「毎日10キロ歩いても痩せられない…」
「これってなぜ…?」
どんなにたくさん歩いても痩せられない理由について、栄養士さんに聞いてみました。
ウォーキングで結果を出すための方法や、痩せ始める時期についても解説していきます。
監修者
株式会社Luce
栄養士・食育栄養インストラクター
神原 李奈先生
経歴
株式会社Luce・健康検定協会 所属
CA(客室乗務員)の仕事をきっかけに、健康と食の強い結びつきを実感し、食の世界に興味を持つ。大手料理教室の講師の経験を経て、栄養士を目指すことに。栄養士免許を取得後の現在は、現役CAとして世界中を飛び回りながら、栄養士として健康や食に関する情報を発信している。
「毎日10キロ歩いても痩せない」人がはまる落とし穴
どんなにたくさん歩いても、消費エネルギー量(kcal)よりも、摂取エネルギー量(kcal)が上回っていれば、痩せるのは難しいです。
毎日10キロも歩いても痩せない理由として、
- スポーツドリンクやジュースの飲みすぎ
- 運動後に高エネルギー食品をとっている
- 食事量が多い
といったことが考えられます。
落とし穴① スポーツドリンクやジュースの飲みすぎ
ウォーキング中の水分補給として、スポーツドリンクやジュースを飲んでいる場合、消費エネルギー量(kcal)よりも、摂取エネルギー量(kcal)が上回ってしまう可能性が高いです。
▼摂取カロリーの例
スポーツドリンク(500ml):105kcal
オレンジジュース(濃縮還元)(500ml):230kcal
落とし穴② 運動後に高エネルギー食品をとっている
長時間のウォーキング後、お腹が空いたからと高エネルギー食品をとっていると、消費エネルギー量(kcal)よりも、摂取エネルギー量(kcal)が上回ってしまう可能性が高いです。
▼摂取カロリーの例
板チョコ一枚(60g):331kcal
落とし穴③ 食事量が多い
長時間のウォーキング後、お腹が空いたからと食事量が多くなってしまうと、消費エネルギー量(kcal)よりも、摂取エネルギー量(kcal)が上回ってしまう可能性が高いです。
たくさん歩いても「カロリー消費が少ない」ことも!

10キロも歩いても、歩くスピードがゆっくりであれば、消費エネルギーが少なくなります。
また、体重が軽い人・体脂肪が多い人も、消費エネルギーが少なくなります。
「痩せ始める時期」までには時間がかかる
1kg減量するためには7,200kcalの消費が必要です。
アメリカスポーツ医学協会が提示する式を用いて計算すると、体重60kgの人が、時速4km(分速70m)、歩幅70cmで10分歩いた(700m、1000歩)場合、消費エネルギーは30kcalとなります。
同じペースで歩いた場合、単純計算で10kmを歩く消費エネルギーは428.6kcalです。
1日に240kcal分のエネルギー消費を増やす、もしくは控えることができれば、約30日間で変化を実感できるでしょう。
ウォーキングで「結果を出す」ためのアドバイス

ウォーキングで結果を出すための方法を紹介します。
歩くときのフォームや歩くスピードを変えるだけでも効果が大きく変わるので、ぜひチェックしてください。
コツ1. 正しいフォームで歩く

歩くフォームの6ポイント
- 肩甲骨を寄せて、背筋を伸ばす
- 肩の力を抜く
- 20m先を見る
- 腕ふりは“肘を後ろに引く”
- 踏み出す方の膝は伸ばす
- 踵から着地する
お腹や太ももの筋肉をしっかり使うことができると、消費エネルギー量のアップにつながります。
コツ2. 早歩きでウォーキングする
フォームが意識できたら、次は早歩きしましょう。
歩くスピードは速い方が、消費エネルギー量が多くなります。
コツ3. 食事前に行う
食事をとる前に運動しましょう。
食事をとる前であれば、ウォーキング時のエネルギー源は体脂肪がメインとなります。
体脂肪を燃焼してエネルギーとして使うことで、減量へ繋がります。
ただし、糖質が全くない状態では、脂質をうまく消費できません。
もし空腹を感じているのであれば、バナナなど手軽に補給できるものから糖分を補給してから行うとよいです。
※基本的に、ウォーキング直前に食事は摂らないようにしましょう。
食後30分〜60分は、胃の中で食べたものを消化しています。消化不良を起こす可能性があります。
食後のウォーキングであれば、食後30分〜60分以降にしましょう。
ウォーキング後に「やっておくとよいこと」

効率よくダイエットをするために、ウォーキング後にはストレッチを行うとよいでしょう。
可動範囲を広げるために、上記の図のようなストレッチを行うと良いです。
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2021-09-01
「なぜ?!体重が一日で2キロ増えた…!」
「そんなに食べたわけじゃないのに…」
体重が一日で2キロ増えた場合について、お医者さんに聞きました。
考えられる原因や、原因ごとの対処法なども解説します。
体重が一日で2キロ増えた…!これはなぜ?
体重が一日で2キロも増えたという場合、多くは「水分によるむくみ」によるものと考えられます。2キロ分の「体脂肪」が一気に増加するのは、通常では考えにくいです。
「水分のむくみ」で2キロも増えるの?
そんなに食べていないのに、2キロもむくんでしまうことはあるのでしょうか…?
たくさん食べていなくても、
塩分の多い食事
ホルモンバランスの影響
自律神経の乱れ
によって、むくんでしまうことがあります。
次の項目で、それぞれを詳しく解説します。
原因① 塩分の多い食事を摂るとむくむ!
塩分は水分を抱え込む性質があります。
塩分を多く摂ると、余分な水分をうまく排出できずに体の中に溜まってしまい、体重が増えることがあります。
\こんな食べ物食べていませんか?/
▼塩分が多く含まれる食事例
干物、味噌汁、漬物、煮物、ラーメン、うどん、コンビニ弁当、スーパーのお惣菜、加工食品
典型的な“和食の献立”の組み合わせや、ラーメンやうどんなどなどは汁まで飲み干すと塩分の過剰摂取になります。
原因② ホルモンバランスの影響
女性の場合、ホルモンバランスの影響で体に水分を溜め込みやすい時期もあります。
これは、水分を体の中に溜め込む作用がある「プロゲステロン」という女性ホルモンによるものです。
プロゲステロンは排卵期~生理までの期間に増える傾向にあり、「生理前にむくむ」と感じる女性が多いのもこのホルモンが関係していることが多いです。
また、更年期、出産、ストレス、生活習慣などでもホルモンバランスが乱れやすくなります。
原因③ 自律神経の乱れ
自律神経が乱れると血行が悪くなり、むくみやすくなります。
自律神経が乱れるきっかけには、ストレス、不規則な生活、睡眠不足などが挙げられます
体重を戻すための「対処法」
増えた体重を早く元に戻すには、
減塩を心がける
規則正しい生活をする
しっかりと睡眠をとる
といった対処をするとよいでしょう。
対処法① 減塩を心がけ、食物繊維とカリウムを摂る
塩分摂取量を抑えることで、体の中に水分を溜め込みにくくします。
減塩調味料を使用する
香味野菜・スパイス・酸味で物足りなさを補充
タレや醤油はかけずに、少量ずつつけて食べる
コンビニ・スーパーのお弁当やお惣菜を控える
食事の最初に「食物繊維」をとり、塩分の吸収を抑えやすくする
塩分の排泄を促す効果がある「カリウム」を摂取する
といった点を、日々の食事から意識することが大切です。
食物繊維とカリウムを積極的に摂りましょう
食物繊維の摂取には、海藻、キノコ、野菜などがおすすめです。
また、カリウムはバナナ・キウイ・アボカド・イモ類・海藻などに多く含まれています。
※腎臓が悪い人はカリウムの摂取制限があるため注意しましょう
「塩分が多い食べもの」は避けましょう
水産加工品(サーモン・しらす・干物・いくら など)
畜産加工品(ベーコン・ハム など)
漬物
麺類の汁(ラーメン・うどん など)
上記は、塩分が多く含まれている食べ物の代表例です。
むくみが気になるときは、控えるようにしましょう。
対処法② 規則正しい生活を送る
規則正しい生活を送ると自律神経が整えられるため、血流の改善が期待できます。
まずは早寝早起きを心がけ、休みの日も平日と同じような生活リズムを保つようにしましょう。
対処法③ しっかりと睡眠をとる
睡眠をしっかり取ることで、心身の疲労の回復につながり、自律神経が整えられます。
睡眠時間には個人差がありますが、6〜8時間ほど確保しましょう。
質の良い睡眠が取れるよう、室内環境(光、温度、音)や衣類(体温調整・着心地の良さ)なども調整してみましょう。
注意!異常な体重増加は“病気のサイン”のケースも
セルフケを行っても
むくみが治らない
むくみが1日経っても取れない
などの場合は、病気の可能性があるため要注意です。
むくみの症状がある病気には、心不全や慢性腎臓病(CKD)などが挙げられます。
◆心不全
心臓のポンプ機能が正常に働かなくなった状態です。
放っておくと命を落とすリスクがあります。
◆慢性腎臓病(CKD)
腎臓が正常に働かなくなった状態です。
放っておいて、悪化すれば、人工透析が必要になります。
また、適切な治療を受けなければ、命を落とすリスクがあります。
「ただのむくみ」と思っていても、病気が関係している可能性も考えられます。
心配な症状がある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
何科で受診すればいい?
むくみが気になる場合、まずは内科を受診しましょう。
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2021-10-29
「食べてすぐ寝ると太るって嘘?本当?」
食べてすぐ寝ると太るのは嘘か本当か、栄養士さんに聞いてみました。
「寝る前に食べるとき」に気をつけたいポイントなども解説しますので、ダイエット中の方は必見です。
「食べてすぐ寝ると太る」は嘘?本当?
「食べてすぐ寝ると太る」可能性があります。
寝ることによってエネルギー消費量が少なくなるため、脂肪として蓄積されやすくなります。
また、直後に寝てしまうような「夜遅い食事」は、特に脂肪の蓄積が促進されます。
これは、体内時計を調節する「BMAL1遺伝子」と、そのたんぱく質が活性化するためです。
20分程度の昼寝ならOK!良い効果も
食べてすぐに寝ると、脳のリフレッシュにつながるというメリットが期待できます。
特に昼食後の適度な昼寝は、午後のパフォーマンスをアップさせてくれます。
ただし、昼寝の時間は15〜20分程度に留めておきましょう。
長時間の昼寝は、逆に目覚めが悪くなってしまうので注意が必要です。
昼寝のコツは「寝る前のコーヒー」
昼寝の前にはコーヒーなどのカフェインを含む飲み物を飲むのがおすすめです。
カフェインは摂取後、15〜20分後くらいから覚醒効果を発揮するためすっきりとした目覚めにつながるでしょう。
夜間、睡眠直前の食事はNG!デメリットは?
脂肪の蓄積につながる
睡眠の質が下がる
病気の発症リスクが上がる
などのデメリットがあげられます。
デメリット① 脂肪の蓄積につながる
活動している時間よりも、寝ている時間のエネルギー消費量の方が少ないです。
そのため、エネルギー消費がスムーズに行われず、脂肪の蓄積につながって太る可能性があります。
また、夕方以降から、体内時計を調節する“時計遺伝子”の一種である「BMAL1遺伝子」とそのたんぱく質が活性化します。
このたんぱく質は脂肪を蓄積して、分解を抑える働きを持っているため、直後に寝てしまうような夜遅い食事では、特に脂肪の蓄積が促進されてしまうのです。
デメリット② 睡眠の質が下がる
食べたものの消化にエネルギーが使われることで、睡眠を妨げられ、睡眠の質が下がってしまう可能性があります。
良質な睡眠を取るためにも、就寝の2〜3時間前までに食事を済ませるようにしましょう。
睡眠の質の低下は、疲労を翌日に持ち越すことにつながります。
疲労が溜まった体は代謝が下がりやすくなるため、健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。
デメリット③ 病気の発症リスクが上がる
食後は胃酸の逆流が生じやすい時間帯です。
食後すぐ横になると、逆流した胃酸で食道の粘膜がただれてしまい、逆流性食道炎を起こすリスクがあります。
逆流性食道炎を起こすと、胸焼けや胃もたれ、げっぷ、喉の違和感や咳、声のかすれなどが起こり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。
ダイエット中の人は、どう気を付ければいい?
忙しいときなど、どうしても晩御飯が遅くなってしまう場合もあります。
そんなときは、
高エネルギーの食事を避ける
脂肪・糖質の多い食事を避ける
ボリュームは通常の食事より抑える
といった点に気をつけると、ダイエットへの影響が少ないです。
寝る前の高エネルギーの食事、脂肪・糖質の多い食事を避けると、脂肪の蓄積だけでなく、消化不良による睡眠の質の低下も防げます。
また、食事のボリュームも通常の一食分より抑えると、消化がスムーズになります。
食べてすぐ寝るときの「食事選びのポイント」
食べてすぐ寝るときは、
野菜スープや味噌汁
大豆製品
などを選ぶのがおすすめです。
味付けは、さっぱりとしたものを選びましょう。
逆に、ごはんや麺類、パンなどの糖質の多い食品は避けましょう。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省 e-ヘルスネット 睡眠と生活習慣病との深い関係
厚生労働省 e-ヘルスネット 快眠と生活習慣
日本消化器病学会 胃食道逆流症(GERD)ガイドブック
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