体の節々が痛いし、微熱もある…。
風邪?もしかして他の病気?
お医者さんに、痛みと微熱の原因を聞きました。
病院に行くべきかどうかも解説します。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
節々の痛みと微熱は風邪の前兆?
風邪をひくと、熱が上がる際に関節痛があらわれることがあります。
「風邪かな?」と思ったら、まずは安静にして様子を見ましょう。
ただし、慢性的な微熱と関節痛がある場合は、別の病気が隠れている可能性があります。
“風邪”以外で考えられる3つの病気
節々の痛みと微熱の症状がある場合、
- 慢性疲労症候群
- 関節リウマチ
- 全身性エリテマトーデス
などの可能性があります。
病気① 慢性疲労症候群
慢性疲労症候群とは、重度の疲労感が長期的に続く状態を指します。
身体診察や詳しい検査を行なっても、異常が認められないのが特徴です。
原因が精神的なものなのか、身体的なものなのか、未だ解明されていません。
発症しやすい人
慢性疲労症候群になりやすいのは、受け身な人だと言われています。
たとえば…
- あらゆる物事や考えに従順
- 協調性が高い
- 周りをよく気にする
といった性格の方は発症しやすいと言えます。
主な症状
自分でできる対処法は?
慢性疲労症候群かもしれないです。どうすれば…?
まずは一度病院を受診し、詳しい検査を受けましょう。
ほかの病気の可能性も考えられるため、ご自身で慢性疲労症候群と判断するのは危険です。
もし慢性疲労症候群と診断された場合には、ストレスを避けた生活が大切です。
バランス良い食事と適度な運動を意識し、生活にリズムをつけましょう。
受診するのは何科?
内科を受診しましょう。
内科を探す
病気② 関節リウマチ
関節リウマチは、全身の関節に複数の炎症が見られる病気です。
免疫機能の異常が原因と考えられています。
発症しやすい人
30歳〜50歳の女性に発症しやすいと言われています。
主な症状
- だるさ、倦怠感
- 微熱
- 頭痛
- 関節の腫れ
- 関節痛
- 起床時に関節がこわばる
- 息切れや咳 など
自分でできる対処法は?
関節リウマチかも…まずは何をしたら良いでしょうか?
症状に心当たりのある場合は、病院に相談しましょう。
関節リウマチは薬物治療や手術、リハビリテーションが必要な病気です。
受診するのは何科?
整形外科、リウマチ科を受診しましょう。
リウマチ科を探す
病気③ 全身性エリテマトーデス
免疫機能の異常により、全身(関節や皮膚、内臓など)に炎症が起こる病気です。
一人ひとりの症状に差があり、軽症だと病気の診断に結びつきづらい場合もあります。
発症しやすい人
20〜40代の女性が比較的発症しやすいと言われています。
発症の男女比は1:9となっており、女性に多い病気です。
主な症状
- だるさ、倦怠感
- 頭痛
- 微熱
- 食欲不振
- 関節の腫れ
- 皮膚の発疹
- 口内炎
- 脱毛など
自分でできる対処法は?
この病気の場合、まずは何をしたら良いでしょうか?
他の病気も考えられるため、一度病院で検査を受けましょう。
なお、全身性エリテマトーデスの場合、症状を和らげるには病院での治療が必要になります。
受診するのは何科?
内科を受診しましょう。
内科を探す
病院に行く目安
- 節々の痛みや微熱が7日以上続いている
- 倦怠感やむくみが引く気配がない
上記の場合は、慢性疲労症候群や免疫疾患が関係している可能性もあります。病院で一度検査をしましょう。
早期受診のメリット
重い病気が原因であった場合、早期受診すると悪化防ぎやすくなります。
初期段階であれば、入院や手術をせずに治療できる可能性が高まります。
症状にお困りの方は、放置せずに病院を受診しましょう。
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「風邪の関節痛はお風呂で治る?」
「マッサージはだめなの?」
風邪による関節痛の仕組みと、症状を緩和するための方法を医師が解説します。
NG対処法や、病院に行くべき目安もご紹介しています。
痛くて眠れない…関節痛を和らげるには?
傷などがある場合を除き、炎症を起こしている箇所を冷湿布で冷やすのも良いです。
風邪による関節痛は一時的なものである場合が多いです。
お風呂に入るといいってホント?
本格的な長湯は、体調が万全に戻ってからにしましょう。
血行促進や全身の筋肉の緊張緩和によって、多少改善されることもあります。ただし、長湯やあまり熱いお湯などで身体に負担をかけるのはよくないので、早めにあがりましょう。
マッサージしてもいい?
マッサージや体を動かすのは避けて、体を温め、ゆっくり横になりましょう。
風邪による間接痛がある場合、マッサージ自体が悪いわけではありませんが、風邪の引き始めに体を無理に動かすと、疲労が強くなり風邪症状の悪化につながります。
薬を増やすのは極力避けて!
風邪による関節痛は一時的なものである場合が多いので、そのために薬を増やすのは極力避けましょう。
なぜ痛い?風邪の関節痛のしくみ
体がウイルスと戦うために分泌される「プロスタグランジン」という物質が、筋肉痛や関節痛を強めます。
風邪をひくと、免疫力を上げてウイルスを追い出そうと熱が上がります。
この熱が上がっていく過程において、悪寒を感じるようになります。悪寒で寒さを感じることで体を震えさせ、体内の温度を上げます。
この時に発熱させる物質が、関節内などで炎症を引き起こし、筋肉痛や関節痛を起こすのです。
発熱していないのに「関節痛だけ」のケースも
熱が上がっていく中で悪寒が起こり、体を震えさせるので、まだ熱が上がっていなくても関節痛が起きる場合も多くあります。
幅広い体の箇所で起こります。体がきしみ、全身が痛い、動かしにくいと感じます。
また、痛みが出る箇所には個人差があり、腰や肩、首、腰や体の各関節部位等、色々な場所で生じます。
病院を受診したほうがよいケース
ただの風邪だと思っていても、関節痛や筋肉痛などの全身症状がいつもの風邪よりつらい場合は、インフルエンザも疑いましょう。
最近は、冬だけでなく、春や秋頃にインフルエンザが流行ることもあります。
風邪の関節痛だと思っていたら、いつまでも関節痛が良くならない、または悪化している場合は、風邪ではなく症状の重いインフルエンザかもしれません。一度、病院を受診しましょう。
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2020-09-17
関節が痛いし、なんだか体もだるい…。
これはなぜ?
体の節々の痛みと倦怠感の原因を、お医者さんに聞きました。
対処法と病院に行く目安も解説します。
この関節の痛みとだるさ…大丈夫?
過度の運動など、関節の痛みやだるさに明らかな原因が思い当たる場合は、一旦安静にして様子をみてもいいでしょう。
ただし、体を十分休めても改善されない場合は、医療機関を受診しましょう。
<よくある関節の痛みとだるさ原因>
過度の運動
疲労の蓄積
ストレス過多
風邪のひきはじめ
睡眠不足
栄養バランスの乱れ
この症状は早く病院へ
関節痛と体のだるさに加えて
高熱が続く
むくみ
ひどい倦怠感で動けない
食欲不振
体重減少
不眠
貧血
精神症状
意識障害
などの症状があらわれている場合は、早急に病院を受診しましょう。
病院は何科?
まずは整形外科を受診しましょう。
整形外科を探す
※ひとりひとりの症状や病院の設備などによって、適切な医療機関を紹介されることがあります。
関節痛&だるさを感じる「4つの病気」
関節痛とだるさをもたらす病気は、
①感染症
②膠原病
③慢性疲労症候群
④線維筋痛症
が考えられます。それぞれの症状の特徴や、改善する方法を解説します。
① 感染症
風邪、インフルエンザ、マイコプラズマなど、ウイルスや細菌に感染することで、関節痛や倦怠感が生じます。
免疫力が低下していたり、肉体的・精神的疲労が蓄積していると、感染症にかかりやすくなります。
軽い症状のみで治癒することが多いですが、免疫力が低下していると重篤な状態になるケースもあります。
主な症状
咳、鼻水、腹痛
微熱、高熱
関節痛、筋肉痛
倦怠感
リンパ腺の炎症
対処法
まずは安静にして様子を見ましょう。十分な睡眠をとり、栄養バランスのよい食事を摂るようにしてください。
症状が改善しない、もしくはひどくなっていくようであれば、病院に行きましょう。
受診するのは何科?
内科を受診しましょう。
内科を探す
② 膠原病
人体を支えている膠原線維という組織に、炎症が生じる病気の総称です。
関節リウマチ、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス等が挙げられます。
原因は明確ではありませんが、免疫システムに異常が生じて、自分自身の細胞や組織を攻撃してしまうことで発症すると考えられています。
女性に多くみられる病気です。
初期は日常生活に支障は出ませんが、少しずつ悪化し、慢性化していくケースが多いです。
主な症状
微熱や高熱
関節痛や筋肉痛
倦怠感
リンパ腺の炎症
眼や口の渇き
皮膚に赤い斑点が出現する
レイノー現象(寒い冬の朝や冷たい水に触れたとき等に手足の先端が白く変色する)
※膠原病は複数の病気の総称のため、病気ごとに症状が異なります。上記の症状が、全て同じタイミングで出現するわけではありません。
対処法
膠原病の症状は多岐にわたり、発症する疾患によって障害を受ける臓器が異なるため、専門機関を受診して的確な治療を受けるようにしましょう。
その上で、日常生活では十分な睡眠をとり、栄養バランスのよい食事を摂るようにしてください。
アルコールの摂取を控え、喫煙者は禁煙しましょう。また、寒冷刺激や紫外線を避けるようにしてください。
受診するのは何科?
リウマチ科、整形外科など、出現している症状に合う診療科を受診してください。
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③ 慢性疲労症候群
健康状態に問題なく生活していた人が、全身倦怠感や極度の疲労感を感じるようになる状態です。
原因は明確には分かっていませんが、過剰なストレスによる脳神経系の炎症や血流の低下、ホルモン異常などによって発症すると考えられています。
ストレスを抱えている人や、感染症による症状が長引いている人の発症が多いです。
微熱等風邪のような症状が続くことから始まり、その後、日常生活に支障をきたすほどの疲労感、倦怠感、関節痛あらわれるようになります。
主な症状
頭痛
鼻の奥から喉にかけての痛み
疲労感や倦怠感
関節痛
睡眠障害(不眠、眠りが浅い 等)
抑うつ状態
認知症のような症状
対処法
慢性疲労症候群が疑われる場合は、医療機関の受診をおすすめします。
また、倦怠感を緩和させるためには、湯船に浸かる、軽い運動をする、十分な睡眠をとることが有効と考えられています。
受診するのは何科?
内科、心療内科などを受診しましょう。
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④ 線維筋痛症
体中の関節や筋肉等に原因不明の痛みが生じる病気です。
脳機能の異常で生じると考えられていますが、原因は明らかにされていません。
脳の痛みを感じる機能に異常が出ることで、通常では痛みを感じないほどの弱い力でも痛みを感じてしまいます。
精神的ストレスや外傷がきっかけで発症するケースが多いと考えられています。
20~60歳代の女性に好発し、ストレス過多状態の方に多くみられます。
主な症状
体中の強い痛み
全身の倦怠感や疲労感
口や目の乾き
体のしびれ
耳鳴り
睡眠障害
抑うつ状態
対処法
線維筋痛症は、早期に治療を開始することで、症状緩和が期待できる疾患です。疑われる症状がある場合は、早急に病院を受診してください。
線維筋痛症は、すべての患者さんに共通する治療法は確立されていないため、出現している症状に適した治療、薬、改善方法を提示してもらうことが重要です。
受診するのは何科?
リウマチ科や心療内科、整形外科を受診しましょう。
リウマチ科を探す
放置すると…どうなっちゃうの?
関節痛とだるさが続きます。まだ病院には行っていません。このまま症状を放置すると、どういうリスクがあるでしょうか…?
放置すると、症状が悪化して他の疾患を併発したり、重篤な疾患を見逃したりする恐れがあります。
原因によっては、早期に適切な治療が行われないと症状改善が期待できず、日常生活に悪影響を及ぼすようになる可能性があります。
参考
公益社団法人 日本皮膚科学会 膠原病
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa7/s2_q21.html
公益財団法人難病医学研究財団/難病情報センター 皮膚筋炎/多発性筋炎(指定難病50)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4079
一般社団法人 奈良県医師会 膠原病の初期症状
http://nara.med.or.jp/for_residents/1214/