なぜ?最近、爪が割れる…
更年期だから?
それは、女性ホルモンの減少によって、皮膚の潤いや弾力性が失われているからかもしれません。
爪トラブルの適切な対処法・予防法をお医者さんが詳しく解説するので、美爪を保ちたい方は必読です。
監修者
経歴
札幌医科大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
関東労災病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜市立大学附属病院 形成外科
を経て
平成30年10月より小田原銀座クリニックに勤務
令和2年6月よりよこはま港南台形成クリニックに勤務
なぜ?更年期に爪が割れる原因
更年期に差し掛かってから爪がよく割れるようになりました…。なぜでしょうか?
更年期に爪が割れやすくなるのは、女性ホルモン(エストロゲン)の減少が原因です。
エストロゲンには、皮膚に潤いや弾力性を与える「コラーゲン」の産生を助ける働きがあります。
更年期に入りエストロゲンが減少すると、コラーゲンも減ってしまうため、皮膚が乾燥して、爪が割れやすくなります。
更年期にはこんな症状が出ることも
- ほてり(ホットフラッシュ)
- のぼせ
- 頭痛
- 全身倦怠(けんたい)感
- めまい
- 無力感
- 不安を感じやすくなる
- 憂鬱になりやすい
- 気分が落ち込む
上記は、女性ホルモンの減少で起こりやすい症状です。
症状に心当たりのある方は、更年期が始まった可能性が高くなります。
更年期に爪が割れやすい人の特徴
- よく汗をかいてかゆくなる(ホットフラッシュ)
- 皮膚がピリピリする
- かかとがひび割れる
上記の症状がある方は、女性ホルモンの減少により、爪の健康を維持する「コラーゲン」が減少している可能性が高いです。
爪が「長すぎる」「短すぎる」人も要注意!
爪は、キーボード操作や家事などで日常的に力がかかりやすい部位です。
- 「爪が長すぎる」 → 爪に力が直接かかる
- 「爪が短すぎる」 → 爪が変形しやすくなる
といった原因によって、爪が割れやすくなっているケースもあります。
特に爪が短すぎる場合、指の腹から爪を押し上げるような力が働いた際に、爪自体が力を支えられなくなります。
その結果、爪が中央部で陥没するように変形してしまい、爪が割れる原因になってしまいます。
爪が割れたときの応急処置方法は?
爪が割れた場合の応急処置方法は、割れている箇所や割れ方によって変わってきます。
▼「爪の割れ方が浅い」場合
「爪の割れ方が浅い」・「爪の縦線が目立つ」といった程度であれば、マニキュアのトップコートを塗って補修することも可能です。
ただし、皮膚に傷がある場合は、そこを避けて塗るように注意してください。
▼「爪の先が割れている」場合
爪の先であれば、割れている部分を爪切りで取り除きましょう。
深爪にならないように注意してください。
▼「爪が大きく割れている」場合
大きく割れてしまっている場合は、絆創膏や医療用のテープで裂け目の部分を保護しましょう。
皮膚科で治療が必要なケースも
- 爪に「数ミリ~十数ミリの縦の亀裂」がある
- 新しく伸びてくる爪も同じように割れる
- 痛みを伴う
といった場合は、皮膚科で治療を受けることをおすすめします。
上記症状には、「爪甲縦裂症(そうこうじゅうれつしょう)」という病気が疑われます。
病気が原因の場合、放置していてもなかなか治りません。
爪甲縦裂症には、皮膚科で処方される「ステロイド外用薬」が有効です。
ステロイド外用薬を使用することで、2〜3ヶ月後には爪の根元の部分から症状が改善されていきます。
※ステロイド外用薬で改善がみられない場合は、腫瘍ができている可能性もあるため、検査をすることになります。
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美爪を保つ!爪トラブルの予防方法
美しい爪を保つために、普段から以下のことを実践しましょう。
- 爪を保湿する
- ネイルカラーの頻度は控えめにする
- 爪を適切な長さに切る
- バランスの良い食事を心掛ける
予防法① 爪を保湿しよう
爪が乾燥すると、割れやすくなります。
ネイルオイルやハンドクリームで爪を保湿しましょう。
更年期は、女性ホルモンのバランスが乱れることで、爪が乾燥しやすくなります。
日頃から爪の保湿を意識しましょう。
予防法② ネイルカラーの頻度は控えめに
ネイルカラーをしている場合は、今よりも頻度を減らしましょう。
頻繁なネイルカラーの使用は、爪の上皮に過度な負担がかかり、爪が脆くなることにつながります。
また、ネイルを落とす場合は、「アセトン」が含まれていない除光液を使用しましょう。
アセトンも頻繁に使うことで、爪が脆くなる原因となります。
予防法③ 爪は適切な長さに切ろう
正しい爪の切り方
- 指の先端と同じくらいのところで爪を切る(爪の白い部分は少し残す)
- 手の爪は、「指の形に沿った形」に切る
- 足の爪は「角を少し丸めた四角い形」にする(スクエアカット)
- 爪の脇を深く切らないようにする(※)
(※)爪の脇を切りすぎると爪自体を支える部位が少なくなり、変形して脆くなることがあります。
爪が薄くて割れやすい方は、一般的なテコ型の爪切りではなく、「ニッパー型の爪切り」や「ヤスリ」を使用するのもおすすめです。
爪が長すぎたり短すぎたりすると、爪に力がかかって割れやすくなります。
予防法④ バランスの良い食事を心掛けよう
主食・主菜・副菜の揃った、バランスの良い食事を心がけましょう。
欠食せず、1日3食とるようにしてください。また、食事は毎回腹八分目に収めましょう。
バランスの良い食事を習慣づけると、ホルモンバランスが整い、健康な爪を作るのに必要な栄養素を補いやすくなります。
セルフケアで改善がみられないときは皮膚科へ!
「爪が割れやすくて困っている」という場合は、皮膚科で受診してみるとよいでしょう。
医師に相談すると、手や足の爪の割れ方を診たうえで、改善方法を提案してもらえます。
爪の病気や腫瘍が隠れているケースもあるため、なかなか治らないときは早めの受診をおすすめします。
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2018-10-24
更年期とは閉経前後の約10年を指します。
この時期は女性ホルモンの分泌が乱れ、さまざまな症状が現れます。
更年期では、女性ホルモンの一つでエストロゲンという言葉がよく出てきますよね。でも、エストロゲンについてちゃんとした知識を持っている人は少ないのではないでしょうか。
今回は、女性なら知っておきたい、とても大切なエストロゲンの働きについて見ていきましょう。
女性ホルモン「エストロゲン」が減ると…
エストロゲンの分泌が減少することで更年期障害になるといわれています。
エストロゲン(卵胞ホルモン)は、主に卵巣から分泌されます。
思春期から分泌が活発になり、女性らしい丸みのある体づくりや月経に関わり、妊娠・出産に適した20~30歳で安定してきます。
日本人の閉経年齢は平均で51歳といわれており、この前後5年間でエストロゲンの分泌は減少していきます。
エストロゲンの働き
自律神経を安定化させる
骨を強くする(骨の形成を促進し、血管の収縮を抑える)
女性らしい体をつくる
肌や髪にツヤを与える
乳腺の発達を促進
子宮に働きかけ、子宮内膜を厚くして、受精卵の着床を補助する
脳の働きを活性化
コレステロールの排出や分解を促進
不足ぎみのエストロゲンを補うには、食事や睡眠など生活習慣の改善が大事になります。
エストロゲン分泌を「整える方法」
エストロゲン分泌を整えるには
食べ物から摂取する
良質な睡眠をしっかりとる
体を温める
といった方法があります。
①食べ物から摂取する
食事には大豆由来食品(豆腐、納豆、みそ、おから、油揚げ等)をとり入れましょう。
これらの食品には大豆イソフラボンが含まれています。
大豆イソフラボンとエストロゲンは分子構造が似ているので、大豆イソフラボンはエストロゲンの働きを助け、足りないところを補助します。
一方、自然のエストロゲンを食品で補うのは基本的に困難なので、やはり基本となるのはバランスのとれた食生活です。
②良質な睡眠をしっかりとる
睡眠時間は最低でも6時間は確保してください。
女性ホルモンの分泌は微妙なバランスで保たれており、わずかのストレスでも分泌が乱れることもあります。
更年期においても睡眠不足は回避したほうがいいでしょう。
特にホルモン分泌が活性化する夜10時~深夜2時に深い睡眠をとると、女性ホルモンの分泌が活発になります。
③体を温める
湯船につかって体を温めると、ストレスが軽減され、女性ホルモンの分泌が整います。
さらに、ストレスが緩和されて自律神経がスムーズに働くと、臓器血流がよくなってエストロゲンの分泌も活発になります。
エストロゲンを補う「治療法」
エストロゲンを補う治療法には「ホルモン補充療法(HRT)」があります。
更年期症状、更年期障害の治療方法で、閉経前後に不足してきたエストロゲンを補充する治療です。
現在、日本では、飲み薬、塗り薬、貼り薬が保険適用で処方されています。
飲み薬:プレマリン、ジュリナなど
塗り薬:ディビゲルなど
貼り薬:エストラーナ、フェミエストなど
ホルモン補充療法を施すことで、ほてりや多汗などのホットフラッシュ、睡眠障害、関節痛等の緩和、抑うつ状態の改善、骨密度増加といった更年期障害の症状を軽減する効果があります。
また、ホルモン補充療法では、子宮体がんの発症を抑えるためにプロゲステロンという女性ホルモンを併用して用います。すると、月経のように、性器からの出血を周期的に起こします。
ホルモン補充療法には、副作用も
ホルモン補充療法を始めて1~2ヶ月ほどすると、次のような副作用が現れることがあります。
胸の張り感
おなかの張り感
おりものの増加
胃の不調
また、5年以上連続してエストロゲン・プロゲステロンを含むホルモン補充療法を行うと乳がんを発症する確率が高まるといわれています。
副作用やがんのリスクを医師に相談しながら、治療を受けるようにしましょう。
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2022-12-23
更年期障害ってどんな症状が出るの?
なりやすい人の特徴は?
更年期障害について、分かりやすくまとめました。
普段の生活で心がけたいポイントや、病院に行く目安も紹介します。
更年期障害とは
女性は40代頃から、卵巣から分泌される「女性ホルモン」が急激に減少します。
これに伴ってあらわれる、さまざまな心身の不調を総称して、更年期障害と呼びます。
更年期障害は何歳から始まる?
更年期とは、閉経前後の5年ずつを指します。
50歳前後での閉経が平均なので、ほとんどの女性が45~55歳で更年期を迎えます。
更年期障害はいつ終わる?
更年期障害が、いつ終わるかは断言できませんが、長くても10年ほどです。
更年期障害の症状をチェック
のぼせ・顔のほてり(ホットフラッシュ)
息切れ・動悸
頭痛
めまい
不安を感じやすい、イライラしやすい
など
上記の症状は、更年期障害の主な症状の一例です。
更年期の症状は多岐にわたるため、上記以外の症状があらわれる人もいます。
「更年期の症状が出やすい人」の特徴は?
以下、それぞれの項目ごとに2~3個ずつ当てはまる場合、更年期障害を発症しやすいと考えられています。
▼睡眠
24時以降に眠り、10時以降に起床する日が週に3日以上ある
低血圧で、朝起きるのがつらい
夜中に目が覚めやすい
寝る前にスマートフォンやパソコンを使っている
浅い眠りしかとれず、熟睡感がない
▼食事
1日3食はとらない(よく欠食する)
食事の時間がバラバラ
食事量を過度に制限するなど「極端なダイエット」をしている
暴飲暴食している
好き嫌いがあり「偏った食生活」になっている
▼性格
人に比べて神経質
何事にも真面目
完璧主義
仕事などを頑張りすぎてしまう
怒りっぽく、些細なことでもイライラしやすい
▼その他
疲れやストレスが多い生活を送っている
休みが少なく、心身ともにリラックスできる時間がない
体が冷えやすい
運動する習慣がない
産後うつ・月経前症候群が重かった
※これらの症状に当てはまらない場合でも、更年期障害を発症する可能性はあります。
今からできる!更年期の症状を和らげる「5つの対策」
1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事をとる
1日7〜8時間程度の質のよい睡眠をとる
週3~4日、有酸素運動を行う
入浴のときは「湯船に浸かる」
こまめにストレスを発散させる
更年期の症状を和らげるには、自律神経を整えておくことが大切です。
上記の点を意識して、生活習慣を見直していきましょう。
こんな症状があったら「婦人科」で相談を!
眠れないことで憂うつな気分が続く
強い不安感がある
食欲がなく、体重が減った
息切れ・動悸がする
めまい・吐き気がする
激しい頭痛がある
上記のような症状が出ている方は、一度「婦人科」に相談してみましょう。
放置していると、症状が悪化して仕事に行けなくなるなど、日常生活に支障をきたす恐れがあります。
また、更年期症状の影響により不眠が続くと、睡眠に対するこだわりが強くなり、眠れないことへの恐怖心から症状が慢性化する恐れもあります。
どんな検査を受けるの?
更年期症状で病院を受診した場合は、一般的に、
問診
身長・体重・血圧の測定
検査(血液・子宮・卵巣・甲状腺・心臓等の検査)
を行い、患者さんの症状に合わせて治療が選択されます。
※検査内容等は、受診する医療機関によって異なることがあります。
どんな治療法があるの?
治療法としては、エストロゲン・プロゲステロンなどの女性ホルモンを飲み薬・塗り薬・貼り薬で補う「ホルモン補充療法(HRT)」や、「漢方薬」を使った治療法があります。
うつ症状が強く表れているときは、抗うつ薬や抗不安剤などの「向精神薬」が処方されます。
※飲み合わせの関係でホルモン補充療法や他の薬が使いにくい場合もあります。治療中の病気や飲んでいる薬は医師に伝えたうえで、薬を処方してもらいましょう。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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