「仰向けで寝ると腰が痛いのはなぜ?」
その痛みは“病気のサイン”かもしれません。
どんな病気の可能性があるのか、お医者さんにお聞きしました。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
“仰向けで寝ると腰が痛い”のは病気のせい?
仰向けになると腰が痛い症状には、筋肉や神経、内臓の病気が隠れていることもあります。
特に、
- 腰の痛みが3日以上続いている
- 同じ箇所が痛む
- 痛みが強く眠れない
といった場合は、病気の疑いが強くなるため要注意です。
放置して悪化すると入院が必要になるケースもあります。
痛みが気になる方は、念のため整形外科で相談してみましょう。
整形外科を探す
どんな病気の可能性があるの?
仰向けで寝ると腰が痛いのは
- 慢性膵炎
- 腰椎椎間板ヘルニア
の可能性があります。
病気① 慢性膵炎
慢性膵炎とは、消化酵素によってゆっくりと膵臓が溶かされていく病気です。
激しい痛みを生じる急性膵炎と異なり、比較的痛みが軽いため、腰痛と勘違いすることもあります。
膵臓はみぞおち〜へその間にあり、腫れるとみぞおちや背中、腰周辺の痛みが起きます。
こんな症状に心当たりありませんか?
- 発熱
- 吐き気、嘔吐
- 背中の痛み
- みぞおちの痛み
- 上腹部痛
慢性膵炎の原因
アルコールの過剰摂取が原因で発症するケースが多いです。
お酒をたくさん飲む中高年に男性は要注意です。
また、胆石症・膵石症なども、慢性膵炎の発症リスクを上昇させます。
<胆石症>
「胆石症」は、胆嚢や胆管に結石ができる病態の総称です。
もともとの体質や、コレステロールなどの高脂肪などの食生活が影響すると考えられています。
<膵石症>
「膵石症」は、膵臓の中に結石ができる病態の総称です。
過度のアルコール・低栄養などが影響していることもありますが、原因がわからないものもあります。
自分でできる対処法は?
慢性膵炎の進行を防ぐには、禁酒・禁煙が大切です。
また、急激な痛みを感じた際は、必ず医療機関を受診してください。
急性膵炎を発症すると、命に関わるケースもあります。
特に毎日飲酒している方は、腰・背中あたり痛みを感じたら早めに受診しましょう。
何科を受診すればいい?
急性膵炎を疑う場合は、内科・消化器内科を受診しましょう。
内科を探す
合わせて読みたい
2023-01-30
膵炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
膵炎の主な症状も紹介するので、「膵炎かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしてみてください。
膵炎とは
膵炎とは、膵臓の消化液が漏れて、臓器を傷つけてしまう病気です。
この膵炎は「急性膵炎」と「慢性膵炎」に分かれます。
「急性膵炎」とは、消化酵素によって膵臓自体がダメージを受けて、炎症が起こっている状態です。
「慢性膵炎」とは、食べ物を消化するための膵液が、長期間に渡って膵臓自身を溶かしてしまう病気です。
「急性膵炎」と「慢性膵炎」それぞれの症状
急性膵炎
▼軽度~中等度の症状
みぞおち周辺から左上腹部の痛み
背中の痛み
吐き気、おう吐(吐いても症状が改善しない)
発熱(37度~38度程度が多い)
食欲不振
腹部膨満感
▼重度の症状
血圧低下
皮膚が黄色っぽくなる
呼吸困難
精神が錯乱してしまうほどの激しい痛み
失神
慢性膵炎
腹痛を5〜10年ほど繰り返す
急にお腹や背中が痛くなることがある
下痢や便秘の症状がある
みぞおちを押すと痛い
だるい
食欲不振
吐き気、嘔吐
お腹の張り(膨満感)
体重減少(※)
※人によって異なりますが、6か月で5%以上を病的な体重減少とすることが多いです。
膵炎の原因
膵炎の原因には、「お酒の飲み過ぎ」「胆石が胆管で詰まる」などが挙げられます。
ただし、はっきりと原因が分からないケースもあります。
膵炎になりやすい人
お酒をよく飲む
タバコを吸う
暴飲暴食している
脂肪分を多く含む食品のとり過ぎ
就寝直前に食事をとることが多い
刺激が強い飲食物を好む
急性膵炎を疑う場合はすぐ病院へ
膵炎が疑われる場合は、「内科」で受診することをおすすめします。
急性膵炎を発症すると、命に関わるケースもあります。
特に毎日飲酒している方は、腰・背中あたり痛みを感じたら早めに受診しましょう。
内科を探す
慢性膵炎も放置はNG
慢性膵炎は症状が進行すると、インスリンの分泌量が低下し、糖尿病を発症する恐れがあります。
また、症状が悪化すると、膵臓ガンを発症する恐れもあるため、早めに受診してください。
膵炎の検査・治療法
医療機関では、必要に応じて血液検査、内視鏡、エコーなどを行います。
そこまで痛い検査はありません。
膵炎の治療は、
鎮痛剤の投与
輸血
絶食
などをおこなって症状の改善を図ります。
安定するまで集中治療の管理が行われるため、入院が必要になるケースが多いです。
病気② 腰椎椎間板ヘルニア
仰向けに寝たときの腰の痛みは、腰椎椎間板ヘルニアも考えられます。
腰椎椎間板ヘルニアは、骨と骨の間でクッション材の役目を担う“椎間板”が飛び出している状態です。
クッション材がなくなることで、腰に負担がかかって痛みが起こります。
また、骨との骨が圧迫し合い、神経にも負担をかけるので、足のしびれや痛みも発症しやすいです。
こんな症状に心当たりありませんか?
- ジンジンと炎症があるような痛み
- 体の重みが負担に感じる
- 足のしびれ
- 足の痛み
- 足が動かない
- 麻痺しているように感じる
腰椎椎間板ヘルニアの原因
- 猫背、中腰の姿勢
- 腰に負担がかかる作業
- 喫煙
- ストレス
などが原因として挙げられています。
重い荷物を運ぶ仕事をしている人は、特に発症リスクが高くなります。
また、デスクワーク中心の仕事をしている人は、悪い姿勢に注意しましょう。
自分でできる対処法は?
ご自身での対処法はありません。
などの症状が続いている場合は、医療機関を受診しましょう。
悪化すると痛みが強くなり、歩行に支障が出るため、早めの治療が大切です。
何科を受診すればいい?
腰椎椎間板ヘルニアを疑う場合は、整形外科を受診してください。
整形外科を探す
腰の痛みが続く場合は、病院で相談しましょう
「仰向けで寝ると腰が痛い」という症状には、内臓や神経の病気が隠れている可能性も考えられます。
放置すると悪化し、入院が必要になってしまうケースもあります。
腰の痛みが続く場合は早めに医療機関で相談し、病気の進行を防ぎましょう。
原因がわからない方は、まず整形外科で相談してください。
整形外科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。