「お酒をやめると痩せる?」
「効果はいつからあらわれる?」
禁酒で体重が減るメカニズムを管理栄養士に聞きました。
禁酒ダイエットの効果を高める方法もあわせて解説します。
お酒をやめて痩せた方の体験談もご紹介します。
監修者
経歴
株式会社Luce代表/健康検定協会理事長、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、日本臨床栄養協会評議員、ダイエット指導士、ヨガ講師、サプリメント・ビタミンアドバイザーなど栄養・美容学の分野で活動をおこなっている。
お酒をやめると痩せるって本当?
日常的にお酒を多く飲んでいる人は、禁酒することで減量につながる可能性があります。
お酒をやめると痩せる理由として、
- 食べ過ぎがなくなる
- 肝機能がよくなる
- 腸内環境がよくなる
といったことが挙げられます。
禁酒で痩せる理由① 食べ過ぎを避けられる
お酒を飲んだ状態だと、満腹感を感じる「満腹中枢」が麻痺するため、ついつい食べ過ぎる傾向があります。
また、おつまみに唐揚げ・もつ煮・ポテトチップなど、味が濃いものやハイカロリーなものを食べがちです。
さらにアルコールも1gあたり7Kcal とカロリーがあり、お酒を飲んでいる分、摂取カロリーが増えます。
禁酒をすると満腹中枢が正常に働くだけでなく、「このくらいで食べるのは止めよう」と理性も働くため、食べ過ぎの防止につながります。
禁酒で痩せる理由② 肝機能がよくなる
禁酒すると、肝臓での体脂肪の代謝が円滑になるため、痩せやすくなります。
お酒を飲んでいる時はアルコールの代謝を優先されます。
アルコールは肝臓で代謝されますが、代謝しきれないアルコールは体脂肪としてため込まれるため、飲み過ぎは肥満の原因になります。
禁酒で痩せる理由③ 腸内環境がよくなる
禁酒すると腸内の悪玉菌が減り、腸内環境がよくなります。
腸内環境がよくなると、善玉菌から作り出される「短鎖脂肪酸※」が増えて、痩せやすい状態になります。
※短鎖脂肪酸…
善玉菌から作り出される物質。脂肪の吸収を抑える働きがあります。
禁酒してから痩せるまでの期間は?
個人差がありますが、1ヵ月程度継続すると、変化を感じ始めるでしょう。
もともと飲んでいたお酒の量が多い人ほど、早く痩せはじめます。
ただし、短期間では痩せないので、途中で諦めずに継続していくことが大切です。
禁酒ダイエットの効果を高めるためには?
禁酒に加え、
- しっかり水分を摂る
- 栄養バランスのよい食事を摂る
- 運動する
といった点を心がけると、よりダイエット効果を高めることができます。
その① しっかり水分を摂る
喉が渇くと、ついついお酒に手が伸びてしまうものです。
喉が渇く前にこまめに水分を補給すると、お酒への欲求も減らすことができます。
1日2リットル程度、こまめに水分補給しましょう。
水分補給の習慣がない人は、ペットボトルや水筒を持ち歩くと、水分摂取量を把握しやすいのでおすすめです。
その② 栄養バランスのよい食事を摂る
栄養バランスのよい食事をすることで、代謝が上がって痩せやすくなります。
- 主食(ご飯・パン・麺など)
- 主菜(肉・魚・豆腐など)
- 副菜(野菜)
上記3つが揃ったメニューを心がけてください。
ほどよい満腹感を感じる、腹八分目を意識しましょう。
毎日同じ食品にならないよう、いろいろなものを食べるとよりよいです。
その③ 運動する
お酒が飲めないストレスによって、食欲を増進させる「グレリン」というホルモンの分泌が増加する場合があります。
ストレスによる暴飲暴食を防ぐためにも、適度な運動で気分転換しましょう。
毎日20〜30分程度、ウォーキングやランニングなどの有酸素運動を行ってください。
外出した際に遠回りするなど、日常的に体を動かすのもおすすめです。
禁酒するとダイエット以外のメリットも!
- 睡眠の質が上がる
- むくみがなくなる
- 肌の調子が整う
などのメリットがあります。
その① 睡眠の質が上がる
禁酒すると、体と一緒に肝臓も休めることができ、睡眠の質が上がります。
特に寝る前の飲酒は、質の悪い睡眠の原因になります。
これは寝ている間も肝臓でアルコールの代謝が行われ、体が休まっていない状態になるためです。
その② むくみがなくなる
お酒を飲む人は、水の飲みすぎや塩分の多いおつまみによって、むくみが出やすくなります。
禁酒をすると、これらが原因となるむくみを防げます。
お酒を飲んだ後に水を飲みたくなるのは、摂取したアルコールの分解に水分が必要になるからです。
また、塩分は水分を体にため込みやすくするので、むくみの原因になります。
その③ 肌の調子が整う
お酒を控えると、腸内環境が整って栄養素の吸収が良くなり、代謝も上がります。
これにより便通が改善するとともに、肌のターンオーバーも正常になりやすいため、肌の調子もアップします。
体験談「お酒をやめたら痩せました!」
1か月くらい禁酒したら、2~3キロ減りました。顔のむくみも少し改善された気がします。(20代女性)
お酒をやめてから、半年ほどで8キロ痩せました。お酒以外の飲食も大幅に見直すことになり、より健康的になったと思います。(50代女性)
半年で5キロ痩せました。食事が美味しく感じるようになりました。(40代男性)
2か月で3キロ減って、肌がきれいになった。(30代男性)
実際にお酒をやめて痩せた人の体験談によると、減量するまでに、だいたい1~2か月ほどかかった人が多いようです。
ダイエット以外にも、「肌つやがよくなった」「よく眠れるようになった」「節約できた」などのメリットを感じたという声が多く寄せられました。
協力:ミルトーク
合わせて読みたい
2021-09-17
「肝臓が悪くなると太るって本当?」
「ぽっこりと出たお腹は肝臓病のサイン?」
肝臓に関する疑問に医師がお答えします。
注意すべき自覚症状や肝機能を回復させる方法、病院に行く目安も解説します。
肝臓が悪いと太るって本当?
肝臓が悪くなると太るのは本当です。
肝臓の働きが悪くなると、脂肪や血流の代謝が鈍くなります。
さらに、脂質の消化や吸収を促進する「リパーゼ」という消化酵素の働きも鈍くなるため、太りやすくなります。
また、肝硬変など、腹水(タンパクを含む体液が腹部に貯留)になるとお腹がぽっこりしたようになります。
肝臓が悪い時の自覚症状
休んでも体のだるさが取れない
疲れが溜まりやすくなる
肩がこる
頭が働かない
お腹に違和感がある
上記症状がある場合、肝機能の低下が疑われるため要注意です。
肝機能を回復する2つの対処法
肝機能を回復させるために
食生活を見直す
アルコール摂取を控える
といった対処をおすすめします。
対処法① 食生活を見直す
食生活を見直し、肝臓を休ませてください。
特に脂肪分・糖質の多い食事は肝臓の負担となるため、控えてください。
タンパク質・ビタミン・ミネラルを積極的に摂り、腹八分目を心がけてください。
間食する場合は、少量のドライフルーツ・ナッツ・和菓子がおすすめです。
<OK>タンパク質が多い食べ物
魚・赤身肉・卵
納豆・豆腐
<OK>ビタミンが多い食べ物
緑黄色野菜(ほうれん草・にんじん・ブロッコリー等)
キノコ類
<OK>ミネラルが多い食べ物
海藻類(わかめ・ひじき等)
キノコ類
<NG>脂肪分・糖質が多い食べ物
油分(揚げ物、炒め物など)
肉類の脂肪分
スナック菓子・洋菓子・パン
対処法② アルコール摂取を控える
できれば禁酒しましょう。
難しい場合は週に2~3日、休肝日を設けてください。
アルコールの代謝には肝臓が使われるため、肝臓が悪くなる原因になります。
飲酒が日常化している人は要注意です。
これはNG!肝臓に悪い食べ物
塩分・脂質が多い食べ物は肝臓に負担を与えやすいので、なるべく控えましょう。
特にウインナー・ベーコンといった肉加工品は、塩分・脂質が多く含まれているので、気をつけてください。
こんな症状は病院へ
疲れがとれない・だるい
風邪のような症状が続く
食欲がなくなる
お腹が張る
といった症状あるときは、一度医療機関を受診しましょう。
上記症状には肝臓の病気が疑われます。
肝炎、肝硬変、肝細胞がんが隠れていた場合、命に関わるケースもあるため、早急な治療が必要です。
◆肝炎・肝硬変…
肝臓の働きが低下する病気です。
むくみ、黄疸などが現れます。
放置すれば肝不全となり、黄疸や静脈瘤を形成して大量吐血などを起こします。
◆肝細胞がん…
肝臓に発生するがんです。
進行すると肝機能が悪くなり、むくみや黄疸が現れます。
放置すると次第にお腹が張っていき、出血して腹部に激痛が起こります。
病院は何科?
「肝臓が悪いかもしれない」と疑うときは、消化器内科を受診しましょう。
消化器内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
国立がん研究センターがん情報サービス 肝細胞がん
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2022-05-30
「お酒を飲まないのに肝臓の数値が高い…」
肝機能が低下する原因を、栄養士さんに聞いてみました。
数値が高い状態を放置すると、肝炎などの病気を発症するリスクがあります。
食生活での対策も解説しますので、肝機能を改善させたい方は必見です。
お酒飲まないのに肝臓の数値が高い…原因は?
お酒を飲まない人の場合、
肝炎ウイルスに感染している
乱れた食生活を送っている
薬・サプリメントをむやみに服用している
といった原因で肝臓の数値が高くなる場合があります。
お酒を飲まない人でも、食生活が乱れていると肝臓の数値が高くなりやすいです。
特に肥満傾向にある場合は、肝臓に脂肪がたまっている「脂肪肝」も疑われます。
また、薬・サプリメントには肝臓で代謝されるものもあります。
「自己判断で漢方薬の服用を続けている」などの行為は、肝臓を悪くする原因となります。
また、知らないうちに肝炎ウイルスに感染している疑いもあります。
下記の表をチェックしましょう。
肝炎ウイルスの種類
感染のキッカケ
A型肝炎
海外渡航時に生水・生ものを摂取した
B型肝炎
母子感染/性交渉による感染
C型肝炎
ウイルスに汚染された血液・血液製剤の使用/注射器の使い回し等
E型肝炎
豚・イノシシのレバーの生食
「AST/ALTが51以上」は、肝臓の病気の疑いあり
ASTとALTは、30U/L(ユニットパーリットル)以下が基準値で、
31~50 U/L→ 「要注意」
51 U/L以上 → 「脂肪肝の可能性大」
100 U/L以上 → 「肝炎の疑いあり」
と考えられています。
AST・ALTが100を超えてくる場合には中等度の異常があるため、さらに検査をする必要があります。
\再検査は「消化器内科」で相談を/
消化器内科を探す
肝臓の数値が高くなる「NGな食生活」
普段の食生活で
脂っこい食事が多い
糖質を食べすぎている
満腹まで食べる傾向がある
夜遅くまで活動し、寝る前に食べる習慣がある
ダイエットで「極端な食事制限」をしている
などに当てはまる人は、お酒を飲んでいないのに肝臓の数値が高くなるケースがあります。
NG食生活① 脂っこい食事が多い
魚よりも肉を食べる
揚げ物ばかり食べる
中華料理・洋食を好む
といった人は、肝臓内の中性脂肪が増加するため、数値が高くなりやすいです。
このまま食事内容を改善しないと、脂肪肝の状態が進み、代謝が下がります。
NG食生活② 糖質を食べすぎている
こんな人は「糖質の摂りすぎ」かも
ご飯をよくおかわりする
ご飯・パン・麺などの主食同士を組み合わせて食べることが多い
間食・ジュースが止められない
糖質を摂りすぎると、余分な糖が中性脂肪に変換されます。
この状態が長期にわたると、脂肪肝を発症しやすくなります。
NG食生活③ 満腹まで食べる傾向がある
腹八分を超えて食べる
別腹として何か食べる習慣がある
といった人は、中性脂肪が増えて脂肪肝に発展するため、数値が高くなりやすいです。
そのまま放置していると、非アルコール性肝炎になるだけでなく、肝硬変を発症してしまうリスクもあります。
NG食生活④ 夜遅くまで活動し、寝る前に食べる習慣がある
夕食の時間が遅い人
寝る前に「夜食」を食べる
といった人は、肝臓の数値が高くなりやすいです。
夜は肝臓の代謝能力が低下するため、肝臓の働きに負担をかけてしまいます。
夜遅くに食べる習慣は、メタボリックシンドロームの進行・動脈硬化・糖尿病・高血圧を助長します。
また、夜遅く寝る人は、睡眠不足によって「肝臓の代謝能力」が低下する傾向もあります。
NG食生活⑤ ダイエットで「過度の食事制限」をしている
極端な食事制限をしている
「○○だけダイエット」などで偏食している
といった食習慣がある人は、低栄養の状態に陥りやすいです。
栄養不足により脂肪が肝臓に留まると、中性脂肪が蓄積して「脂肪肝」の発症を招きます。
【脂肪肝を改善】肝臓の数値を下げる生活習慣とは?
肝臓の数値を下げるには、摂取するものを見直したり、生活リズムを整えたりすることが大切です。
まずは、
油っこい食べ物を控える
食物繊維をたくさんとる
自己判断でのサプリメント・薬の服用を控える
朝型の生活を送る
といった点を心がけましょう。
対処法① 油っこい食べ物を控える
揚げ物
炒めもの
肉の脂身
乳製品
などの食べすぎに注意しましょう。
「1日1回までにする」「食べない日を作る」という風に決めるとよいです。
脂っこいものは、中性脂肪の蓄積につながります。
どうしても食べたいときは、量を減らして食べるのもよいでしょう。
対処法② 食物繊維をたくさんとる
野菜
海藻
きのこ類
などの食物繊維を積極的に食べましょう。
野菜は1食で両手1杯程度(生)が理想です。
小鉢・サイドメニュー・トッピングにすると、食事に取り入れやすいでしょう。
特に海藻がおすすめです。
海藻に豊富に含まれている「水溶性食物繊維」は、糖や脂質の吸収をゆるやかにしてくれます。
対処法③ 自己判断でのサプリメント・薬の服用を控える
肝臓の数値が悪いときは、
サプリメント
市販薬(漢方薬など)
などを、自己判断で摂取しないようにしましょう。
サプリメント・薬は、肝臓の負担となることも多いです。
服用の際には、事前に医師・薬剤師に相談するようにしましょう。
対処法④ 朝型の生活を心がける
朝は早く起きる
夜更かしはやめる
毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる
といった生活を心がけましょう。
規則正しい生活(朝型の生活)は自律神経を安定させるため、肝臓によい影響を与えます。
肝臓の数値が高いときは「消化器内科」へ
AST/ALTの数値が31 IU/L以上のときは、一度消化器内科で診てもらうことをおすすめします。
数値が高い状態で放置していると、「肝炎」や「肝硬変」を引き起こすリスクがあります。
特に、
倦怠感・食欲不振が続いている
肌が黄色くなった
むくみがある
二日酔いがひどくなった
といった場合は、早急の受診をおすすめします。
肝臓からくる体の不調は、症状が悪化しているときに出やすいです。
進行した肝臓病は、健康を大きく損なうリスクがあるため、放置しないようにしましょう。
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▼参考
脂肪肝は内臓脂肪よりも深刻? 筋肉のインスリン抵抗性の原因に
厚生労働省 e-ヘルスネット 飲酒のガイドライン