「大人のニキビが治らない…」
「皮膚科で治療すべき?」
治療方法や料金を医師が解説。
ご自身でできるお手軽なセルフケアもご紹介します。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
大人ニキビは皮膚科に行くべき?
ニキビ跡に残さず、早く治したい場合には、皮膚科での治療がおすすめです。
医療機関では医師がニキビの状態を見て、薬を処方します。
市販では販売されていない専用の処方薬もあります。ニキビ跡を残さないようにしたい場合は、早めに医療機関で治療を受けましょう。
こんなニキビは早めに皮膚科へ
- 顔全体にニキビがある
- 赤みがある
- 膿んでいる
- かゆみが強い
といった症状がある場合、内科疾患からくるニキビや感染症が考えられます。
早めに皮膚科へ行きましょう。
お医者さんには、なんて言えばいい?
皮膚科の医師には
- いつ頃からニキビが増えてきたか
- 何かニキビ対策を行なっているか
- 現在使用している薬と化粧品
- ニキビの箇所にメイクをしているかどうか
- メイクをしている場合は、どのようなものを使っているか
- ストレスや疲労はたまっていないか
を伝えましょう。
皮膚科で受ける治療法&料金
大人のニキビに対し、皮膚科では
- 塗り薬
- 飲み薬
- ケミカルピーリング・レーザーピーリング
などの治療を行います。
① 塗り薬による治療
ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑え、皮脂のつまりをなくす薬を塗ります。
皮脂のつまりをなくし、皮脂の排出をスムーズにするので、ニキビができにくくなります。
炎症を伴う赤いニキビや膿んでいるニキビなどを早く快方に向かわせます。
費用は?保険適用?
塗り薬による治療は保険適用になります。
診察・検査・治療費を合わせると、2,000〜3,000円ほどかかります。
② 飲み薬による治療(保険適用)
ビタミン剤や漢方薬を飲むことで、内側から皮脂分泌を整え、炎症を抑える治療方法です。
ビタミン剤は軽症から重症のニキビに使用します。
漢方薬は重度のニキビ治療に使われる場合が多いです。
費用は?保険適用?
ビタミン剤も漢方薬も保険適用です。
診察・検査・治療費を合わせると、2,000~4,000円ほどかかります。
② 飲み薬による治療(保険適用外)
「ロアキュタン」というイソトレチノイン(ビタミンA類似薬)が含まれる薬を飲む方法です。
ロアキュタンには炎症を抑えるという効果があります。副作用としては頭痛、目のかすみ、吐き気、嘔吐、脳卒中、下痢、筋力低下、重大な精神症状などがあります。
ロアキュタンは重度のニキビ治療に使われる場合が多いです。
妊娠中や授乳中は使用できませんが、重症など特効薬として使用される治療です。
費用は?保険適用?
ロアキュタンは保険適用外です。
診察・検査・治療費・薬1ヶ月分を合わせると、総額20,000~30,000円ほどかかります。
ただ、医療機関によって検査や薬の投薬の仕方、価格も異なるので、事前に確認しましょう。
③ ケミカルピーリング、レーザーピーリング
薬やレーザー(ロングパルスヤグレーザー、Qスイッチヤグレーザー 等)の力で、皮膚表面と皮膚内部を活性化して、早いニキビの快方を目的とする治療です。
ニキビを減らし、赤みの軽減、皮膚表面のおうとつを滑らかにする効果があります。
中程度~重度のニキビに対応しています。副作用として、かゆみやピリピリ感、ヒリヒリ感などがでることがあります。
費用は?保険適用?
ケミカルピーリング、レーザーピーリングは保険適用外です。
診察・検査・治療費を合わせると、総額(1回)で5,000~20,000円ほどかかります。
皮膚科を探す
早く治すために!日常で心がける3つのこと
大人のニキビを早く治すために、「洗顔」「睡眠」「ストレス対策」を徹底しましょう。
その① 洗顔
洗顔はニキビケアの基本です。
老化角質や余分な皮脂を洗い流すことで、ニキビをケアします。
洗顔方法
- 手のひらや泡立てネットで、石鹸を丁寧に泡立てる
- 皮膚をこすらないように、泡を押し当てて洗う
- ぬるま湯で丁寧に洗い流す
熱いお湯は控えてください。肌を乾燥させ、皮脂分泌を増やします。
肌をこするとニキビが悪化する可能性があります。また洗い残しはニキビの原因になります。
その② 睡眠
睡眠は皮膚のターンオーバーを活性化させ、皮膚の治癒力をあげます。
ニキビのケアには質の良い睡眠が必要です。
快眠する方法
- 入浴は眠る1~2時間前に入る
- 入浴後に体の熱が取れ、眠気を感じたらすぐに眠る
- 睡眠時間は1日6~8時間確保する
- カフェインは睡眠の5~6時間前までに摂る
- 食事は睡眠の2〜3時間前までに摂る
- 夜中の飲食は避ける
- 空腹で眠れないときは、温かいお茶や豆乳を飲む
その③ ストレス対策
ストレスは皮脂を酸化させ、ニキビの原因になります。
また、ターンオーバーの低下にもつながります。ストレスは溜めないようにしましょう。
ストレスを溜めない方法
- シャワーではなく、ぬるま湯にゆっくりとつかる
- たっぷりの睡眠時間を確保する(8時間程度)
- 趣味の時間を作る
- 休息日を作る
- 日中に軽い運動を行う
皮膚科を探す
合わせて読みたい
2020-12-09
ニキビに触ると痛い!
ニキビができただけでなく、痛みまであるのは困りものです。
お医者さんに「正しい対処法」を教えてもらいました。
「ニキビが痛くなる」原因は?
痛みの原因は、ニキビのできた毛穴から、周りの皮膚へ炎症が広がったためです。
できたばかりのニキビは、毛穴に皮脂が詰まった状態です。
やがて皮脂をエサとするアクネ菌が毛穴の周りで増殖し、皮膚のPhのバランスを崩し、皮膚に炎症を起こします。
さらに悪化すると、膿のあるニキビになり、潰れて膿が出ると皮膚がえぐれてニキビ跡になります。
ニキビを治すために「やっちゃいけないこと」
痛いニキビができたときは、
痛いニキビに触らない
メイク・スキンケア用品をニキビにつけない
ように注意してください。
触ると刺激によってさらに悪化します。
また、ほとんどのメイク用品やスキンケア用品が油分を含んでおり、ニキビを悪化させる原因になります。
ニキビを潰すと皮膚に痕が残るので、「自分でニキビを潰さない・触らない」が基本です。
市販薬の使用について
市販薬を使用することで、ニキビの症状を軽減することができます。
市販薬は何を選べばいい?
ニキビに効果のある市販薬には、主に次の成分が含まれています。
硫黄:皮膚表面で抗菌作用がある。また、毛穴に詰まった角質を溶かして、柔らかくする
レゾルシン:強い殺菌力がある
次の薬が、ニキビに効果のある薬として市販されています。
アンナザルベ・エース(成分:硫黄、レゾルシン、グリチルレチンなど)
クレアラシルS3(成分:硫黄、グリチルリチン酸、トコフェロール酢酸エステル、レゾルシンなど)
ニキビ薬ビフナイトE(成分:硫黄、イソプロピルメチルフェロール、グリチルリチン酸ジカリウムなど)
こんなニキビは皮膚科へ
ニキビの悪化を防ぐには、皮膚科での治療がおすすめです。
特に
ニキビに赤みがある
ニキビに痛みがある
ニキビに膿が溜まっている
複数のニキビができた
というは、皮膚科の診療を受けてください。
なるべく早期に炎症を鎮静化することで、色素沈着や凹凸を減らすことが期待できます。
※皮膚科では、現状でている炎症を鎮静化することは可能ですが、ニキビ跡を治すのは美容外科等で行うことになります。
皮膚科を探す
実は「ニキビじゃない」ケースも…
稗粒腫(はいりゅうしゅ)
白いブツブツです。
放置しても治りませんが、とくに悪化もしません。
脂肪の一種で、皮脂腺の毛穴や産毛の毛穴でできると考えられています。
治療法
小さな子どもにできた稗粒腫は、自然になくなることがあります。
大人の場合は、自然治癒しないため、治療が必要です。注射器で稗粒腫に穴を開けて内容物を押し出すと、その後、なくなります。
じんましん
赤みが出て、皮膚が盛り上がります。
強いかゆみ、違和感のある痛みを感じます。
発症から数時間~1日で症状は軽くなっていきます。アレルギーの原因となる食べ物を食べる、ストレス、発汗、日光などが原因となって発症します。
治療法
病院で抗ヒスタミン薬の投与をします。
繰り返し発症する場合は、原因を特定し、原因物質を避ける必要があります。
▼参考
日本皮膚科学会 Q &Aアテローム(粉瘤)
合わせて読みたい
2021-01-04
背中のニキビは、内臓の不調が原因…?
背中のニキビと内科疾患の関係について、お医者さんに聞きました。
考えられる病気や対策方法を載せているので、ぜひチェックしてください。
背中ニキビは内臓の不調サイン?
内臓の不調、疲れなどで、ホルモンバランスが乱れると、背中やデコルテ、顔などにニキビができやすくなります。
内臓由来の背中ニキビはどう治す?
症状が軽い場合、次の対処で快方に向かうことがあります。
① 甘いもの・油分の多い食事を控える
甘いものや油分の多い食事は、皮脂の分泌を促します。
これらをできるだけ控えることで、背中ニキビの改善、予防につながります。
②十分な睡眠をとる
睡眠不足はホルモンバランスを乱してしまいます。
そのため、背中ニキビの改善、予防には、十分な睡眠、休養が大切なのです。
③ ストレスを溜めない
ストレスを受けると、ニキビの原因となる男性ホルモンが過剰に分泌されてしまいます。
ニキビを悩みすぎるのもストレスの元です。上手にリフレッシュすることが、背中ニキビの改善、予防につながります。
これらの対処を行っても改善しない場合は、一度皮膚科で相談してみましょう。
皮膚科を探す
ひどい背中ニキビは病気の可能性も
いつまでも良くならない、減らない、ひどい背中ニキビは
糖尿病
クッシング病
など病気が原因の可能性があります。
詳しく解説していきますので、当てはまる症状がないかチェックしてみましょう。
病気① 糖尿病
2型糖尿病は、血糖値が慢性的に高くなる生活習慣病のひとつです。
血糖値の上昇は、次第に血管が傷つけてゆき、心筋梗塞や失明などを引き起こします。
背中ニキビができるのはなぜ?
糖尿病悪化の過程で、免疫が弱まりニキビなどの皮膚感染症を発症させると考えられています。
そのため、大人になってから背中のニキビが良くならない、減らないという場合は、糖尿病の可能性があります。
背中ニキビ以外の症状
のどの渇き
多尿
だるさ
体重減少 など
糖尿病が進むとニキビや皮膚疾患は、背中だけでなく、顔やその他の箇所でも起こり、なかなか良くなりません。
糖尿病の原因
糖尿病のなかでも2型糖尿病は、遺伝的要因や、長期的な乱れた食生活、肥満などが原因と考えられます。
40歳以上の高中年
いつも食べ過ぎてしまう
過度の飲酒を繰り返す
運動不足
肥満(過去に太っていた場合も) など
また、遺伝が原因で発症することがあり、親戚に糖尿病を患う人がいる場合は注意しましょう。
糖尿病を放置するとどうなる?
糖尿病を放っておくと、神経、網膜、腎臓、血管などに悪影響を及ぼします。
心臓病や脳卒中を引き起こす恐れもあり、最悪の場合、糖尿病が引き起こした病気によって死に至ります。
病気② クッシング病
体内で「副腎皮質ホルモン」を過剰に作ってしまう病気です。
背中ニキビができるのはなぜ?
副腎皮質ホルモンは、皮脂腺を発達させる作用があるため、毛深くなり、ニキビができやすくなります。
背中ニキビ以外の症状
皮膚が薄くなり、血管が透けて見える
皮下出血しやすくなる
また、足のだるさ、顔のほてり、不眠、お腹が出て太ってくるのに手足だけ細くなるといった体の変化などがあります。
白血球の働きが低下することで、免疫力が下がり、感染症になりやすくなります。その他、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病や、骨粗鬆症にもなりやすくなります。
クッシング病の原因
現在のところ、はっきりとした原因は不明です。
ステロイド薬の服用で引き起こされる可能性があります。
家族にクッシング病の人がいると発症することがあるため、遺伝も考えられています。また、女性に多い傾向があります。
クッシング病を放置するとどうなる?
クッシング病を放置しておくと、免疫低下であらゆる感染症の引き金となります。また、骨粗しょう症が進行し、圧迫骨折を引き起こす恐れがあります。
病院は何科に行くべき?
内臓が原因かもしれないニキビ、病院は何科にいけばいいですか?
まずは、皮膚科を受診しましょう。
食事改善や生活改善を行っても治らない場合は皮膚科に行きましょう。また、ほかに別の症状が出ているときも、早めに病院へ行きましょう。
診察時には、
いつ頃から症状が出ているのか
どんな体の不調があるか
も伝えるとよいでしょう。
皮膚科を探す
治らない背中のニキビは病院で相談を
病院に行くと、背中のニキビの原因を調べるため、改善までの流れがスムーズです。
自己判断で対処を続けるよりも、病院で原因を調べたほうが時間もお金も節約できることがあります。
ほかの病気が隠れている場合、早期発見にもつながります。
▼参考
難病情報センター クッシング病
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。