疲れると斜視になる…これって自然に治るの?
疲れているときや眠いときにだけ症状が出るのは「間欠性外斜視」かもしれません。
自分でできるセルフケアや、病院に行く目安も解説しますので、ぜひチェックしてみてください。
その症状は「間欠性外斜視」かも
眠たいときや、体調が悪いときに「左右の目のどちらかが外側を向く」ことがある場合、それは間欠性外斜視かもしれません。
左右の目のどちらかが外側を向いている状態のことを「外斜視」といいます。間欠性外斜視とは、この状態が現れるときと、そうでないときがある病気です。
間欠性外斜視の場合、寝起きや体調不良のときに症状が出やすくなります。
眼精疲労を感じたり、ものが二重に見えたりするものがあります。屋外にいるときは、まぶしさを強く感じることもあります。
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2021-09-01
「眼精疲労のめまいで、ふわふわする…」
“目の使いすぎで起こるめまい”を、お医者さんが解説します。
病院に行く目安や受診すべき診療科も併せて確認しましょう。
眼精疲労の「ふわふわめまい」はなぜ起こる?
目を使いすぎると、目の周りだけでなく、体まで疲れてしまうことがあります。
ふわふわしためまいは、この体の疲労によって起こっていると考えられます。
特に、
無理な体勢でものを見る
目を凝らしてものを見る
といった行動が、めまいの原因になりやすいです。
こんな人に起こりやすい
長時間のデスクワークを習慣にしている人
液晶画面でのゲームに熱中する人
ストレスを感じやすい人
近い距離にあるものを長時間見続けると、目の筋肉や腱にコリが発生して、眼精疲労が引き起こされます。
目からくるめまいはどう治す?
まずは作業を止めて、目を休めてください。
楽な姿勢で座ったり、横になったりして、症状が落ち着くのを待ちましょう。
これから「めまいを繰り返さない」ための予防法
近くのものを見る作業を行うときは、1時間おきに10分程度の休憩を入れましょう。
このとき“遠く”を見ると、目の筋肉が動かされるため、コリの予防になります。
また、長時間の同じ姿勢は、体の血行不良による不調の原因となります。
休憩時には、立ち上がったり、ストレッチをしたりしましょう。
病院に行ったほうがよい目安
めまいが日を追うごとに強くなっている
めまいがひどくて、仕事ができない
といった場合は、医療機関の受診をおすすめします。
眼精疲労ではなく、別の病気が隠れている可能性もあります。
念のため、一度検査を受けるようにしましょう。
特に、こんな症状があったら早急に病院へ!
ひどい頭痛
体の片側のしびれ、違和感
うまく話せなくなる
他の人が話していることが急に理解できなくなる
歩行など体を動かす行為が急に難しくなる
吐き気、嘔吐
これらは脳梗塞や脳出血が疑われる症状です。
上記症状が複数現れている場合は、すぐに救急で医療機関を受診しましょう。
脳の病気は、治療が遅れると命に関わる危険性があります。
何科で受診すればいい?
眼精疲労の症状は、眼科で相談しましょう。
※ただし、激しい頭痛、体のしびれなどを伴うときは、脳神経内科・脳神経外科を受診してください。
眼精疲労の場合、眼科では
ビタミンの点眼薬
目の調節機能をよくする点眼液
などを処方します。
また、メガネやコンタクトレンズの度が合っているかの確認も行います。
お医者さんに伝えるポイント
目が疲れる作業をどれくらい行なっているか(1日に何時間ほどか)
十分に休養が取れているか(睡眠時間、作業時の休憩時間)
どんな目の症状がでているか(目の疲れ、眼痛、目のかすみ など)
目以外に、どんな症状がでているか(めまい、頭痛、肩こり など)
上記のポイントを、できるだけ詳しく伝えてください。
不安な人は、忘れないようにメモにとっておくのも良いでしょう。
▼眼性疲労のときは…
眼科を探す
▼激しい頭痛・体のしびれは…
脳神経外科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
公益社団法人日本眼科医会 パソコンと目
間欠性外斜視をセルフチェック
次の3ステップを、自分で鏡を見ながら、もしくは誰かにチェックしてもらいながら行いましょう。
- 5mほど先を見る
- 片方の目を覆う
- 黒目の動きをチェック
このステップを行った際に、黒目が外側から内側へ目が動く場合は、間欠性外斜視の可能性があります。
なぜ?なってしまう「原因」
子どもに発症した場合は、原因不明であることが多いです。
成人の場合、頭の怪我や、脳・外眼筋(目を動かす筋肉)の病気になると外斜視になることがあります。
スマホの見過ぎは関係ある?
スマホやゲーム機の使用によって、内斜視になることがありますが、外斜視になるという報告はいまのところありません。
ただし、間欠性外斜視の人が、スマホやゲーム機などを近い距離で見ることで、症状が悪化する可能性はあります。
間欠性外斜視は、自分で治せる?
間欠性外斜視は、自然に治すのが難しい病気です。
治すには、病院での治療が必要です。
どの程度の間欠性外斜視なのかは、眼科で検査を受けなければわかりません。
自分でできる方法としては「寄り目の練習」が効果的ですが、自分の力だけで治すのはおすすめできません。一度、眼科を受診してください。
間欠性外斜視が、“悪化”すると…
間欠性外斜視が悪化すると、
・斜視の角度が大きくなる
・斜視になる頻度が多くなる
ことがあります。
その他にも、物が二重に見える等、日常生活に支障をきたすこともあります。
もっと悪化すると、常に視線が外側を向いている、恒常性外斜視になるリスクがあります。
病院を受診する目安
- 間欠性外斜視の症状が自覚できる
- 物が二重に見えるなど、日常生活に支障をきたしている
といった場合は、病院を受診しましょう。
受診するのは何科?
間欠性外斜視と思われる場合、眼科を受診しましょう。
受診したときは、日常生活でどういう支障をきたしているのかを医師に伝えると、診断がしやすくなります。
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間欠性外斜視の治療法の一例
間欠性外斜視は、斜視の程度や頻度などによって、治療法が異なります。
斜視の角度が小さい場合
偏位量(斜視の角度)が小さい場合は、
・治療用の特殊な眼鏡
・視能訓練
などを通して治療を行います。
斜視の角度が大きい場合
偏位量が大きい場合や、斜視となる頻度が高い場合は、斜視手術を行います。
ただし、手術をしたあとに、また外斜視となってしまうケースがあるため、手術を受けるタイミングなどを慎重に検討する必要があります。手術とあわせて、視能訓練や眼鏡を併用することもあります。
斜視の角度が小さいうちに治療することが大切です。
症状が悪化する前に、早めに病院に行きましょう。
眼科を探す
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2022-05-30
「目の前にキラキラと光が飛ぶ」
「これって貧血が原因?」
目の前にキラキラ光が飛ぶ原因を、お医者さんに聞いてみました。
この症状には低血圧や、「網膜剥離」という失明を招く病気も考えられます。
心当たりのある症状がないかチェックしてみましょう。
「目の前にキラキラ光が飛ぶ」のは貧血のせい?
「目の前にキラキラ光が飛ぶ」という症状は、貧血ではほとんど起こりません。
よくある原因として考えられるのは、「低血圧」です。
低血圧による症状は、「座っている状態から急に立ち上がる」という動作がキッカケとなって起こりやすいです。
立ち上がってから、
めまい
立ちくらみ
ふらつき
などが生じ、数秒で治まるのであれば、低血圧の可能性が高いでしょう。
この症状は、立ち上がるときの血流の移動に体が対応できず、脳への血流量が不足することで起こります。
立ち上がったときの「キラキラ」は、心配いらないケースが多い
低血圧による症状は、ストレス・睡眠不足がキッカケになることもあります。
症状を繰り返さないのであれば、心配いらないでしょう。
ただし、低血圧には、糖尿病・パーキンソン病といった病気が隠れているケースもあります。
「目の前がキラキラするめまい」が何度も起こる人は、一度内科で相談するとよいでしょう。
内科を探す
まずは「安静」に過ごすことが大切
目の前にキラキラと光が飛ぶときは、無理に動くと転倒する恐れがあります。
症状が出て間もないときは安静に過ごすようにしましょう。移動するときはゆっくりと立ち上がってください。
また、低血圧が慢性化すると、頭痛・肩こり・倦怠感などで生活に支障をきたすケースもあります。
低血圧は自律神経を安定させると改善することも多いため、
規則正しい生活を送る
十分な睡眠時間を確保する
バランスのよい食事を摂る
こまめに水分補給をする
暴飲暴食は避ける
といった点を普段から心がけるようにしましょう。
暗闇でもキラキラが飛ぶ場合は、「網膜剥離」の疑いも…!'
「網膜剥離」が疑われる症状
暗いところにいるのに、一瞬光を感じる
ピカッと光る・キラキラとしたものが横切る
影のようなものが浮遊して見える
物がかすんで見える・歪んで見える
視野に黒いカーテンがかかったように見える
視野が欠ける
目の前がキラキラする症状がなかなか治らない方は、目の異常も考えられます。
キラキラ・チカチカしたものが暗闇でも見える場合、「網膜剥離」が疑われるので要注意です。
網膜剥離とは、眼球にある「網膜」が剥がれてしまう病気です。
発症の主な原因には、ケガ・加齢による変化などが挙げられます。特に近視が強い人は発症リスクが高くなると考えられています。
網膜剥離かも…どうすればいい?
網膜剥離が疑われるときは、早急に眼科で受診しましょう。
悪化すると視力低下・失明を招く恐れもあるため、早急な治療が必要となります。
眼科では、眼底検査などを通して目に異常がないか調べます。
網膜剥離は手術による治療が基本です。
ただし、網膜がそこまで剥がれていない場合は、レーザー治療で済むケースもあります。
眼科を探す
症状を繰り返すときは、一度病院で相談しよう
「目の前にキラキラ光が飛ぶ」という症状を繰り返す場合、慢性的な低血圧、もしくは目の異常が疑われます。
いずれの場合も、重い病気が隠れているケースがあるため、一度診察を受けたほうがよいでしょう。
低血圧は元々の体質が影響して起こることもあり、治療が必要のないケースが多いです。
ただし、糖尿病・心臓病による「症候性低血圧」だった場合、病気を放置すると命に関わる恐れがあるので油断は禁物です。
また、「網膜剥離」といった目の病気で、キラキラと見えることもあります。
この病気は、進行すると視力低下・失明を招くリスクがあるため、早期治療が重要となります。
まずは何科で相談したらいい?
低血圧が疑われる → 「内科」
目の異常が疑われる→ 「眼科」
で相談しましょう。
下記の表を参考にして診療科を選ぶとよいでしょう。
症状
おすすめの診療科
立ち上がったときにキラキラ見える
内科
暗闇でもキラキラ見える
眼科
内科を探す
眼科を探す
▼参考
大分大学医学部 主要・血液内科学講座
参考
日本弱視斜視学会 外斜視
https://www.jasa-web.jp/general/medical-list/strabismus/strabismus2
日本視能訓練士協会誌 第37巻 (2008) 間欠性外斜視の治療戦略
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jorthoptic1977/37/0/37_0_81/_pdf/-char/ja
日本視能訓練士協会誌 第37巻 (2008) 手術を前提としたプリズムの臨床応用―間歇性外斜視の場合―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jorthoptic1977/37/0/37_0_65/_pdf
日本視能訓練士協会誌 第39巻(2010)「本音で語ろう間欠性外斜視」 視能訓練
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jorthoptic/39/0/39_039S103/_pdf/-char/ja