痰が絡んで息苦しい…。
どう対処法したらいいのか教えて!
お医者さんに、息苦しさを早く治す方法を聞きました。
「風邪?」「もしかして喘息?」
考えられる原因と、病院に行く目安もご紹介します。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
なぜ?痰が絡んで息苦しい
何らかの病気にかかり、気道の粘膜が炎症を起こしている可能性があります。
症状を早く緩和する方法は?
水分を多めに摂るようにしましょう。また、喉を加湿することも大切です。
加湿器やマスクなどを活用するとよいでしょう。
喉を潤すことで、痰の粘度が下がり、痰を出しやすくなります。
※COPD(喫煙が主な原因の慢性疾患)の病気が基礎にある方は、以下の方法でも息苦しさを改善できます。
- 腹式呼吸
お腹を膨らますように横隔膜を使うことで、効率よく呼吸ができるようになり、息苦しさが改善されます。
- 口すぼめ呼吸
口をすぼめて息を吐くと気管支がひろがり、呼吸がしやすくなります。
自然に治る?
ウイルス性の風邪や急性気管支炎の場合、安静にしていれば、1週間程度で自然と治ることもあります。
しかし、喉の症状がだんだん悪化してきたり、高熱等の併発症状がある場合には、内科や呼吸器内科での治療をおすすめします。
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市販薬は使ってもいい?
原因がわからないまま、市販薬を使用するのはやめましょう。
自己判断で市販薬を使用すると、合わない薬を使って症状を悪化させる可能性があります。医師や薬剤師に相談してから使用してください。
【一旦、自宅で安静に】よくある病気
- 軽い風邪(急性上気道炎)
- 急性気管支炎
の場合は、一旦自宅で安静にして、様子を見ても大丈夫でしょう。
1.軽い風邪(急性上気道炎)
ウイルスや細菌に上気道が感染することで起こります。体力や免疫力が下がっているとかかりやすいです。
安静にしていれば、1週間程度で治ることが多いです。
<主な症状>
発熱、咳、痰、鼻づまり、鼻水、頭痛、倦怠感などがあらわれます。
2.急性気管支炎
風邪の症状に続いて、症状があらわれます。ウイルスや細菌が気管支の粘膜に感染することで起こります。
ウイルス性の場合、安静にしていれば、自然と快方に向かうことが多いです。
<主な症状>
主な症状は、咳と痰です。
初期には粘り気のある透明の痰がでることがあります。その他、熱、食欲不振、倦怠感などの症状があらわれる場合もあります。
*安静にしていてもなかなか治らないときの対処
症状が4日以上続く場合は病院に行きましょう。
併発症状が重い、症状の悪化が見られる場合も、病院に行ってください。
【一度検査を】病院での治療が必要な病気
- 気管支ぜんそく
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)
の場合は、一度病院を受診した方がよいでしょう。
1.気管支ぜんそく
気管支が慢性の炎症を起こして、アレルゲン等の刺激によって狭くなり、ぜんそく発作が起こる病気です。
ぜんそく発作は、細菌やウイルス感染・ハウスダストやカビなどのアレルゲン、運動やアルコール、ストレスなどによって起こります。
<主な症状>
発作的に咳や痰がでるのが特徴です。ヒューヒュー・ゼーゼーという音がして、息苦しくなります。発作が出やすいのは、夜から朝にかけての時間帯です。
<病院での治療>
吸入薬等を使用して炎症を抑え、発作を予防します。発作が起こったら、気管支拡張薬等を使用します。
2.COPD(慢性閉塞性肺疾患)
喫煙が主な原因です。
喫煙習慣のある人のうち15~20%、中高年に発症することが多いと言われています。ほかにも排気ガスや遺伝的な要因によって発症することもあります。
<主な症状>
長期間咳と痰の症状が続き、特に秋から冬場にかけて症状が重くなる傾向があります。
その他、運動時に息切れが起こります。
<病院での治療>
気管支拡張薬を使用して治療しますが、治療の基本は禁煙です。
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【早急に病院へ】命に関わる病気
- 肺がん
- 肺炎
のケースもあります。早急な病院受診が必要です。
1.肺がん
肺がんは、喫煙(受動喫煙含む)が主な原因のひとつなので、若くから喫煙習慣があり、喫煙量が多い方はリスクが高いです。
そのほかに有害化学物質を浴びやすい職業や、高齢の方、間質性肺炎(※)や糖尿病などの基礎疾患がある場合などもリスクがあります。
※間質性肺炎…何らかの原因で肺胞が硬くなって、酸素が血管内に取り込まれにくくなる疾病
<主な症状>
咳や痰(血が混じることもある)、動悸、息苦しさ、発熱、胸の痛みなどの症状があらわれます。
ただしこれらの症状は、肺がん特有の症状というわけではありません。
<病院での治療>
がんの進行度にもよりますが、切除手術や放射線治療、抗がん剤などの薬物療法による治療を組み合わせて行います。
2.肺炎
細菌やウイルス、カビなどの感染によって起こる病気です。免疫力がさがっているとかかりやすいです。また、喫煙習慣がある方や高齢の方、糖尿病にかかっている方も感染リスクが上がります。
<主な症状>
咳や痰、胸の痛み、発熱、息切れなどの症状があります。吐き気や下痢などがみられることもあります。感染源によって症状は異なります。
<病院での治療>
抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、などを使用して治療します。
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2020-12-16
「喉がイガイガ・ムズムズして咳き込む…」
「痰が絡んで気持ち悪い…」
喉の違和感の原因と対処法を、お医者さんに聞きました。
病院に行く目安も含め、詳しく解説します。
なぜ?喉がイガイガ・ムズムズして咳き込む…
なんらかの原因で、喉や気道に炎症が起きていると考えられます。
また、埃やちりを吸い込むとそれらが喉に張り付いて、イガイガ、ムズムズすることもあります。
どうにかしたい!イガイガと咳はどう対処する?
のど飴やトローチをなめると唾液量が増え、症状が一時的に緩和されます。
炎症を抑える作用があるものがおすすめです。
\おすすめ商品/
ヴイックスドロップ
ぺラックスイート ブルーベリーS
トピックAZトローチ など
また、痰が絡む場合はこまめに水を飲みましょう。
喉の症状を引き起こす3つの原因
長引く喉のイガイガや咳の症状は
風邪
喘息
COPD
の可能性があります。
以下でそれぞれ詳しく解説していきます。
原因① 風邪
細菌やウイルスが、喉で炎症を起こすとイガイガした症状が出ます。
咳は、細菌やウイルスを体外に排出するための反応です。
風邪を引きやすい人
ストレスや疲労を溜め込んでいる人
不規則な生活を送っている人
免疫力が低下しているときに発症しやすいです。
主な症状
発熱
悪寒
くしゃみ
鼻水
鼻詰まり
どう対処すべき?
市販の風邪薬・鎮痛剤を服用すると、症状が緩和されます。
風邪を治すには、自分の免疫力で細菌・ウイルスを追い出すしかありません
消化の良いものを食べ、体を温かくして安静にしましょう。
症状が長引くときは、早めに病院で診察を受けましょう。
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原因② 喘息
アレルギー反応によって気管支が腫れると、咳や喉のイガイガが出ます。
喘息を引き起こすアレルゲンには、ダニやハウスダストなどがあります。
喘息発作を起こしやすい人
アレルギー持ちの人
タバコを吸う人
激しい運動をする人
疲労やストレスを溜めがちな人
主な症状
呼吸時にゼーゼーと鳴る
息苦しさ
胸の痛み
動悸、息切れ
どう対処すべき?
まずは病院で診断を受けましょう。
喘息の発作を改善させるには、治療薬が必要です。
息苦しさがあり、しばらく経っても呼吸が楽にならないときには、救急車を呼びましょう。
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原因③ COPD
COPDとは、肺胞が破壊され、呼吸に障害が起こる病気です。
肺の機能が低下することによって、喉のイガイガや咳き込みが慢性的にあらわれます。
COPDを発症しやすい人
長くにわたって喫煙している人
空気が汚染された環境で過ごしている人
主な症状
痰がよく出る
息切れ、息苦しさ
呼吸時にゼーゼーと鳴る
風邪を引きやすい
どう対処すべき?
COPDの疑いがある場合は、病院を受診しましょう。
タバコを吸う人は、いますぐ禁煙してください。
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病院に行く目安
喉のイガイガや咳が、2日以上続いている
症状が悪化している
他にも体の不調がある
といった場合は、病院で診察を受けましょう。
病院は何科?
内科、呼吸器内科を受診しましょう。
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▼参考
一般社団法人日本呼吸器学会 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
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2020-09-24
痰がしつこく絡んで、のどがすっきりしない。
何度も吐き出したのに、また痰が絡んで困る。
そんなお悩みの対処法を紹介しています。
どうして痰がしつこく絡んでいるのか、病院を受診した方がいいのかなどをお医者さんにお聞きしました。
しつこい痰に困っていたら、ぜひ参考にしてください。
痰絡みの「基本の対処法」
痰が絡みやすいときは、水分を多く摂取しましょう。水分を多くとると、痰が出やすくなります。
痰を排出しやすくする去痰薬も市販されています。
薬剤師に相談し、使用上の注意を確認してから使ってください。
痰が長引く原因かも「NG行為」
たばこやアルコールは、気道の線毛細胞を破壊する働きがあります。
痰症状が出ているとき、出やすい人は、禁煙・節酒をしてください。
気道の粘膜上にある線毛細胞は、痰の排出を促す働きがあります。たばこやアルコールの影響で、線毛細胞が破壊されるので注意してください。
痰が治らない原因は?
痰が長引く場合は、次の病気になっている可能性があります。
原因①気管支炎
「急性気管支炎」の多くは、細菌やウイルスが感染することで、痰が絡んだ咳が頻繁に出る病気です。
「慢性気管支炎」の場合は、喫煙や排気ガスなどの大気汚染によって起こります。
生活な不規則で免疫力が落ちている人、幼児、高齢者などが発症しやすい病気です。
自分でできる対処法
出てくる痰は吐き出します。しっかりと休暇を取り、栄養のある食事をとりましょう。
また、痰や咳が出ている間は、嗜好品(たばこ、アルコールなど)は控えてください。
原因②肺炎
細菌やウイルスの感染によって、咳や痰、発熱などの症状が出ます。
生活が不規則で免疫力が落ちている人、高齢者、幼児などが発症しやすい病気です。
黄色い痰や茶褐色の痰など色のついた痰などが出るときもあります。
肺炎では、咳や痰だけでなく、咳をすると胸が痛む、呼吸が浅くなるといった症状が出ることがあります。
自分でできる対処法
3、4日激しい咳が続くなど、症状が快方に向かわないときは、自己判断せず、早めに病院で診察を受けましょう。
原因③慢性閉塞性肺疾患(COPD)
主に長年の喫煙習慣が原因で、慢性的な痰や咳の症状や、歩いたり、階段を登ったりした際に息切れが出ます(労作時呼吸困難)。
喫煙者の15~20パーセントの人が、慢性閉塞性肺疾患を発症するとされています。
長期間の喫煙によって、慢性的に咳や痰が出ます。
また、気管支が炎症を起こし、肺が壊れ、気管支が狭くなるため、酸素を取り入れる働きが弱くなります。場合によっては、二酸化炭素を排出する機能も低下します。
自分でできる対処法
禁煙が必須です。
禁煙だけでは、一度失った肺機能を元に戻すのは難しく、同時に病院で治療を行い、症状を軽くしていきます。
原因④肺がん
喫煙者に多い病気です。
喫煙、受動喫煙、衣食住での環境、薬品などが原因になります。
咳、痰、倦怠感、胸痛、体重減少、血痰などの症状があらわれます。ただし、変化がないことも多いです。
自分でできる対処法
禁煙が必要です。家族に喫煙者がいる場合も、禁煙をします。
同時に必要ながん治療を受けます。肺がんは、見つかった時点で他の臓器に転移していることが多く、転移がある場合は、抗がん剤やその他のがんに対する薬物治療や放射線治療などを組み合わせて治療が行われます。
病院へ行くタイミング
痰以外に、咳・発熱を含む症状が4~5日続き、よくなる傾向がない場合は、病院で診察を受けましょう。
また、熱がなくても2週間以上も痰や咳で呼吸が苦しい状態が続くときは、病院を受診してください。慢性閉塞性肺疾患や肺がんなどの可能性があります。
病院は呼吸器内科・内科を受診しましょう。
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▼参考
般社団法人日本呼吸器学会 呼吸器の病気 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=12
一般社団法人日本呼吸器学会 呼吸器の病気 肺がん
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=25