足に湿疹ができたけど、これってストレスのせい?
「足に湿疹が出る」ときに、ストレスが要因になることはあるのか、お医者さんに聞いてみました。
湿疹を予防するセルフケアも紹介するので、皮膚のかゆみや湿疹を治したい人は必読です。
監修者
経歴
2010年 東京医科歯科大学卒業
その後、皮膚科医として大学病院、一般病院、クリニックで勤務。2022年7月よりCROの安全性情報センターのMDとして勤務。
足の湿疹の原因は「ストレス」?
足に湿疹ができてしまいました…。
ストレスで湿疹が出ることがあると聞きましたが本当でしょうか?
はい、ストレスによって、足に湿疹が出ることがあります。
ストレスがたまると肌のバリア機能や免疫機能が低下し、外部からの刺激に弱くなるため、身体に湿疹が出やすくなります。
特に、皮脂の分泌が少ない足のすねや太ももなどは、乾燥によって肌のバリア機能が低下し、湿疹が出やすいと考えられます。
ストッキングなどの繊維が刺激となり、足に湿疹があらわれるケースもあります。
また、大量に汗をかくと、汗かぶれが生じて足に湿疹が出る可能性もあります。
ストレスの影響で湿疹ができやすい人
- アレルギーを持っている
- 汗をよくかく
- よく眠れていない
- 疲れやすい
- 最近生活の環境が変化した
- 感情の変化が激しい
- 不安を抱えることが多い
- 緊張しやすい
- 仕事がうまくいっていない
- 人間関係の悩みが多い
上記に当てはまる人は、ストレスの影響による湿疹が出やすいと考えられます。
ストレス性の湿疹は自然に治る?
一時的なストレスが原因であれば、湿疹は自然治癒します。
ただし、常にストレスがかかっている場合は、症状が悪化して湿疹が他の部位にまで広がるおそれがあります。
また、ストレスは湿疹以外にも、不眠・疲労感・うつ・集中力の低下などを招くため、日常生活に支障をきたすでしょう。
大切なのはセルフケアを継続的に行い、ストレスをためない生活を送ることです。
湿疹を早く治すためには、まずしっかりと保湿しよう
肌が乾燥しないように、こまめに保湿クリームを塗りましょう。
特に、入浴後に体を拭いたら、できるだけ早めに保湿してください。
保湿ケアは肌のバリア機能をサポートし、湿疹の悪化を防ぐことができます。
湿疹を予防!ストレスを解消する4つのポイント
- 悩みや不安を誰かに相談する
- 1日20分程度の有酸素運動をする
- 1日7時間程度の睡眠をとる
- 趣味の時間を作る
保湿ケアだけでは根本的な解決にはならないので、ストレスを解消するセルフケアも同時に行いましょう。
① 悩みや不安を誰かに相談する
ストレスがたまっていると感じたら、悩みや不安を信頼できる人に相談しましょう。
話すだけでも、ストレスが緩和される場合があります。
相談相手は家族や友人がいいですが、身近に相手がいなければ、カウンセラーに相談するのもおすすめです。
② 1日20分程度の有酸素運動をする
ウォーキング・ランニング・サイクリングなどの有酸素運動を、1日20分程度行いましょう。
軽く汗をかく程度で構いません。
運動をして体を動かすと、ストレス解消につながります。
日光を浴びると精神を安定させる「セロトニン」というホルモンが分泌されるので、日中に運動するとよいでしょう。
③ 1日7時間程度の睡眠をとる
1日7時間は睡眠時間を確保し、規則正しい生活を送りましょう。
休みの日もなるべく同じ時間に起床・就寝してください。
睡眠不足は生活リズムの乱れを招きます。
「寝る前のカフェイン摂取」や「スマホいじり」は、睡眠の質を下げる原因になるので注意しましょう。
④ 趣味の時間を作る
趣味に没頭することは、ストレス解消に効果的です。
映画鑑賞・音楽鑑賞・スポーツなど、趣味に打ち込む時間を作りましょう。
趣味が見つからない人は、興味のあるものにチャレンジしてみるといいかもしれません。
セルフケアでよくならないときは病院へ
セルフケアで改善できない場合は、皮膚科で治療を受けましょう。
ストレス性湿疹の治療は、皮膚の炎症やかゆみを防ぐ薬を処方する薬物療法が一般的です。
また、紫外線を照射する光線療法が行われるケースもあります。
アトピー性皮膚炎の可能性も
足の湿疹は、アトピー性皮膚炎が原因となっている可能性もあります。
アトピー性皮膚炎の場合、身体の免疫機能も低下するので、気管支喘息やアレルギー性鼻炎などの病気につながるおそれがあります。
また、放置すると、さらに症状が悪化し続けます。
アトピー性皮膚炎が疑われる場合には、早急に皮膚科で治療を受けましょう。
皮膚科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2020-11-19
「足に赤い斑点ができた…」
「かゆくないけど、これって大丈夫なの?」
自然に治る?病院に行くべき?
足にできたかゆくない赤い斑点について、お医者さんに聞きました。
対処法と病院に行く目安も解説します。
かゆくない足の赤い斑点の正体は?
足にかゆみがない赤い斑点が出ている場合、
薬疹
IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
の可能性が高いです。
原因① 薬疹
薬疹とは
薬に対するアレルギー反応
薬の副作用
長期間の摂取による薬剤の蓄積
少量の薬剤でも過剰状態(不耐性)
本来の薬理作用と異なる効果(特異体質)
がでている状態です。
薬を使用して数分以内に症状があらわれるケースもあれば、数時間・数日・数週間後にあらわれるケースもあります。
薬疹を起こしやすい薬を使用している、薬に対して反応するような細胞や抗体がある人などがなりやすいと考えられます。
薬疹の「斑点の特徴」
赤い部分が盛り上がっていることが多いです。
皮膚が紫色・青色・灰色に変色することもあります。
赤い斑点以外の症状
倦怠感がある。
痛みがある。
口の中がただれる
熱が出る。
リンパ節が腫れる。
肝臓、腎臓、骨髄などの他臓器障害がある。
血圧が低下する。
ショックを起こす。
早く治すためにできることは?
原因となる薬を特定する必要があるため、医療機関を受診しましょう。
その際、おくすり手帳など使用している薬がわかるものを持っていくと良いです。
使用している市販薬があれば、あわせて伝えてください。
原因② IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
血管炎の一種で、頻度が高い病気です。
皮膚の細い血管に障害がおこることで、斑点が生じます。
細菌やウイルスの感染、薬剤、妊娠、悪性腫瘍などが誘因と考えられています。
3~15歳の子どもがなりやすいですが、どの年齢でもなる可能性があります
IgA血管炎斑点の「斑点の特徴」
膝から足首に、あざのような赤い斑点ができることが多いです。
斑点を触ると、軽いしこりのようなものがある場合があります。
※乳児の場合は顔、小児の場合はおしり・ふともも・背中・腕にできることが多いです。
赤い斑点以外の症状
血疱(血液を含んだ水ぶくれ)がある。
直径1cm以内の皮膚のもりあがり(丘疹)がある。
ただれている。
潰瘍がある。
微熱がある。
倦怠感がある。
関節が痛い。
腹痛や吐き気がある。
タール状の黒い便や下痢をしている。
最初の症状から数日・数週間後に、皮膚に新しい斑点や盛り上がりができることもあります。
早く治すためにできることは?
IgA血管炎が疑われる場合は、自己判断せず、早急に皮膚科を受診しましょう。
上記したような症状は通常は4週間ぐらいで治まりますが、数週間後に再発することが多いです。再発を予防するためにも、一度病院で診てもらうことをおすすめします。
皮膚科を探す
受診するのは何科?
まずは、皮膚科を受診しましょう。
特に、皮膚のもりあがりやしこりがある、皮膚症状以外にも症状がみられる場合は、一度病院に行きましょう。
皮膚科を探す
▼参考
皮膚病治療情報・皮膚科教科書 あたらしい皮膚科学 第3版 薬疹
MSDマニュアル家庭版 薬疹
公益社団法人 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 血管炎・紫斑病
MSDマニュアル家庭版 IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
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2021-03-16
足の甲に痒いブツブツができた…。病院に行くべき?
足の甲にできる湿疹の原因を、お医者さんに聞きました。
症状を悪化させないよう、ご自身の症状を確認しましょう。
足の甲に痒いブツブツがでた…これは一体何?
「虫刺され」「アレルギー」「何らかの病気」の症状として、痒いブツブツが生じていると考えられます。
このブツブツ、大丈夫なの…?
足の甲の湿疹には、数日経てば自然になくなるものもあります。
ブツブツを発症して間もない場合には、一旦様子を見てもいいでしょう。
ただし、「1週間程度経ってもかゆみが治まらない」「他の部位にもあらわれた」ときは皮膚科へ行きましょう。
痒い!どうやったら治まる?
保冷剤にタオルを巻き、かゆい部分を冷やしましょう。
かゆみが強い場合、足を温めるのは避けてください。
よくある3つの原因
足の甲にできる湿疹の「よくある原因」として
虫刺され
接触性皮膚炎
水虫(体部白癬)
が挙げられます。
原因① 虫刺され
赤く盛り上がったり、強いかゆみが出たりします。
ダニや蚊などの虫に刺されることが原因です。
森や林に行った人、ペットを飼っている人などに多く見られます。
自分でできる対処法は?
かゆみが辛いときは、市販のかゆみ止めを使用しても大丈夫です。数日で炎症もブツブツもおさまってきます。
使用してもよい市販薬の例
ムヒアルファEX(池田模範堂)
アレルギールクリーム(第一三共ヘルスケア)
キュルミナンEX11(奥田製薬)
ただし、市販薬を1週間程度使用しても「症状が改善しない」「かゆみが強くなる」「患部が広がっている」場合は、虫さされによるアレルギー反応の場合もあるので皮膚科を受診してください。
原因② 接触性皮膚炎
赤くかぶれたり、水ぶくれができたりします。
アレルギー物質や刺激物との接触が原因であると考えられます。
原因物質は人によって様々です。
摩擦・サイズが合わない衣類・化粧品かぶれ・薬の副作用・汗などが原因になります。
疲労やストレスなどが強いと、いつもは大丈夫なものでも急に接触性皮膚炎を発症する場合もあります。
自分でできる対処法は?
思い当たる原因物質(化粧品や薬など)の使用を中止し、すぐに洗い流してください。
かゆみが辛いときは、市販のかゆみ止めを使用しても大丈夫です
使用してもよい市販薬の例
フルコートf(田辺三菱製薬)
ベトネベートクリームS(第一三共ヘルスケア)など
それでも治らない場合は、原因を解明するためにも、皮膚科を受診しましょう。
原因③ 水虫(体部白癬)
円状に赤く盛り上がり、ほかの部位に広がることもあります。
水虫(体部白癬)の原因
水虫の人が使った後のマットやタオルを使用することで、水虫を発症することが多いです。
その他に、犬や猫などペットを通して白癬菌に感染することもあります。
発症しやすい人
家族に水虫の感染者がいる人
犬や猫などペットを飼っている人
銭湯やプールを利用する人
自分でできる対処法は?
市販薬も販売されていますが、皮膚科での治療をおすすめします。
早く治るだけではなく、根本的な治療につながります。
病院に行く目安
しばらく経っても症状が治らない
症状が悪化してきている
強いかゆみがある
かゆみがなんどもぶり返す
といった場合には早めに皮膚科へ行きましょう。
早めに原因を突き止めることで、症状の悪化を防ぎやすくなります。
今回ご紹介した病気以外に、靴ずれなどでも足の甲で湿疹ができることがあります。
水虫など人にうつしてしまう可能性もあるので、足の甲のブツブツにお困りの場合は、お近くの病院に相談しましょう。
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▼参考
日本皮膚科学会ガイドライン 接触性皮膚炎診療ガイドライン2020
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