冬になると、乾燥して肌がかゆくなることはありませんか?
太ももを中心に、足や首、背中など、全身がかゆくなったり、ぶつぶつができる人もいます。
そこで今回は、体の部分別にかゆみの原因や対策を解説します。
寒さの刺激で引き起こされる「寒冷蕁麻疹」の可能性もあるので、注意してください。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
かゆみ対策|全身の部分別
体が乾燥してかゆい時は、保冷剤を包んだタオルなどで、かゆい部分を冷やしてください。
かゆいからといって掻いてしまうと皮膚のバリア機能が破壊されて余計乾燥し、かゆみが強くなります。
かゆみが弱まったら、保湿剤を塗り皮膚を保護しましょう。
以下、部分別のかゆみ対策です。
足がかゆい!太ももや膝の裏など
太もも・膝の裏・肘の内側・首は、柔らかい部分なので外部刺激を受けやすく、乾燥しやすいので、入浴後に保湿クリームをたっぷり塗ってください。
乾燥でかゆみが出るこれらの部分は、しっかり泡立てたボディソープで包み洗いしてください。ゴシゴシ洗いは、乾燥をさらに悪化させます。
わきがかゆい人はムダ毛処理に注意
わきも柔らかい部分なので、少しの刺激で肌が炎症を起こしたり、乾燥したりします。わき毛の自己処理(カミソリや毛抜き)が刺激となり、かゆみが出る場合もあります。
かゆみや痛みがあるときは、処理をやめましょう。
肌を傷めないようにするために、ムダ毛は医療脱毛を受けるのも一つの手です。
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2020-05-01
「突然ぶつぶつができてかゆい!」
「見た目には変化がないのにかゆい…なぜ?」
考えられる原因と、その対処法を医師が詳しく解説します。
考えられる7つの原因
アレルギー
乾燥
ストレス
薬の服用
寒冷蕁麻疹
温熱蕁麻疹
妊娠
全身のかゆみには、上記7つの原因が考えられます。
原因①アレルギー
アレルギー症状のひとつに皮膚症状もあり、蕁麻疹やかゆみを生じることがあります。
アレルゲン(花粉や食べ物など)が体内に入り、免疫機能が過剰に反応することでアレルギー症状が起こります。
アレルギーの原因となっているものを遠ざけましょう。
原因②乾燥
皮膚が乾燥した状態が続くと、皮膚のバリア機能が低下し、知覚神経が敏感になります。
そうすると、少しの刺激でもかゆみを感じるようになります。保湿をして対処しましょう。
特に、お風呂上りや湿度の低い冬は、肌の水分が失われやすく、乾燥しやすくなります。
原因③ストレス
精神的ストレスによって蕁麻疹ができ、皮膚にかゆみを感じることがあります。
夜中や寝ている時に起こりやすいとも言われています。
原因④薬の服用
薬の副作用でかゆみがでたり、皮疹が出ることがあります。
これを薬疹と言い、薬に対してアレルギー反応が起こっている状態のことです。
かゆみのほかには、蕁麻疹や水疱、痛みが生じることもあります。
アレルギーの原因となっている薬の服用をやめると、かゆみは自然におさまります。
原因⑤寒冷蕁麻疹
体が冷えることで起こる蕁麻疹です。
体の一部にだけ蕁麻疹があらわれるものと、全身に症状がでるものの2種類あります。
通常、体が冷やされて10分程で症状があらわれ、2時間以内にはおさまります。
原因⑥温熱蕁麻疹
熱による刺激で生じる蕁麻疹のことを温熱蕁麻疹と呼びます。
温度の高い飲み物や食べ物、日光、入浴、ドライヤーなどの刺激が原因となります。
刺激を受けてから数分で症状があらわれ、数時間以内におさまります。
原因⑦妊娠
妊娠中はホルモンのバランスが乱れることにより、皮膚が敏感になり、乾燥しやすくなります。
乾燥がひどくなると、皮疹はなくても全身がむずむずと無性にかゆくなることがあります。これは妊娠性掻痒(そうよう)症と呼ばれており、妊娠中期から後期によくみられる症状です。
全身がかゆいときの「対処法」
保湿をする
市販薬を使う
ストレスを発散する
かゆみの原因を排除する
などの対処法があります。
保湿をする
乾燥が原因のかゆみに限らず、保湿は効果的です。
保湿により肌のバリア機能が向上し、かゆみが改善されるからです。
市販薬を使う
基本的には、花粉症などのアレルギーや乾燥・蕁麻疹・妊娠性掻痒症・薬の副作用による皮膚のかゆみは、かゆみ止めや抗アレルギー薬で改善することができます。
体質によって薬が合わない、または起こっているアレルギーに対して薬の作用が弱いといった原因で、効果を感じない場合もあります。
ストレスを発散する
ストレスは上手に発散し、溜め込まないようにすることも大切です。
かゆみの原因を排除する
<薬の副作用によるかゆみ>
薬の服用をやめるとおさまることがある。
<寒冷蕁麻疹>
蕁麻疹のでた部分を温めるとよい。
<花粉や食品などによるアレルギー>
アレルゲンが特定できている場合は、マスクをして花粉を予防したり、アレルゲンとなっている食品を摂取しないようにする。
治らない場合は皮膚科へ
全身がかゆいときの対処法を試してみても改善されない場合は、病気が隠れていることもあります。
早めに病院を受診しましょう。
皮膚科を探す
内臓などに異常があるケースも…
「全身にかゆみがでる病気」もあります。
病気の代表例
慢性肝炎
膠原病
悪性リンパ腫
甲状腺機能亢進症
について解説するので、病院受診の参考にしてください。
心当たりのある症状がある際は、早めに病院を受診しましょう。
病気①慢性肝炎
<主な症状>
倦怠感
食欲不振
疲労感
微熱
腹部上部不快感
手のひらが赤くなる
黄疸に伴うかゆみなど
慢性肝炎は徐々に自覚のないまま徐々に進行することが多い
消化器内科を探す
病気②膠原病
<主な症状>
倦怠感
食欲不振
疲労感
関節痛
筋力低下
抜け毛
発疹
かゆみ
リウマチ科を探す
病気③悪性リンパ腫
<主な症状>
リンパ節の痛み
リンパ節のしこり
発熱
倦怠感
嘔吐
皮膚の赤み
皮膚のかゆみなど
血液内科を探す
病気④甲状腺機能亢進症
<主な症状>
多汗
動悸
体重減少
疲労感
イライラ
手足の震え
眼球突出
皮膚が黒くなる
かゆみ
月経不順など
内分泌内科を探す
食べ物で乾燥対策を!
食べ物にも気を遣い、乾燥によるかゆみ対策をしましょう。栄養が偏っていると肌を守る保湿成分も作られにくくなってしまいます。
たんぱく質、ビタミン、ミネラルを意識して食事をとりましょう。
また、体の温まる食べ物や飲み物は、血流を良くして、皮膚の隅々まで栄養分を届け、ターンオーバーを助けます。
なぜ冬にかゆくなるの?
冬は、空気が乾燥するので、皮膚からの保湿成分が減少し、乾燥肌になります。乾燥した肌はバリア機能が低く、外部刺激を受けやすくなり、かゆみが出ます。
また、肌のターンオーバーが滞って角層が厚くなり、ブツブツした部分ができます。保湿することで、症状は良くなります。
寒冷蕁麻疹が原因の場合も
寒冷蕁麻疹は、寒さや冷たさの刺激により発症します。かゆみと一緒にブツブツや腫れが出ます。
乾燥によるかゆみとは異なり、発疹が出ている部分を温めて対処します。
寒冷蕁麻疹は、冷たい空気に触れた頬、手の甲などから出始めることが多く、悪化すると全身にかゆみや赤みが広まります。
掻くとますます悪化する
寒冷蕁麻疹は、掻けばますますかゆくなります。掻くのを我慢して、安静にし、体を温めてください。
ぶつぶつはどのくらいで消える?
寒冷蕁麻疹の発疹は、多くが通常数分~30分程度でおさまります。寒さで発症するので、防寒が予防につながります。
冬の外出時は、マフラーや手袋などを着用して、皮膚が寒気にさらされないようにしてください。治療では、他の蕁麻疹と同様に抗ヒスタミン薬を使用します。
まとめ
いかがでしたか。乾燥と寒冷蕁麻疹ではケアが違います。かゆみが出るという人は、一度皮膚科を受診し、診察を受けましょう。
また、健康的な肌作りには、皮膚のターンオーバーをスムーズにして保湿された状態の皮膚を作ることも重要です。睡眠はたっぷりと取り、ストレスのない生活を心がけましょう。
皮膚科を探す
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2020-05-15
蕁麻疹がでた…。
病院は、何科を受診するべき?
お医者さんに「受診のタイミング」や「症状の伝え方のコツ」についても聞きました。
蕁麻疹は何科?
蕁麻疹が出たら、何科を受診すればいいのでしょうか?
皮膚だけに症状が出ている場合は皮膚科、
皮膚以外にも症状も出ている場合は内科(子どもなら小児科)を受診しましょう。
こんなときは皮膚科へ
虫刺されのような赤い腫れが出て、皮膚の腫れやかゆみ以外に症状が見られない場合は、皮膚科を受診しましょう。
皮膚科を探す
こんなときは内科・小児科へ!
呼吸器の異常(呼吸が苦しいなど)
消化器の症状(腹痛や下痢など)
まぶたや唇が腫れ
といった症状も生じている場合は、内科を受診しましょう。子どもの場合は、小児科を受診してください。
内科を探す
小児科を探す
病院を早期治療するメリット
早期に治療を開始すると、蕁麻疹の原因を特定することで、それぞれの患者さんに合わせた治療を受けることができます。
また、早めに治療を受けることで、短期間で治癒に持っていける可能性もあります。
放置するリスク
治療開始が遅くなればなるほど、治癒にかかる日数も多くなったり、治りにくくなったりします。
病院に行く前に…「症状の伝え方」のコツ
まず、患部の写真を撮っておくことです。
蕁麻疹は、病院を受診する際には症状が治まっている場合もあるので、症状が出たときに写真を撮って、それをお医者さんに見せると症状が伝えやすくなります。
また、その日に食べたり、飲んだりしたもの、触った物も記憶しておく様にしましょう。
蕁麻疹の受診目安(通常診療・救急診療)
・全身が真っ赤になる
・消えては出てを繰り返す
・1日経っても治らない
などの症状がある場合は、病院を受診した方がよいでしょう。
また、まぶたや唇の腫れがある場合も病院で診てもらいましょう。
【緊急性あり】すぐに病院を受診すべき症状
喉の痛みやかすれ、呼吸困難、下痢などの症状が見られる場合は、すぐに病院に行きましょう。
蕁麻疹といえば、皮膚にできるイメージがありますが、蕁麻疹が重症化すると、気管や腸の粘膜にも影響を及ぼすことがあります。
呼吸困難の症状が出ると、窒息に陥り、命に危険が及ぶ場合もあります。
参考
シオノギ製薬 蕁麻疹ってどんな病気?
http://www.shionogi.co.jp/wellness/diseases/hives.html
タケダ健康サイト じんましん
https://takeda-kenko.jp/navi/navi.php?key=jinmashin_zenshin
<参考>
「じんましん」にもいろいろなタイプがある/一般社団法人兵庫県医師会
https://www.hyogo.med.or.jp/health-care/036%E3%80%80