「何か熱っぽい…」
「微熱が続く…」という女性に。
原因不明の微熱は、ホルモンバランスの影響・妊娠・更年期障害などの原因が考えられます。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
風邪じゃないのに「微熱が続く原因」
咳や鼻水はないのですが、微熱が続いています…。
一体何が原因なのでしょうか?
女性で微熱が続いている場合、
などが原因となっているケースが多いです。
微熱を引き起こす代表的な「4つの原因」について、詳しく解説していきます。
原因❶ 生理前の高温期
女性の場合は、排卵から生理までの時期は「高温期」といい、体温が上がります。
一般的に、低温気と高温期の体温の差は、0.3~0.5度程度といわれています。
通常、生理がくると熱は下がります。
生理が来ても微熱が続く場合は、他の病気の可能性があります。
※ピルを服用している場合、長期的な副作用として微熱が続く人もいます。
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2022-05-30
「生理前になると微熱が続く…」
「体温が37度以上になるのは大丈夫なの?」
生理前の微熱について、お医者さんに聞いてみました。妊娠の可能性・風邪が疑われる症状なども詳しく解説します。
生理前に体温が37度台に…大丈夫?
生理前の14日程度は「高温期」になるため、体温が37度台になっても心配いらないケースが多いです。
生理前は、女性ホルモンの影響によって体温が上昇します。
平熱が高い人であれば、生理前の体温が37.5度以上になることもあります。
高温期になると体温が「0.3~0.5度上がる」
「低温期」と「高温期」の体温の違いは0.3~0.5度くらいとされています。
温度の変化には個人差があるため、ご自身で何か月か継続して体温を記録してみるのも良いでしょう。
低温期
月経開始日から排卵日までの14日間※
低温期はエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌されて、子宮内膜が増加し厚くなる
高温期
生理開始日までの14日間※
排卵後、子宮内膜の厚さを保つ働き・体温を上昇させる働きをもつ「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌が開始し、基礎体温が上昇
※月経の周期が28日の場合
「妊娠」によって微熱が続くこともある
妊娠したときにでみられる症状
高温期が3週間以上続く
生理予定日になっても生理がこない
倦怠感
日中の眠気
めまい
ほてり感
※低温期よりも体温が0.3~0.5度高くなるケースが多いです。
成熟した子宮内膜で着床が起こると、妊娠状態を保つために体温が高くなることが多いです。
上記症状に当てはまる方は、妊娠の可能性が高いといえます。
「妊娠しているかもしれない…」と思うときは、産婦人科へ受診しましょう。
産婦人科を探す
「ストレス・疲労」が原因のケースも…
ストレス・疲労で自律神経のバランスが乱れると、血管の拡張や収縮の調節がスムーズに行えなくなり、体温上昇が起こることがあります。
この場合、平熱より少々高めの微熱が起こるケースが多いです。
特に、
真面目で頑張り過ぎてしまう人
神経質な人
睡眠不足の人
などは、ストレス・疲労が蓄積されやすいので要注意です。
「自律神経の乱れ」で伴いやすい症状
眠れない(不眠)
倦怠感・疲労感
発汗量が増える
ほてる・顔が急に熱く感じる
動悸がする
イライラしやすくなる
疲れているときは、ゆっくりと休もう
ストレス・疲労の蓄積に心当たりがあるときは、まずはたっぷりと睡眠をとりましょう。
心と体を休めると、症状が落ち着きやすいです。
また、自律神経を安定させるために
規則正しい生活を送る
毎日30分程度、軽めの運動を行う
といった対策もおすすめします。
寒気・喉のイガイガがあるときは「風邪」を疑いましょう
何らかの“感染症”が疑われる症状
発熱
関節痛・頭痛
喉のイガイガ・痛み
咳
鼻水
寒気
倦怠感
息苦しい
上記症状を伴う場合は、風邪などの感染症が強く疑われます。
感染症になると、37度程度の微熱が続くこともあります。
のどなど気道粘膜にウイルスが感染すると、防御反応として熱が出ます。
自身の体温を上げて、ウイルスの活動を抑制したり、免疫機能を高めようとしたりしています。
風邪の場合、どう対処する?
水分補給をしっかり行い、無理せず安静にして過ごしましょう。
こんなときは「内科」で相談を
微熱が7~10日以上続く場合には、重篤な疾患が潜んでいる恐れがあります。
速やかに内科で受診してください。
内科を探す
病院に行く目安
体温37度以上の状態が3週間以上続く
生理予定日になっても生理がこない
倦怠感・めまいなど、他の不調を伴う
上記症状が見られるときは、病院で相談しましょう。
妊娠などの可能性も考えられます。
体の状態を確認するためにも、まずは診察を受けることが大切です。
何科で相談すればいい?
婦人科系疾患や妊娠が疑われるときは、産婦人科を受診しましょう。
風邪の症状が強い場合は、内科を受診してください。
お医者さんに伝える「ポイント」
微熱が続いている旨
基礎体温の推移
生理の周期
微熱以外に出現している症状
持病や病歴
妊娠・出産経験の有無
産婦人科を探す
内科を探す
▼参考
女性の健康推進室 ヘルスケアラボ 基礎体温
一般社団法人 日本家族計画協会 知っていますか?基礎体温の不思議な役割
原因❷ 更年期障害
更年期障害の症状のひとつとして、微熱が続く人もいます。
更年期障害は、50代以降多く見られますが、30~40代から症状が出る人もいます。
微熱の他、
- のぼせ・顔のほてり(ホットフラッシュ)
- 動悸・息切れ
- 頭痛
- めまい
- 不安感・イライラ
などの症状があらわれるケースもあります。
原因❸ 妊娠
妊娠していると高温期が続き、生理がこなくなります。
妊娠している場合、
- 生理予定日を過ぎても生理がこない
- 倦怠感や眠気
- ほてり
- めまい
などの症状があらわれることがあります。
妊娠の可能性がある場合は、鎮痛剤などは飲まずに様子をみましょう。
生理予定日から1週間を過ぎたら、妊娠検査薬を使ってチェックしましょう。
原因❹ ストレス・疲れ
ストレスが多い人や、ゆっくり休養が取れていない人は、疲れから自律神経が乱れて、微熱が続いてしまう可能性があります。
また、長期的なアルコール摂取や疲労の積み重ねによって、肝機能が悪化して発熱する場合もあります。
ストレスや疲れが要因になっている場合、発熱の他にも
- 耳鳴り
- 疲労感
- 倦怠感
- 不眠
- 下痢や便秘
- イライラ・不安感
などの症状を伴うケースもあります。
ストレスや疲労の蓄積を自覚している場合は、ご自身の生活を見直し、体調を整えましょう。
微熱が続いたら、市販薬は使用していい?
解熱剤や頭痛薬を飲んでもいいでしょうか…?
基本的に、微熱の他に症状が無い場合は、鎮痛剤を使っても構いません。
(妊娠の可能性があるときを除く)
微熱が出始めの頃であれば薬を服用し、少し様子を見ることも可能です。
ただし、妊娠初期の薬の使用は控えてください。
妊娠の可能性がある人はまずは婦人科を受診しましょう。
微熱が4日以上続く場合は病院へ
微熱が 4~7日以上続く場合は、鎮痛剤の多用・連用は避け、医師の診察を受けてください。
- 生理前・更年期障害が原因の場合→婦人科
- 妊娠の可能性がある場合→産婦人科
- ストレス・疲れが原因の場合→まずは内科※
を受診するとよいでしょう。
※婦人科、心療内科など適所を紹介されることもあります。
内科を探す
特に「微熱以外の症状」も出たら要注意!重い病気のケースも
微熱以外にも
など症状があれば早めに病院を受診しましょう。
下記のような病気の可能性が考えられます。
微熱に伴う症状 |
考えられる病気 |
関節痛がある |
膠原病 |
腹痛がある |
胃潰瘍や虫垂炎 |
咳・痰・食欲減退が続く |
肺結核 |
また、微熱が長く続く場合は、がんや白血病等の可能性もあります。
まずは内科で相談しよう
微熱の他にも症状が出ている場合は、内科に相談しましょう。
特に、
- 4~7日くらい微熱が続いている
- 症状がつらい(日常生活に支障がある)
- 鎮痛剤を使っても、すぐに同じ不調が現れる
という場合は早めに受診しましょう。
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2021-07-06
「他に不調はないのに、熱だけ出る…」
大人の“熱だけが続く原因”について、お医者さんに聞きました。
病院に行く目安や、何科で受診すべきかも解説します。
他に症状はないのに熱だけ出ている…どう対処すればいい?
咳や鼻水はないのに、熱だけが出ています…。
どうすれば?
37度程度の微熱であれば、安静にして一旦様子を見てみましょう。
女性の場合は、生理前の高温期で熱が出るケースもあります。
市販薬は使ってもいい?
市販の解熱剤を使用してもいいでしょうか?
自己判断だけでの市販薬の使用は、おすすめできません。
熱が出ている原因によっては、市販の解熱剤が効かないこともあります。
市販薬を使用するのであれば、事前に医師や薬剤師に相談すると良いでしょう。
こんな症状は病院へ!
38度以上の発熱がある
熱が3~4日下がらない、もしくは繰り返す
といった場合は、なんらかの病気の可能性が考えられます。
早めに医療機関で相談し、悪化させないようにしましょう。
病院は何科?
熱だけ出ている場合、まずは内科を受診してください。
医療機関を受診すると、熱が出ている原因を調べてもらえます。
原因に合わせた治療を受けることで、よりスムーズな改善が期待できるでしょう。
内科を探す
考えられる2つの原因
他に症状はないのに熱だけ出ているのは、
原因① ストレス
原因② 薬の副作用
といった原因が考えられます。
原因① ストレス
過度のストレスによって交感神経が優位になると、熱が出ることがあります。
ストレスによる発熱は、「急性型心因性発熱」と「慢性型心因性発熱」の2種類があります。
「急性型心因性発熱」の場合、ストレスを感じる状況になると一時的に高熱が出ますが、24時間以内に下がります。
「慢性型心因性発熱」の場合、慢性的なストレスにより数か月間も微熱が続きます。
慢性化してしまうと、原因となるストレスがなくなった後もなかなか平熱に戻りません。
こんな人は要注意!
不安を感じやすい人
ストレスを溜め込みやすい人
几帳面な人
に発症しやすいといえます。
なお、ストレスによる発熱は性別や年齢を問わず、子どもから高齢者まで誰にでも起こる可能性があります。
自分でできる対処法は?
熱が出ると体力を奪われるため、しっかりと水分補給をして、睡眠時間を確保しましょう。
なお、ストレスによる発熱には風邪薬・解熱剤が効かないため、市販薬の服用は避けてください。
「なかなか熱が下がらないから」と服用し続けると、かえって体に悪影響を与えてしまう恐れがあります。
病院に行く目安
発熱が3~4日続いている
38度以上の高熱が出ている
倦怠感など、ほかの体の不調が出てきた
といった場合には、早めに医療機関へ行きましょう。カウンセリングや精神安定剤などの治療が必要です。
病院は何科?
ストレスによる発熱を疑う場合には、心療内科を受診しましょう。
心療内科を探す
原因② 薬の副作用
薬に対するアレルギー反応によって、熱が出ることがあります。
薬を使用して、3~14日後に熱が出ます。
微熱からはじまり、少しずつ体温が上がっていきます。
薬の影響で体温調節機能が変化し、熱が続くケースもあります。
また、発熱している割には元気がある点も特徴です。
原因となっている薬の使用をやめると、熱が下がります。
こんな人に起こりやすい
何かしらの薬を服用している方に起こります。
薬に対するアレルギーのため、全ての薬で発熱するリスクがあります。
なかでも細菌感染症の治療に使う抗菌薬やがん治療につかう抗がん剤などは、発熱が起こりやすい傾向にあります。
自分でできる対処法は?
市販薬によるものであれば、薬の使用を止めてください。
処方薬が原因であれば、使用を中断する前に主治医と相談してください。
自己判断で薬の服用を止めると、治療中の病気を悪化させる恐れがあります。
ご自身の症状を主治医に伝え、他の治療方法を検討してもらいましょう。
病院に行く目安
薬を服用して3~14日後に発熱した場合は、医療機関を受診しましょう。
薬の副作用による発熱を放置すると、発疹や肝障害・腎障害を起こすケースもあります。
病院は何科?
薬の副作用による発熱がある場合は、かかりつけの医師か内科を受診しましょう。
内科を探す
原因不明の発熱は、病院で相談を
原因不明の発熱には、なんらかの病気の可能性も考えられます。
稀に悪性腫瘍が隠れているケースもあり、放置すると命に関わることもあります。
症状が4日以上続く場合は、医療機関で相談し、原因を調べてもらいましょう。
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
一般社団法人 東京都病院薬剤師会 薬剤熱について