冬になると気分が落ち込む…。
もしかして、冬季うつかも…?
冬季うつかどうかをチェックできる自己診断テストをお医者さんに聞きました。
冬季うつになりやすい人の特徴や病院を受診する目安についても解説します。
監修者
経歴
佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。
美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。
精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエットを開発。
冬になると気分が落ち込む…それは「冬季うつ」かも
毎年、冬になるにつれて気分が沈んで、しんどくなってきます…。なぜでしょう。
冬になると、気分が落ち込んだり、不調に悩んだりする場合は、季節性感情障害「冬季うつ」の可能性があると考えられます。
「季節性感情障害」って?
季節性感情障害とは、秋~冬など日照時間が少なくなる季節に、うつ病と同じような症状や体の不調が現れる病気です。
※冬季うつとは、「季節性感情障害」の俗称です。
このように、季節性感情障害は「事柄」として明確なストレス原因がないにもかかわらず発症するという特徴があります。
なぜ冬になると、気分が沈むの?
日照時間が少なくなる秋~冬は、日光を浴びる時間が減り、睡眠や体内時計を調整する物質を十分に作ることができなくなります。
また、体内時計は朝日を浴びてリセットされますが、秋~冬の季節は体内時計がリセットされにくくなります。
体内時計が狂って睡眠のサイクルが乱れると、心身に不調をきたし、気分が落ち込みやすいなどの症状がみられます。
心当たりは?冬季うつの自己診断テスト
- 気分が落ち込みやすい、気分の落ち込みが続く
- 気分にムラがある
- 以前ならできた仕事ができなくなる
- 疲れやすい、だるい
- 以前まで楽しめていたことが楽しく思えない
- 集中力や思考力が低下する
- 寝過ぎてしまう、朝にすっきり起きられない
- 日中も眠気がとれない
- 食欲が旺盛で、体重が増える
- 炭水化物が多い食品を食べ過ぎてしまう
上記の項目のうち、5個以上当てはまっていると、冬季うつの可能性が高いと考えられます。
特に、「気分が落ち込みやすい」「食欲が旺盛で体重が増える」「炭水化物を食べ過ぎる」といった症状がみられる場合は、冬季うつの可能性が高いと考えられます。
季節性感情障害(冬季うつ)になりやすい人の特徴
- 女性
- 20代前半など、妊娠可能な年齢
- 緯度が高い地域に住む人
- 睡眠不足
- 屋内で働く人(日光を浴びにくい人)
- 疲労が蓄積している
- シフト制勤務
- 不規則な生活を送っている
- 食生活が乱れている
- 朝日を浴びない
- 運動不足
さらに、季節や居住地域、生活習慣により日を浴びる時間が少なくなると、精神を安定させる働きを持つ「セロトニン」が不足し、抑うつ症状が出やすくなります。
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2022-12-16
うつ病とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
うつ病の主な症状も紹介するので、「うつ病かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしましょう。
うつ病って、どんな病気?
うつ病とは、心身のストレスによって、脳がうまく働かなくなっている状態です。
「一日中気分が落ち込む」「何をしても楽しめない」といった精神症状とともに、不眠・動悸・倦怠感などの体の不調があらわれます。
うつ病の「身体面の症状」と「心の症状」
身体面にあらわれる症状
食欲が低下する(または急に食欲が増える)
食べ物を美味しいと感じない
体重が減る(または増える)
寝付きが悪い
眠りが浅い・夜中に目が覚めてしまう
眠り過ぎてしまう
体がだるい・疲れがとれない
頭が重い感じがする
疲れやすい
首・肩・腰が凝りやすい
動悸がする
胃やお腹に不快感がある
めまいがする
口が渇く感じがある
便秘が続く
下痢が続く
月経不順がある
性欲がなくなる
勃起しにくくなる
精神面にあらわれる症状
気分が落ち込む日が続く
何に対しても悲観的である
何に対しても興味を持てない
喜ぶ・楽しむことができなくなる
今まで楽しいと思っていたことが、楽しめなくなる
やる気が出ない
口数が減る
見た目や服装などを気にしなくなる
集中できなくなる・ミスが増える
落ち着きがなくなる
イライラしやすい
不安感がある
涙もろくなる
自分を責めてしまう
お酒を飲む量が増える
うつ病の原因
うつ病が発症する原因ははっきりと分かっていません。
近年の研究では、過度のストレスで脳の一部の「神経細胞」の形状が変化し、その結果、考え方や感情に歪みが生じるのではないかと指摘されています。
発症しやすいのはどんな人?
うつ病は女性に多く見られます。これは妊娠、出産、更年期といったライフステージで、多くのストレスを抱えやすいからだと考えられています。
また、親族の中にうつ病を発症した人がいると、発症リスクが上昇する傾向があります。
その他、
真面目な人
几帳面な人
努力家で目標が高い人
何事も全力投球で手を抜かない人
自責の念が強い完璧主義な人
気遣いができる人
は発症リスクが高い傾向があります。
うつ病のキッカケとなる出来事
精神的・身体的ストレス
悲しい出来事、つらい体験
人生の転機(引っ越し、就職、進学、結婚等)
病気の治療薬の副作用 など
うつ病かも…と思ったら
症状に心当たりがあるときは、一度病院で相談するようにしましょう。
うつ病を放置すると、自分を責める気持ちが強くなり、自殺願望を抱いてしまうケースもあります
病院は何科?
精神的な症状が強い → 精神科
体の不調を伴う → 心療内科
※両方の診療を行っている医院・クリニックもあります。
精神科・心療内科は、患者さんが気持ちを楽に保てるようにサポートしてくれる診療科です。
心身の不調に詳しい医師・スタッフが対応してくれるので、リラックスして受診してください。
精神科・心療内科の受診に気が進まない方は、まずは「内科」を受診して体に不調がないかを確認してもらうのもよいでしょう。
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病院で「うつ病」と診断される基準は?
病院で「うつ病」の診断を行う際は、以下の基準を用いることが多いです。
▼以下の症状のうち、少なくとも1つある。
抑うつ気分
興味または喜びの喪失
▼以下の症状をあわせて、合計で5つ以上該当する。
食欲の減退あるいは増加、体重の減少あるいは増加
不眠あるいは睡眠過多
精神運動性の焦燥または制止(じっとしていられない・話し方や動作が遅い等)
疲労感または気力の減退
無価値感または過剰な罪責感(自分は価値のない人間だと感じる・自分の言動に対して過度に罪悪感を覚える等)
思考力や集中力の減退または決断困難
死についての反芻思考・自殺念慮・自殺企図
上記の症状がほとんど1日中、ほぼ毎日ある状態が2週間以上続いていて、他の病気や薬物、アルコールなどの影響では説明できない場合に、「うつ病」と診断されます。
うつ病の治療法
医療機関では、
薬物療法
カウンセリング
認知行動療法※
生活指導
などによって、症状の改善を図ります。
薬物療法では、気分の落ち込みをよくする薬や、睡眠薬などを使用します。
※認知行動療法…医師やカウンセラーと面談する中で、自分の考え方や物事の捉え方の癖に気付き、修正していく治療法。
うつ病が治るまでの期間は?
症状が治まるまでの治療期間は、「発症から受診までの期間と同じくらい」と考えられています。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
季節性感情障害(冬季うつ)を治すためのセルフケア
- 毎日同じ時間に就寝・起床する
- 夜更かしをしない
- 栄養バランスのとれた食事をとる
- 疲れを感じたらゆっくり休む
- 深酒しない
- 適度に太陽光を浴びる(ただし、陽に当たりすぎるのはNG)
- 軽めの運動をする
季節性感情障害(冬季うつ)を改善するためには、生活習慣を整えることが何より大切です。
起床時間・就寝時間を一定にし、1日3食、毎日同じ時間に栄養バランスの取れた食事をとりましょう。
体のリズムを整えるには適度な運動も大切です。ストレッチやウォーキングなど、続けやすい運動を習慣にすることをおすすめします。
「仕事・家事の合間に休息をとる」「十分な睡眠時間を確保する(6~8時間が目安)」など、疲労を溜め込まないようにしましょう。
いつ病院にいくべき?
- 「気分がすぐれない」状態が、何週間も続いている
- 気分が落ち込んで、何も楽しいと感じるものがない
などの症状が2週間以上続く場合は、病院を受診することをおすすめします。
放置していると、気分障害が悪化して、「何もできなくなってしまう」「仕事へ行けない」などの状態になり、日常生活に支障をきたす恐れがあります。
また、楽しみを感じなくなり、生きていることがつらくなってしまう心境に陥る場合もあります。
季節性感情障害は、季節が変わると回復することが多いですが、また同じ季節が来ると再発してしまうケースが多いです。症状に心当たりがある場合は、早めに対策することをおすすめします。
何科に行けばいい?
心療内科あるいは精神科を受診しましょう。
「死にたくなる」など精神的な症状が強い → 「精神科」
「頭痛・下痢」など体の不調を伴う → 「心療内科」
※両方の診療を行っている医院・クリニックもあります。
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どんな治療をするの?
うつ病の治療には薬を使った治療が有効です。症状によっては、カウンセリングなどにより改善するケースもあります。
信頼できる医師の指示や指導を受け、カウンセリングなどが有効な場合は、受けるようにしましょう。
薬以外で治す方法はある?
病院で処方される薬を使った治療以外でも、「冬季うつ」を治療することは可能です。
薬を使わない治療として、
などがあります。
治療法
|
治療の内容
|
光療法
|
人口光を1~2時間ほど浴びて、秋~冬の日照不足を解消する治療
|
認知行動療法
|
ものごとの捉え方や考え方のクセをなくして、ストレスへの対処法を身につける精神療法
|
光療法は中断してしまうと、症状が再発することがあるため、秋~冬の間は連日治療をおこなうことが望ましいとされています。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2022-12-27
「うつ病がなかなか治らない…」
「このまま一生治らなかったらどうしよう…」
府中こころ診療所の院長であり、YouTubeで動画配信も行っている精神科の医師、春日雄一郎先生が、うつ病や適応障害の症状が長引く理由を解説します。
うつ病や適応障害が治らず焦りを感じている方は必見です。
※動画による解説は記事末尾から
うつ病・適応障害が治りにくい4つの原因
うつ病・適応障害がなかなか治らない場合
生活習慣の乱れ
環境がよくない
考え方のクセ
躁うつ病(双極性障害)を発症している
などの原因が考えられます。
原因① 生活習慣の乱れ
昼夜逆転した生活
過度な飲酒
ほとんど家から出ない
上記に当てはまる場合は、うつ病が治りにくくなる可能性があります。
「不規則な生活リズム」「お酒の飲みすぎ」「外出せずほとんど体を動かさない」などの習慣が続くと、心身の調子が悪くなり、うつ病・適応障害の改善の遅れを招きます。
【対処法】一定の生活リズムを習慣化しよう
うつ病や適応障害を改善するためには、「どういう行動習慣を積み重ねていくか」ということが重要です。
睡眠や食事の時間を一定にする
お酒を控える
日中は外出して体を動かす
上記を習慣化して、治療にとってプラスになる行動を積み重ねていきましょう。
生活習慣を整えることで、心身の調子が整いやすくなります。
また、その行動の積み重ねが脳への刺激になり、うつ病や適応障害の改善につながると考えられます。
原因② 環境がよくない
職場に相性のよくない上司がいる
家に居場所がない
子育て・介護などでストレスを感じている
上記のように、職場や家庭の環境がよくない人は、うつ病や適応障害が治りにくくなることがあります。
うつ病・適応障害の症状は、日々の行動だけでなく、環境からも大きな影響を受けます。ストレスの多い環境で過ごす時間が積み重なると、症状の改善が遅れる原因となります。
【対処法】「転職・異動」「支援サービスの利用」を検討しよう
環境がよくないと感じる場合、
転職・異動の相談をする
家族と話し合いをする
自治体のサポート窓口を利用する
といった方法で、環境を変えることが選択肢の一つとなります。
環境の変化には良い面も悪い面もあるため、一概に「環境を変えるべき」というわけではありません。
ただし、「どうしても今の環境と相性が悪い」と感じる場合は、選択肢の一つとして考えてみるといいでしょう。
職場の環境が合わないと感じる場合は、「転職を検討する」「上司や人事部に異動の相談をする」などの方法もあります。
家庭内でストレスを感じている場合は、まずは家族と話し合うことが必要なケースもあります。
子育てや介護などでお悩みの場合は、自治体のサポート窓口を活用してみるのもいいでしょう。
子育てや介護に関するお悩みは、お住まいの自治体の子育て支援センターや、地域包括支援センター※などの機関で相談可能です。
※地域包括支援センターとは
主に自治体が設置する高齢者の健康や生活をサポートする施設。
▼参考
地域包括ケアシステム(厚生労働省)
原因③ 考え方や性格のクセ(完璧主義・人と比べる)
自分を責めてしまう
完璧主義
他人と自分を比べる
上記のような考え方・性格のクセがある人は、うつ病や適応障害の治療が遅れる可能性があります。
「考える」ということも一種の行動です。自責や他人との比較など、自分にダメージを与える思考を繰り返すことも、病気の改善を妨げる行動を積み重ねる行動になります。
【対処法】「前向きになれる考え方」を練習しよう
自分にダメージを与える考え方のクセがある人は、「自分も他人も責めない」「前向きになれることを考える」といったことを意識するといいでしょう。
ただし、考え方が根強いクセになっている場合、すぐには変えにくいこともありますよね。
その場合は、
出てきた考えを真に受けすぎず、なるべく受け流す
否定のクセを薄めて、成功体験を徐々に積み重ねる
この2つを心がけてみてください。これらの思考を積み重ねていくことが、結果として、否定的な考えが出てくる頻度を減らすことに繋がります。
原因④ 躁うつ病(双極性障害)を発症している
抗うつ薬などによる治療を続けていて、生活習慣・環境・考え方などの見直しを行っているにもかかわらず、症状の改善が見られない場合は、躁うつ病(双極性障害)を発症している可能性があります。
躁うつ病ってどんな状態?
躁うつ病とは、気分が高揚して活動的になる「躁状態」と、気分が沈んで意欲がなくなる「うつ状態」を交互に繰り返す状態です。
人によっては、躁状態の症状が軽くて期間が短く、うつ状態が長く続く「双極性障害Ⅱ型」のケースもあり、この場合は一般的なうつ病との区別がつきにくいです。
うつ病と躁うつ病は使う薬が違うので、この見極めができていないと、病気が長引く恐れがあります。
躁うつ病かを判断する4つのヒント
過去を振り返って、躁気味な時期があった
家族に躁うつ病の人がいる
周期的にうつ病を繰り返している
抗うつ薬を使うと躁状態になる傾向がある
躁うつ病かどうかを判断するヒントとして、上記の4つが挙げられます。
「ある時期だけ妙に活動的だった」「ある時期だけ妙にお金を使っていた」など、過去に躁気味な期間があった場合は、躁うつ病である可能性が出てきます。
自分ではわからなくても、『ちょっといつもと違う』『いつもより妙に元気だね』などと、周りの人から言われる時期があったかどうか、ということも参考になります。
また、家族に躁うつ病の人がいると、発症の可能性が少し高くなると言われています。
その他、周期的にうつ病の症状を繰り返す場合や、抗うつ薬を使ったときに躁状態になる傾向がある場合も、躁うつ病を発症している恐れがあると考えられます。
躁うつ病を疑う場合は主治医に相談を
躁うつ病の発症を疑う場合は、早めに主治医に相談しましょう。
うつ病と躁うつ病では、治療に使う薬が違います。そのため、うつ病か躁うつ病かを的確に判断することは、症状を早く改善するために、非常に重要であると考えられています。
▼動画による解説はこちら
※本記事は、チャンネル運営者の許可を得て作成しています。
≪チャンネル紹介≫
こころ診療所チャンネル【精神科医が心療内科・精神科を解説】
府中こころ診療所の院長であり、YouTubeで動画配信も行っている精神科の医師、春日雄一郎先生が、うつ病・適応障害・パニック障害など、こころの不調やその対策について、わかりやすく解説。
こころの不調を抱える方が、少しでも症状を改善するヒントとなるような情報の提供を目指しています。
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