「ストレスが原因で過眠症になるって本当?」
「寝ても寝ても日中眠くなるのはなぜ?」
過眠症の疑いがある人はチェックリストで確認してみましょう。
対処法や何科で受診すべきか医師が解説します。
監修者
経歴
福島県立医科大学卒業
「働く人を支える」薬に依存しない医療を展開する「BESLI CLINIC」を2014年に協同創設、2030年を基準に医療現場から社会を支える医療経営を実践しています。
産業医視点からビジネスマン・ビジネスウーマンを支えております。生薬ベースの漢方内科での経験を活かし、腹診を含めた四診から和漢・井穴刺絡などの東洋医学を扱い、ホルモン、生活習慣をベースに身体から心にアプローチする診療を担当。米国マウントサイナイ大学病院へ留学、ハーバード大学TMSコースを修了。TMSをクリニックへ導入、日本人に合わせたTMSの技術指導、統括を行っています。
ストレスが原因で過眠症になるって本当?
ストレスが原因で過眠症になることはあります。
この症状は、“眠りの質の悪化”、“自律神経の乱れ”などが関係して発症します。
眠りの質が悪いと、「十分に寝たはずなのに眠い」という症状が出やすいです。
また、自律神経の乱れると、睡眠と覚醒のバランスが崩れて、強い眠気に襲われることがあります。
過眠症の症状をチェック
ストレスによる過眠症を疑う場合は、次のチェックリストで診断してみましょう。
過眠症の症状チェックリスト
- 長く寝ているはずなのに朝眠くて起きられない
- 日中に気がつくと寝ていることがある
- 人が大勢いても眠くなる
- 人と話しているのに眠くなる
- 日中に猛烈に眠くなる
- 人が運転してくれる車に乗ると眠くなる
- 電車に乗ると寝てしまう
- 車を運転しているときに、数分停車すると眠くなる
3つ以上当てはまる人は過眠症の可能性が高いです。
過眠症かも…と思ったら
過眠症を疑う場合は、まずは医療機関で相談しましょう。
ストレスを強く感じると、睡眠が浅くなりやすいです。
質の悪い睡眠が続くと、段々と心身の不調が強くなり、心の病気を発症しやすくなります。
不調を防ぐためにも、過眠症の疑いがある場合は、医療機関を受診しましょう。
ストレスによる過眠は、先にご家族が異変に気が付くことがあります。
ご本人でなくともご家族が、気がつくことがあったら受診を本人にすすめてみましょう。
病院は何科?
過眠症の疑いがあるときは、心療内科・精神科を受診しましょう。
お医者さんには、どう伝えればいい?
- 過眠の症状がいつ頃からあるのか
- 併発している体調不良の症状はあるか
- 他院へ受診して診断された病名はあるか
- お薬手帳など処方されているお薬の情報
などをまとめておきましょう。
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ストレスからくる過眠で疑われる病気
過眠が続く場合、
- うつ病
- 自律神経失調症
等の病気の可能性があります。
病気① うつ病
うつ病によって睡眠が浅くなると、日中に眠気が強い状態になることがあります。
朝に落ち込みが強く、帰宅後すぐ寝るにもかかわらず、朝起きられない日々が続くこともあります。
症状の特徴
- 睡眠時間が1日10時間以上の日が続く
- 朝起きられない
- たくさん寝ているのに、日中だるくて眠い
- 楽しいと感じることが全くない
- 感情の起伏が激しくなる
- めまい、耳鳴り、体のふらつき
- 頭痛、吐き気
- 体の冷え
どんな人に多い?
- 真面目な人
- 人の期待に応えようとする人
- 頼れる相手がいない人
- 視線や意見を気にする人
病院は何科?
うつ病が疑われるときは、心療内科・精神科を受診してください。
医療機関での治療方法
まずは、ストレスとなっている原因を明らかにした上で、生活指導を行います。
必要に応じてお薬(抗うつ薬・睡眠薬・抗不安薬)や、お薬に頼らず副作用が少ないTMS治療(※)を行います。
場合によっては休職など心身を休めることを優先するケースもあります。
※ TMS治療…
脳に磁気を当て、脳の特定部位を活性化させる治療方法です。
比較的副作用が少ないです。
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病気② 自律神経失調症
過度のストレスによって、自律神経の調節がうまくいかなくなる病気です。
自律神経が乱れると倦怠感が強くなり、過眠になってしまうことがあります。
症状の特徴
- 朝起きることができず、夕方まで寝てしまう
- 頭痛、めまい
- 肩がこる
- 動悸、息切れ
- 体のほてり
- 体がしびれる
- 倦怠感
- 下痢、便秘
- 生理不順
- 頻尿、残尿感
どんな人に多い?
- 真面目で何事にも一生懸命に取り組む人
- ストレスや疲労がたまっている人
- ホルモンバランスが乱れやすい人
女性の場合、妊活中、妊娠中、産後、更年期のタイミングで発症しやすいです。
病院は何科?
自律神経失調症が疑われるときは、心療内科・精神科を受診してください。
医療機関での治療方法
- 適度に休息をとる
- 適度に運動する
- 毎朝同じ時間に起床する
- 3食バランスよく食事をとる
- カフェインやアルコールの過剰摂取を控える
といった生活面での指導を行います
身体を整えても改善しない場合は、カウンセリングによる自律神経の調整などを行います。
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2020-12-28
なんだか体調が悪い…。ストレスのせいかも…。
ストレスが限界に達すると、どのような症状があらわれるのでしょうか。
お医者さんの目線から、「心の症状」と「体の症状」、それぞれ解説してもらいました。
ストレスが限界に達した時に出る症状
ストレスが限界に達すると、脳や自律神経の働きに影響が出て「心の症状」と「体の症状」があらわれます。
ストレスの限界サイン「心の症状」
気分が落ち込む
イライラして、怒りっぽくなる
やる気が出ず、集中できない
何に対しても興味が持てない
ストレスの限界サイン「体の症状」
肩こり
頭痛
腹痛、胃痛
胸が苦しい
息苦しい
だるくて体が動かない
食欲不振、または食欲過剰
下痢、便秘
寒気や冷え
涙が止まらなくなる
不眠、または過眠
過度なストレスを受け続けると脳が正常に働かなくなり、気分が落ち込みやすくなります。
さらに、ストレスは内臓など体全体の調子を整える「自律神経」の乱れを引き起こすため、体の不調の原因にもなります。
ストレスが溜まりすぎると起こる「行動の変化」
浪費が激しくなる
ギャンブルが止まらなくなる
アルコール量が増える
喫煙量が増える
ストレスによって心の調子が不安定になると、お酒を飲む量が増えたり、大胆な行動をとったりする方もいます。
「自分らしくない行動が増えた」という場合も、心の状態に注意したほうがよいでしょう。
ストレス限界サインを感じたら、こう対処しよう
質の良い睡眠をとる
好きな物を食べる
気が合う人と会う
などの方法で、ストレスを発散しましょう。
ストレス対処法① 質の良い睡眠をとる
ストレスの解消には、十分な睡眠が大切です。
質の良い睡眠をとれるよう、就寝前には
ゆっくり入浴する
リラックスを設ける
スマホよりも本を読む
の3つの点を心がけましょう。
湯船にゆっくり入浴する
湯船につかって、ゆっくりと温まりましょう。
時間や体力がないときは、熱めのシャワーを首元に数分当ててください。
入浴が終わったら、冷えないように着替え、水分補給をしましょう。
リラックスタイムを設ける
ゆっくりできる場所に腰を掛けて、気持ちを休めましょう。
好きな音楽やテレビを楽しむのもおすすめです。
スマホよりも雑誌や本を読む
就寝直前はスマホではなく、読書が適しています。
インターネットは情報がどんどん入ってくるため、過度な刺激になってしまいます。
眠気を感じたら、電気を消して早めに入眠しましょう。
ストレス対処法② 好きなものを食べる
好きなものを食べると、ストレスが和らぎます。
※ただし、暴飲暴食は控えてください。
食欲がないときは無理せず、食べられるものを食べましょう。
軽く運動すると、食欲が湧きやすくなります。
反対に、カフェインの強いものはしばらく控えてください。
過度のアルコール摂取も、睡眠の質を低下させる原因となるため、注意しましょう。
ストレス対処法③ 気が合う友人と過ごす
悩みを誰かに相談することも、ストレス解消につながります。
こんなときは病院へ!
なかなか寝つけない
就寝中に何度も目が覚める
いつもより寝すぎてしまう
朝だるくて起きられない
といった場合は、早めに病院で相談しましょう。
何科を受診すればいいの?
心療内科・精神科を受診してみましょう。
初診の際は、下記のことを医師に伝えられるように、まとめておくといいですよ。
今までできていたのに、できなくなったこと
特につらいと感じていること
仕事の内容・職場の人間関係
おかしいと感じる体の症状
メモに書いて持っていくのもおすすめです。
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心が壊れてしまう前に相談しよう
過度のストレスは、うつ病や自律神経失調症を引き起こす恐れがあります。
頑張りすぎは禁物です。
心療内科や精神科に行くとなると、身構えてしまう方も多いかもしれません。
ですが、メンタルの不調で病院にかかることは、内科で風邪を相談することと大きな違いはありません。
一人で抱え込まずに、病院で相談してみましょう。
▼参考
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス うつ病
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2020-06-11
この症状は、心療内科に行くべき…?
お医者さんに心療内科に行ったほうがいい目安を聞きました。
初診で話す内容や、料金についても解説しますので、ぜひ最後まで読んでください。
心療内科を受診すべき症状目安
「これくらいで受診してもいいの?」と思ったら、その時点で受診をすることをおすすめします。
受診すべきかどうかは、「日常生活に支障をきたしている可能性があるか」を判断のポイントにしましょう。
例えば、「憂鬱で誰にも会いたくない気分で、学校や仕事に行けなくなった…」という場合は受診をしたほうがよいでしょう。
そのまま病院に行かずに病状が進むと、身体も心も動けなくなる状態になることもあり、病院への受診も考えられなくなることもあります。
受診すべき症状例
眠れない日が続いている
寝ても疲れがとれず、倦怠感がある
悩み事のせいで食欲がない、食べても美味しいと感じない
ストレスがきっかけで、2週間以上落ち込んでいる
頭にモヤがかかったように集中力が低下している
心療内科は、ストレスが原因で身体にも症状が出ている状態を治療するところです。
内科を受診しても原因が分からず症状が続いているという場合も、一度心療内科を受診してみるとよいでしょう。
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「私は行ったほうがいい?」症状チェック
最近2週間で、以下の症状があるかどうかをチェックしてみましょう。
1日中、憂鬱な気分が続いている
何をしても楽しく感じない
疲れやすい、やる気が出ない
集中力や注意力が低下している
自分の価値が分からない
周りに迷惑をかけている、と感じる
将来に希望が持てない
自分の体を傷つけたり、自殺を考えたことがある
夜寝付けない、寝ても途中で起きる、寝すぎてしまう
食欲がない、または過食状態である
これらの症状が1~2個以上当てはまる場合、受診をおすすめします。
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心療内科を受診するメリット
心療内科を受診すると、体や心の不調を早く楽にすることが期待できます。
早期受診することで、学校や会社を休まず、生活をしながら治療ができます。
ネットの「心療内科に行ってはいけない」という声
ネット上で、「心療内科に行ってはダメ!行ったら最後だ!」という言葉を見つけて心配です…。
ネットでは、心療内科や精神科を受診することへのネガティブなイメージも多く見受けられるため、心配になる方も多いでしょう。
しかし、症状を放置すると、さらに悪化して、日常生活も送れなくなる可能性があります。
また、薬を服用すると自己判断で薬をやめることができないため、そんなイメージを持つ方もいるかもしれません。(薬の服用を治療途中でやめてはいけないのは、他の病気でも同じです。)
心療内科の医師は、心と体の専門家です。
病院で話したことが、あなたの許可なく外に漏れることもありません。
まずは、自分がどのような状態であるのかを理解するために、受診してみましょう。
知っておきたい!初診の流れ
初めての心療内科で緊張します…。
心療内科も内科も、受診までの流れは同じです。まずは、電話やネットで初診の予約をしましょう。
予約の時点で、大まかな症状を聞かることもあります。いつ頃から、どのような症状があるのかを伝えましょう。
初診時は、以下のようなことを問診票に記入します。
いつ頃から、どんな時に症状が起こるか
今までにその症状に対して、治療を受けたことがあるか
現在、飲んでいる薬があるか
今まで大きな病気にかかったことがあるか
問診票の問いに対して、書きたくないことは無理に書く必要はありません。
医師とのコミュニケーションを通して、伝えたいことがあれば伝えるのが良いでしょう。
初診ではどんなことを話す?
一般的に、医師からは次のような質問を受けることが多いでしょう。
どんな症状が、いつから出ているのか
家族のこと
仕事のこと
生活のこと
食事をとれているか
睡眠をとれているか
希望する治療法
希望しない治療法
こちらも問診票と同様、答えたくないことは無理に答えなくても大丈夫です。
初診料はどれくらい?
保険診療の初診料は3割負担の患者の場合は約2000~4000円です。
検査の内容などで、費用は変わる場合があります。
時間はどのくらいかかるの?
初診にかかる時間は、30分から1時間程度です。
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治療方法は?
心療内科での治療は、薬物療法や、精神療法を行うことが多いです。
<薬物療法>
抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などの心のお薬と、お通じや腹痛などの症状に対する身体のお薬や身体全体を調整してくれる漢方薬などを使用します。
<精神療法>
精神療法では、認知行動療法を行います。認知療法とは、患者さんの物事の考え方や受け取り方に働きかけて行動をコントロールすることで、気持ちを楽にする治療方法です。
また最近では、上記の治療法以外にも、脳に対するTMS治療(経頭蓋磁気刺激法)※も、薬で効果がない人や薬の副作用が強い人に注目されています。
※外部からの磁気刺激で脳を局所的に活性化させることで、脳の血流を増加させ、低下した機能を改善する治療法
「薬がやめられなくなったら…」と不安な方に
「薬漬けになりたくない」という思いから、心療内科での治療を不安に思う人もいると思います。
薬を使って治療したとしても、症状が良くなれば、徐々に薬の量を減らすこともできます。医師の指導に従って薬の量を減らしていけば、副作用も大きくありません。
また、先述したように、治療法は薬物療法だけではありません。精神療法やTMS治療など様々な治療法がありますので、医師とよく相談して、不安のない治療法を選択するようにしましょう。
参考
厚生労働省 こころの耳:1 うつ病とは
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad001/
MSDマニュアル家庭版:精神障害の治療
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/10-心の健康問題/米国における精神医療の概要/精神障害の治療
沖縄県医師会:心療内科精神科の薬(2012年12月24日掲載)
http://www.okinawa.med.or.jp/old201402/healthtalk/gusui/2012/data/20121224n.html
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター:認知行動療法とは
https://www.ncnp.go.jp/cbt/guidance/about
BESLI CLINIC:問題解決療法・認知行動療法
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。