからないケースが多いです。
ただし、加齢による変化や、血行不良などが関わっていると考えられています。
加齢による変化とは、肩の関節・筋肉・靭帯などが徐々に弱くなっていくことを指します。
一方血行不良は、筋肉の疲労物質などを蓄積させてしまうため、肩の炎症を招く原因となります。
自分でできる対処法
肩関節の筋トレ・ストレッチによって、症状の改善が期待できます。
※ただし、ストレッチなどは痛みが落ち着いてから行うようにしてください。
肩関節の筋トレ
500mlの水が入ったペットボトルを用意し、①~④の流れで行ってください。
仰向けになる
ペットボトルを持って、肩を90度に挙げる
腕を外側に少しずらし、肩を元の位置に戻す
この運動を10回程度繰り返す
肩関節のストレッチ
肩幅程度に足を広げて立つ
腕の力を軽く抜く
水泳のクロールの動作をゆっくり行う(10回程度)
背泳ぎの動作をゆっくり行う(10回程度)
※ストレッチ中に違和感や痛みが現れたときには、無理せず中止してください。
また、セルフケアを行っても症状が改善しない場合には、整形外科で相談しましょう。
ほかの病気が隠れている可能性もあるため、検査が必要です。
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原因② 腱板断裂
肩の“腱板”という組織が切れて炎症が起こると、肩の痛みを感じます。
腱板(けんばん)ってなに?
腱板は、腕を回す動作・腕を上げる動作に必要な筋肉です。
肩甲骨の突起と上腕骨の間にあり、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの組織から構成されています。
腱板断裂になりやすい人
40代以上の中高年世代
肩を使うスポーツを行う人(野球、テニス等)
重い物を持つ仕事をしている人
喫煙者
スポーツやケガが原因となって、10~20代の若い世代に発症するケースもあります。
腱板断裂の原因
加齢による変化
肩を酷使する仕事、スポーツ
ケガ
などが原因です。
加齢による変化には、肩腱板が脆くなることが挙げられます。
また、肩(腕)を上げる動きを頻繁に行うほど、骨に挟まれて腱板が切れるリスクが上昇します。
自分でできる対処法
腱板断裂の改善には、ストレッチで肩甲骨周辺の筋肉を大きく動かすと良いでしょう。
ただし、痛みが強い時期にはストレッチは行わず、肩を動かさないようにしてください。
タオルを使ったストレッチ
テーブルの上にタオルを広げ、①~⑤の流れで行ってください。
椅子に座りタオルに両手を置く
両手の間隔を肩幅の位置に合わせる
タオルを滑らせるように、上半身を前に倒す
無理のない位置で、3秒間ほどキープ
体を元の位置に戻す
少しでも違和感・痛みを感じたときには、ストレッチを中止してください。
また、症状が改善しない、痛みがひどくなるといった場合には、早急に整形外科を受診しましょう。
長引く痛みは必ず病院へ!放置すると…
肩の痛みを放置すると、痛みが悪化したり、肩の可動域が狭くなったりして、日常生活に悪影響が出る場合があります。
また、肩腱板の完全断裂など、重い状態に陥るリスクもあります。
悪化すると症状の改善が大幅に遅れるため、早めに受診して治療を受けることおすすめします。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
一般財団法人日本予防医学協会 腕が上がらない!四十肩・五十肩?!
徳島県医師会 五十肩