耳の下に、押すと痛いしこりがある…。
このしこりの正体を、お医者さんに聞きました。
受診が必要なケースもあるので要チェックです。
監修者
経歴
大正時代祖父の代から続く耳鼻咽喉科専門医。クリニックでの診療のほか、京都大学医学部はじめ多くの大学での講義を担当。マスコミ、テレビ出演多数。
平成12年瀬尾クリニック開設し、院長、理事長。
京都大学医学部講師、兵庫医科大学講師、大阪歯科大学講師を兼任。京都大学医学部大学院修了。
耳の下にしこりが!押すと痛いけど…大丈夫?
耳の下にできた「押すと痛いしこり」は、過剰に心配いらないケースが多いです。
押すと痛い腫瘍は、リンパ節炎の場合が多いです。
心配になりますが、だいたいの場合は悪性腫瘍(ガン)ではないことが多いです。
ただし、
といった場合は、注意が必要です。悪性腫瘍(ガン)のリスクがあります。
一度、医療機関で検査を受けましょう。
合わせて読みたい
2020-03-25
「ふと首のリンパを押してみたら痛い…」
「なんだか腫れている気がする…」
「しこりができているけど、もしかして病気?」
リンパを押すと痛い症状の原因をお医者さんに聞きました。
自分でできる対処法から、考えられる病気の可能性もご紹介します。
病院へ行く際は何科を受診すればいいのかもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
首のリンパを押すと痛い…考えられる病気5つ
首のリンパを押すと痛い時、考えられる主な原因は
リンパ節炎
咽頭炎(風邪、インフルエンザ、新型コロナ感染症など)扁桃炎
口腔内の炎症疲労やストレス
疲労やストレス
リンパ腫やがんのリンパ節転移
の5つです。
ひとつずつ説明してきます。
首のリンパを押すと痛い原因① リンパ節炎
リンパ節炎はリンパ節が炎症を起こして腫れたり痛んだりしている状態で、梅毒や結核、HIV/AIDSなどの全身性疾患の症状として起こる場合があります。
リンパ節炎になると、体内に侵入したウィルスや細菌に対抗するためにリンパ球が活性化し、炎症を起こし腫れて敏感になるため「押すと痛い」状態になります。
リンパ節は体中いたるところにある小さな組織で、リンパ節の中にあるリンパ球は免疫システムの一部としてウイルスや細菌と戦う役割をしています。
リンパ節炎は体内の炎症反応が原因で起こり、感染症が原因で起こることが多いですが、感染症以外に、機序が不明なリンパ節炎(壊死性リンパ節炎:菊池病)や、全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどの自己免疫疾患によりリンパ節炎が生じる場合があります。
痛む場所、痛みの特徴
首の側面、あごの下、耳の後ろなど
触るとしこりのように感じられる
鈍い痛みやズキズキする痛み
何もしなくても痛くことがある
リンパ節炎は、腫れたリンパ節が柔らかく、押すと位置する場所が動くことが多いです。
痛み以外の症状
腫れ
腫れた部分の発赤・熱感
発熱、倦怠感、悪寒など
首のリンパを押すと痛い原因② 咽頭炎・扁桃炎
咽頭炎とは、感冒等によりのど(咽頭)が炎症を起こしている状態です。扁桃は咽頭の一部で、リンパ球の塊であり免疫組織として機能しており、感染等にて炎症をきたします。
咽頭炎や扁桃炎を起こすと近くにある首のリンパ節も反応して腫れることがあるため、押すと痛くなると考えられます。
咽頭や扁桃が感染を受けると、その近くのリンパ節(所属リンパ節)のリンパ球が活性化し炎症をきたし、リンパ節が腫大し押すと痛むようになります。
咽頭炎は風邪やインフルエンザ、新型コロナ感染症により生じることが多いですが、溶連菌感染症や、EBウィルスが関与する伝染性単核症、HIVが関与するHIV/AIDSなどがあり、まれに淋菌が感染していることがあります。
痛む場所、痛みの特徴
喉の奥
左右の両方が痛む場合もある
鋭いズキズキする痛み
飲み込む動作で痛みが増す
痛み以外の症状
喉が赤く腫れる
喉に白い苔状のものが付着している
黄色や緑色の喀痰が出ることがある
発熱(時には40℃近くなることもある)
全身のだるさ
食欲が低下する
首のリンパを押すと痛い原因③ 口腔内の炎症
口の中や歯に炎症や感染が起こることで、近くのあごの下や首のリンパ節に影響を与え、痛みや腫れを引き起こしている場合があります。
特にリンパ節の腫れの原因となるのは
虫歯
歯周病
口内炎
口腔内の感染症
などです。
虫歯は程度が軽ければ問題ないですが、放置された齲歯が進行し歯の神経根の周辺に炎症を引き起こすと、首のリンパ節に影響が出ることがあります。
痛む場所、痛みの特徴
顎の下、首の側面のリンパ節が腫れやすい
口腔内で問題が起きている側と同じ側のリンパ節が腫れる
何もしなくてもズキズキと痛むことがある
腫れたリンパ節が硬く感じることがある
痛み以外の症状
虫歯や親知らずの痛み
歯肉の腫れ
噛むと痛む
冷たいものや熱いものがしみる
親知らずや歯肉の周りに膿が溜まることがある
首のリンパを押すと痛い原因④ 疲労やストレス
疲労やストレスによって体が過度な負担を感じていると、リンパ節が腫れていないにも関わらず腫れているかなと自覚することがあります。
疲労やストレスで体調が不調になると、リンパ節が腫れていないのに腫れているように感じることがあります。
痛む場所、痛みの特徴
首の側面や下あご付近
押すと痛い鈍痛
しこりはなく、腫れて硬くならない
感染症のような強いズキズキした痛みではなく、押すと軽い鈍痛を感じることが多いのが特徴です。
感染症や腫瘍の場合とは異なり、リンパ節が明らかに腫れて硬くなることは少ないです。
痛み以外の症状
全身の疲労感
頭痛
睡眠不足
肩や首のコリ
風邪をひきそうな喉の違和感や鼻水
首のリンパを押すと痛い原因⑤ リンパ腫・がんのリンパ節転移
「リンパ腫」は、リンパ球が腫瘍化してできる病気で、リンパ球の異常増殖がリンパ節に腫れを引き起こします。
リンパ腫の場合、腫脹したリンパ節を押しても痛みを感じない場合が多いですが、リンパ腫がある場所に感染や炎症が加わっている場合やリンパ腫の種類によっては痛みを感じることがあります。
リンパ腫以外に、咽頭がんや甲状腺がんなどがリンパ節に転移してリンパ節が腫れることがあります。
痛む場所、痛みの特徴
腫れは硬く、動きにくい
押しても強い痛みはあまりない
リンパの腫れが何週間~何か月以上続く
感染症やリンパ節炎ではリンパ節が柔らかく、押すと強い痛みを感じることが多いですが、リンパ腫やがんのリンパ節転移では痛みがないか軽いことが多いです。
痛み以外の症状
首以外の部位(脇の下、足の付け根など)も腫れることがある
発熱
夜中に大量の汗をかく
体重減少
体力の低下
リンパ腫の場合、原因不明の発熱が続いたり、寝汗を大量にかくことが多いのが特徴です。
「扁桃腺の腫れ」と「扁桃腺炎」は違うの?
正確には、「扁桃腺の腫れ」は「首のリンパの腫れ」とは異なります。
ですが、扁桃腺の近くに首のリンパ節があるため、扁桃腺が腫れている時に、首のリンパ節が同時に腫れていることがよくあります。
扁桃腺とリンパ節はどちらも免疫システムの一部で、感染や炎症が起きたときに反応します。
扁桃腺の炎症や感染に反応してリンパ節が働き、免疫細胞を活発にするため、扁桃炎の一部の症状として、首のリンパ節が腫れたり痛くなったりすることがあるのです。
扁桃腺と首のリンパ節はある場所が微妙に違うため、腫れる場所が異なります。
扁桃腺(へんとうせん)
位置:喉の奥(口を大きく開けると見える部分)。
役割:ウイルスや細菌が体内に侵入するのを防ぐための「最初の防御壁」。
症状:腫れ、痛み(特に飲み込むとき)、赤み、高熱を伴うことがある。
首のリンパ節
位置:首や顎の下、耳の後ろ、鎖骨の近くなど。
役割:体全体から集まるリンパ液を濾過し、感染や異物を処理する。
症状:腫れや痛み、押すと敏感になる。炎症が強いと熱を持つこともある。
「熱がある」「熱がない」症状の違いは?
リンパが腫れているとき熱があるかどうかは、リンパ節が腫れる原因を特定するのにとても重要な手がかりになります。
熱がある場合に考えられる病気
リンパ節が腫れていて「熱がある場合」、
咽頭炎・扁桃炎
リンパ節炎
口腔内の炎症
が考えられます。
熱がある場合は、腫れたリンパ節が柔らかく、押すと痛むことが多いです。
最も一般的な原因である風邪やインフルエンザなどの感染症によるリンパ節の腫れなどが当てはまります。
熱がない場合に考えられる病気
リンパ節が腫れていて「熱がない場合」、
疲労やストレスによる腫れ
リンパ腫やがんのリンパ節転移
などが考えられます。
疲労やストレスなどでリンパ節が腫れていないのに腫れているように感じることがあります。
リンパ腫やがんのリンパ節転移の場合、「押しても痛みが少ない」「熱が出ない」ことがあるため、違和感があった場合はすぐに医師に相談しましょう。
特にリンパ腫は早期発見が大切です。様子をみるのではなく病院へ行くのが望ましいです。
押すと痛い首のリンパ…放置していても大丈夫?
首のリンパを押すと痛い症状が数日~1週間程度でおさまる場合は問題がないことが多いですが、腫れが2週間以上続いたり、発熱や全身症状が引かない場合は重篤な病気の可能性があるため、早めに病院を受診しましょう。
大丈夫な場合
症状が数日~1週間以内におさまる
風邪等の症状の回復とともにリンパ節の腫れもおさまる
熱、だるさ、のどの痛みなどほかの症状がない
十分な休息をとった後は腫れがひく
風邪やインフルエンザなどウイルスによるものが原因だった場合は、症状の回復とともにリンパ節の腫れや痛みも引きます。
その場合は問題ないと考えていい場合が多いです。
要注意な場合
腫れが2週間以上続く
腫れが硬く、痛みがない
高熱、強いだるさがある
夜間に大量の寝汗をかく
体重減少
首だけでなく脇や足の付け根などのリンパも腫れている
以上のような症状がみられる場合は、リンパ腫の可能性も否定できません。
もし風邪などが治ったあともリンパ節のしこりが消えない場合、別の深刻な病気の場合も考えられます。
リンパ腫やがんは早期発見が非常に重要です。放置せず、必ず早めに病院を受診しましょう。
【対処法】今すぐ自分でできる方法は?
ウイルスによる感染症が原因の場合でも、なるべく病院を受診し、適切な抗生物質などで治療することが望ましいです。
ですが、どうしても痛みが強い場合は応急処置として
首のリンパを冷やす
うがいをする
水分補給をしっかりする
市販の痛み止めを使う
などを試みるといいでしょう。
対処法① 首のリンパを冷やす
腫れがひどく熱を持っている場合、冷やすことで炎症を抑えることができます。冷やしすぎると血流が悪くなるので適度に行いましょう。
やり方
冷たいタオルや保冷剤をタオルで包み、患部に優しく当て
1回につき5~10分を目安にする
対処法② うがいをする
うがいをすると、のどや口の中にいる細菌やウイルスを洗い流すことができます。
うがい薬を使用すると、より炎症の元となる菌やウイルスの数を減らせるため、症状の悪化を防ぐことができるのでおすすめです。
やり方
1回あたり15秒~30秒が目安
1日に3回~5回
喉の奥まで届くようにする
上記の3つのポイントを抑えておこないましょう。
対処法③ 水分補給をしっかりする
十分な水分補給は、体の老廃物を排出し、リンパの流れを助けます。体の免疫システムが働きやすくなるため、回復が早まる可能性があります。
やり方
常温の水や薄いお茶を飲む
一度に大量ではなく、こまめに少量ずつ飲む
冷たい飲み物は避けるのが望ましいです。
対処法④ 市販の痛み止めを使う
すぐに病院へ行けない時や、どうしても痛みが強くて生活に支障をきたす場合は、市販の痛み止めで症状を和らげるのもいいでしょう。
イブプロフェンやアセトアミノフェン、ロキソプロフェンなどが配合されている市販薬がいいでしょう。
おすすめの市販薬を詳しく解説します。
おすすめの市販薬
痛みを抑える薬やのどの炎症にアプローチする市販薬がおすすめ
首のリンパが腫れて痛い時は、痛みが強くてつらい時は「痛みを抑える」もの、扁桃炎やのどの炎症を抑えてリンパの腫れを鎮めたい時には「のどの炎症にアプローチする」市販薬を選ぶといいでしょう。
痛みを抑える市販薬のおすすめ
アセトアミノフェン
イブプロフェン
ロキソプロフェン
の成分が入っている鎮痛薬は、一時的に痛みを和らげることが期待できます。
アセトアミノフェンが入っている市販薬の例
タイレノールA など
イブプロフェンが入っている市販薬の例
イブ シリーズ
バファリンプレミアム など
ロキソプロフェンが入っている市販薬の例
ロキソニンシリーズ など
のどの炎症にアプローチする市販薬のおすすめ
のどの炎症を鎮めるには、「トラネキサム酸」が配合されている市販薬を選ぶといいでしょう。
トラネキサム酸は炎症を引き起こす物質の働きを抑えたり、のどの炎症を抑え腫れや痛みを軽減する作用があります。
トラネキサム酸が入っている市販薬の例
ハレナース
ペラックT錠
トラフル錠
病院は何科?行く目安は?
まず耳鼻咽喉科を受診するのがおすすめです。
耳鼻咽喉科ではのど、鼻、耳を専門的に診察できるため、扁桃炎やリンパ節炎などを適切に処置してもらえます。ただ、高熱が続いている、強い倦怠感がある場合は血液内科を受診するのもいいでしょう。
病院に行く目安は?
次のような症状が現れた場合は、医療機関を受診しましょう。
発熱が持続している
リンパ節が激しく痛む
リンパ節が腫大し直径1.5~2㎝以上になっている
腫大したリンパ節が硬い
リンパ節が短期間にどんどん大きくなっている
1か月以上リンパ節が腫れている
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
病院は何科?
しこりが痛くて腫れている場合は、「耳鼻いんこう科」を受診しましょう。
しこりが皮膚の炎症によるものであれば「皮膚科」を受診しましょう。
しこりの原因が分からない場合は、まずは耳鼻いんこう科に行きましょう。
まれにですが、深刻な場合もあるので、上記のような症状が出ている場合は、すぐに医療機関に行きましょう。
耳鼻いんこう科を探す
よくある2つの原因
耳の下の押すと痛いしこりは
- リンパ節炎
- 粉瘤
の可能性が高いです。
原因① リンパ節炎
不規則な生活やバランスの偏った食事、睡眠不足、疲労やストレスなど、免疫力の低下を招くような生活習慣をしていると、リンパ節炎を引き起こしやすいです。
リンパ節炎のしこりの正体は、リンパ節部分が腫れて大きくなったものです。
リンパ節が炎症を起こしているため、痛みを生じます。
細菌やウイルス、真菌、原虫などに感染することが原因となって起こります。
リンパ節炎のしこりの特徴
- 耳の下の腫れ
- 耳の下の痛み(押すと痛い)
- 皮膚が赤くなり熱を持つ
- 中に膿が溜まる(膿瘍)
他にもこんな症状出ていませんか?
他にも倦怠感や発熱などの症状があります。
その他にも、水ぶくれができるなどの蜂窩織炎などの症状があります。
蜂窩織炎(ほうかしきえん)とは
皮膚とその下の組織に起こる細菌による感染症のことです。
一般的な細菌としては、レンサ球菌とブドウ球菌があります。
感染した部分の皮膚は、
- 赤くなり、痛みや圧痛が生じ、皮膚が熱をもって腫れる
- 細かいあばたができているように見える
- 中に液体が充満した大小の水ぶくれが生じる
などの症状がみられます。
自分でできる対処法は?
リンパ節の腫れについては、冷却シートやアイスパックなどで、腫れている部分を冷やすとよいです。痛みや熱は、市販の解熱鎮痛薬を服用しても大丈夫です。
対処法を3、4日行っても改善しない場合は、一度、医療機関で相談しましょう。
こんな場合には病院へ
膿が溜まっている状態(膿瘍:のうよう)ができている場合は、医療機関を受診しましょう。
中の膿を手術によって摘出する治療が必要になります。
手術の際は、局所麻酔にて排膿します。麻酔は通常の注射のような痛みです。
※痛みの感じ方は個人差があります。
病院は何科?
リンパ節炎を疑う場合は、耳鼻いんこう科を受診しましょう。
原因② 粉瘤
皮膚の下に袋状のもの(嚢腫:のうしゅ)ができて、そのなかに通常では皮膚から剥げ落ちる角質や皮脂がたまってできた腫瘍です。
しこりの中央の開口部から細菌が侵入して、化膿していると痛みます。
しこりは、1個から数個でき、多発するケースもあります。
粉瘤のしこりの特徴
- 数mmから数cmの盛り上がり
- 中央に黒い点のような開口部がある
- 強く押すと、ドロドロとしたくさい物質が出る
- 少しずつ大きくなる
- しこり以外の症状は特になし
粉瘤の原因
今のところ原因ははっきりとわかっていません。
体を清潔に保っていたとしても、できることがあり、体質が関係していると考えられています。
生まれつき粉瘤が発症しやすい体質の人がいます。
自分でできる対処法は?
残念ながら、自分でできる対処法はありません。
粉瘤は、市販薬を塗っても消えることはありません。
粉瘤を放置すると…
粉瘤をそのままにしておくと、さらに大きくなることがあります。
また、しこりの中央の開口部から細菌が入ると、化膿し、赤く腫れて痛みを生じます。
さらに悪化すると、しこりの内容物が破壊され、膿がたまり(膿瘍)ます。
病院は何科?
粉瘤ができている場合は、皮膚科を受診しましょう。
皮膚科では、皮膚の表面を切り開いて膿を出す治療が必要になります。
皮膚科を探す
不安なしこりは病院で相談を

不安を解消するためにも、医療機関を受診しましょう。
検査を受けてしこりの正体を特定することで、病気の悪化防止につなげられます。
また、痛みを伴うしこりは、まれにガンのケースもあります。
心配のないしこりであるケースも多いので、医療機関でしっかり調べてもらいましょう。
▼リンパ節炎(しこりが腫れて痛い)の場合
耳鼻いんこう科を探す
▼粉瘤(少しずつおおきくなるしこり)の場合
皮膚科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
合わせて読みたい
2021-06-01
「耳の前を押すと痛いのは、なぜ?」
この症状から考えられる病気を、お医者さんが解説します。
しこりができている場合は耳下腺腫瘍の可能性があるため、要注意です。
耳の前を押すと痛い…これはなぜ?
耳の前を押すと痛いという症状は、何らかの原因で唾液を分泌する組織(唾液腺)や顎関節に炎症が起きているケースが多いです。
この痛みは大丈夫?病院行くべき?
症状が一時的(おおよそ2日くらい)な場合や、日常生活に支障をきたしていない場合、一旦様子を見てみましょう。
ただし、
痛みが強い
日常生活に支障をきたしている(口を開けると痛い・食事をするのが難しい)
片方の耳の前だけ痛い
全身症状がみられる
皮膚症状がみられる
押すと痛いしこりがある
といった場合は、医療機関に行くことをおすすめします。
しこりがあるけど…これ何?危険な病気?
耳の前にしこりがある場合、耳下腺に良性または悪性の腫瘍が発生している可能性があります。
良性の腫瘍であれば、命にかかわることはありません。
ただし、しこりは悪性腫瘍の場合もあります。良性か悪性かは、自分ではわかりません。自己判断するのは危険です。医療機関で検査を受けましょう。
何科で受診すればいい?
耳の前を押すと痛い場合は、耳鼻いんこう科を受診しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
よくある2つの病気
耳の前を押すと痛いのは
顎関節症
耳下腺炎
などが原因の可能性があります。
それぞれ詳しく解説していきます。
病気① 顎関節症
「顎関節症(がくかんせつしょう)」の場合、あごの関節まわりの組織が炎症を起こしていることで耳の前を押すと痛みが生じます。
顎関節症の主な症状
顎を動かすとミシミシ・シャリシャリと音がする(顎関節雑)
顎が痛い(顎関節痛・咀嚼筋痛)
口が開かない(開口障害)
顎関節症の原因
「顎関節症」は、顎周りの関節・筋肉の異常が原因です。
また、次のような生活習慣は顎関節症を引き起こす原因になります。
歌うなど、口の開閉をよく行う
ガムを頻繁に噛む
歯ぎしりをする
食いしばりの癖がある
うつ伏せで寝る
食べ物を左右のどちらかで噛む
顎関節症は、20歳代前半、40~50歳の女性に多くみられます。
自分でできる対処法
原因となる生活習慣を改善しましょう。
また、顎に負担をかけすぎないように安静にしていると症状が良くなることがあります。
症状が良くなるまでは、食事はやわらかいものを選びましょう。
こんな場合は病院へ
2週間を過ぎても症状に変化がない場合やどんどん症状が悪化している場合、一度に医療機関に行くことをおすすめします。
悪化すると、痛みが強くなり、固いものや大きな食べ物が食べられなくなります。顎関節が固まって口を大きく開けられなくなり、食事だけでなくあくびができなかったり、長時間の歯科治療が受けられなくなります。顎関節の症状だけでなく、頭痛や耳鳴り、肩こりも生じます。
既に日常生活に支障をきたしている場合には、はやめに医療機関を受診してください。
病院は何科?
顎関節症の疑いがある場合は、歯科や口腔外科を受診しましょう。
歯科を探す
病気② 耳下腺炎
耳の前~下あたりにある唾液腺「耳下腺」がウイルスや細菌に感染しているのが「耳下腺炎」です。耳の前を押すと痛みます。
耳の前に痛みが出る耳下腺炎は、
おたふく風邪(うつる・子どもに多い)
化膿性耳下腺炎(うつらない・大人に多い)
の2種類があります。
おたふく風邪になりやすい人
おたふく風邪は、3~6歳の子どもに多い病気です。
ただし、感染力が高く、大人でも感染することがあります。大人が発症すると、症状が重くなる傾向があります。
化膿性耳下腺炎にやすい人
化膿性耳下腺炎は、どの年代でもかかる可能性はありますが、高齢者に多いです。
化膿性耳下腺炎は人から人へ感染することはありません。術後や口腔内衛生が良くない、唾液の分泌が低下している、「唾石症」になっている人がなりやすいです。
※唾石症(だせきしょう)とは
唾液腺や導管の中に唾石と呼ばれる石ができることで起こる病気。唾石は、砂粒くらいの小さなもの~数cmにまで及ぶものまであります。食べ物を食べようとしたときや、食べているときに、唾液腺のある部分が腫れて、強く痛みます。
耳下腺炎の主な症状
片方、もしくは、両方の耳の下が腫れる
皮膚が赤くなる
耳下腺に違和感がある
酸っぱいものを飲んだときに、耳下腺が痛い
耳の周りやあごの下、舌の周りが腫れる
熱が出る(流行性耳下腺炎の場合は、2〜3日程度)
耳の前や下が痛い
耳の下が腫れる
皮膚が赤くなる
口のなかに膿の混じった唾液が出る
リンパ節が腫れる
リンパ節を押すと痛い
頭が痛い
倦怠感がある
耳下腺炎の原因
耳下腺炎は、不規則な生活、バランスの偏った食事、睡眠不足、過度な疲労やストレスなどの生活習慣によって免疫力が低下し、発症の原因に繋がります。
主に、ムンプスウイルスや黄色ブドウ球菌、溶連菌、肺炎球菌に感染することで発症します。
また、唾液の分泌の減少や口腔内衛生が良くないことも発症に繋がります。
放置はNG!痛みが続く場合は必ず病院へ
「顎関節症」を放っておくと…
顎関節症を放っておくと、顎関節への負担が大きくなり、痛みが強くなります。
そうすると、固いものや大きな食べ物が食べられなくなり、日常生活に支障をきたします。頭痛や肩こり、耳鳴りを起こすこともあります。
「耳下腺炎」を放っておくと…
「化膿性耳下腺炎」の場合、手術での治療が必要になる可能性があります。
「おたふく風邪」の場合、不妊症や流産に繋がります。
「おたふく風邪」による不妊症は、おたふく風邪に感染したことで卵巣炎が併発することが原因とされています。卵巣炎とは、病原体が子宮経管から卵管に感染することで炎症が生じる病気です。吐き気や下腹部痛、不正出血などの症状が見られます。
病院は何科?
顎関節症の症状がある場合は、「歯科・口腔外科」を受診しましょう。
耳下腺炎の症状がある場合は、「耳鼻いんこう科」を受診しましょう。
顎関節症の場合は、セルフケアによって症状が落ち着く場合もありますが、耳下腺炎の場合や、症状が悪化するケースもあります。
早期の治療が大切です。自己判断で対処せず、すみやかに医療機関を受診しましょう。
歯科を探す
耳鼻いんこう科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
NIID国立感染症研究所 流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)
一般社団法人 日本顎関節学会 顎関節症とは
MSDマニュアル家庭版 顎関節症