最近、人と会うと緊張して話せない…。
もしかして、社会不安障害?病院に行くべき?
「社会不安障害」が疑われる人は、早めに病院を受診して医師に相談することをおすすめします。
代表的な症状を紹介するので、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
監修者
経歴
佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。
美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。
精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエットを開発。
社会不安障害かも…病院に行くべき?
「社会不安障害かもしれない」と自覚していて、
- 人前で極端に緊張してしまう
- 人とスムーズに会話ができない
- 家にこもりがちになる
など、
日常生活に支障をきたす状態の人は、一度病院で相談してみましょう。
社会不安障害とは、「人前で話すこと」「人から注目されること」に強い不安を感じ、次第に人との会話や、人が多く集まる場所を避けるようになる病気です。
症状が進行すると、仕事や学校に行けなくなることもあります。
心当たりは?社会不安障害の「よくある症状」
- 人前に出ると、顔が赤くなる・顔が青くなる・口が渇く
- 大量に汗をかく
- 脈が速くなる
- 手や足が震える
- 吐き気がする
- お腹が痛くなる
- めまい
- パニック発作を起こす
- 頭の中が真っ白になる
上記に2~3つほど当てはまる場合は、社会不安障害が疑われます。
何科へ行けばいいの?
- 精神的な症状が強い → 「精神科」
- 体の不調を伴う(腹痛・めまいなど) → 「心療内科」
というように、出ている症状にあわせて診療科を選ぶようにしましょう。
※両方の診療を行っている医院・クリニックもあります。
どちらの診療科でも、社会不安障害に対する薬物療法や精神療法の治療が受けられます。
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こんな症状は要注意!重症度チェックリスト
- 働くことができなくなった
- 買い物にも行けなくなった
- 人前で食事できない
- 電話に出ることができない
- 憂鬱な気分が続くなど、「うつ病」の症状が現れ始めた
- 自殺を考えるようになった
- 人前で字を書くのが苦痛になった
- 人前や人が集まる場所・状況を避けるようになった
上記の症状が出ている場合、社会不安障害の重症化が疑われます。
躊躇せず、早急に「精神科」「心療内科」を受診しましょう。
放置していると、家から一歩も外に出られなくなったり、「うつ病」や「パニック障害」を発症したりする恐れがあります。
また、社会不安障害は、早期に治療を開始できれば症状が改善しやすいですが、重症化すると慢性化しやすいと言われています。
早めに病院を受診しましょう。
病院では、心身の症状をもとに医学的に診てもらえるため、セルフチェックよりも確実性が高い診断が受けられます。
医師に症状を伝えるポイント
- 特に悩んでいる症状
- 症状が出始めた時期
- 家族関係や仕事で悩んでいること
- 今までにかかったことがある病気
- 生活リズムについて(睡眠・食事・運動習慣の有無など)
- 現在、飲んでいる薬
- 飲酒・喫煙の習慣について
受診の際は上記の点を医師に伝えると、診察がスムーズに進むと考えられます。
病院では、どんな治療をするの?
精神科・心療内科では、社会不安障害の治療として、
- 薬物療法
- カウンセリング
- 認知行動療法
- 対人関係療法
- 社会不安障害アサーショントレーニング
などが行われます。
治療法① 薬物療法
薬を使用することにより、不安や緊張を軽くする治療です。
不安を軽くして緊張をほぐしてくれる「抗不安薬」、交感神経のたかぶりを抑えてくれる「βブロッカー」、不安や恐怖を和らげる「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」などが用いられます。
保険が適用されるかどうかは、使用する薬によって変わってきます。
▼保険が適用される薬の例
レクサプロ(SSRI)
デプロメール(SSRI)
ルボックス(SSRI)
▼保険が適用されない薬の例
βブロッカー
リボトリール(抗不安薬の一種)
治療法➁ カウンセリング
カウンセラーとコミュニケーションをとりながら、自分の考え方や行動を振り返り、「なぜ社会不安障害を発症したのか」という問題を探ります。
社会不安障害では、自分に自信が持てない人が多いですが、カウンセラーと話し合う中で、自己評価を再び高めていきます。
治療の一環として医師が行うカウンセリングは、保険が適用されます。
ただし、公認心理士などの医師以外の専門家が行うカウンセリングの場合、一般的に保険は適用されません。
治療法③ 認知行動療法
認知行動療法とは、医師やカウンセラーと面談する中で、自分の考え方や物事の捉え方の癖に気付き、修正していく治療法です。
不安や緊張などのストレスを、うまく自分で対処できるようになるため、病気の改善に役立ちます。
認知行動療法には、保険が適用されます。
治療法④ 対人関係療法
対人関係療法とは、対人関係を築く練習をすることで、自分をコントロールする方法を身につけ、不安の解消を目指す治療です。
何度か面接を行い、対人関係が社会不安障害の症状にどのような影響を及ぼしているか理解していきます。
その上で、ロールプレイによって解決策を探り、対人関係の問題を改善していきます。
対人関係療法には、保険が適用されません。
治療法⑤ 社会不安障害アサーショントレーニング
社会不安障害アサーショントレーニングとは、相手も自分も大切にした上で、自分の気持ち・考えを相手に伝えるスキルを身につける、心理療法の一種です。
治療では、ロールプレイで実際に人と関わって、伝えたいことを話す練習をします。
自己表現ができるようになることで、人間関係におけるストレスが減り、自分に自信が持てるようになるため、社会不安障害の改善に役立ちます。
病院にもよりますが、診療の一環として、医師の診察と併せてトレーニングを受ける場合、保険が適用されます。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2020-10-06
最近、常に不安感がある…。
これってもしかして病気?
その症状は「不安障害」のせいかもしれません。
セルフチェックで確かめてみましょう。
不安障害を疑う場合、どう対処すればいいのかも解説します。
常に不安を感じる…これって病気?
どんな人でも、日々の生活の中で不安や心配事を抱える場面は多々あります。
その不安をひとつずつ受け止めて、解消していくことで、気持ちが落ち着きます。
心配事、試験前、大切な仕事の前、大勢の人の前での発表など、不安になる原因が明確な場合はさほど心配する必要がないと考えられます。
しかし、実際に不安になる明確な原因がないにも関わらず、強い不安感に襲われて、動悸・不眠・精神不安定等の症状が出現している場合は、病的な不安(不安障害)の可能性があるため注意が必要です。
不安障害セルフチェック
あくまでも目安ですが、次の症状が同時に複数起こる場合、不安障害の可能性があると考えられます。
身体症状をチェック
体が痺れる感じ
頭痛、頭が重い
頭が圧迫されるような感覚
体がこわばる(緊張感)
手足の冷え
冷や汗がでる
めまい
ふらふら揺れるような感覚
体中がドクドクするような脈拍感
悪寒、熱感
動悸、息切れ、息苦しい
吐き気
頻尿
便秘
下痢
精神症状をチェック
小さいことが気になって不安を感じる
物忘れが多い(記憶力の低下)
疲れやすい
根気がない
イライラしやすい
注意力が低下する(そわそわする)
些細なことを気にし過ぎる
寝つきが悪い(夜中に目が覚める)
意識が朦朧とする
複数個あてはまるときは、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
不安になったら、どう対処する?
不安な気持ちになった場合、一度大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせてください。
腹式呼吸がおすすめです。
横になれる場合は横になって、目を閉じて安静にする方法もあります。
また、気持ちを落ち着かせる作用が期待できる合谷のツボを押す方法もあります。
合谷のツボは、手の甲側の親指と人さし指の間にある骨の分かれ目にあるツボです。
両方の手それぞれ30回程度を目安に気持ちがいい強さで押しもみしてください。
「不安障害」を治すためにはどうすれば?
ストレスや疲労を溜め込まないようにしましょう。
また、十分な睡眠時間(7~8時間程度)を確保するのもおすすめです。
次のことを意識してみましょう。
決まった時間に起きる、寝る
決まった時間に食事を摂る(特に朝食をしっかりと!)
自分自身でリラックスできることを見つけて実行する
1日20~30分程度、軽い運動をする(ストレッチ、ウォーキング、ヨガ等)
ぬるめの湯船に浸かる(40度くらい)
笑う
反対に、暴飲暴食・アルコールやコーヒーの過剰摂取は避けましょう。
喫煙者は禁煙しましょう。
病院に行く目安
次のような症状が出ている場合は、病院を受診しましょう。
(不安になる原因がないのに)強い不安を感じる状態が長期間続く
あり得ない出来事を想定し、過剰に不安を抱えている
強い不安感によって日常生活に悪影響を及ぼしている(外出できない、仕事家事学業ができない、乗り物に乗ることができない等)
強い不安感で精神的苦痛が起きている
気持ちのコントロールできない
受診するのは何科?
心療内科・精神科を受診しましょう。
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早い段階で受診をしましょう
不安障害を放置すると、症状が悪化していく(うつ病発症等)場合もあるため、早い段階で受診して重症化を防いでください。
常に不安を抱えて生活することはとても苦しくつらい状態です。
日常生活に支障をきたすケースも多々あります。
早期受診により治療を開始することで、症状の改善が期待でき、そのような状態から解放され、日々の生活に活気が取り戻せると考えられます。
心疾患・内分泌系疾患・肺疾患等が原因で不安障害が起きているケースもあります。早期受診することで、不安障害が起きている原因を明確にすることをおすすめします。
精神科・心療内科に初めて行くときは
精神科と聞くと受診をためらってしまいがちですが、他の診療科の受診と同じシステムの医療機関が多いです。
あまり考え過ぎずに「ちょっと相談してみよう」という気持ちで受診してみてください。
受診の際は、気になっている症状についてまとめていくと、スムーズに診察が進みますよ。不安な方は、「出現している症状」のメモを持っていくのもおすすめです。
参考
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス総合サイト 不安・緊張 ~気持ちが落ち着かない・どきどきして心細い~
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス総合サイト パニック障害・不安障害
公益社団法人 日本看護協会 個人での対応(セルフケア)
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2020-06-05
急に心臓がドキドキする…
特に理由はないのに強い不安を感じる…
もしかしたら、それはパニック障害かも。
お医者さんに、初期のパニック障害の症状や治療法について聞きました。
発症のきっかけや病院に行くタイミングもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
パニック障害の初期症状チェック
(個人差がありますが)
初期症状として、まず「パニック発作」が現れることが多いです。
パニック発作ってどんな症状がでるの?
パニック障害は突然あらわれます。
次の中から、4つ以上あてはまる場合、パニック障害の初期症状の「パニック発作」の可能性があります。
動悸
発汗
震え
息切れ
窒息感
胸痛
胸部の不快感
腹部の不快感
吐き気
めまい(気が遠くなる感じ)
現実感消失(現実でない感じ)
離人症状(自分が自分でない感じ)
コントロールを失う恐怖
死の恐怖
異常感覚(感覚マヒ・うずき感)
冷感または熱感
パニック障害になりやすい人の特徴
パニック障害は20代から30代の女性がなりやすいです。
また、疲れやすい人やストレスを感じやすい人も発症しやすいと考えられます。
パニック障害の原因
今のところ根本的な原因は不明です。
脳の機能異常や心理的要因、社会的要因が関係していると言われています。
こんなことが引き金になることも
ストレス
疲労
睡眠不足
体調不良
パニック障害は自力で治せる?
残念ながら、パニック障害を自力で治すことは難しいでしょう。
症状があると感じている場合、早めに病院を受診した方がよいです。
パニック障害は早期に治療すれば治る病気です。
病院に行くべき?受診目安は?
パニック発作と疑われるような症状がある場合、早めの受診をおすすめします。
これくらいの症状で、行ってもいいの…?
これくらいの症状でお医者さんに相談してもいいのかな…と、不安です。
少しでも心配な症状があるのなら、ぜひ病院で相談してください。
早い段階で病院を受診することで、以下のようなメリットがあります。
パニック障害が完全に治る。
パニック障害が早く治る。
重症化を防ぐことができる。
うつ病発症を予防できる。
普段通りの日常生活をおくれるようになるために、早めに受診しましょう。
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何科に行けばいい?
パニック障害の疑いがある場合、精神科や心療内科を受診しましょう。
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「これくらい大丈夫…」と放置するリスク
典型的な症状であるパニック発作を繰り返すことで、「予期不安・広場恐怖(※下記で解説)」という状態に陥ったりします。そうすると、日常生活に支障をきたすことになります。加えてうつの症状があらわれることもあります。
<予期不安>
パニック発作が起こったあとに、また同じような症状が起こるのではないかと不安に感じることを予期不安と言います。
<広場恐怖>
パニック発作が起こることを恐れて、ある特定の場所や状況を避けるようになることを広場恐怖と言います。
どんな治療をするの?
パニック障害は、薬物療法や認知行動療法を用いて治療します。
初期には薬物療法を行い、抗不安薬や抗うつ薬を使用します。
認知行動療法とは、物事の受け取り方や考え方にアプローチし、ストレスに柔軟に対処できるようにする心理療法で、薬物療法とあわせて用いることがあります。
参考
厚生労働省 「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス 総合ガイド」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_panic_a.html