ものもらいを何度も繰り返す…。
糖尿病の可能性があるって聞いたけど、本当?
糖尿病によって「ものもらいが繰り返される」ことはあるのか、お医者さんに聞きました。
原因が糖尿病だった場合、放置していると失明のリスクもあります。
要注意の症状をチェックして、当てはまる人は早目に医療機関に相談しましょう。
繰り返すものもらいは「糖尿病」が原因って本当?
繰り返すものもらいは「糖尿病」の恐れがあると聞きました…。本当でしょうか?
はい、繰り返すものもらいの中には、糖尿病が原因となっているケースもあります。
※糖尿病以外の原因により、ものもらいが繰り返されている可能性もあります。
糖尿病は、血流障害・神経障害を引き起こし、白血球などの働きを低下させます。
すると、免疫機能が低下し、細菌やウイルスと戦う力が弱まるので、ものもらいや風邪などにかかりやすくなります。
特に中高年以降の人は、注意が必要です。
また、すでに糖尿病になっている人がものもらいを繰り返す場合は、糖尿病の悪化も考えられます。
ものもらい以外にもこんな症状があったら要注意
- 倦怠感が取れない
- 傷が治りにくい
- 風邪などの感染症にかかることが増えた
- 足の裏など皮膚の感覚が鈍くなった
- チクチクさす痛みを感じることが多い
- 皮膚が乾燥する
- 頻尿
- 性機能低下
- 目のかすみ・視力低下
- 喉が頻繁に渇く
- 空腹感が強い
- 急激な体重減少
上記に当てはまる項目が多い人は、一度医療機関に相談しましょう。
特に、「暑い季節でもないのに頻繁に水分を欲する」「朝起きた時に足の裏の感覚を感じにくい」「風邪などを何度も繰り返す」などは、糖尿病が進行している可能性が高いです。
肥満体型の人や、食事量・間食が多い人は、リスクが高くなります。
糖尿病かも…と思ったら、放置せず「内科」へ
先に挙げた糖尿病の症状に心当たりがある場合は、「内科」に相談しましょう。
糖尿病は、進行すると身体中の血管が硬くなる「動脈硬化」を起こします。
すると、心筋梗塞・脳梗塞・脳出血などの深刻な病気を起こしやすくなります。
目の合併症も多く、角膜障害・白内障・血管新生緑内障・糖尿病網膜症など、多くの病気の原因になります。
悪化した場合は、失明につながります。
失明というと全く目が見えなくなる状態を想像しがちですが、この場合は社会的失明と言い、「運転ができない」「外で看板が見えない」「一人で出歩くことが困難になる」など、徐々に症状が進行します。
内科を探す
眼の症状のみの場合は「眼科」へ
糖尿病が疑われる症状がなく、糖尿病になりやすい生活習慣にも当てはまらない場合は、「眼科」で受診してください。
ものもらいは軽傷であれば数日で快方に向かいます。
しかし、「2日程度してもかゆみが強い」「腫れが大きくなっている」という場合は、放置せずに眼科に相談しましょう。
ものもらいを放置していると、膿が溜まって大きくなり、破裂してしまう場合もあります。
また、その傷口から細菌感染を起こしやすくなり、何度も同じような場所にものもらいができたり、傷あとが残ったりします。
眼科を探す
自分では、どんな対策ができる?
糖尿病が疑われる場合は、まず医療機関を受診して、医師に相談することが重要です。
その上で、普段の生活では以下のことを意識しましょう。
- 週に3~5回程度「有酸素運動」を行う
- 1日3食、栄養バランスの取れた食事を取る
いずれも、血糖値が上がり過ぎないようにするために重要です。
対策① 週に3~5回程度「有酸素運動」を行う
週に3~5回程度(できれば毎日)、ジョギングなどの「有酸素運動」を行いましょう。
運動が習慣化することで、高血糖の状態を改善し、糖尿病の進行を止めることが期待できます。
有酸素運動は、「話すことができる」程度の負荷で行われる運動です。
1回20〜30分以上、同じ運動を続けましょう。
※病院を受診し、医師から運動の強度や頻度について指導があった場合は、そちらに従ってください。
対策② 1日3食、栄養バランスの取れた食事を取る
1日3食、栄養バランスの取れた食事をとりましょう。
「和定食」をイメージして、主菜・副菜・主食を揃えるようにすると、バランスを取りやすいです。
食事量も見直し、高血糖の原因となる糖質や炭水化物の取りすぎに注意しましょう。
間食を多くとっている場合は、そちらも見直してください。
夜はそのまま眠るだけなので、特に夕食は炭水化物・糖分を減らしましょう。
食べる順番は、副菜(野菜・海藻など) → 主菜(肉・魚など) → 主食(ご飯・パン・麺類など)の順番で食べるようにしてください。
この順番で食べることで、血糖値の急激な上昇を抑えられます。
規則正しい生活習慣を心がけよう
- 起床時間・就寝時間を毎日同じにする
- 食事は決まった時間に3食とる
など、規則正しい生活を意識しましょう。
規則正しい生活を続けることで、血糖値の振れ幅が少なくなり、糖尿病悪化の予防につながります。
合わせて読みたい
2020-06-11
まぶたの上下が腫れたり、痛みがでたりするものもらい(麦粒腫)。
できることならセルフケアで快方に向かわせたいと思う方も多いと思います。
そこでこの記事では、ものもらいを早く治したい方に向けて、ご自身で実践できる治し方を医師が解説しています。
ものもらいを早く治す方法
治し方
ものもらいは、まつげの生え際やまぶたの裏に炎症が起きているのが原因です。
市販薬を使用するときは、抗菌剤 の入っているものを使用します。
(スルファメトキサゾールナトリウムという抗菌剤を配合したロート抗菌目薬、サンテ抗菌新目薬など)
また、目の周りを清潔にして強い力を加えないようにします。
メイク用品も使用を避けると肌への刺激が少なくなり、メイクの成分がものもらいを刺激しないので早く良くなるでしょう。
ホウ酸で目を洗うのは避けて
昔はホウ酸での目の洗浄を行ったようですが、 これは何度も行うことで油分など目に必要な成分が表面から流されてしまうので避けた方が良いです。
以前は、抗生剤がなかった頃にホウ酸で洗浄していたようですが、今は良い薬がありますのでそちらを使用しましょう。
冷やす?温める?正解はどっち?
痛みを抑えたい場合は、冷やせば一時的な痛みの緩和はできるでしょう。
冷やしても痛みがおさまらない場合、マイボーム腺(まぶたのふちにあり、目の乾燥を防ぐために脂質を分泌する腺)がたびたび詰まるようなら、早めに眼科を受診してください。
ものもらいの初期症状は温める
ものもらいになる前にまつ毛のキワにあるマイボーム腺に油分が溜まり、ものもらいになりそうだなという時に、その部分をホットタオルなどで温めると溜まった余分な皮脂のつまりが解消され、ものもらいを避けられることがあります。
すでに痛みや炎症がある時に温めるのは避けましょう。
ものもらいが痛いときは?
先述したように、痛みを抑えたい場合は冷やすのも良いでしょう。
市販のロキソニンやイブなどの鎮痛剤も使用できます。
しかし、あまりに痛みがあるときは炎症が強い・膿んでいる可能性もあるので、眼科を受診して早めに患部の対処をしましょう。
ものもらいができたときにコンタクトはしても良い?
コンタクトレンズの使用は避けましょう。
乾燥や接触により目元が疲れてしまい、ものもらいの炎症が長引く原因になります。
おへそに塩を入れると治るは迷信!?
おへそに塩を入れてもものもらいは良くなりません。
一種の迷信だと思われます。
雑菌が入り炎症を起こす原因にもなるのでやめましょう。
どれくらいの期間で治る?
通常2~3週間程度で徐々に良くなるでしょう。
その間に、睡眠不足やアルコール・タバコの摂取などが多いと刺激によって炎症が悪化し、長引く可能性があります。
アルコールは血管を拡張して炎症を悪化させ、タバコは細胞の修復や炎症を緩和するために必要なビタミンCを消耗させてしまいます。
早く治したい場合は、病院に行くべき?
眼科を受診すれば確実な診断ができ、治療法も分かります。
病院で適切な処置を受ければ、ものもらいの早期改善が期待できると言えるでしょう。
一般的に点眼薬(クラビット点眼薬など)が処方されます。
病院での治療は痛い?
点眼薬や軟膏で改善されない場合、まぶたを切開して膿を出すことがあります。
麻酔をかけるので痛みはありません。
治療費
病院での治療は、点眼薬だけや点眼薬に加え眼軟膏、内服のための抗生物質や抗炎症薬を併用する場合など様々です。
薬代は種類や数によって異なりますが、500円〜2000円ほどです。
切開手術は、おおよそ2~3000円で受けることができます。
医療機関によって異なりますが、検査費やガーゼ、保護テープ、薬など別途かかることがあります。
ものもらいは自然治癒する?
薬を使用するより時間がかかっても、ものもらいは基本的に自然治癒します。
しかし、痛みや腫れが強い場合は、別の原因がある場合や悪化すると切開手術が必要な場合もあります。
早めに眼科を受診し、的確な治療をすることをお勧めします。
まとめ
ものもらいならば自然治癒しますが、眼科で医師の確実な診断により早く治癒します。
自己判断で悪化させないためにも眼科を受診しましょう。
あなたのスマホがお薬手帳に
合わせて読みたい
2021-03-30
痛み、しびれ、むくみが生じたら糖尿病のサインかも!
糖尿病によって足にあらわれる、初期症状を解説します。
そのまま放置すると、重い合併症を引き起こすリスクがあります。
症状に心当たりないかチェックしましょう。
糖尿病の「足にあらわれる初期症状」
痛み、しびれ、むくみが生じる
ほてりやすくなる
足が冷える
足の感覚が鈍い
これらの症状は、糖尿病のせいで血流が悪くなり、神経の細胞に十分な「酸素」や「栄養」が行き届かなくなることで起こります
足以外にも、こんな症状はないですか?
体が疲れやすくなる
異常にのどが渇く
皮膚の乾燥、痒み
頻尿
感染症にかかりやすい
傷が治りにくい
そもそも「糖尿病」ってどんな病気?
「糖尿病」は、血液中の糖の量が高い状態が続いてしまう病気です。
健康であれば、膵臓から出る“インスリン”や“グルカゴン”というホルモンが働き、糖の量を調節しています。しかし、糖尿病になると血糖値をコントロールできなくなるため、血糖が高い状態が続いてしまいます。
高血糖は血流の悪化や血管にダメージ与える原因となるため、体にさまざまな不調を引き起こします。
「糖尿病かも…」どう対処すればいい?
糖尿病を疑う場合は、まず医療機関を受診しましょう。
特に、
家族・親族に糖尿病の人がいる
太っている
食生活が乱れている
よく暴飲暴食する
運動不足
などに心当たりのある方は、糖尿病の発症リスクが高いため要注意です。
放置するとどんどん悪化していくため、早めの受診によって病気の進行を防ぎましょう。
病院は何科?
糖尿病を疑う場合は、まず内科を受診してください。
内科を探す
病院ではどんな検査を受けるの?
血液検査(血糖値・過去1〜2ヶ月時の血糖の状態を調べる)
経口ブドウ糖負荷試験(食事摂取後の、血糖上昇・下降具合を調べる)
眼底・腎機能・腱反射・動脈硬化の各検査(糖尿病の合併症を判断する)
どんな治療をするの?
2型糖尿病の場合、
生活習慣の指導
インスリン以外の薬物治療
インスリン治療
を行います。
放置はNG!糖尿病が悪化すると…
糖尿病をそのまま放置すると、全身のさまざまな臓器に障害が起こり、命に関わります。
また、ダメージを受けた腎機能を補うために、人工透析を生涯続けることになるケースもあります。
糖尿病は、放置している間にもどんどん進行していきます。
「初期症状に心当たりがある…」という方は、早めに医療機関を受診しましょう。
生活習慣の見直し、血糖値のコントロールを正しく行うことで、重い合併症を引き起こすリスクを下げられます。
内科を探す
糖尿病で起こる重い合併症
糖尿病が悪化すると
足の壊死
失明
脳卒中、心筋梗塞
などの重い症状を引き起こす恐れがあります。
①足の壊死
足の壊死は、糖尿病による神経障害、治癒力・抵抗力の低下によって引き起こされます。
神経障害で足先の感覚が鈍くなると、怪我や火傷などの発見が遅くなります。
糖尿病の方は傷が化膿しやすいため、傷を放置すると足の壊死が起こります。
足が壊死した場合、切断を避けることはできません。
壊死を防ぐには、足にできた傷を根気よく手当てする必要があります。
②失明
高血糖によって網膜の血管がダメージを受け続けると、失明する場合もあります。
糖尿病に合併して起こる目の障害は「糖尿病網膜症」と呼ばれています。
③脳卒中・心筋梗塞
高血糖による動脈硬化は、脳卒中や心筋梗塞の原因となります。
動脈硬化とは、慢性的なダメージによって血管が硬くなっている状態です。
血管の通り道が狭くなったり、血栓ができたりすることで、脳卒中・心筋梗塞を引き起こします。
いずれも命に関わる病気であるため、
動悸
胸の痛み
体の片側のしびれ
などの症状には要注意です。
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
糖尿病ネットワーク
日本臨床内科医会