ニキビに触ると痛い!
ニキビができただけでなく、痛みまであるのは困りものです。
お医者さんに「正しい対処法」を教えてもらいました。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
「ニキビが痛くなる」原因は?
痛みの原因は、ニキビのできた毛穴から、周りの皮膚へ炎症が広がったためです。
できたばかりのニキビは、毛穴に皮脂が詰まった状態です。
やがて皮脂をエサとするアクネ菌が毛穴の周りで増殖し、皮膚のPhのバランスを崩し、皮膚に炎症を起こします。
さらに悪化すると、膿のあるニキビになり、潰れて膿が出ると皮膚がえぐれてニキビ跡になります。
ニキビを治すために「やっちゃいけないこと」
痛いニキビができたときは、
- 痛いニキビに触らない
- メイク・スキンケア用品をニキビにつけない
ように注意してください。
触ると刺激によってさらに悪化します。
また、ほとんどのメイク用品やスキンケア用品が油分を含んでおり、ニキビを悪化させる原因になります。
ニキビを潰すと皮膚に痕が残るので、「自分でニキビを潰さない・触らない」が基本です。
市販薬の使用について
市販薬を使用することで、ニキビの症状を軽減することができます。
市販薬は何を選べばいい?
ニキビに効果のある市販薬には、主に次の成分が含まれています。
- 硫黄:皮膚表面で抗菌作用がある。また、毛穴に詰まった角質を溶かして、柔らかくする
- レゾルシン:強い殺菌力がある
次の薬が、ニキビに効果のある薬として市販されています。
- アンナザルベ・エース(成分:硫黄、レゾルシン、グリチルレチンなど)
- クレアラシルS3(成分:硫黄、グリチルリチン酸、トコフェロール酢酸エステル、レゾルシンなど)
- ニキビ薬ビフナイトE(成分:硫黄、イソプロピルメチルフェロール、グリチルリチン酸ジカリウムなど)
こんなニキビは皮膚科へ
ニキビの悪化を防ぐには、皮膚科での治療がおすすめです。
特に
- ニキビに赤みがある
- ニキビに痛みがある
- ニキビに膿が溜まっている
- 複数のニキビができた
というは、皮膚科の診療を受けてください。
なるべく早期に炎症を鎮静化することで、色素沈着や凹凸を減らすことが期待できます。
※皮膚科では、現状でている炎症を鎮静化することは可能ですが、ニキビ跡を治すのは美容外科等で行うことになります。
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実は「ニキビじゃない」ケースも…
稗粒腫(はいりゅうしゅ)
白いブツブツです。
放置しても治りませんが、とくに悪化もしません。
脂肪の一種で、皮脂腺の毛穴や産毛の毛穴でできると考えられています。
治療法
小さな子どもにできた稗粒腫は、自然になくなることがあります。
大人の場合は、自然治癒しないため、治療が必要です。注射器で稗粒腫に穴を開けて内容物を押し出すと、その後、なくなります。
じんましん
赤みが出て、皮膚が盛り上がります。
強いかゆみ、違和感のある痛みを感じます。
発症から数時間~1日で症状は軽くなっていきます。アレルギーの原因となる食べ物を食べる、ストレス、発汗、日光などが原因となって発症します。
治療法
病院で抗ヒスタミン薬の投与をします。
繰り返し発症する場合は、原因を特定し、原因物質を避ける必要があります。
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「大人のニキビが治らない…」
「皮膚科で治療すべき?」
治療方法や料金を医師が解説。
ご自身でできるお手軽なセルフケアもご紹介します。
大人ニキビは皮膚科に行くべき?
ニキビ跡に残さず、早く治したい場合には、皮膚科での治療がおすすめです。
医療機関では医師がニキビの状態を見て、薬を処方します。
市販では販売されていない専用の処方薬もあります。ニキビ跡を残さないようにしたい場合は、早めに医療機関で治療を受けましょう。
こんなニキビは早めに皮膚科へ
顔全体にニキビがある
赤みがある
膿んでいる
かゆみが強い
といった症状がある場合、内科疾患からくるニキビや感染症が考えられます。
早めに皮膚科へ行きましょう。
お医者さんには、なんて言えばいい?
皮膚科の医師には
いつ頃からニキビが増えてきたか
何かニキビ対策を行なっているか
現在使用している薬と化粧品
ニキビの箇所にメイクをしているかどうか
メイクをしている場合は、どのようなものを使っているか
ストレスや疲労はたまっていないか
を伝えましょう。
皮膚科で受ける治療法&料金
大人のニキビに対し、皮膚科では
塗り薬
飲み薬
ケミカルピーリング・レーザーピーリング
などの治療を行います。
① 塗り薬による治療
ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑え、皮脂のつまりをなくす薬を塗ります。
皮脂のつまりをなくし、皮脂の排出をスムーズにするので、ニキビができにくくなります。
炎症を伴う赤いニキビや膿んでいるニキビなどを早く快方に向かわせます。
費用は?保険適用?
塗り薬による治療は保険適用になります。
診察・検査・治療費を合わせると、2,000〜3,000円ほどかかります。
② 飲み薬による治療(保険適用)
ビタミン剤や漢方薬を飲むことで、内側から皮脂分泌を整え、炎症を抑える治療方法です。
ビタミン剤は軽症から重症のニキビに使用します。
漢方薬は重度のニキビ治療に使われる場合が多いです。
費用は?保険適用?
ビタミン剤も漢方薬も保険適用です。
診察・検査・治療費を合わせると、2,000~4,000円ほどかかります。
② 飲み薬による治療(保険適用外)
「ロアキュタン」というイソトレチノイン(ビタミンA類似薬)が含まれる薬を飲む方法です。
ロアキュタンには炎症を抑えるという効果があります。副作用としては頭痛、目のかすみ、吐き気、嘔吐、脳卒中、下痢、筋力低下、重大な精神症状などがあります。
ロアキュタンは重度のニキビ治療に使われる場合が多いです。
妊娠中や授乳中は使用できませんが、重症など特効薬として使用される治療です。
費用は?保険適用?
ロアキュタンは保険適用外です。
診察・検査・治療費・薬1ヶ月分を合わせると、総額20,000~30,000円ほどかかります。
ただ、医療機関によって検査や薬の投薬の仕方、価格も異なるので、事前に確認しましょう。
③ ケミカルピーリング、レーザーピーリング
薬やレーザー(ロングパルスヤグレーザー、Qスイッチヤグレーザー 等)の力で、皮膚表面と皮膚内部を活性化して、早いニキビの快方を目的とする治療です。
ニキビを減らし、赤みの軽減、皮膚表面のおうとつを滑らかにする効果があります。
中程度~重度のニキビに対応しています。副作用として、かゆみやピリピリ感、ヒリヒリ感などがでることがあります。
費用は?保険適用?
ケミカルピーリング、レーザーピーリングは保険適用外です。
診察・検査・治療費を合わせると、総額(1回)で5,000~20,000円ほどかかります。
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早く治すために!日常で心がける3つのこと
大人のニキビを早く治すために、「洗顔」「睡眠」「ストレス対策」を徹底しましょう。
その① 洗顔
洗顔はニキビケアの基本です。
老化角質や余分な皮脂を洗い流すことで、ニキビをケアします。
洗顔方法
手のひらや泡立てネットで、石鹸を丁寧に泡立てる
皮膚をこすらないように、泡を押し当てて洗う
ぬるま湯で丁寧に洗い流す
熱いお湯は控えてください。肌を乾燥させ、皮脂分泌を増やします。
肌をこするとニキビが悪化する可能性があります。また洗い残しはニキビの原因になります。
その② 睡眠
睡眠は皮膚のターンオーバーを活性化させ、皮膚の治癒力をあげます。
ニキビのケアには質の良い睡眠が必要です。
快眠する方法
入浴は眠る1~2時間前に入る
入浴後に体の熱が取れ、眠気を感じたらすぐに眠る
睡眠時間は1日6~8時間確保する
カフェインは睡眠の5~6時間前までに摂る
食事は睡眠の2〜3時間前までに摂る
夜中の飲食は避ける
空腹で眠れないときは、温かいお茶や豆乳を飲む
その③ ストレス対策
ストレスは皮脂を酸化させ、ニキビの原因になります。
また、ターンオーバーの低下にもつながります。ストレスは溜めないようにしましょう。
ストレスを溜めない方法
シャワーではなく、ぬるま湯にゆっくりとつかる
たっぷりの睡眠時間を確保する(8時間程度)
趣味の時間を作る
休息日を作る
日中に軽い運動を行う
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
公益社団法人日本皮膚科学会 にきび 大人のにきびとは?
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頬のニキビが治らないのはなぜ?
赤みやかゆみがなかなか治らない原因と対処法をお医者さんに聞きました。
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なぜ?頬ニキビが治らない原因
頬ニキビが治らないのは、次の原因が考えられます。
乾燥
紫外線
睡眠不足
ストレス
食生活の乱れ
ホルモンバランスの変化
メイクが落とし切れていない
肌ケア方法が間違っている
それぞれの「肌に何が起こっているのか」詳しく解説します。
自分に当てはまるポイントがないか、チェックしましょう。
原因1.乾燥
頬は、水分が蒸発して、乾燥しやすいといえます。
皮脂分泌が少なく、肌を保護する皮脂膜が形成されにくい部分です。
肌表面が乾燥状態になると、潤いを維持するために皮脂分泌を増えます。その結果、皮脂が過剰に分泌されて毛穴詰まりを起こし、ニキビが発生しやすい状態になります。
しかし、過度に乾燥を防ごうと化粧水や乳液を使うと、肌の代謝バランスを崩すことになり、肌本来の皮脂分泌が低下するという悪循環にも陥りやすいです。
原因2.紫外線
肌の大敵と考えられている紫外線は、ニキビ発生にも関与していると考えられています。
ニキビ肌状はより敏感になっているため、紫外線ダメージも強く受けてしまうという悪循環に陥ります。
原因3.睡眠不足
睡眠不足が続くと、皮膚のダメージの補修がスムーズに行われなくなります。
肌のターンオーバーにも悪影響を及ぼします。その結果、古くなった角質が残って毛穴に詰まり、ニキビを発生させます。
原因4.ストレス
ストレス過多により、「アンドロゲン」というホルモンの分泌が過剰になる場合があります。
アンドロゲンには、皮脂分泌を促進する作用があるため、毛穴詰まりが起こりやすくなり、ニキビの発生に繋がると考えられています。
原因5.食生活の乱れ
1日3食、バランスのよい食事をとれていますか?
食生活の乱れは、ニキビの発生リスクを高めます。
暴飲暴食
ダイエットによる食事回数の減少
脂肪分や糖分のとりすぎ
お酒の飲みすぎ
などは、ニキビを発生させるリスクを高めます。
原因6.ホルモンバランスの変化
「生理前に肌が荒れる」という方は、ホルモンバランスが要因になっている可能性があります。
生理前に分泌が活発になる男性ホルモンは、皮脂分泌を促進する作用があります。
また、黄体ホルモンは毛穴周辺の皮膚を厚くする作用があり、毛穴詰まりが起きてニキビができやすい状態になります。
また生理前は、健康な肌を維持する作用をもつエストロゲンの働きも悪くなります。肌が乾燥傾向になるため、皮脂の過剰分泌の原因となります。
原因7.メイクが落としきれていない。
メイク残りは、アクネ菌の温床になります。
メイクが毛穴の中に残っていると、皮脂と混合されてアクネ菌の栄養分になり、ニキビ発生を促すことがあります。
原因8.肌ケア方法が間違っている
過剰に洗い過ぎる等の行為は、肌に必要なうるおい成分まで除去してしまう恐れがあります。
綺麗になるどころか、角質を厚くしてしまう場合があります。
頬ニキビの正しいケア方法
なかなか治らない頬ニキビ。
その正しいケアを解説します。
STEP1.メイクをしっかり落とす
油分を多く含むメイクは、メイク落とし専用のクレンジングで丁寧にメイクオフしてください。
洗顔料は、低刺激で弱酸性、殺菌洗浄成分配合の肌に優しい成分のタイプがおすすめです。
またニキビが発生している場合は、オイルタイプよりもミルク・ジェルタイプがおすすめです。オイルタイプは、必要なうるおい成分まで除去して乾燥を助長させてしまうので、全くおすすめしません。
STEP2.正しい洗顔を行う
<洗顔のやり方>
洗顔前に手を洗う
ぬるま湯で顔を流す
洗顔料をしっかり泡立てる
よく泡立てたものを肌にそっとのせて、泡で肌を包み込むように優しくそっと洗う
ぬるま湯で顔をすすぐ
洗い残しがないか確認し、清潔なタオルで優しく水分をとる
ゴシゴシしたり、ニキビを押すのはNGです!
STEP3.しっかり保湿
洗顔後、肌のバリア機能を維持するためには保湿ケアがとても重要です。
たっぷり保湿して肌の潤いを守ることで、ニキビが発生しにくい肌になります。
油分を多く含むタイプではなく、化粧水・ジェル・美容液等を使用しての保湿がおすすめです。
また、スキンケア用品は、ニキビ肌専用のタイプやノンコメドジェニック表示があるタイプがおすすめです。
STEP4.日焼け止めで紫外線をブロック
肌に優しい低刺激タイプの日焼け止めを使用して、紫外線から肌をしっかり守ってください。
「食事」も見直そう
頬ニキビを改善するために、1日3食、栄養バランスのよい食事を摂るようにしてください。
特に次の栄養素は、ニキビの改善に繋がるとされています。
<しっかりとりたい栄養素>
ビタミンB2(豚肉、牛乳、納豆、青魚等)
ビタミンB6(鮭、イワシ、サンマ、バナナ等)
ビタミンC (いちご、トマト、キウイ等)
ビタミンE (イワシ、うなぎ、オリーブ油等)
食物繊維 (海藻類、きのこ類、根菜類、玄米、豆類等)
こんな食事にならないように気をつけて!
次のような食生活は頬ニキビの悪化に繋がるため、避けましょう。
<NG食生活>
脂肪・糖分のとりすぎ
炭水化物の過剰摂取
お酒の飲みすぎ
インスタント食品の過剰摂取
過剰なダイエットによる栄養不足
やってはいけない頬ニキビの対処法
よくあるNG行動はこちら。
ニキビの発生・悪化につながるので避けましょう。
ゴシゴシ擦るような洗顔
1日に何度も洗顔する
スクラブ剤、洗顔ブラシを使用するケア
洗顔後、保湿ケアをしない
ニキビを頻繁に触る
ニキビをつぶす
ニキビがひどい状態でメイクを続ける
上記に加えて、むやみに市販薬を使用するのはやめましょう。
ニキビケアに有効な市販薬も多く販売されていますが、ニキビにもいろいろなタイプがあり、自己判断で薬を決めると改善が遅れる場合があります。
また、ニキビと思って市販薬を使用していたのに、実は他の疾患が原因の可能性もあります。
即効性を求めるなら皮膚科へ
ニキビが1つでもある場合、皮膚科での治療をおすすめします。
皮膚科で治療を受けると、ニキビ症状に合う治療や治療薬を処方してもらえます。繰り返すニキビの予防も期待できます。
自己判断で市販薬やスキンケア用品を使用して、改善が見られないまま長期にわたり購入し続けるよりも、医療機関を受診して正確な診断を受けた方が早期改善の期待できるでしょう。
皮膚科を探す
▼参考
沖縄県医師会 ニキビ 一人で悩まず皮膚科へ
マルホ ニキビ一緒に治そうプロジェクト
クラシエ薬品株式会社 おとなのニキビ研
ロート製薬株式会社 「大人ニキビ」の原因・症状・対処方法について解説
第一三共ヘルスケア ニキビ・吹き出物の原因
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会 健康食品相談 Q&A
常盤薬品 にきび肌の保湿の基本
公益社団法人 日本皮膚科学会 にきび
エーザイ製薬 ニキビの改善と予防