「全身の震えの原因は、もしかして病気…?」
体の震えが起こる病気について、お医者さん聞きました。
当てはまる症状がないか、チェックしてみましょう。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
全身が震えるのは病気のせい?
病院に行く目安
全身の震えが2日以上続く場合は、病院を受診してください。
日常生活に支障がある場合はすぐに受診しましょう。
受診するのは何科?
まずは内科、脳神経内科を受診しましょう。
内科を探す
考えられる3つの病気
全身が震える症状がある場合、
- 本態性振戦(ほんたいせいしんせん)
- パーキンソン病
- バセドウ病
の可能性があります。
それぞれ詳しく解説していきます。
病気① 本態性振戦(ほんたいせいしんせん)
交感神経の過剰な働きによって、震えが起こる病気です。
病気が進行すると震えが多少強くなりますが、麻痺することはありません。
震え以外に症状がないのも特徴です。
体の力を抜くと震えは起こりません。緊張や興奮にともなって、症状が強くなります。
本態性振戦になりやすい人
40歳以上の人に多く発症します。
主な症状
- 手が震える(指先や腕)
- 声が震える
- 頭が横向きに揺れる
- 文字がうまく書けない
自分でできる対処法は?
震えが気になる場合には、受診が必要です。
病院では、症状の改善のために投薬治療を行っています。
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病気② パーキンソン病
運動機能が少しずつ失われていく病気です。
脳の神経伝達物質が減少することで発症します。
全身の震えも症状の一つです。何もしていないときに震えが起こります。
眠っているときは震えません。
パーキンソン病になりやすい人
65歳以上の人に多く発症します。
主な症状
- 全身の震え
- 歩くときに足が出にくい
- 転倒しやすい
- 素早い行動ができない
- 話し方に抑揚がなくなる
- 膝や肩、指などの痛み
- 顔の筋肉がこわばる
- 方向転換ができない
自分でできる対処法は?
病院で医師に相談しましょう。
内科を探す
病気③ バセドウ病
バセドウ病は、全身の新陳代謝が活発になりすぎる病気です。
症状の一つに手足の震えがあり、疲労を感じるのが特徴です。
バセドウ病になりやすい人
女性に多く、妊娠・出産を機に発症するケースもあります。
症状は徐々に出るのではなく、突然発症します。
また、ストレスが多い人も発症リスクが高まります。
主な症状
- 長時間の手足の震え
- 体重減少
- 下痢
- 疲労感
- 食欲増進
- 発汗
- 動悸
- 眼球が出る
- イライラして落ち着かない
- 月経不順
自分でできる対処法は?
バセドウ病は、病院での治療が必要です。
症状に心当たりがある場合は、内分泌内科を受診しましょう。
内分泌内科を探す
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2020-12-28
なんだか体調が悪い…。ストレスのせいかも…。
ストレスが限界に達すると、どのような症状があらわれるのでしょうか。
お医者さんの目線から、「心の症状」と「体の症状」、それぞれ解説してもらいました。
ストレスが限界に達した時に出る症状
ストレスが限界に達すると、脳や自律神経の働きに影響が出て「心の症状」と「体の症状」があらわれます。
ストレスの限界サイン「心の症状」
気分が落ち込む
イライラして、怒りっぽくなる
やる気が出ず、集中できない
何に対しても興味が持てない
ストレスの限界サイン「体の症状」
肩こり
頭痛
腹痛、胃痛
胸が苦しい
息苦しい
だるくて体が動かない
食欲不振、または食欲過剰
下痢、便秘
寒気や冷え
涙が止まらなくなる
不眠、または過眠
過度なストレスを受け続けると脳が正常に働かなくなり、気分が落ち込みやすくなります。
さらに、ストレスは内臓など体全体の調子を整える「自律神経」の乱れを引き起こすため、体の不調の原因にもなります。
ストレスが溜まりすぎると起こる「行動の変化」
浪費が激しくなる
ギャンブルが止まらなくなる
アルコール量が増える
喫煙量が増える
ストレスによって心の調子が不安定になると、お酒を飲む量が増えたり、大胆な行動をとったりする方もいます。
「自分らしくない行動が増えた」という場合も、心の状態に注意したほうがよいでしょう。
ストレス限界サインを感じたら、こう対処しよう
質の良い睡眠をとる
好きな物を食べる
気が合う人と会う
などの方法で、ストレスを発散しましょう。
ストレス対処法① 質の良い睡眠をとる
ストレスの解消には、十分な睡眠が大切です。
質の良い睡眠をとれるよう、就寝前には
ゆっくり入浴する
リラックスを設ける
スマホよりも本を読む
の3つの点を心がけましょう。
湯船にゆっくり入浴する
湯船につかって、ゆっくりと温まりましょう。
時間や体力がないときは、熱めのシャワーを首元に数分当ててください。
入浴が終わったら、冷えないように着替え、水分補給をしましょう。
リラックスタイムを設ける
ゆっくりできる場所に腰を掛けて、気持ちを休めましょう。
好きな音楽やテレビを楽しむのもおすすめです。
スマホよりも雑誌や本を読む
就寝直前はスマホではなく、読書が適しています。
インターネットは情報がどんどん入ってくるため、過度な刺激になってしまいます。
眠気を感じたら、電気を消して早めに入眠しましょう。
ストレス対処法② 好きなものを食べる
好きなものを食べると、ストレスが和らぎます。
※ただし、暴飲暴食は控えてください。
食欲がないときは無理せず、食べられるものを食べましょう。
軽く運動すると、食欲が湧きやすくなります。
反対に、カフェインの強いものはしばらく控えてください。
過度のアルコール摂取も、睡眠の質を低下させる原因となるため、注意しましょう。
ストレス対処法③ 気が合う友人と過ごす
悩みを誰かに相談することも、ストレス解消につながります。
こんなときは病院へ!
なかなか寝つけない
就寝中に何度も目が覚める
いつもより寝すぎてしまう
朝だるくて起きられない
といった場合は、早めに病院で相談しましょう。
何科を受診すればいいの?
心療内科・精神科を受診してみましょう。
初診の際は、下記のことを医師に伝えられるように、まとめておくといいですよ。
今までできていたのに、できなくなったこと
特につらいと感じていること
仕事の内容・職場の人間関係
おかしいと感じる体の症状
メモに書いて持っていくのもおすすめです。
心療内科を探す
心が壊れてしまう前に相談しよう
過度のストレスは、うつ病や自律神経失調症を引き起こす恐れがあります。
頑張りすぎは禁物です。
心療内科や精神科に行くとなると、身構えてしまう方も多いかもしれません。
ですが、メンタルの不調で病院にかかることは、内科で風邪を相談することと大きな違いはありません。
一人で抱え込まずに、病院で相談してみましょう。
▼参考
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス うつ病
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2020-11-18
寒かったり、怖い思いをしたりしていないのに、手が震えるのは、ストレスや自律神経失調症が原因かもしれません。
ストレスで手が震えるときの対処法を、お医者さんにお聞きました。
そのほかに、手が震える病気についても解説しています。
ストレスで手が震えるのはなぜ?
無意識に手が震える本態性振戦が原因です。
精神的なストレスや緊張等により交感神経が過剰に興奮して機能が活性化されると、筋肉の収縮と弛緩の速度が合い、振動の幅が広がります。
結果として、震えとして感じるようになると考えられています。
ストレスで手が震えるときの対処法
深呼吸をして、気持ちを落ち着かせましょう。
手の震えに意識をもっていくと、余計に震えを助長しやすくなるので、できるだけ気にしないでください。
日常生活に悪影響が生じていなければ、そのまま様子を見るケースが多いです。
病院に行く目安
日常生活に支障をきたす場合は、医療機関を受診しましょう。
βブロッカー等の薬によって、治療を行う必要があります。
もしかして自律神経失調症かも
ストレスを溜め込むと、自律神経のバランスが崩れ、自律神経失調症が起こると考えられています。
自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが乱れると、身体に様々な不調をきたします。
また、体と心に様々な不調をもたらすにもかかわらず、病院で検査等を行っても異常が発見されないケースが多いです。
自律神経失調症の症状
精神的症状
不安感が強くなる
イライラする
憂鬱になりやすい
感情の起伏が大きい
落ち込みやすい
気力が沸かない
身体的症状
倦怠感
疲労感
めまい
耳鳴り
ほてり感
不眠
頭痛(片頭痛)
動悸
息苦しい
肩こり
手や足の痺れ
頻尿
下痢
便秘
微熱
自律神経失調症はどうすれば治る?
自分でできる対処法はありますか?
生活習慣を見直すなど、自分でできることを5つ紹介します。
1.食生活の改善
暴飲暴食を避け、栄養バランスがとれた食事を心掛けましょう。
2.ストレスを溜めない
独自のリフレッシュ法や気分転換法を見つけて実践してください。
3.睡眠時間の確保
夜更かしせず、十分な睡眠時間を取ることも大切です。体をゆっくり休めてください。
4.適度な運動
無理のない範囲で、毎日体を動かすようにしてください。(ウォーキング、ヨガ等)
5.医療機関を受診
医療機関を受診し、症状に合った薬や治療法、訓練法を提示してもらいましょう。
ほかにもある!手が震える3つの病気
手が震える場合
パーキンソン病
低血糖
甲状腺機能亢進症
を発症している可能性があります。
病気①パーキンソン病
筋肉の動きをスムーズにコントロールできなくなる神経疾患です。
脳の黒質という部分に異変が生じ、ドーパミン(脳内神経伝達物質)の分泌が減少することが原因と考えられています。
対処法
薬物療法を行い、困難な場合は手術療法が行われるケースがあります。
症状をコントロールし、生活の質を保つことを治療の基本としています。
ドーパミンの不足により起こるため、主な治療法はドーパミンを補うことです。
病気②低血糖
血糖値が正常範囲以下に下がった状態のことをいいます。
対処法
ブドウ糖や清涼飲料水等の糖分補給で、症状が改善するケースが多いです。
意識障害がみられる場合は、無理をして糖分を口に入れずに救急車を呼び、医療機関に搬送してください。
症状を繰り返す場合は、医療機関での検査をおすすめします。
病気③甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、手の震えが出現します。
バセドウ病、甲状腺炎、中毒性多結節性甲状腺腫等が原因のケースが多いと考えられています。
対処法
医療機関を受診し、薬物を用いた治療を行うケースが多いです。
甲状腺ホルモンの分泌量をコントロールすることで、症状の緩和を期待できます。
薬物療法で副作用がみられた場合は、手術療法が行われるケースもあります。
そのほかに考えられる病気
脳疾患、アルコール依存症、腎機能障害等によって、手の震えが出現するケースがあります。
病院に行いったほうがよい症状は?
手の震えに加え
精神不安定
筋肉がこわばる
汗を大量にかく
めまい
倦怠感
動悸等
といった症状が出た場合は、病院の受診をおすすめします。
手の震えが頻繁に起こり、生活に支障をきたす場合も病院に行きましょう。
受診するのは何科?
内科、脳神経内科、内分泌内科の受診をおすすめします。
内科・脳神経内科・を探す
▼参考
日本医師会 自律神経失調症
https://www.med.or.jp/chishiki/ziritsushinkei/005.html
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 自律神経失調症
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-082.html
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 手足のふるえ
https://www.japa.org/tips/kkj_0110/
MSDマニュアル家庭版 甲状腺機能亢進症
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/12-ホルモンと代謝の病気/甲状腺の病気/甲状腺機能亢進症
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2021-07-12
「体が小刻みに震えるのは、なぜ?」
体の震えは、問題のないケースもあり、震えの原因が病気であるとは限りません。
ただし、本態性振戦やパーキンソン病などの病気も考えられます。
「病院に行く目安」や、受診すべき「診療科」もあわせて紹介します。
体が小刻みに震えるのは「これって病気のせい?」
震えだけで病気を判断することはできません。
例えば、なんらかの病気によって脳に異常が起こっていると、体が小刻みに震えることがあります。
その他にも、自律神経の乱れによって生じるケースもあります。
「私は大丈夫?それとも病気?」どう見分けるか
以下に当てはまる方は、特に問題はないと考えられます。
ストレスや疲れ、眠気があるときの震え
不安や恐怖、緊張を感じたときの震え
寒さを感じるときの震え
これらは誰にでも起こる「生理的な震え」です。
ほかに体の異常が見られないのであれば、一旦様子を見てみましょう。
こんな症状は病気を疑いましょう
震えだけでなく、
汗を異常にかく
脈が速い
筋肉がこわばる
といった症状を伴うときは、病気を疑う必要があります。
病気が隠れていた場合、悪化すると歩行に支障が起こるケースもあります。
心当たりのある方は、放置せずに早めに医療機関を受診しましょう。
病院は何科?
体が小刻みに震えるときは、脳神経内科を受診してください。
病気が原因となっているケースも考えられるため、気になる場合は早めの受診をおすすめします。
医療機関を受診すると、診察を検査によって震えの原因を調べてもらえます。
病気が発見された場合は、進行を遅らせるための治療も行えます。
脳神経内科を探す
考えられる2つの病気
体が小刻みに震える病気として、
本態性振戦
パーキンソン病
などが挙げられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
※稀にその他疾患により、本能性振戦の症状と似た震えが出ることもあります。心配な場合はかかりつけ医、または内科などにご相談ください。
病気① 本態性振戦
体の小刻みに震える場合、本態性振戦の可能性も考えられます。
この病気は、震え以外に症状が出ることはありません。
本能性振戦は65歳以上の人に発症しやすい傾向があります。
また、加齢とともに症状が悪くなるケースも見られます。
発症には遺伝も関わっていると言われており、どの年齢でも発症する可能性はあります。
震えが出やすいタイミング
コップを持ち上げるとき
ボタンを押すなどの動作
重力に対して腕や手を維持する姿勢のとき
本態性振戦の原因
発症の原因はよくわかっていません。
なんらかの原因によって、小脳や視床、脳幹など、手足の動きに関係する脳の一部に異常が起こり、震えが生じると考えられています。
自分でできる対処法は?
十分な睡眠をとり、ストレスをため込まないようにしましょう。
リラックスすることで、症状が軽減しやすくなります。
ただし、根本的な改善を目指すのであれば、医療機関での治療が必要です。
病院は何科?
本態性振戦は、脳神経内科で治療を受けられます。
医療機関では、交感神経に働きかけるβブロッカーや抗てんかん薬、精神安定剤などの薬を使って治療します。
薬物療法でも改善しない場合は、震えに関与している脳のエリアに電気で刺激を与える“脳深部刺激療法”を行うこともあります。
脳神経内科を探す
病気② パーキンソン病
安静時に震えが生じる場合は、パーキンソン病が疑われます。
この病気になると、体の運動を上手く調節できなくなり、歩行にも支障をきたします。
50歳以上の人に発症することが多く、年齢の上昇とともに発症リスクが上昇していきます。
なお、発症には食事の内容や地域差もなく、特別な原因となるものはないといわれています。
症状の特徴
手を膝に置いているときの震え
歩くのが遅くなる
小刻みに歩くようになる
動きが遅くなる
便秘
気分の落ち込み
幻覚を見る
パーキンソン病の原因
脳から筋肉へと運動の調節を伝える“ドパミン”という神経細胞が減ることで発症します。
ただし、ドパミンが減る原因は、未だよく分かっていません。
近年では、神経細胞の中に異常なタンパク質である“αシヌクレイン”が蓄積して、ドパミンが減るのではないかと考えられています。
自分でできる対処法は?
パーキンソン病には、ご自身でできる対処法はありません。
薬を使った治療が必要であるため、早めに医療機関を受診してください。
悪化すると運動機能が大きく低下し、生活に支障が出るケースもあります。
病院は何科?
パーキンソン病は、脳神経内科で治療を受けられます。
パーキンソン病と診断した場合、症状や年齢に合わせて、ドパミンを補う薬を使用します。
薬での治療が難しい場合は、脳のドパミンに関係する部分に電気で刺激を与える“脳深部刺激療法”を行うことがあります。
また、運動機能を維持するために、治療と併せてリハビリテーションを行うことも大切です。
脳神経内科を探す
※稀にその他疾患により、本能性振戦の症状と似た震えが出ることもあります。心配な場合はかかりつけ医、または内科などにご相談ください。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
一般社団法人日本神経学会:ふるえ
難病情報センター:パーキンソン病(指定難病6)
オムロン株式会社:vol.51パーキンソン病と間違えられやすい『本能性振戦』