グルテンフリーは日本人がやっても意味ないの?
グルテンが体に悪いって話は嘘?
「健康や美容によさそう!」というイメージから、グルテンフリーに興味を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、日本人がグルテンフリーを実践しても意味がないという話は本当なのか、詳しく解説していきます。
グルテンフリーを取り入れたいと思っている方や、既に実践しているけど効果を感じないという方は、必見です。
監修者
経歴
大学卒業後、JAあいち厚生連で37年にわたり病院の管理栄養士として勤務。
その間、豊田厚生病院・安城更生病院の技師長として17年間在籍。2022年5月よりたいや内科クリニックへ入職。
資格を生かし患者さんの想いを聴き・応え、患者目線でテーラーメイドの医療を届けるよう心掛けている。
グルテンフリーは日本人がやっても意味ないの?
グルテンフリーを日本人が実践した場合、必ずしも意味がないということはありません。
グルテンフリーとは、「グルテン」を含む小麦を摂取しない食事法のことです。もともとは、米国に多いセリアック病という免疫疾患の治療のために生まれた方法です。
セリアック病の患者さんがグルテンを摂取すると、腹痛や下痢、倦怠感など様々な不調があらわれます。
セリアック病は、日本では稀な病気とされていることから、「日本人がグルテンフリーを実践しても意味がない」という考え方が生まれたようです。
「グルテンが合わない体質」なら、実践する意味はある
日本人の中にも「体質的にグルテンが合わない」という方はいます。グルテンが合わない体質の方がグルテンフリーを実践した場合、体調の改善などメリットが生じる可能性があります。
- グルテンを摂ると、なんとなく調子が悪い
- 小麦アレルギーがある
などに当てはまる方は、グルテンフリーを試してみる価値があるかもしれませんね。
日本でのセリアック病の増加を懸念する声も
一般的には、日本人の発症は少ないとされているセリアック病ですが、増加する可能性を示唆する意見もあります。
近年では、食生活の欧米化により、パンやパスタなどグルテンを含む食品を口にする機会が増えたからです。
グルテンフリーのメリット
- 体や肌の調子がよくなる可能性がある(グルテンが合わない体質の場合)
- ダイエットのサポートになる
メリット① 体や肌の調子がよくなる可能性がある
グルテンや小麦が合わない体質の方が日常的に小麦を摂取していると、お腹の調子が悪くなったり、肌荒れを引き起こしたりするリスクもあるでしょう。
よほど意識しない限り、毎日の食事で小麦が含まれた食品を避けることは難しいものです。そういった場合にグルテンフリーを取り入れることで、体や肌の不調が改善される可能性があります。
メリット② ダイエットのサポートになる
グルテンを含む小麦を使用した食品には、ピザ・パスタ・ケーキなど、油や砂糖をたくさん使用して作られるものもありますよね。
小麦を摂らないようにすると、これらの食品を食べなくなります。すると、カロリーや脂質の摂取が抑えられ、間接的にダイエットにつながるケースが考えられます。
グルテンフリーのデメリット
- 栄養バランスが崩れる
- 食べられるものが少なくストレスになる
- 目に見えた変化を感じない可能性がある
デメリット① 栄養バランスが崩れる
グルテンフリーを実践することで、小麦に含まれている食物繊維・ビタミンB・ミネラルなどの栄養素が不足してしまう可能性があります。
これらの栄養素が足りないと健康を害するリスクもあるので、他の食品から意識的に摂取する必要があります。
デメリット② 食べられるものが少なく、ストレスになる
小麦は様々な食品に含まれているので、グルテンフリーを実践すると、食べられるものが大幅に少なくなります。特に、外食するときは選択肢がかなり限られるでしょう。
もともと外食する機会が多かった方や、パンや麺類などを好んで食べていた方は、おいしいものが食べられないことにストレスを感じてしまう可能性も高いでしょう。
デメリット③ 目に見えた変化を感じない可能性がある
グルテンフリーは、そもそもグルテンが合わない人向けに考案された食事法です。そのため、グルテンを摂取しても問題ない体質の方は、期待するような変化を実感できない可能性があります。
ダイエット目的の場合も、グルテンフリーさえ実践すれば減量できるというわけではありません。小麦を控えるだけでなく、食事全体のバランスに気を付けて、運動なども並行して行わないと、効果を実感することは難しいでしょう。
グルテンフリーを続けている人・やめた人の体験談
実際にグルテンフリーを実践した人の体験談をご紹介!
「今も続けている人」と「やめた人」、それぞれの意見を聞いてみました。
グルテンフリーを続けている人
ダイエット目的でグルテンフリーを始めました。体が軽くなって肌荒れをしなくなりました。(20代女性)
健康のためにと思って始めたところ、少し痩せました。(40代男性)
もともとは、花粉症対策になると聞いて試したのですが、生理痛が軽くなった気がします。(30代女性)
グルテンフリーをやめた人
大して効果を感じませんでした。グルテンフリーを気にするのが面倒になりました。(30代女性)
グルテンフリーなら罪悪感なくたくさん食べられると思ったのですが…そもそもグルテンフリーの商品が少なく、値段も高かったです。(40代女性)
健康のためにと思ってグルテンフリーにしましたが、いちいち調べたりすることがめんどくさくて、ストレスでした。(40代男性)
ダイエットのために実践しましたが、パンが食べたくなって挫折しました。(30代女性)
糖質制限ダイエットの一環でグルテンフリーを取り入れました。余計に食欲が増えてしまったのでやめました。(40代男性)
協力:ミルトーク
「グルテン=体に悪い」は間違い!自分の体と向き合って
現在、セリアック病やアレルギーなどの診断を受けた人を除いて、「グルテンは体に害である」という明確なエビデンスはありません。
体験談からもわかるように、グルテンフリーが合うかどうかは人それぞれです。
グルテンフリーを検討している方は、「グルテンは必ずしも悪いものではない」ということを念頭に置きつつ、自分の体調と向き合って実践するようにしましょう。
グルテンフリーを実践する際の4つのポイント
- 主食はお米にする
- 小麦の代わりに米粉やそば粉を利用する
- 市販品はGFマークをチェックする
- 野菜・果物・豆類を積極的に食べる
ポイント① 主食はお米にする
グルテンフリーを実践するときは、グルテンが含まれていないお米を主食にしましょう。
ポイント② 小麦の代わりに米粉やそば粉を利用する
お菓子やパンなど小麦を使うものが食べたくなったときは、小麦の代わりに米粉やそば粉などを使うといいでしょう。ネットで検索すると、おいしそうなレシピがたくさん見つかりますよ。
ポイント③ 市販品はGFマークをチェックする
市販のグルテンフリー食品を購入する際は、「グルテンフリー認証マーク(GFマーク)」を目印にしましょう。GFマークは、グルテンが一定以上含まれない食品に表示されています。
ポイント④ 野菜・果物・豆類を積極的に食べる
小麦の摂取を控えると、食物繊維・ビタミンB・ミネラル・カルシウムなどが不足する可能性があります。
野菜・果物・豆類を多く食べて、栄養バランスが崩れないようにしましょう。
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2021-09-15
「食べたもので、肌に変化が出るって本当?」
「何日後からきれいになる?」
肌にいい食べ物と効果を管理栄養士に伺いました。
おすすめのレシピもご紹介します。
食べたものが肌に出るまでの期間は?
食べたものが肌に出てくるまでに、約1ヵ月の期間がかかります。
個人差がありますが、肌細胞が入れ替わる期間は、約28日と言われています。
約1ヵ月で肌の細胞は入れ替わり始め、ほぼすべての細胞が入れ替わるまでには約3か月の期間がかかります。
細胞の入れ替わりには年齢や個人差がありますので、すぐに効果を感じられない場合でも中断せず、正しい食生活を継続することが大切です。
食生活で、肌はどんな風に変わる?
食生活を改善することで、肌に必要な栄養素が補給されます。
すると、細胞の入れ替わり(ターンオ―バー)が正常になるため、
シワやシミが減る
くすみがなくなり、潤いや弾力のある肌になる
ニキビや吹き出物が減る
というように、徐々にきれいな肌になっていきます。
教えて!「肌にいい食べ物」
肉・魚・豆腐・卵
緑黄色野菜(ピーマン・にんじん・トマトなど)
果物(イチゴ・キウイ・ブドウなど)
が肌にいい食べ物と言われています。
その① 肉・魚・豆腐・卵
豊富な肉・魚・豆腐・卵を食べると、たんぱく質によって丈夫な肌に生まれ変わります。
たんぱく質は細胞の入れ替わりを促進し、新しい肌を作ります。
その② 緑黄色野菜
緑黄色野菜の多くには、抗酸化ビタミンと言われている「ビタミンA(β-カロテン)」「ビタミンC」「ビタミンE」が豊富に含まれています。
そのため、紫外線などの刺激による皮膚の老化(シミ・しわ)を抑える効果や、丈夫な皮膚を作る効果が期待できます。
緑黄色野菜は一定以上のβカロテンが含まれているもので、ピーマン・にんじん・トマト、ほうれん草など、可食部にしっかりと色が付いている野菜を指します。
ナス・きゅうりなどは表面に色がついていますが、中身が白く、β-カロテンが少ないので緑黄色野菜ではありません。
◆ビタミンA(β-カロテン)…
丈夫な皮膚や粘膜を作ります。
◆ビタミンC…
コラーゲンの生成に関与し、シミの原因となるメラニン色素の生成を抑制します。
◆ビタミンE…
血行を良くし、肌に必要な栄養分を送ります。
その③ 果物
果物には、老化を防ぐ抗酸化作用を持つ栄養素が豊富に含まれているため、しわやたるみを防ぎ、若々しい肌を保つ作用があります。
ビタミンCの多いいちごやキウイ、ポリフェノールが多く皮から食べられるぶどうがおすすめです。
特にコラーゲン合成に関与する「ビタミンC」は、肌の潤いを保つうえで役立ちます。
また、ぶどうなどには強力な抗酸化作用がある「ポリフェノール」が含まれており、皮膚の老化のさらなる抑制が期待できます。
ニキビや乾燥肌の悪化に!?「肌に悪い食べ物」
スナック菓子
ファストフード
コーヒー
は肌に悪影響を与える可能性があります。あまり食べないようにしましょう。
その① スナック菓子
スナック菓子は糖質や脂質が多いため、食べ過ぎると皮脂分泌を促してニキビの発生を招きます。
また、製造の段階で酸化した“質の悪い油”を使用している可能性も高いです。
酸化した油は「過酸化脂質」という物質に変化し、ニキビや吹き出物が増える原因になります。
その② ファストフード
ファストフードは野菜が少なく、ビタミンやミネラルを十分に摂れません。
そのため、ファストフード中心の食生活を続けると、細胞の入れ替わりが遅くなって乾燥肌を招く場合があります。
また、脂質・糖質が多く含まれているため、ニキビや吹き出物が増えやすくなります。
その③ コーヒー
コーヒーに含まれているカフェインには、ストレスホルモン「コルチゾール」の分泌を促す作用があります。
コルチゾールがたくさん分泌されると、ニキビや吹き出物ができやすくなります。
1日に1~2杯なら問題ありませんが、たくさん飲む場合はデカフェやノンカフェインの物を選びましょう。
肌にいい食べ物の「オススメレシピ」
「サバとキノコのトマトパスタ」がおすすめです。
サバには血行促進のEPAやビタミンEが多く、きのこには整腸作用の食物繊維が豊富に含まれています。またトマトには抗酸化作用の強いリコピンが多く美白の働きが期待できます。
そのため、「サバときのこのトマトパスタ」を食べることで、美肌を期待できます。
「サバとキノコのトマトパスタ」の作り方
<材料> 2人分
パスタ … 160~180g
トマト缶 … 1缶(400g)
しめじ … 1パック
サバの味噌煮缶 … 1缶
にんにく … 1片
オリーブオイル … 大さじ1
塩 … 適量
黒コショウ … 適量
◆作り方
しめじの石づきを取ってほぐす。にんにくをみじん切りにする
パスタを規定通りの時間茹でる
フライパンにオリーブオイルを入れ、にんにくを炒める
にんにくから香りが出たら、しめじを入れる
しめじがしんなりしたら、サバ缶を汁ごと加える
サバに焼き色がついたらトマト缶を加えて、塩・黒コショウで味を調える
パスタが茹で上がったら水気を切り、トマトソースと和える
食べ物で肌をきれいにするために心がけること
肌を美しくするためには、食事だけでなく「質の良い睡眠」も大切です。
質の良い睡眠をとるためにも、
寝る2~3時間前までに食事をすます
ストレスを溜めない
といったことを心がけましょう。
寝る直前に食べると、寝ている間も胃腸が動いている状態となり、睡眠の質が下がります。
また、ストレスが溜まると自律神経が乱れ、緊張状態が続いたりするため、睡眠の質を下げます。
趣味の時間を作ったり、信頼できる人と話したりして、ストレスを発散しましょう。
▼参考
公益社団法人日本皮膚科学会