「鼻がツーンと痛い…」
副鼻腔炎に伴う頭痛の治療法について、お医者さんに聞きました。
副鼻腔炎を放置した際のリスクについても解説します。
監修者
経歴
平成14年5月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科臨床研修医
平成16年5月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科助教(院外)
平成18年6月 幕内会 山王台病院 外科
平成19年6月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科助教
平成20年6月 関東労災病院 外科
平成21年6月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科 助教
平成24年10月 横浜旭中央総合病院 外科、昭和大学藤が丘病院 兼任講師
平成29年11月 しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開業、院長に就任
その頭痛、副鼻腔炎かも
「鼻の病気なのに頭痛がおきるの?」と思う方もいらっしゃいますが、副鼻腔炎(蓄膿症)が原因で、頭痛が起こるのは珍しいことではありません。
病院で調べたら、「頭痛ではなく、実は副鼻腔炎だった」ということがよくあります。
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副鼻腔炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
副鼻腔炎の主な症状も紹介するので、「副鼻腔炎かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしましょう。
副鼻腔炎とは
副鼻腔炎とは、副鼻腔(鼻の奥にある空洞)や鼻の粘膜に、細菌やウイルスが侵入し、炎症が起こる病気です。
副鼻腔に膿が溜まったり、腫瘍が発生したりすることで、目の下の骨に痛みが生じることがあります。
副鼻腔炎の症状
鼻がつまる
黄色や緑色の鼻水(膿性鼻水)が出る
発熱する
痰がからむ咳が出る
ほほ、おでこに痛みが出る
頭が痛い
目が痛い
歯が痛い
副鼻腔炎の原因
副鼻腔炎にかかる原因としては、下記が挙げられます。
風邪
ハウスダスト
花粉
カビ
風邪以外の原因に関しては、それらが鼻から入って副鼻腔にまで侵入し、炎症を起こして鼻水が臭うこともあります。
副鼻腔炎になりやすい人
副鼻腔炎は、誰にでも発症する可能性のある病気ですが、次のような人は特に注意が必要です。
75歳以上の高齢者
糖尿病、慢性肺疾患、慢性腎疾患などにかかっている方
ウイルスや細菌感染による鼻症状を繰り返している方
過去一ヵ月に抗菌薬を使用した方
肥満傾向の方
喫煙習慣のある方
ぜんそくや気管支炎のある方
副鼻腔炎に使える市販薬は?
市販の鼻炎薬を使用することで、回復することもあります。
市販薬の例
アレルギー性副鼻炎の場合…
ナシビンメディ:佐藤製薬
アルガード鼻炎クールスプレーa:ロート製薬
風邪による副鼻炎の場合…
パブロン鼻炎アタックJL:大正製薬
アレルギーによる場合には、副鼻腔炎だけでなく鼻閉(鼻づまり)も併発している可能性があるため、点鼻薬がおすすめです。
また、最近では漢方薬による副鼻腔炎の治療薬も出始めています。
蓄膿症の漢方薬としても用いられている辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)がおすすめです。
こんな症状は早く病院へ
副鼻腔炎が悪化している場合、自然に治りにくいです。症状が2週間以上続いているときは、早めに受診しましょう。
副鼻腔炎が悪化すると、症状の慢性化や中耳炎を発症するリスクがあります。
中耳炎は聴力に悪影響を及ぼす恐れがあるため、注意したいものです。
さらに、重症化して髄膜炎(※)を引き起こすケースも稀にあります。放置しないようにしましょう。
※「髄膜炎」…頭蓋骨と脳の間にある「髄膜」という膜に、細菌・ウイルスなどが感染し、炎症を起こす病気。頭痛や嘔吐、錯乱などの症状が現われ、最悪の場合命に関わることもある。
病院は何科?
副鼻腔炎の症状は、耳鼻いんこう科で相談しましょう。
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副鼻腔炎の治療法
薬の処方、点鼻噴霧ステロイド、鼻洗浄を行います。
処方するお薬には、鼻の中の環境を整える「抗菌薬」、痰を出しやすくする「去痰薬」などがあります。
症状によっても異なりますが、2〜3ヶ月程度で治るケースが多いです。
なお、薬物療法で改善が見られない場合には、内視鏡での手術も検討されます。
副鼻腔炎とは
「副鼻腔」とは、鼻の穴の奥にある空洞です。
この副鼻腔の粘膜に、ウイルスや細菌などが感染すると炎症が起こります。その炎症が頭痛の原因です。
また、副鼻腔と鼻腔の通り道は狭いので、粘膜が炎症を起こして腫れると通り道はふさがってしまいます。すると、副鼻腔の換気や分泌物排せつができなくなり、副鼻腔に膿がたまります。
この状態を「急性副鼻腔炎」と言い、三カ月以上続いた場合を「慢性副鼻腔炎」と言います。
「副鼻腔炎」と「蓄膿症」って何が違うの?
「副鼻腔炎」と「蓄膿症」は同じ病気です。
以前は膿のような鼻水がでることから「蓄膿症」と呼ばれていましたが、現在は「副鼻腔(びくう)炎」の病名が使われています。ちなみに、蓄膿症は医学用語ではありません。
副鼻腔炎の症状「鼻づまり・おでこの痛み」
- 鼻づまり
- 黄色や緑色の鼻水(膿性鼻水)
- 頭痛
- 眼痛
- 歯痛
- ほほの痛み
- おでこの痛み
- 発熱
- 痰がからむ咳
など
頭を下げると、頭やおでこなどの痛みが強くなることもあります。
とりわけ副鼻腔内に鼻水がたまると、頭や頬に痛みを感じることがあります。ひどくなると、口臭・嗅覚障害が起こることもあります。
副鼻腔炎を放っておくと…
副鼻腔炎は、放っておくと悪化してしまいます。
頭痛や鼻づまりなどが長く続くと不快感も続き、生活の質が低下します。
病院では、どんなお薬が処方されるの?
細菌の発育を阻止するお薬(抗菌薬)、粘膜の炎症を抑えるお薬、痰や鼻水を出しやすくするお薬などが処方されます。
細菌の発育を阻止するお薬
ペニシリン系の抗生物質「ワイドシリン」「サワシリン」などが処方されます。
これらが効かない場合や症状がひどい場合はセフェム系の「メイアクト」「フロモックス」が処方されます。
他にマクロライド系の「クラリシッド」「ジスロマック」などがあります。
粘膜の炎症を抑えるお薬
粘膜の炎症を抑えるスプレー式の点鼻薬「フェニレフリン」「オキシメタゾリン」などがあります。
痰や鼻水を出しやすくするお薬
「カルボシステイン」「アンブロキソール」などがあります。
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「副鼻腔炎で熱が上がったり下がったりするのはなぜ?」
「おすすめの薬とかはあるの?」
副鼻腔炎で熱が出る理由と対処法、おすすめの市販薬を医師が詳しく解説します。
副鼻腔炎で発熱する理由
急性副鼻腔炎は、ウイルスや細菌による急性の炎症です。 初めは主に風邪などのウイルス・細菌感染で発症するので、発熱を伴うことがあります。
熱が上がったり下がったり…なぜ?
熱が上がったり下がったりするのは、一度減少させたウイルスたちが、安静にしていなかったことで再び活性化するのが原因です。
熱が下がってすぐに運動をしたり、日中動き回ったりしていると、体は疲れて免疫が落ちます。
ストレスを受けることも免疫の低下に繋がります。
そうすると、再度ウイルスたちが勢いを増し、また夕方ごろから発熱します。
また、まだ弱っている体が原因となったもの以外のウイルスに重ねて感染し、同じような症状を発症することもあります。
副鼻腔炎の熱はいつまで続く?
通常、軽症の急性副鼻腔炎の場合、安静にしていれば、数日間で徐々に快方に向かいます。
市販薬を選ぶならどれ?
風邪症状も同時に出ている急性副鼻腔炎であれば、鼻症状と他の症状(せき・発熱・くしゃみなど)も同時に緩和してくれる総合感冒薬(風邪薬)で効果がある場合があります。
念の為、薬剤師や登録販売者に症状を伝え、相談することをおすすめします。
「総合風邪薬」と「解熱剤」の併用はNGです
成分が異なれば飲んでも大丈夫なものもありますが、子どもや高齢者など、免疫力が低い人は薬の服用には十分注意を払う必要があります。自己判断で薬を増やすことはやめましょう。
現在、ほとんどの感冒薬には熱を下げる成分が入っています。
感冒薬を服用していて熱を下げる成分が入っている場合は、鎮痛剤を使用する必要はありません。
また、使用の際は念のため、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。
なかなか治らないときは耳鼻いんこう科へ
副鼻腔炎の症状が1ヶ月以上続いているときは、早めの受診をおすすめします。
副鼻腔から鼻の入り口に通じる空気孔の部分が炎症で塞がり、中に膿が溜まる「慢性副鼻腔炎」になってしまう可能性があります。
慢性副鼻腔炎になると、
・鼻づまり
・倦怠感
・匂いがよくわからない
という症状が数ヶ月以上続くようになります。
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適切な治療で慢性化を防ごう
急性副鼻腔炎になったら、症状にあった治療・薬で慢性化させないように注意しましょう。
また、子どもでも副鼻腔炎は発症します。
鼻が詰まっていて、機嫌が悪いといった症状があれば耳鼻いんこう科に相談しましょう。
\こんなときは早く病院へ!/
生後3ヶ月未満は、38度以上発熱がある場合、必ず病院を受診してください。
熱が高くなくても、呼吸困難や意識障害が見られる場合は病院を受診、もしくは救急車を呼びましょう。
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「熱が出た!」と思ったら「朝にはすっかり下がっていた…」。
このような経験をお持ちの方も多いと思います。
一晩で下がる発熱の原因を、医師が詳しく解説します。
大人なのに…「熱が一晩で下がった?」
一晩で熱が下がった場合、心因性発熱(ストレス)または風邪のケースが主に考えられます。
それぞれのケースについて、次の項目で詳しく解説します。
原因① 心因性発熱(ストレス)
心因性発熱とは、主にストレスによって起こる発熱を指します。
過度のストレスで交感神経が活発になると、「熱を発生させる細胞」に刺激が加わり、一時的に発熱する場合があります。
◆心因性発熱の症状
心因性発熱の場合、一晩で熱が下がったり、高熱を繰り返したりします。
熱の程度には個人差があり、37度の微熱の人もいれば、38度以上の高熱になる人もいます。
また、
頭痛
腹痛
躁鬱などの気分障害
パニック障害などの不安障害
を伴うこともあります。
ストレスで発熱しやすい人の特徴
日常生活でストレスを感じやすい人
几帳面な人
頑張りすぎる人
神経質な人
心配性な人
心因性発熱の対処法
まずはゆっくり体を休めることが必要です。
落ち着いた環境(アロマ、音楽、間接照明など)を作り、眠れるようであれば、目を閉じて休みましょう。
なお、心因性発熱の場合、解熱鎮痛剤は効果を発揮しません。
原因② 風邪のケース
風邪のウイルスがそこまで強くなければ、自分の免疫が勝って一晩で熱が下がることもあります。
風邪をひくと、侵入したウイルスの繁殖を抑えたり、体の免疫機能を高めたりするために体温が上がります。
通常は、おおよそ3日くらいで下がることが多いです。
◆風邪の症状
くしゃみ
鼻づまり
喉の痛み
咳
など
風邪をひきやすい人の特徴
忙しくてなかなか休めない人
ストレスや疲労を溜めがちな人
睡眠不足の人
栄養バランスが偏っている人
上記の人は免疫力の低下によって、風邪を引きやすくなります。
風邪の対処法
そのまま眠れるようであれば、おでこや首などにタオルにくるんだ保冷剤を当てたり、冷やすシートを貼って休みましょう。
また、熱が高かったり、長時間も高熱が続く場合は、解熱剤を服用しましょう。
「夜に発熱を繰り返す」のは、疲れ・感染症が原因かも
夜に発熱を繰り返す場合、
尿路感染症
疲労・ストレス
関節リウマチ
がん
などの原因が考えられます。
① 尿路感染症
尿路感染症は、膀胱などに細菌感染を起こして発症する病気です。
症状が進むと、疲れのたまる夜間に発熱することがあります。
尿路感染症の症状
排尿痛
下腹部痛
頻尿
発熱
尿路感染症の対処法
軽い症状の場合、こまめに水分を補給していれば、細菌が尿で排出されて数日で快方に向かいます。ただし、重いものであると抗菌剤の投与が必要となるため、泌尿器科で治療を受けましょう。
泌尿器科を探す
② 疲労・ストレス
疲労やストレスがたまると、1日の疲れが出て夜間に発熱をするケースがあります。
また、免疫機能が低下するため、風邪も引きやすくなります。
疲労・ストレスによる症状
倦怠感
疲労感
食欲不振
めまい
頭痛
冷え
集中力低下
疲労・ストレスの対処法
ゆっくり休息を取る必要があります。仕事が休めないときでもこまめに休憩を入れましょう。
毎日の睡眠、食事が大事です。しっかり睡眠をとり、バランスの良い食事をとりましょう。
③ 関節リウマチ
免疫機能の異常によって、関節の痛み、関節の変形、発熱、倦怠感などを起こす病気です。
倦怠感も強く出るので、夜間に日中の疲れが出て発熱することもあります。
関節リウマチの症状
関節痛
倦怠感
微熱
関節の腫れ
関節の変形
関節リウマチの対処法
専門機関での治療が必要です。
朝起きた時の関節の腫れ、関節の動かしにくさなどが現れてきたら、早めにリウマチ科を受診しましょう。
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④ がん
がんを発症していると、体に疲れが溜まりやすくなります。
そのため、1日の疲れが出る夜間に発熱するケースもあります。
がんの症状
倦怠感
食欲不振
気分が悪くなる
体に痛みが走る
不正出血(女性器のがん)
がんの対処法
専門機関での治療が必要です。早急に内科を受診しましょう。
早めに取り除かなければ、身体中にがんが広がって死に至る恐れがあります。
内科を探す
熱が下がった後の過ごし方
熱が下がって体が楽になっても、すぐに油断せず、熱以外の症状も治まるまでは、下記の点に気を付けてください。
安静にして体力を温存する。
消化の良い物を食べ、弱った消化器官の負担を軽くする。
辛味が強く刺激的な物や、油分の多い物を控え、消化器管の負担を軽くする。
ビタミン、ミネラルが豊富な物を食べ、免疫力を高めて感染などの再発を防ぐ。
アルコールを控え、肝臓を休ませる。
喫煙を控え、気道への刺激を軽減する。
高熱による発汗で失った分、水分と塩分を多めに摂り、脱水を防ぐ。
良質なたんぱく質を摂り、消耗した体力を補う。
熱が下がったら出社してもいい?
風邪の場合、熱が下がり、気分も良く、動くのに支障がないようでしたら、出社しても大丈夫でしょう。
ただし、だるさや、倦怠感がある場合は、まだ体力が戻っていないので無理しないようにしてください。
無理をすると、発熱を繰り返すことがあります。
出勤する場合は、マスクをしましょう。
咳やくしゃみが出ても、他の人に移さないように対策をして出勤しましょう。
こんな症状は病院へ
水分・食事がとれない
胸が痛くなるほどの酷い咳が出る
口の中の痛みが増し、喉の奥に腫れや水疱がでる
といった症状が出た場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
「水分・食事を受け付けない」場合は、脱水や体力消耗の危険があるため、点滴などの治療が必要です。
「胸が痛くなるほどの酷い咳が出る」場合は、結核・喘息・肺炎・急性気管支炎・胸膜炎などの恐れがあります。
「口の中の痛みが増し、喉の奥に腫れや水疱が生じる」ときは、ヘルパンギーナのなどの可能性があります。
患者の多くが小児ですが、大人が感染すると、脳炎、髄膜炎、心筋炎などを誘発する恐れがあります。
病院は何科へ行けばいい?
受診すべき診療科は、出ている症状によって異なります。
以下の表を参考にしてみましょう。
受診すべき診療科
症状
内科
心理的な原因の発熱・吐き気・食欲不振
呼吸器内科
耳鼻いんこう科
喉の痛みや咳が続いている
「心理的な原因の発熱」も、まずは内科を受診して検査を受けることをおすすめします。
体に異常がないと判断された後は、心療内科を紹介してもらうことも可能です。
あまりにも高い熱が翌朝には平熱に下がっていたりすると不思議に思いますよね。
その場合は、他に目立った症状が現れなかったとしても、隠れた病気の前兆かもしれません。
少しでも気になるようなことがある時は、早めに医療機関を受診し、医師の診察を受けることをおすすめします。
内科を探す
▼参考
テルモ株式会社→テルモ体温研究所 体温から健康に:体温と生活リズム
ストレスと高体温 心因性発熱かもしれないと思ったら
テルモ株式会社→テルモ体温研究所 体温から健康に:体温と生活リズム
ストレスと高体温 心因性発熱と診察されたら
沖縄県医師会→広報関係 ドクターのゆんたくひんたく:2018年掲載分 原因探り、根本解決を
株式会社メディプラス研究所→オフラボ:「熱が下がらない」風邪薬が効かない長引く熱、ストレスが原因かもしれません【ストレス性発熱の処方箋①】
一般社団法人小金井市医師会→お知らせ:風邪について