「疲れが取れない…これは病気?」
原因不明の疲労感には、うつ病や慢性疲労症候群が疑われます。
対処法や病院に行く目安も併せて解説します。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
全然疲れが取れない…もしや病気?
最近疲れが取れないのですが…この疲労感は病気のサインでしょうか?
仕事や家事が忙しいのであれば、疲労の蓄積が原因です。
ただし、十分な睡眠と休息をとっているのに疲労感がある場合には、病気が疑われます。
疲労の蓄積に心当たりがある人は、休む時間を確保して様子を見てみましょう。
一方、原因不明の疲労感で病気を疑うときは、医療機関の受診をおすすめします。
病院は何科に相談すればいい?
原因不明の疲労感があるときは、心療内科・精神科を受診しましょう。
この症状には、うつ病も考えられます。
放置すると、疲労感や心の不調が重くなり、社会復帰に時間がかかってしまうケースもあります。
悪化を未然に防ぐためには、早めの受診が大切です。
医師に相談し、症状の原因を探ってもらいましょう。
合わせて読みたい
2022-12-16
うつ病とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
うつ病の主な症状も紹介するので、「うつ病かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしましょう。
うつ病って、どんな病気?
うつ病とは、心身のストレスによって、脳がうまく働かなくなっている状態です。
「一日中気分が落ち込む」「何をしても楽しめない」といった精神症状とともに、不眠・動悸・倦怠感などの体の不調があらわれます。
うつ病の「身体面の症状」と「心の症状」
身体面にあらわれる症状
食欲が低下する(または急に食欲が増える)
食べ物を美味しいと感じない
体重が減る(または増える)
寝付きが悪い
眠りが浅い・夜中に目が覚めてしまう
眠り過ぎてしまう
体がだるい・疲れがとれない
頭が重い感じがする
疲れやすい
首・肩・腰が凝りやすい
動悸がする
胃やお腹に不快感がある
めまいがする
口が渇く感じがある
便秘が続く
下痢が続く
月経不順がある
性欲がなくなる
勃起しにくくなる
精神面にあらわれる症状
気分が落ち込む日が続く
何に対しても悲観的である
何に対しても興味を持てない
喜ぶ・楽しむことができなくなる
今まで楽しいと思っていたことが、楽しめなくなる
やる気が出ない
口数が減る
見た目や服装などを気にしなくなる
集中できなくなる・ミスが増える
落ち着きがなくなる
イライラしやすい
不安感がある
涙もろくなる
自分を責めてしまう
お酒を飲む量が増える
うつ病の原因
うつ病が発症する原因ははっきりと分かっていません。
近年の研究では、過度のストレスで脳の一部の「神経細胞」の形状が変化し、その結果、考え方や感情に歪みが生じるのではないかと指摘されています。
発症しやすいのはどんな人?
うつ病は女性に多く見られます。これは妊娠、出産、更年期といったライフステージで、多くのストレスを抱えやすいからだと考えられています。
また、親族の中にうつ病を発症した人がいると、発症リスクが上昇する傾向があります。
その他、
真面目な人
几帳面な人
努力家で目標が高い人
何事も全力投球で手を抜かない人
自責の念が強い完璧主義な人
気遣いができる人
は発症リスクが高い傾向があります。
うつ病のキッカケとなる出来事
精神的・身体的ストレス
悲しい出来事、つらい体験
人生の転機(引っ越し、就職、進学、結婚等)
病気の治療薬の副作用 など
うつ病かも…と思ったら
症状に心当たりがあるときは、一度病院で相談するようにしましょう。
うつ病を放置すると、自分を責める気持ちが強くなり、自殺願望を抱いてしまうケースもあります
病院は何科?
精神的な症状が強い → 精神科
体の不調を伴う → 心療内科
※両方の診療を行っている医院・クリニックもあります。
精神科・心療内科は、患者さんが気持ちを楽に保てるようにサポートしてくれる診療科です。
心身の不調に詳しい医師・スタッフが対応してくれるので、リラックスして受診してください。
精神科・心療内科の受診に気が進まない方は、まずは「内科」を受診して体に不調がないかを確認してもらうのもよいでしょう。
精神科を探す
心療内科を探す
内科を探す
病院で「うつ病」と診断される基準は?
病院で「うつ病」の診断を行う際は、以下の基準を用いることが多いです。
▼以下の症状のうち、少なくとも1つある。
抑うつ気分
興味または喜びの喪失
▼以下の症状をあわせて、合計で5つ以上該当する。
食欲の減退あるいは増加、体重の減少あるいは増加
不眠あるいは睡眠過多
精神運動性の焦燥または制止(じっとしていられない・話し方や動作が遅い等)
疲労感または気力の減退
無価値感または過剰な罪責感(自分は価値のない人間だと感じる・自分の言動に対して過度に罪悪感を覚える等)
思考力や集中力の減退または決断困難
死についての反芻思考・自殺念慮・自殺企図
上記の症状がほとんど1日中、ほぼ毎日ある状態が2週間以上続いていて、他の病気や薬物、アルコールなどの影響では説明できない場合に、「うつ病」と診断されます。
うつ病の治療法
医療機関では、
薬物療法
カウンセリング
認知行動療法※
生活指導
などによって、症状の改善を図ります。
薬物療法では、気分の落ち込みをよくする薬や、睡眠薬などを使用します。
※認知行動療法…医師やカウンセラーと面談する中で、自分の考え方や物事の捉え方の癖に気付き、修正していく治療法。
うつ病が治るまでの期間は?
症状が治まるまでの治療期間は、「発症から受診までの期間と同じくらい」と考えられています。
精神科を探す
心療内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
受診時に、お医者さんに症状を伝えるポイント
- 疲れが取れないのはいつ頃からか
- どのような疲れを感じるか
- 休息は取れているか
- 今までに同じようなことがあったか
- 他に感じる症状はあるか
上記の点を、できるだけ詳しく伝えてください。
忘れないように、メモをとっておくのも良いでしょう。
心療内科を探す
考えられる2つの病気
疲れが取れない場合、
- 慢性疲労症候群
- うつ病
などの病気の可能性があります。
病気① 慢性疲労症候群
原因不明の倦怠感、疲労感が続く病気です。
検査を受けても異常が見つからないのが特徴です。
主な原因は、過度のストレスだと考えられています。
大きなストレス、もしくは長期間にわたるストレスなど引き起こします。
「慢性疲労症候群」を発症すると、日常生活を普通におくることが困難になります。
疲労感が6ヶ月以上にわたり発症と再発を繰り返し、一向に良くならない場合には、慢性疲労症候群と診断されます。
症状の特徴
- 咽頭痛、頭痛
- 微熱
- 首や脇の下のリンパの腫れ
- 筋肉痛、関節痛(腫れなどはない)
- 筋力の下
- 少し身体を動かすだけで、ひどく疲れる
- 睡眠障害
どんな人に多い?
- 真面目な人
- 常に努力するタイプの人
- 正義感が強い人
などに発症しやすいとされています。
が原因不明な点も多くあります。
自分でできる対処法は?
まずはたっぷりと睡眠をとり、体と心を休めましょう。
睡眠不足は、体調不良を悪化させてしまいます。
ただし、睡眠をとっても疲れが取れないときは、「慢性疲労症候群」が疑われます。
一度医療機関で相談してみると良いでしょう。
病院は何科?
慢性疲労症候群が疑われるときは、心療内科・精神科を受診しましょう。
この病気には決まった治療法が確立されていないため、対処療法として鎮痛剤、睡眠薬などが処方されます。
また、質の良い睡眠とストレス対策をサポートできるよう。生活指導も行われます。
心療内科を探す
病気② うつ病
うつ病は心の不調に加え、慢性的な疲労感を引き起こすこともあります。
脳の神経伝達物質の低下によって発症します。
過度のプレッシャーやストレスがきっかけとなると考えられていますが、根本的な原因はわかっていません。
症状の特徴
- 強い倦怠感が取れない
- 食欲不振
- 耳鳴り、めまい
- 頭痛、肩こり
- 下痢、便秘
- 生理不順
- 睡眠障害(眠れない、過眠)
- 落ち込みやすくなる
- イライラする、不安感が強い
- 集中力が低下する、ぼんやりする
どんな人に多い?
- 真面目な人
- 何にでも意欲的にまっすぐ取り組む人
- ストレスを感じやすい人
などに発症しやすい傾向があります。
自分でできる対処法は?
体と心を休めるために休息が必要です。
落ち着いた環境で、ゆっくりと休んでください。
なお、
といった場合は、医療機関の受診をおすすめします。
病院は何科?
うつ病を疑うときは、心療内科・精神科を受診しましょう。
うつ病の治療では多くの場合、お薬の処方や生活指導が行われます。
処方される薬には、抗うつ剤、睡眠薬などがあります。
心療内科を探す
合わせて読みたい
2020-06-11
この症状は、心療内科に行くべき…?
お医者さんに心療内科に行ったほうがいい目安を聞きました。
初診で話す内容や、料金についても解説しますので、ぜひ最後まで読んでください。
心療内科を受診すべき症状目安
「これくらいで受診してもいいの?」と思ったら、その時点で受診をすることをおすすめします。
受診すべきかどうかは、「日常生活に支障をきたしている可能性があるか」を判断のポイントにしましょう。
例えば、「憂鬱で誰にも会いたくない気分で、学校や仕事に行けなくなった…」という場合は受診をしたほうがよいでしょう。
そのまま病院に行かずに病状が進むと、身体も心も動けなくなる状態になることもあり、病院への受診も考えられなくなることもあります。
受診すべき症状例
眠れない日が続いている
寝ても疲れがとれず、倦怠感がある
悩み事のせいで食欲がない、食べても美味しいと感じない
ストレスがきっかけで、2週間以上落ち込んでいる
頭にモヤがかかったように集中力が低下している
心療内科は、ストレスが原因で身体にも症状が出ている状態を治療するところです。
内科を受診しても原因が分からず症状が続いているという場合も、一度心療内科を受診してみるとよいでしょう。
心療内科を探す
「私は行ったほうがいい?」症状チェック
最近2週間で、以下の症状があるかどうかをチェックしてみましょう。
1日中、憂鬱な気分が続いている
何をしても楽しく感じない
疲れやすい、やる気が出ない
集中力や注意力が低下している
自分の価値が分からない
周りに迷惑をかけている、と感じる
将来に希望が持てない
自分の体を傷つけたり、自殺を考えたことがある
夜寝付けない、寝ても途中で起きる、寝すぎてしまう
食欲がない、または過食状態である
これらの症状が1~2個以上当てはまる場合、受診をおすすめします。
心療内科を探す
心療内科を受診するメリット
心療内科を受診すると、体や心の不調を早く楽にすることが期待できます。
早期受診することで、学校や会社を休まず、生活をしながら治療ができます。
ネットの「心療内科に行ってはいけない」という声
ネット上で、「心療内科に行ってはダメ!行ったら最後だ!」という言葉を見つけて心配です…。
ネットでは、心療内科や精神科を受診することへのネガティブなイメージも多く見受けられるため、心配になる方も多いでしょう。
しかし、症状を放置すると、さらに悪化して、日常生活も送れなくなる可能性があります。
また、薬を服用すると自己判断で薬をやめることができないため、そんなイメージを持つ方もいるかもしれません。(薬の服用を治療途中でやめてはいけないのは、他の病気でも同じです。)
心療内科の医師は、心と体の専門家です。
病院で話したことが、あなたの許可なく外に漏れることもありません。
まずは、自分がどのような状態であるのかを理解するために、受診してみましょう。
知っておきたい!初診の流れ
初めての心療内科で緊張します…。
心療内科も内科も、受診までの流れは同じです。まずは、電話やネットで初診の予約をしましょう。
予約の時点で、大まかな症状を聞かることもあります。いつ頃から、どのような症状があるのかを伝えましょう。
初診時は、以下のようなことを問診票に記入します。
いつ頃から、どんな時に症状が起こるか
今までにその症状に対して、治療を受けたことがあるか
現在、飲んでいる薬があるか
今まで大きな病気にかかったことがあるか
問診票の問いに対して、書きたくないことは無理に書く必要はありません。
医師とのコミュニケーションを通して、伝えたいことがあれば伝えるのが良いでしょう。
初診ではどんなことを話す?
一般的に、医師からは次のような質問を受けることが多いでしょう。
どんな症状が、いつから出ているのか
家族のこと
仕事のこと
生活のこと
食事をとれているか
睡眠をとれているか
希望する治療法
希望しない治療法
こちらも問診票と同様、答えたくないことは無理に答えなくても大丈夫です。
初診料はどれくらい?
保険診療の初診料は3割負担の患者の場合は約2000~4000円です。
検査の内容などで、費用は変わる場合があります。
時間はどのくらいかかるの?
初診にかかる時間は、30分から1時間程度です。
心療内科を探す
治療方法は?
心療内科での治療は、薬物療法や、精神療法を行うことが多いです。
<薬物療法>
抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などの心のお薬と、お通じや腹痛などの症状に対する身体のお薬や身体全体を調整してくれる漢方薬などを使用します。
<精神療法>
精神療法では、認知行動療法を行います。認知療法とは、患者さんの物事の考え方や受け取り方に働きかけて行動をコントロールすることで、気持ちを楽にする治療方法です。
また最近では、上記の治療法以外にも、脳に対するTMS治療(経頭蓋磁気刺激法)※も、薬で効果がない人や薬の副作用が強い人に注目されています。
※外部からの磁気刺激で脳を局所的に活性化させることで、脳の血流を増加させ、低下した機能を改善する治療法
「薬がやめられなくなったら…」と不安な方に
「薬漬けになりたくない」という思いから、心療内科での治療を不安に思う人もいると思います。
薬を使って治療したとしても、症状が良くなれば、徐々に薬の量を減らすこともできます。医師の指導に従って薬の量を減らしていけば、副作用も大きくありません。
また、先述したように、治療法は薬物療法だけではありません。精神療法やTMS治療など様々な治療法がありますので、医師とよく相談して、不安のない治療法を選択するようにしましょう。
参考
厚生労働省 こころの耳:1 うつ病とは
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad001/
MSDマニュアル家庭版:精神障害の治療
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/10-心の健康問題/米国における精神医療の概要/精神障害の治療
沖縄県医師会:心療内科精神科の薬(2012年12月24日掲載)
http://www.okinawa.med.or.jp/old201402/healthtalk/gusui/2012/data/20121224n.html
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター:認知行動療法とは
https://www.ncnp.go.jp/cbt/guidance/about
BESLI CLINIC:問題解決療法・認知行動療法
合わせて読みたい
2022-12-27
「うつ病がなかなか治らない…」
「このまま一生治らなかったらどうしよう…」
府中こころ診療所の院長であり、YouTubeで動画配信も行っている精神科の医師、春日雄一郎先生が、うつ病や適応障害の症状が長引く理由を解説します。
うつ病や適応障害が治らず焦りを感じている方は必見です。
※動画による解説は記事末尾から
うつ病・適応障害が治りにくい4つの原因
うつ病・適応障害がなかなか治らない場合
生活習慣の乱れ
環境がよくない
考え方のクセ
躁うつ病(双極性障害)を発症している
などの原因が考えられます。
原因① 生活習慣の乱れ
昼夜逆転した生活
過度な飲酒
ほとんど家から出ない
上記に当てはまる場合は、うつ病が治りにくくなる可能性があります。
「不規則な生活リズム」「お酒の飲みすぎ」「外出せずほとんど体を動かさない」などの習慣が続くと、心身の調子が悪くなり、うつ病・適応障害の改善の遅れを招きます。
【対処法】一定の生活リズムを習慣化しよう
うつ病や適応障害を改善するためには、「どういう行動習慣を積み重ねていくか」ということが重要です。
睡眠や食事の時間を一定にする
お酒を控える
日中は外出して体を動かす
上記を習慣化して、治療にとってプラスになる行動を積み重ねていきましょう。
生活習慣を整えることで、心身の調子が整いやすくなります。
また、その行動の積み重ねが脳への刺激になり、うつ病や適応障害の改善につながると考えられます。
原因② 環境がよくない
職場に相性のよくない上司がいる
家に居場所がない
子育て・介護などでストレスを感じている
上記のように、職場や家庭の環境がよくない人は、うつ病や適応障害が治りにくくなることがあります。
うつ病・適応障害の症状は、日々の行動だけでなく、環境からも大きな影響を受けます。ストレスの多い環境で過ごす時間が積み重なると、症状の改善が遅れる原因となります。
【対処法】「転職・異動」「支援サービスの利用」を検討しよう
環境がよくないと感じる場合、
転職・異動の相談をする
家族と話し合いをする
自治体のサポート窓口を利用する
といった方法で、環境を変えることが選択肢の一つとなります。
環境の変化には良い面も悪い面もあるため、一概に「環境を変えるべき」というわけではありません。
ただし、「どうしても今の環境と相性が悪い」と感じる場合は、選択肢の一つとして考えてみるといいでしょう。
職場の環境が合わないと感じる場合は、「転職を検討する」「上司や人事部に異動の相談をする」などの方法もあります。
家庭内でストレスを感じている場合は、まずは家族と話し合うことが必要なケースもあります。
子育てや介護などでお悩みの場合は、自治体のサポート窓口を活用してみるのもいいでしょう。
子育てや介護に関するお悩みは、お住まいの自治体の子育て支援センターや、地域包括支援センター※などの機関で相談可能です。
※地域包括支援センターとは
主に自治体が設置する高齢者の健康や生活をサポートする施設。
▼参考
地域包括ケアシステム(厚生労働省)
原因③ 考え方や性格のクセ(完璧主義・人と比べる)
自分を責めてしまう
完璧主義
他人と自分を比べる
上記のような考え方・性格のクセがある人は、うつ病や適応障害の治療が遅れる可能性があります。
「考える」ということも一種の行動です。自責や他人との比較など、自分にダメージを与える思考を繰り返すことも、病気の改善を妨げる行動を積み重ねる行動になります。
【対処法】「前向きになれる考え方」を練習しよう
自分にダメージを与える考え方のクセがある人は、「自分も他人も責めない」「前向きになれることを考える」といったことを意識するといいでしょう。
ただし、考え方が根強いクセになっている場合、すぐには変えにくいこともありますよね。
その場合は、
出てきた考えを真に受けすぎず、なるべく受け流す
否定のクセを薄めて、成功体験を徐々に積み重ねる
この2つを心がけてみてください。これらの思考を積み重ねていくことが、結果として、否定的な考えが出てくる頻度を減らすことに繋がります。
原因④ 躁うつ病(双極性障害)を発症している
抗うつ薬などによる治療を続けていて、生活習慣・環境・考え方などの見直しを行っているにもかかわらず、症状の改善が見られない場合は、躁うつ病(双極性障害)を発症している可能性があります。
躁うつ病ってどんな状態?
躁うつ病とは、気分が高揚して活動的になる「躁状態」と、気分が沈んで意欲がなくなる「うつ状態」を交互に繰り返す状態です。
人によっては、躁状態の症状が軽くて期間が短く、うつ状態が長く続く「双極性障害Ⅱ型」のケースもあり、この場合は一般的なうつ病との区別がつきにくいです。
うつ病と躁うつ病は使う薬が違うので、この見極めができていないと、病気が長引く恐れがあります。
躁うつ病かを判断する4つのヒント
過去を振り返って、躁気味な時期があった
家族に躁うつ病の人がいる
周期的にうつ病を繰り返している
抗うつ薬を使うと躁状態になる傾向がある
躁うつ病かどうかを判断するヒントとして、上記の4つが挙げられます。
「ある時期だけ妙に活動的だった」「ある時期だけ妙にお金を使っていた」など、過去に躁気味な期間があった場合は、躁うつ病である可能性が出てきます。
自分ではわからなくても、『ちょっといつもと違う』『いつもより妙に元気だね』などと、周りの人から言われる時期があったかどうか、ということも参考になります。
また、家族に躁うつ病の人がいると、発症の可能性が少し高くなると言われています。
その他、周期的にうつ病の症状を繰り返す場合や、抗うつ薬を使ったときに躁状態になる傾向がある場合も、躁うつ病を発症している恐れがあると考えられます。
躁うつ病を疑う場合は主治医に相談を
躁うつ病の発症を疑う場合は、早めに主治医に相談しましょう。
うつ病と躁うつ病では、治療に使う薬が違います。そのため、うつ病か躁うつ病かを的確に判断することは、症状を早く改善するために、非常に重要であると考えられています。
▼動画による解説はこちら
※本記事は、チャンネル運営者の許可を得て作成しています。
≪チャンネル紹介≫
こころ診療所チャンネル【精神科医が心療内科・精神科を解説】
府中こころ診療所の院長であり、YouTubeで動画配信も行っている精神科の医師、春日雄一郎先生が、うつ病・適応障害・パニック障害など、こころの不調やその対策について、わかりやすく解説。
こころの不調を抱える方が、少しでも症状を改善するヒントとなるような情報の提供を目指しています。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。