溶連菌感染症による発疹は顔や全身に広がり、かゆみを伴うことが多いです。
この症状は、いつまで続くのでしょう。もしお子さんが溶連菌による発疹で辛そうにしていたら、早く治してあげたいですよね。
さらに、溶連菌は大人にもうつる可能性のある病気です。大人にも、子どもと同じように発疹が現れるのでしょうか。
医師に詳しく解説してもらいました。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
溶連菌の発疹の症状について
発疹の症状はいつからいつまで続くの?
溶連菌感染症による発疹は、喉頭炎や扁桃炎に加えて出現します。赤い小さな発疹が顔や体に現れます。
発疹は全身に広がり5〜6日程度で消えてきます。
発疹とともに現れる症状
溶連菌感染症の主な症状には、喉の痛み、発熱や頭痛、吐き気、腹痛、手足の痛みや関節の炎症などがあります。舌には、赤いぶつぶつが出ることがあります。これは、イチゴ舌とも呼ばれています。
また、溶連菌感染症による発疹は猩紅熱(しょうこうねつ)とよばれ、手足や首や胸に現れて全身に広がり、かゆみで気がつくこともあります。
発疹が出た部分は、色素沈着や角層の一部が剥がれ落ちるという症状が見られることもあります。色素沈着は、消える場合と、体質によっては残る場合があります。もし残った場合、薬で対処したり、時間をかけて経過を観察します。
発疹しか症状が出ないこともある?
溶連菌感染症は、発熱や喉の痛みなどとともに発疹が出現します。症状を上手く伝えられない年齢だと発疹だけ出ているように感じるかもしれません。診察を受ければ、喉の腫れやイチゴ状に赤くなった舌など、他のともなった症状が確認できると思います。
大人が感染した場合
大人の場合は、全身への発疹は、ほとんど見られません。他にもイチゴ舌や顔や手が腫れると言う症状は、子供が感染した際に見られる特徴的な症状といえます。
発疹がかゆいときの対処法
かゆみを軽減する方法
かゆみが辛いときには、かゆみ止めや保湿ローションなどを使います。かゆみの強い部分を冷たいタオルなどで冷やしてもかゆみが楽になることも多いです。
診察を受けるまでに辛ければ少し冷やしてあげましょう。
市販のかゆみ止めや塗り薬は使ってもいい?
溶連菌感染症は、抗生剤で治療を行います。発疹のかゆみが辛い、おさまらないといった場合には、症状の進行を確認する意味でも市販薬は自己判断で使用せずに、医師の診察を受けてください。
内科を探す
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発疹があるときの登校・お風呂…どうする?
発疹があるときの登校・登園
溶連菌感染症の抗生剤服用後24時間を経過し、感染の危険がなくなり、全身の体調もよければ、発疹があっても一応は登校可能です。
しかし、元気がない、食欲が戻っていないという時は体調を戻すことを優先しましょう。
発疹があるとき、お風呂はOK?
熱が下がって、ふらつきなどがなく元気であれば、入浴は可能です。発疹は、熱いお湯では、かゆみが増しますのでぬるめのお湯を使い、温めすぎないようにしましょう。
まとめ
溶連菌感染症は、子供だけではなく大人も感染します。疲れている、ストレスが多い時などは、免疫が低下しているので特に感染に注意しましょう。
溶連菌感染症は、予防するワクチンはありません。基本の予防は、マスクの着用、うがい、手洗いです。家庭に感染者が出た際には、食器やタオルの共有も避けてください。
溶連菌感染症は、稀ですが壊死性筋膜炎や劇症型溶連菌感染症など、重い病気を発症させます。感染の疑いがある場合は、早急に病院を受診しましょう。
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2020-12-07
発熱や結膜炎など「アデノウイルス感染で症状がつらい」とき、病院では、どんな治療をするの?
お医者さんに聞いてみました。
受診目安や治療期間の目安についても解説します。
アデノウイルスの「症状」
アデノウイルスは何種類もあります。
そのため、何度でも感染することがあり、目・喉・発熱など、どの症状が強く出るかが異なります。
目に出る症状
目やに
充血
など
目が真っ赤になる「結膜炎」を発症します。
喉にでる症状
腫れ
痛み
など
喉が真っ赤に腫れます。
痛みがあるため、食事を飲み込まない子どもも多いです。
全身に出る症状
高熱がでます。
3~4日程度高熱が続くことが多いです。
アデノウイルス感染症「治療法」
医師が診察をして、お薬を処方するケースが多いです。
アデノウイルスに感染したら、症状を緩和する「対症療法」を行います。
お薬で対処することが一般的なので、“痛い”“怖い”治療は基本的にありません。
目の症状に対する治療
目やに・結膜炎の治療には、点眼薬(目薬)を使用します。数滴を目の中に入れます。
※抗菌薬は市販されていません。医師に処方してもらいましょう。
喉の症状に対する治療
痛みを緩和する鎮痛剤を処方します。
全身症状に対する治療
発熱症状がつらい時は、解熱剤を処方します。
アデノウイルス「治療薬」
アデノウイルス感染症に効く「特効薬」はありません。
通常は、「症状を和らげるお薬」を医師が症状を判断して処方します。
目の症状の治療薬
アデノウイルスに感染し、結膜炎を発症すると目の免疫も落ちています。そのため、他の目の病気に感染しやすくなるので、感染しないように抗菌薬、炎症を抑えるためにテロイド点眼薬などが処方されます。
喉の症状の治療薬
痛み止めの鎮痛薬を処方します。
子どもの場合は、「アセトアミノフェン」がよく使用されます。
全身症状の治療薬
解熱剤を処方します。
こちらは、子どもの場合は、「アセトアミノフェン」が多いでしょう。
治療期間はどれくらい?
一般的に、1週間程度で快方に向かいます。
病院行くべき?行かなくてもいい?
意識がはっきりして元気がある場合や40度以下の熱であれば、通常は自宅療養してもらいます。
ただし、次のような症状が出ている場合は、病院を受診してください。
「目の症状」の受診目安
結膜炎による充血・痛み・目やにがひどいという状況が2日以上続く場合は受診しましょう。
また、痛みが強い場合は、他の病気の疑いもあるので早急に受診してください。
眼科を探す
「喉の症状」の受診目安
喉が腫れて飲むことができないということが半日〜1日あれば、すぐに受診してください。
脱水症状を引き起こす可能性があります。
保護者の方は、スプーンに水や飲み物をのせ、口に含ませるだけでもこまめに行ってください。体が小さな子どもほど、脱水が進むのは早いです。水分補給はこまめに行います。
小児科を探す
全身症状の受診目安
40度以上の発熱が2日以上下がらないときは、病院で診察を受けましょう。
小児科を探す
子どもの様子は、こまめに確認しましょう。
子どもの年齢・体格・体調によっては、急変する場合もあります。
通常、アデノウイルス感染は、数日〜1週間程度でよくなりますが、元々の体調が悪いとウイルスに体が負けてしまう場合があります。
病院は、何科に行けばいい?
目の症状は、眼科を受診しましょう。
喉の症状は、耳鼻いんこう科、小児科を受診しましょう。
発熱などの全身症状は、小児科を受診してください。
眼科を探す
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入院基準は?
高熱が下がらない
食事が入らない
全身症状が強い
という場合は、入院で経過を見ることもあります。
高熱は、急な体調変化や脳症を発症することがあります。急変に備えて入院してもらい、いつでも治療が受けられるようにします。
▼参考
Dr.365こどもの病気相談室
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2020-04-09
アデノウイルスに感染したかも?
検査はどこで受ければいいの?
検査タイミングや、検査の流れ、費用や時間まで、まるごと解説します。
アデノウイルス感染したらどんな症状が出る?
子どもの間で流行するアデノウイルス感染で有名なのは、咽頭結膜炎熱(通称:プール熱)です。
プール熱の症状は、
発熱
喉の炎症(腫れ・赤み・痛み)
目やに
目の充血
だるい
食欲不振 など
が現れます。
通常、4~5日で程度症状が続きます。
プール熱以外にも、肺炎や上気道炎、咽頭炎、胃腸炎、膀胱炎、流行性結膜炎などの多くの病気をアデノウイルスは引き起こします。
また、アデノウイルスは50種類以上もあるため、何度も感染することがあります。
検査を受けるタイミング
発熱症状
喉の腫れ
目の充血
がある場合は、プール熱(咽頭結膜炎)の可能性があり、検査が推奨されます。
ただし、アデノウイルスは何種類もあります。また検査で確定されても、治療は対症療法です。
そのため、アデノウイルスの検査は、診察をした医師に「検査を受けましょう」と勧められてから受けてもよいでしょう。
発熱や喉の痛みによって、子どもが飲んだり食べたりできなくなることもあります。その場合、ウイルスの種類を知るために検査を受けたほうがいいこともあります。
検査は何科で受けられる?
主に小児科・内科で受けられます。
目の症状があると眼科でも検査される場合があります。
特に、
症状が悪化している
喉の痛みや発熱で水分補給が難しい
呼吸がおかしい
ぐったりしている
といった場合は、早めに医師に相談しましょう。
小児科を探す
検査費用はどのくらい?
医師が「検査が必要だ」と判断すれば保険適用(咽頭・眼のみ)になります。
保険適用の場合、未就学児は2割負担なので、600円ほどです。
ただし、自治体によってによって乳幼児医療費助成制度があり、支払い額には差があります。病院によっても料金は異なります。心配な方は事前に確認しておくとよいでしょう。
患者もしくは家族の希望で検査を受ける場合は、基本的に保険適用外となります。その場合は診察料と合わせて6,000〜8,000円程度かかるでしょう。
アデノウイルスの検査の方法
アデノウイルス感染の検査は、主に2タイプあります。
病院を受診した際に行われるのは「迅速検査」が一般的です。
「迅速検査」
喉にアデノウイルスがいるか検査をします。のどを綿棒でこすって、ぬぐった液を検査します。
15分程度で結果が出ます。
「血液検査」
採決して、その血液を検査します。白血球の多さや炎症の反応などで総合的に判断されます。
通常、結果が出るのは数日後です。
治療方法も知っておこう
アデノウイルス感染の場合、症状を和らげる対症療法がとられます。
アデノウイルスは、抗ウイルス薬がありません。対症療法が基本です。
高熱には解熱剤、喉の痛みには炎症を抑える薬が処方されます。目の症状がある場合は、眼科で抗生剤やステロイド点眼薬などが使われる場合があります。
早く治すために親ができること
栄養と水分補給を行い、部屋の環境(湿度や室温)を整えてあげましょう。
自己免疫力でウイルスをやっつける必要があります。
喉が痛いと、飲食ができない子がいるので、ゼリーやプリンなど、飲み込みやすいものを用意しましょう。また脱水には十分注意しましよう。
参考
“Dr.365”のこどもの病気相談室 著/白岡亮平
<参考>
こどもの病気治療の本当のこと“Dr.365”のこどもの病気相談室 著/白岡亮平
https://www.shogakukan.co.jp/books/09311410