便秘で腹痛…しかも激痛!
どうしたらいいの?
痛みを和らげる方法と、ひどい便秘の解消方法をお医者さんに聞きました。
これ以上便秘を放置することで生じるリスクについても解説します。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
便秘による腹痛が痛すぎる…!
痛みがつらいときは、ベッドで横になって、膝を折り曲げ、上半身を前かがみにする「シムス位」という姿勢をとると和らげることができます。(上の画像参照)
横になれないときは、椅子に座り前かがみの姿勢になると少し楽になることがあります。
また、次の方法でも、痛みを和らげることができます。
- お腹を毛布、カイロ、腹巻などで温める
- 横になって安静にする(カーテン等を閉めて部屋を暗めにする)
- 深呼吸をして心を落ち着かせる
便秘の腹痛を和らげる「ツボ」
親指と人さし指の間にある合谷というツボを押してみましょう。
便秘の腹痛を和らげる「マッサージ」
※実際は、寝転がって行ってください。
便秘の原因が腸の一部(S状結腸、下行結腸)のねじれだった場合に効果があります。
※子供の頃から便秘・腹痛を伴う便秘・便秘の後に下痢や軟便が出る・運動量が減った途端便秘になった、など当てはまると、ねじれの可能性があります。
- 仰向けになって膝を立てる
- 腰からお尻の下に5cm程度の厚みのクッションを敷く
- 右手をおへその左下に、左手を左脇腹に当てる
- 右手と左手を交互に優しくトントンと押して、少しずつ上へ移動する
- お腹の上部まで来たら、下へ移動する
- ④~⑤を1分ほど行う
便秘の腹痛を和らげる「ストレッチ」
2つのストレッチを紹介します。
ただし、腹痛の痛みが激しいときは、無理に動こうとせず安静にしてくださいね。
<ゴロゴロストレッチ>
- うつ伏せになって、おへそのあたりにクッションを敷く
- 10分間ほどじっとする
- うつ伏せのまま、身体を左右に傾ける(5往復程度)
※食後2~3時間は行わないでください。
<ガスを抜くストレッチ>
- 仰向けになる
- 息を吸いながら、片膝を胸まで引き寄せる
- 息を吐きながら、太ももをお腹に付けるようにして、5回程度呼吸をする
- 息を吸いながら片膝を伸ばしてもとの位置に戻す
- もう一方の足でも①~④の動作を行う
自分でできる便秘対策
便秘を防ぐには、
①食生活の見直し
②トイレに行く習慣づけ
③心身ともに健康的な生活習慣
が大切です。
今の生活を見直して、便秘を防いでください。
食生活の見直し
- 水分を多めに摂る
- 食事は3食しっかり食べる
- 食事はよく噛んで食べる
- 食物繊維・乳酸菌・ビフィズス菌等を摂取する
- オリゴ糖を摂取して便を柔らかくする
\ワンポイント・アドバイス/
朝起きたらコップ1杯の水を飲むことから始めてみましょう。
トイレに行く習慣づけ
- 便意がなくても毎日決めた時間にトイレへ行く
- 便意を感じたらガマンせずトイレに行く
\ワンポイント・アドバイス/
朝食後にトイレに行く習慣をつけるのがおすすめです。
洋式トイレの場合は、やや前傾姿勢で座るのがよいでしょう。
心身ともに健康的な生活習慣
- 軽い運動(ラジオ体操、ウォーキング等)を続ける
- 長めに入浴する(ぬるめのお湯に入る)
- 十分な睡眠時間を確保する
- ストレスを溜め込まない
これはNG!やってはいけない対処法
お腹を冷やしたり、無理に食事をとったりするのはやめましょう。
(※ただし、水分はとってください。)
また、食物線維の取り過ぎにも注意です。
特に、便のかさを増やす「不溶性食物繊維」は腸が刺激されすぎてしまうので、特に避けるようにした方がよいでしょう。
市販薬に頼ってもいい?
便秘の激痛で苦しいです…。
市販薬を使ってもいいですか?
市販薬の使用は、できるだけ避けてください。
市販薬は種類によって、作用や効能が違います。病院を受診し、症状に合った薬を処方してもらいましょう。
市販薬の下剤などに頼りすぎると、便秘を解消するどころか、腸の働きが悪くなって逆に便秘が悪化してしまうケースがあるため、自己判断での使用には注意が必要です。
こんな症状があれば、すぐに病院へ!
「たかが便秘」と思わずに、次のような症状があるときは病院に行きましょう。
- 急に便秘が起きた
- 便秘だけでなく、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱等の症状がある
- 突然、お腹に激痛が起こった
- 激痛が持続している
- 血を吐いた、お尻から血が出た
ただの便秘だと思っていると、重症化したり、深刻な病気(大腸がん・糖尿病・甲状腺機能低下など)を見逃してしまったりすることがあります。命にかかわることもあるので注意してください。
内科を探す
これ以上放置すると…キケンかも!
便秘を放置することで、「痔」になりやすくなったり、「大がかりな治療」が必要になったりする場合があります。
「痔」を発症する
便秘によって便が硬くなると、排便時に肛門に傷が付いてしまうことがあります。
「糞便塞栓症」を発症する
直腸内に便が溜まって固まることで、器具や指などでかき出す施術が必要になります。
大腸の「潰瘍」「穿孔」「腹膜炎」を発症する
大腸に便が溜まることで、潰瘍が発生したり穴があいたりすることがあります。そして便の細菌がお腹の中に侵入すると、腹膜炎を起こしてしまいます。腹膜炎がお腹全体に広がると、命が危機に晒される恐れがあります。
「虚血性腸炎」を発症する
便秘で大腸の血液やリンパの流れが悪化すると、粘膜に異常が起こって、潰瘍や壊死を発症する虚血性腸炎になります。症状は、激しい腹痛、下痢、血便の順に現れる傾向があります。
また、すでに次の病気になっていて、それが原因で便秘が起こっている可能性もあります。
「腸閉塞(イレウス)」の可能性がある
大腸や小腸の一部分が狭くなる腸閉塞(イレウス)を発症しているために、便の流れ悪くなり、便秘、腹痛、吐き気などの症状が出ている可能性があります。
「大腸がん」の可能性がある
大腸がんは、大腸の粘膜に発生する悪性腫瘍です。ほとんど自覚症状がありませんが、血便や便が細くなるなどの症状が多く見られます。
参考
便秘外来医が教える 1分でスルッ! と解消「腸ほどき」マッサージ PHP出版