頬骨を押すと痛い…これはなぜ?
どんな原因が考えられるのか、お医者さんに聞きました。
病院に行く目安や何科を受診すべきかを解説します。
監修者
経歴
大正時代祖父の代から続く耳鼻咽喉科専門医。クリニックでの診療のほか、京都大学医学部はじめ多くの大学での講義を担当。マスコミ、テレビ出演多数。
平成12年瀬尾クリニック開設し、院長、理事長。
京都大学医学部講師、兵庫医科大学講師、大阪歯科大学講師を兼任。京都大学医学部大学院修了。
なぜ?頬骨を押すと痛い…
細菌やウイルス感染によって、頬骨のあたりに炎症が起きていると考えられます。
考えられる4つの原因
頬骨を押すと痛い場合、
① 急性鼻炎
② 急性副鼻腔炎
③ 虫歯
④ 上顎洞癌
の可能性があります。
それぞれ詳しく解説していきます。
原因① 急性鼻炎
ホコリ・細菌・ウイルスなどを吸い込み、鼻の中が炎症を起こしている状態です。
なりやすい人
痛みの特徴
炎症を起こしている粘膜の部分を鼻の外から押すと、痛むことがあります。
主な炎症は、鼻腔やのどなので、頬の痛みは、他の病気に比べると低いでしょう。
主な症状
自分でできる対処法
チリ・ホコリが侵入した場合
水で洗浄しましょう。
細菌やウイルス感染の場合
通常、この場合は発熱や寒気など他の症状が現れます。早めに横になって、休息をとりましょう。
原因② 急性副鼻腔炎
副鼻腔(鼻の奥にある空洞)に鼻水が溜まってしまい、そこで細菌やウイルスが増殖して発症します。
なりやすい人
痛みの特徴
目の下の頬のあたりに痛みを感じます。
悪化すると、顔全体が痛いケースもあります。
主な症状
- 頭が痛い
- 頬が痛い
- 顔が痛い
- 鼻づまり
- においを感じにくい
自分でできる対処法
できるだけ、鼻水を出しましょう。鼻水をすするのはNGです。
副鼻腔炎の疑いがある場合は、一度病院を受診してください。
特に細菌感染の症状(激痛・発熱・症状が治らない)がある場合は、必ず受診してください。
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2023-01-30
副鼻腔炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
副鼻腔炎の主な症状も紹介するので、「副鼻腔炎かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしましょう。
副鼻腔炎とは
副鼻腔炎とは、副鼻腔(鼻の奥にある空洞)や鼻の粘膜に、細菌やウイルスが侵入し、炎症が起こる病気です。
副鼻腔に膿が溜まったり、腫瘍が発生したりすることで、目の下の骨に痛みが生じることがあります。
副鼻腔炎の症状
鼻がつまる
黄色や緑色の鼻水(膿性鼻水)が出る
発熱する
痰がからむ咳が出る
ほほ、おでこに痛みが出る
頭が痛い
目が痛い
歯が痛い
副鼻腔炎の原因
副鼻腔炎にかかる原因としては、下記が挙げられます。
風邪
ハウスダスト
花粉
カビ
風邪以外の原因に関しては、それらが鼻から入って副鼻腔にまで侵入し、炎症を起こして鼻水が臭うこともあります。
副鼻腔炎になりやすい人
副鼻腔炎は、誰にでも発症する可能性のある病気ですが、次のような人は特に注意が必要です。
75歳以上の高齢者
糖尿病、慢性肺疾患、慢性腎疾患などにかかっている方
ウイルスや細菌感染による鼻症状を繰り返している方
過去一ヵ月に抗菌薬を使用した方
肥満傾向の方
喫煙習慣のある方
ぜんそくや気管支炎のある方
副鼻腔炎に使える市販薬は?
市販の鼻炎薬を使用することで、回復することもあります。
市販薬の例
アレルギー性副鼻炎の場合…
ナシビンメディ:佐藤製薬
アルガード鼻炎クールスプレーa:ロート製薬
風邪による副鼻炎の場合…
パブロン鼻炎アタックJL:大正製薬
アレルギーによる場合には、副鼻腔炎だけでなく鼻閉(鼻づまり)も併発している可能性があるため、点鼻薬がおすすめです。
また、最近では漢方薬による副鼻腔炎の治療薬も出始めています。
蓄膿症の漢方薬としても用いられている辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)がおすすめです。
こんな症状は早く病院へ
副鼻腔炎が悪化している場合、自然に治りにくいです。症状が2週間以上続いているときは、早めに受診しましょう。
副鼻腔炎が悪化すると、症状の慢性化や中耳炎を発症するリスクがあります。
中耳炎は聴力に悪影響を及ぼす恐れがあるため、注意したいものです。
さらに、重症化して髄膜炎(※)を引き起こすケースも稀にあります。放置しないようにしましょう。
※「髄膜炎」…頭蓋骨と脳の間にある「髄膜」という膜に、細菌・ウイルスなどが感染し、炎症を起こす病気。頭痛や嘔吐、錯乱などの症状が現われ、最悪の場合命に関わることもある。
病院は何科?
副鼻腔炎の症状は、耳鼻いんこう科で相談しましょう。
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副鼻腔炎の治療法
薬の処方、点鼻噴霧ステロイド、鼻洗浄を行います。
処方するお薬には、鼻の中の環境を整える「抗菌薬」、痰を出しやすくする「去痰薬」などがあります。
症状によっても異なりますが、2〜3ヶ月程度で治るケースが多いです。
なお、薬物療法で改善が見られない場合には、内視鏡での手術も検討されます。
原因③ 虫歯
虫歯が悪化すると、頬骨の炎症を起こすことがあります。
虫歯がひどくなり、虫歯菌が歯の奥の神経まで到達すると、頬骨の炎症を引き起こすことがあります。
なりやすい人
痛みの特徴
ズキズキとした痛みを感じます。
虫歯のある方の頬骨が痛くなります。
主な症状
自分でできる対処法
歯科で治療をしましょう。
根本的に虫歯を治療しないと、痛みは取り除けません。
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原因④ 上顎洞がん
がん細胞が上顎洞に発症し、病気になります。
慢性副鼻腔炎によって長期的に膿がたまっている、喫煙、免疫の低下、ストレスなどが影響すると考えられています。
なりやすい人
痛みの特徴
初期は、痛みは感じません。
がんが大きくなり、上顎洞を圧迫して痛むようになります。
主な症状
- 鼻づまり
- 鼻水に血が混じる
- 眼球の腫れ(視力低下や、目やになど)
- 口腔内の腫れ(歯の痛み、歯茎の腫れなど)
自分でできる対処法
がんの治療が必要です。
耳鼻いんこう科、歯科(口腔外科)で治療を受けましょう。
頭頸部がん専門医がいるところだと、なお良いでしょう。
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病院に行く目安
- 慢性的な鼻づまりがある
- 鼻水に頻繁に血が混じる
- 頬骨に激痛を感じる
- 高熱が出る
といった場合などは、病院を受診しましょう。
受診するのは何科?
耳鼻いんこう科を受診しましょう。
※虫歯の場合は、歯科を受診してください。
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早期受診のメリット
早めに病院に行くことで、短期間で治療が済む場合もあります。
重い病気が原因であった際には、悪化すると命にかかわるリスクも生じるので、不安な症状は早期に病院で相談することをおすすめします。