生理で膜のような塊が出たけど…これはなぜ?
血の膜が出る理由を、お医者さんに聞きました。
病気の可能性や、婦人科を受診する目安も解説します。
監修者
経歴
医療法人社団 石野医院
日本医科大学
日本医科大学付属病院
日本医科大付属第二病院
国立横須賀病院
東部地域病院
石野医院
生理で膜のような塊が出る理由
生理の際、剥がれた子宮内膜や血が塊となって出てくることがあります。
膜のような塊が出るのは大丈夫?
膜のような塊が少量出ている場合は、問題ないケースが多いです。
ただし、膜のような血の塊が大量に出ている場合や、重い生理痛など他の症状がある場合は、何か病気が隠れている可能性があります。
はやめに婦人科に行きましょう。
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生理で10センチの血の塊が出た…!
これって大丈夫なの?
大きな血の塊が出てしまうのは、子宮筋腫や子宮腺筋症のサインかもしれません。
当てはまる症状がないかどうかチェックしてみてください。
生理の塊が10センチ…これ大丈夫?
生理時の経血は、成熟した子宮内膜が剥がれ落ちて、血液と一緒に排泄されるものです。
剥がれ落ちた瞬間の子宮内膜はドロドロした血の塊ですが、子宮内膜から分泌される酵素によって血の塊を溶かしサラサラ状態にすることで、スムーズに経血を排泄できるようにしています。
しかし、排泄される血液が多いと、酵素の働きが追い付かず、血の塊のまま排泄されてしまう場合があります。
一旦様子を見てもいいケース
血の塊が出る状態を何度も繰り返さない場合や、貧血等の症状を伴わない場合は、一旦様子をみるという方法もあります。
血の塊が出てくる場合、ホルモンバランスの乱れ、体調不良、ストレス等が原因になっているケースがあるため、それらの原因を排除することで解決する場合があります。
病院に行くべきケース
ナプキンを交換するたびに大きな血の塊が出ていたり、多い日用ナプキンを使用しても一時間も経たないうちに漏れてしまうほどの経血量の場合は、婦人科に行きましょう。
また、経血量が多いことで、
倦怠感
息切れ
動悸
めまい
頭痛
など貧血症状があらわれている場合も、婦人科を受診することをおすすめします。
このように、生理の経血が多い状態を「過多月経」といい、何らかの病気を発症している可能性があります。
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過多月経を起こす「病気」に要注意
過多月経が「子宮腺筋症」や「子宮筋腫」などの”病気のサイン”のこともあります。
婦人科系の病気を疑う症状
月経時に血の塊が出てくる
下腹部が前に出てくる
貧血
腰痛
月経痛
頻尿
生理時以外の下腹部痛
不正出血
慢性骨盤痛
排便痛
不妊 等
病気を放置すると…
子宮腺筋症や子宮筋腫が疑われるのに放置してしまうと、症状が悪化して不妊症を引き起こしたり、流産の原因になったりする恐れがあります。
また子宮筋腫が増大し過ぎてしまうと、薬物療法のみでは改善できなくなり、大きな手術療法が必要になるケースもあります。
「思春期」や「更年期」に起こりやすい
思春期(10~18歳代)の女性は、ホルモンバランスが安定していないため、過多月経を起こしやすいと考えられています。
また、閉経間近の更年期の女性も、卵巣機能の低下やホルモンの分泌不全が原因で、過多月経が起こることがあります。
過多月経を放置すると…
経血量の増加によって、慢性的な貧血になってしまいます。
貧血は少しずつ症状が進行するため、体が貧血状態に慣れてしまう場合があります。
そうなると、症状を自覚しにくくなり、気が付いたときには貧血が悪化していて、肌荒れや抜け毛などの症状に繋がる場合があります。
早期受診をおすすめする理由
早期受診により、血の塊が出てくる原因が明確になると、不安が軽減されます。また、医師による適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できます。
もし、何らかの疾患が隠れていた場合も、早い段階で発見できるため、病気の悪化や重症化を予防することができます。
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婦人科受診の際注意すること
内診等の検査を受けるケースが多いため、着脱がスムーズにできる服装で受診することをおすすめします。
内診が不安な方は、ハイソックスを着用していくと肌が出る部分が少なくなるため、少し落ち着くかもしれません。
生理中も受診できる?
正確な診断を受けるためには、できるだけ生理ではない期間に受診することをおすすめします。
医療機関によっては生理中でも受診可能な場合もあるので、事前に問い合わせて相談しておくと安心です。
参考
一般社団法人 日本女性心身医学会 女性の病気について
http://www.jspog.com/general/details_10.html
バイエル薬品株式会社 生理中の不調[過多月経]
https://www.seirino-mikata.jp/disorder_mens/hypermenorrhea/
公益社団法人 日本産婦人科医会 子宮筋腫について教えてください。
https://www.jaog.or.jp/qa/mature/jyosei180516/
日本医師会 子宮内膜症
https://www.med.or.jp/chishiki/sikyuu/001.html
「病気」の可能性も
生理で膜のような塊が出る場合
- 子宮筋腫
- 子宮腺筋症
の可能性があります。それぞれ詳しく解説します。
病気① 子宮筋腫
子宮の内側、子宮の外側、子宮の筋肉の中にがんではない良性の腫瘍ができる病気です。
粘膜下に筋腫ができると、生理のときに剥がれ落ちる子宮内膜の面積が広がります。その剥がれた子宮内膜が膜のような塊として出てくることがあります。
子宮筋腫は、30歳以上の女性の20~30%にみられる病気です。腫瘍は女性ホルモンが影響して大きくなっていくため、閉経後には小さくなります。
主な症状
- 生理痛
- 生理の出血量が多い
- 生理の期間が長い(8日以上続く)
- お腹から触った時に固いこぶに触れる
- 貧血 等
子宮筋腫が大きくなり周囲の臓器を圧迫すると…
病気② 子宮腺筋症
子宮内膜によく似た組織が子宮筋層内に入り込む病気で、入り込んだ部分や周辺の筋層が肥大し、硬くなります。病気の原因はまだ解明されていません。
子宮筋層と病変の境が分かりにくいのが特徴です。
子宮腺筋症になると、生理時の出血量増加がおこります。排泄される血液が多いと、原形に近い、血の塊のまま排泄されてしまう場合があります。
子宮腺筋症は30代後半から40代以降の出産経験のある女性に多いです。ただ、最近では20〜30歳代の若い女性も増加傾向にあります。
子宮筋腫や子宮内膜症などと合併して子宮腺筋症を発症しているケースもあります。
主な症状
- 月経痛
- 生理以外の時期の下腹部痛
- 不正出血
- 腰痛
- 慢性骨盤痛
- 排便痛
- 不妊
婦人科に行く目安
生理の度に膜のような塊がたくさん出る場合や、子宮筋腫や子宮腺筋症の症状に心当たりがある場合には、一度婦人科を受診して、検査を受けることをおすすめします。
特に、次の症状があらわれている場合は要注意です。
- お腹に触った時に固いこぶに触れる
- 貧血
- 生理痛が重い、もしくは、どんどん重くなっている
- 出血量が多い
- 生理以外の時期の腹痛や腰痛
- 性交時や排便時の痛み
- 不妊
- 生理期間中の下血、血尿、喀血
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早期受診のメリット
生理で膜のような塊が出る原因が病気であった場合、早期に受診して適切な治療を開始することで、手術や入院をしなくても済む可能性が高いです。
薬の服用のみで生理時の不快な症状を緩和できることもあり、日常生活への支障も少ないです。
不妊症や流産の予防にも繋がるので、心配な症状がある方は、できる限り早く婦人科を受診しましょう。
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「生理が止まらない…。」
「大量に出血する…。」
生理が止まらず、大量出血する原因をお医者さんに聞きました。
放置するリスクや病院を受診した方がいい症状も解説します。
婦人科の初診の流れもご紹介するので、「受診するのが不安…」という方はぜひ参考にしてくださいね。
なぜ?大量出血の原因
月経期間が8日以上続く状態を「過長月経」、出血量が増える、月経血にレバー状のかたまりが混じる、月経痛が酷いなどの症状が見られる「過多月経」と言います。
生理が止まらず大量の出血がある場合、
ホルモンバランスの乱れ(一時的)
子宮筋腫
子宮腺筋症
子宮内膜ポリープ
子宮内膜増殖症
などの原因が考えられます。
ストレスなどによるホルモンバランスの乱れで一時的に症状が出て、その後繰り返さなければ問題ないケースもありますが、「治療すべき病気」が隠れていることもあります。
受診目安
大量出血が止まらない場合は、原因を特定するためにも、一度婦人科を受診することをおすすめします。
特に、次の症状がある方は、早めに病院で相談しましょう。
生理以外にも出血がある
生理周期に乱れが生じている
腹痛(下腹部痛)を伴う
排尿障害が生じた
お腹にしこりのようなものがある
貧血がみられる
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原因1.ホルモンバランスの乱れ
*タイトルのホルモンバランスが乱れやすい人を記載しましたが、過多月経、過長月経に直ちには結びつきません。
ホルモンバランスが崩れによって、一時的に出血量の増加につながることがあります。
ストレスや体調不良により、女性ホルモン分泌量が低下することで生じます。
また、40歳以上になると排卵されにくくなり、子宮内膜を厚くするホルモン(エストロゲン)が多く分泌されて、出血量が多くなることがあります。
<症状が出やすい人>
思春期の女性
更年期の女性
ストレスを感じやすい方
<症状の特徴>
貧血(めまい)
頭痛
息切れ
動悸
顔色が悪い
原因2.子宮筋腫
子宮の筋肉に良性の腫瘍ができる病気です。
30歳以上の女性の中では、3人に1人が発症しているといわれています。
原因については不明な点も多いですが、筋腫ができることで子宮の表面積が大きくなり、月経時に剥がれ落ちる子宮内膜の量が増えるため、過多月経を起こすと言われています。
<症状が出やすい人>
30歳代前半~閉経前の女性
初潮が早かった方
妊娠、出産の経験がない方
<症状の特徴>
レバーのような血液の塊
月経が長引く
月経痛
腰痛
貧血
下腹部がぽこっと出てくる
排尿異常
原因3.子宮腺筋症
子宮内膜が何らかの原因で子宮の奥(筋層部)まで入り込み、子宮の機能障害が起る病気です。
子宮内膜が変形、拡張することで、出血が止まらなくなったり、出血量が増えたりします。また、子宮の収縮のバランスが崩れることも、出血量に影響すると考えられます。
子宮内膜症、子宮筋腫を合併する可能性があります。
<症状が出やすい人>
30歳後半~50歳代の女性(40歳代に一番多い)
妊娠・出産経験がある方
流産経験がある方
月経痛がひどい方
子宮内膜に関わる手術を経験した方(帝王切開を含む)
<症状の特徴>
レバーのような血液の塊
貧血
下腹部痛
不正出血
排便痛
原因4.子宮内膜ポリープ
子宮内膜の細胞が何らかの原因で異常増殖してポリープが形成される病気です。
ポリープによって子宮内の表面積が大きくなるため、出血が止まらなくなったり、量が増えたりします。
<症状が出やすい人>
40歳~50歳代の女性
不妊症と診断されている方
<症状の特徴>
生理期間が長い
生理以外の出血
下腹部痛
貧血
閉経後の性器出血
原因5.子宮内膜増殖症
子宮内膜が異常に分厚く増殖してしまう病気です。
月経時に剥がれ落ちる子宮内膜の量が多いため、大量出血が止まらなくなる可能性があります。
<症状が出やすい人>
40歳代の女性
妊娠、出産の経験がない方(少ない方)
肥満傾向の方
初潮が早かった方
<症状の特徴>
経血量が多い
月経期間が長い
月経時以外の出血
貧血
婦人科受診のタイミング
婦人科を受診するタイミングは、出血しているときでも、出血が止まった後でも、どちらでも問題ありません。
お医者さんに伝えるポイント
生理出血が増えた時期
生理出血の状態(レバーのような塊が出る等)
生理周期と期間(直近半年分程度)
他症状があるかどうか
※基礎体温を記録している場合は、持参してください。
婦人科を受診するときの服装
着脱しやすい服装(下着・靴を含む)で受診することをおすすめします。
スカートの場合、服を脱がずにそのままの状態で検査を受けられる医療機関もあります。
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初診ではどんな検査をするの?
初診の流れ
問診
月経周期・日数、最終月経日、初潮の年齢、妊娠・出産歴、既往歴、アレルギーの有無等の確認が行われます。
内診
子宮、卵巣の状態、圧迫による痛みの有無等を確認します。
検査
必要に応じて超音波検査や細胞診を行います。
検査の例
<超音波検査>
経腟プローブ(棒状の器具)を膣内に挿入して、子宮や卵巣の状態を確認する検査
<細胞診>
子宮頸部細胞をヘラ、ブラシ、綿棒等で採取して、異常細胞の有無を確認する検査
※上記以外にも、症状に合わせて、尿検査、血液検査、培養検査、CT検査、MRI検査等が行われる場合もあります。
長引く生理を放置すると…
過長月経や過多月経を治療しないままでいると、不妊につながったり、深刻な疾患を見逃すことがあります。
若年性更年期障害や早期閉経につながったり、子宮体がんを発症することもあります。
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参考
一般社団法人 日本女性心身医学会 女性の病気について
http://www.jspog.com/general/details_10.html
公益社団法人 日本産科婦人科学会 子宮内膜症
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=9
花王株式会社 ロリエ からだの情報 月経について
https://www.kao.co.jp/laurier/health/031/
徳島県医師会 子宮筋腫
https://www.tokushima.med.or.jp/kenmin/doctorcolumn/hc/458-529
エリエール 生理の経血が多い…これって異常?
https://www.elleair.jp/elis/elis_clinic/trouble/trouble2_2.php
公益社団法人 日本産婦人科医会 過多月経への対応
https://www.jaog.or.jp/note/%EF%BC%882%EF%BC%89%E9%81%8E%E5%A4%9A%E6%9C%88%E7%B5%8C%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%AF%BE%E5%BF%9C/
慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト 月経異常・排卵障害に関連する代表的な病気
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/000094.html
日本産婦人科医会 産婦人科診療ガイドライン
http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2017.pdf
一般社団法人 大阪府医師会 月経不順
https://www.osaka.med.or.jp/citizen/tv32.html