「痩せない体質を改善したい!」
「どうすれば、痩せられるの?」
痩せにくい体質の人は、どうしたら痩せられるのか、栄養士さんに聞いてみました。
食事・運動の見直しなど、おすすめのダイエット方法も詳しく解説します。
監修者
株式会社Luce
栄養士・食育栄養インストラクター
神原 李奈先生
経歴
株式会社Luce・健康検定協会 所属
CA(客室乗務員)の仕事をきっかけに、健康と食の強い結びつきを実感し、食の世界に興味を持つ。大手料理教室の講師の経験を経て、栄養士を目指すことに。栄養士免許を取得後の現在は、現役CAとして世界中を飛び回りながら、栄養士として健康や食に関する情報を発信している。
“痩せない体質”は生まれつき?
生まれつき「肥満遺伝子」を持っている人は、痩せにくい傾向があります。
ただし痩せられないわけではないので、食事・運動の習慣を見直せば体重を落とすことは可能です。
肥満遺伝子は、エネルギー代謝に関わる遺伝子を指します。
肥満遺伝子を持っていると、基礎代謝量が低くかったり、脂肪が燃焼されにくかったりするため、痩せにくくなると考えられています。
しかし、たとえ肥満遺伝子を持っていたとしても、摂取量以上にカロリーを消費すれば痩せられます。
「ダイエットしても痩せない…」と感じる方は、消費カロリーを超えて食べていないかチェックしてみましょう。
あなたはどっちのタイプ?
なかなか痩せられない人には、
- 「糖質・脂質・たんぱく質」の摂り過ぎ
- むくみ太り
などのタイプが多いです。
タイプ① 「糖質・脂質・たんぱく質」の摂り過ぎ
一般的に“太っている”という方に多いのがこちらのタイプです。
必要以上の「糖質・脂質・たんぱく質」を摂ると、利用しきれずに体脂肪として蓄積されてしまいます。体脂肪率が高いのが特徴です。
タイプ①の方は「食生活を整えよう」
「和定食」のように主食・主菜・副菜の揃ったバランスの良い食事を心がけましょう。
また、ウォーキングなどの有酸素運動を習慣づけて、消費カロリーの比率を多くしましょう。
タイプ② むくみ太り
むくみ太りタイプの方は、体に余計な水分が溜まっている状態が考えられます。
塩分の摂り過ぎ・運動不足の人に多くみられます。
タイプ②の方は「塩分摂取を控えよう」≫
塩分摂取量を抑えることで、むくみ改善につながります。
例えば
- 味噌汁や煮物は出汁をとって味をつける
- 減塩調味料を使う
- 麺類・煮物の汁は残す
- 醤油・タレはかけずにつける
- お総菜・インスタント食品は控える
ように意識しましょう。
味付けは、昆布やカツオ節からとったり、食塩無添加のだしパックを使うのがおすすめです。
醤油などを使うときは、そのまま食べ物にまわしかけるよりも、小皿に少量を用意して、少しずつつけながら食べるとよいでしょう。
“痩せない体質の人”に共通する3つの傾向
痩せにくい体質の人の特徴としては、
- 運動不足
- 睡眠時間が短い
- 高エネルギーのものを食べている
などがあげられます。
特徴① 運動不足
日頃から運動をしない人は、筋肉が少ないため「基礎代謝量」も少なくなります。
基礎代謝量に見合わない量のカロリーを摂取してしまうと、痩せるのは難しいです。
特徴② 睡眠時間が短い
人間は睡眠不足になると「食欲増進ホルモン」の分泌が促進されて食べ過ぎてしまう傾向にあり、痩せにくくなります。
特徴③ 高エネルギーのものを食べている
食事量が少なくても、脂質・糖質が多く含まれる食べ物を多く食べてすぎていれば、消費エネルギー量よりも摂取エネルギー量が上回るため痩せません。
脂質の多い食べ物
|
- 揚げ物
- 肉の脂身
- マヨネーズ
- オイル系のドレッシング
- ケーキ
など
|
糖質の多い食べ物
|
- ケーキ
- 和菓子
- 菓子パン
- 白米
- 食パン
- パスタ
- うどん
など
|
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2022-02-17
“夜だけ炭水化物抜き”にどんな効果があるのか、栄養士さんに聞いてみました。
「なかなか痩せないのはなぜ?」
「太りやすくなるってホント?」
といった疑問にもお答えします。
ダイエットの食事で大切なポイントやおすすめの炭水化物なども要チェックです。
夜だけ炭水化物抜きって「痩せる?痩せない?」
夜に主食を抜くと、最初は痩せることが多いです。
しかし、主食以外の栄養バランスが偏っていると、その後の効果は出にくいです。
糖質はカットできていても、他の栄養素が不足、もしくは過多になっている可能性があります。
なかなか痩せられない方は、「毎日何を食べているのか」をきちんとチェックすることをおすすめいます。
炭水化物完全カットより、バランスや食べ方が大事
糖質を完全にカットしなくても、栄養バランスや食べる順番を工夫することで痩せやすくなります。
ダイエットをするときは、
副菜→主菜→主食の順で食べる
「タンパク質」を毎食取り入れる
減塩を意識する
夕食はできれば18~19時までに食べる
などを心がけましょう。
まずは食事の栄養バランスを整えることが大切です。
副菜・主菜・主食が揃った「和定食」をイメージすると、バランスのよい食事になりやすいでしょう。
① 副菜→主菜→主食の順で食べる
副菜→主菜→主食の順で食べると、満腹を感じやすくなるので食べ過ぎ予防につながります。
また、糖質や脂質が吸収されにくくなり、太りにくくなる効果が期待できます。
特に「海藻」を食事の最初に摂るのがおすすめです。
糖質や脂質、塩分の吸収が緩やかになるため、太りにくく、むくみにくくなります。
<一食分の目安量>
副菜…サラダであれば、両手たっぷり
主菜…たんぱく源は、片手分
主食…こぶしひとつ分以内
② 「タンパク質」を毎食取り入れる
タンパク質は「筋肉を作る材料」になります。
筋力量が増えると基礎代謝を上がって痩せやすくなるため、毎食取り入れることをおすすめします。
また、消化に時間がかかって腹持ちするので、毎食しっかりとると間食や次の食事量を抑えやすくなります。
③ 減塩を意識する
減塩するために、
味噌汁や煮物は出汁パック(塩分無添加)でとる
減塩タイプの調味料を使う
タレや醤油は少量つける
総菜・インスタント食品を控える
漬物、水産・畜産加工品を控える
などを意識しましょう。
減塩することでむくみにくくなるため、見た目もスッキリしやすいです。
減塩で物足りなさを感じる人は、香味野菜やスパイス、ハーブ、酸味をプラスするとよいでしょう。
▼水産加工品の例
スモークサーモン、しらす、干物、いくら など
▼畜産加工品の例
ベーコン、ハム など
④ 夕食はできれば18~19時までに食べる
遅い時間の夕食は、脂肪蓄積につながります。
可能であれば、夕食は18~19時までに食べましょう。
また、食事量を「腹八分目」に抑えることも大切です。
食べるなら…ご飯・パン・麺、どれがいい?
ダイエット中の炭水化物は、
玄米
雑穀米
ブランパン
などがおすすめです。
これらは白米や通常の小麦由来のパンよりも食物繊維含有量が多く、血糖値を上げにくいため、太りにくい炭水化物といえます。
ダイエット中に「おすすめしない炭水化物」
白米
食パン
菓子パン
麺類(パスタなど)
といった炭水化物は、ダイエット中は控えましょう。
これらは、食物繊維含有量が少なく血糖値を上げやすいため、糖が吸収されて太りやすいと考えられます。
ダイエット中におすすめの晩御飯メニュー
和食、洋食それぞれ副菜・主菜・主食ごとに、おすすめメニューを解説します。
和食のメニュー例
副菜:野菜のサラダ、海藻の酢の物、きのこの減塩味噌汁 など
主菜:鯖の塩焼き
主食:玄米、雑穀米
洋食のメニュー例
副菜:ミネストローネ(パスタ除く)、付け合わせの温野菜(根菜や芋類以外の野菜中心)など
主菜:鶏胸肉のハーブグリル
主食:ブランパン
晩御飯後にウォーキングするのもおすすめ
食事の1~2時間後に15~30分間程度「ウォーキング」すると、食べたものが消費されるため、太りにくくなるでしょう。
より効果を実感しやすくするためにも、ウォーキングするときは正しいフォームで歩きましょう。
ウォーキングの正しいフォーム
頭は揺れないようにして、姿勢を真っすぐ伸ばす
目線は20m先を真っすぐに見る
リラックスして肩の力は抜く
ひじを後ろに引くようにして腕を振る
前に出した足はひざを伸ばす
かかとからしっかりと地面を踏む
▼参考
厚生労働省 e-ヘルスネット 糖尿病を改善するための運動
タカハラ整形外科クリニック vol.43歩き方指導 ~個々にあった方法で~
“痩せやすい体づくり”の4つの習慣
痩せやすい体作りのために、
- 「1日3回」の食事を摂る
- 和定食のような「栄養バランスの良い食事」を摂る
- 食べる順番は「副菜→主菜→主食」
- 「30分以上の運動」を週2日以上行う
など4つ習慣を普段から心がけていきましょう。
習慣① 1日3回の食事を摂る
1日のスケジュールに食事の時間を組み込み、朝・昼・晩しっかり食べるようにしましょう。
1日3食の食事は
- 基礎代謝が上がり、痩せやすくなる
- 間食や食べ過ぎを予防できる
- 血糖値の上昇による脂肪蓄積を抑える
などのメリットがあります。
「つい食事を抜いてしまう」という人は、特に意識して取り組みましょう。
特に朝に欠食するケースが多いです。
朝食を食べることで体内リズムも整い、午前中から体温を上げて痩せやすい体づくりができます。
習慣② 和定食のような栄養バランスの良い食事を摂る
主食・主菜・副菜の揃った食事を意識して摂りましょう。
イメージは「和定食」です。
バランスの良い食事は、
- 血糖値の変動を軽減して、脂肪蓄積を抑える
- 間食や食べ過ぎを抑える
などのメリットがあります。
“偏った食事を摂っている人”“外食が多い人”などは、特に意識して取り組みましょう。
\“痩せる献立”の4ポイント/
- 糖質の過剰摂取を控える
- たんぱく質を毎食取り入れる
- 副菜は「野菜・きのこ・海藻・こんにゃく」を取り入れる
- 野菜は1日350g摂る
糖質の1食の摂取目安量は「こぶしひとつ分」です。
たんぱく質の1日の摂取目安量は「50g」です(成人女性の場合)。
\食材別の「たんぱく質含有量の目安」/
食材
|
たんぱく質含有量
|
鮭
|
22.3g
|
牛肉(モモ)
|
21.2g
|
木綿豆腐
|
7.0g
|
絹豆腐
|
5.3g
|
糸引き納豆
|
16.5g
|
※可食部100gあたり
やること③ 「副菜→主菜→主食」の順で食べる
バランスの良い食事を用意して「副菜→主菜→主食の順」で食べるようにしましょう。
特に、食事の最初に海藻類を食べるのがおすすめです。ひと口ずつゆっくりよく噛んで食べましょう。
“主食から食べる習慣のある人”“早食いの人”などは、特に意識して取り組みましょう。
食べる順番を意識することは、
- エネルギーの過剰摂取を抑える
- 血糖値の変動を軽減して、脂肪蓄積を抑える
- 脂質の吸収を抑える
などのメリットがあります。
また、海藻に含まれる「水溶性食物繊維」は、糖質や脂質の吸収を緩やかにしてくれるため、脂肪蓄積の予防につながります。
やること④ 「30分以上の運動」を週2日以上行う
有酸素運動をすると、20分を過ぎた頃から脂肪の燃焼が始まります。
そのため30分以上の運動を週2日以上行うと、脂肪の燃焼につながります。
できれば有酸素運動(体脂肪を燃焼)と筋トレ(基礎代謝アップ)を組み合わせましょう。
特に“運動習慣のない人”は、意識して取り組みましょう。
有酸素運動は手軽にできる「ウォーキング」がおすすめです。
筋トレは下半身の大きな筋肉を鍛えられる「スクワット」がおすすめです。
また、正しい姿勢で行うことであらゆる筋肉を使うことができ、効率よく進められます。
ウォーキングの正しいフォーム
- 肩はリラックスさせて、肩を落とす
- 目線はまっすぐ前を見る
- 頭のてっぺんから吊られている感覚を持つ
- 肘は軽く曲げて、大きめに振る
- 足はかかとから着地する
スクワットの正しいフォーム
- 脚を腰幅から肩幅に開いて立つ
- つま先は膝と同じ向きにする
- 手を胸の前で軽く組む
- 太ももと床が並行になるくらいまで、お尻を下げる
- お尻の力を入れたまま、ゆっくりと元の位置に戻す
1セット10回として、1日3セット行いましょう。