「股関節あたりが痛いけど、原因はなに…?」
40代の女性の「足の付け根の痛み」について、お医者さんに聞いてみました。
「変形性股関節症」や「関節リウマチ」など、悪化すると歩行が困難になる病気もあります。病院に行く目安も解説しますので、心当たりのある症状がないかチェックしてみましょう。
監修者
フェリシティークリニック名古屋
医学博士
河合 隆志先生
経歴
’97慶應義塾大学理工学部卒業
’99同大学院修士課程修了
’06東京医科大学医学部卒業
’06三楽病院臨床研修医
’08三楽病院整形外科他勤務
’12東京医科歯科大学大学院博士課程修了
’13愛知医科大学学際的痛みセンター勤務
’15米国ペインマネジメント&アンチエイジングセンター他研修
’16フェリシティークリニック名古屋 開設
40代女性「足の付け根が痛い」原因は?
40代女性の「足の付け根が痛い」という症状は、加齢によって「軟骨」がすり減っているという原因がまず考えられます。
軟骨がすり減ると、骨と骨が擦れて痛みが生じます。
特に、
- 肥満傾向にある
- 激しい運動をする
- 肉体労働をしている
- 体が冷えることが多い
といった人は、軟骨が減りやすく、痛みを感じやすいです。上記に当てはまる場合、日常的に「股関節」に負荷をかけすぎていると考えられます。
病院に行ったほうがいいの?
痛みが軽めで、股関節を動かせるのであれば、一旦様子をみても大丈夫です。
この場合、負荷をかけすぎないようにしたり、血行をよくしたりすることで、快方に向かう可能性があります。
ただし、股関節は「靭帯」や「筋肉」に囲まれていることから、基本的に自覚症状が出にくい部位です。痛みがある人は症状の進行も疑われるため、改善が見られないときは「整形外科」で診てもらいましょう。
こんな症状は、すぐに受診しよう
- 強い痛みがある
- 股関節を動かせない
- 太ももの痛み・しびれを伴う
といった場合、治療が必要な状態だと考えられます。心当たりのある方は、病院で受診しましょう。
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2020-06-08
「下腹部が痛い…」
「足の付け根にも痛みがある…」
もしかして女性特有の病気…?
どんな原因が考えられるのか、お医者さんに聞きました。
病院を受診した方がいい症状や、放置するリスクも解説します。
婦人科を早めに受診するメリットもご紹介。
下腹部と足の付け根の痛みは女性特有の病気?
子宮や卵巣は、下腹部・足の付け根あたりにあります。
そこに何らかの不調が生じている場合、そこに痛みが生じることがあります。
具体的には、
卵管炎・卵巣炎
卵巣嚢腫茎捻転
子宮筋腫
子宮内膜症
などの病気を発症している可能性があります。
それぞれの症状の特徴や発症しやすい人を解説します。
思い当たる症状がないか、しっかりチェックしましょう。
原因1.卵管炎・卵巣炎
人工中絶・流産・出産を経験している方に多い病気です。また、不潔な性行為や、タンポンを長時間使用している方も、膣内に細菌が繁殖しやすい状態になるため、発症する可能性が高くなります。
膣が細菌感染し、そこから徐々に炎症が広がると、卵巣にまで感染が及びます。
炎症の原因菌は、大腸菌やクラミジア、淋菌などです。
症状の特徴
お腹が張っているような感じ(膨満感)
発熱
吐き気
不正出血
膿のようなおりもの
慢性化すると、月経痛や腰痛、排尿時の痛みなどの症状があります。
痛みの対処法は?
抗生剤、解熱剤、鎮痛剤、消炎剤を使う薬物療法と、排膿したり、病巣を摘出したり外科療法があります。
原因2.卵巣嚢腫茎捻転
20~30代の女性に多くみられます。
生殖可能な年齢の女性であれば、発症の可能性はあります。
卵巣の中に液状のものが溜まって腫れている状態(卵巣嚢腫)になり、その腫れた部分と子宮とが繋がっている付け根の部分がねじれてしまう病気です。卵巣嚢腫事自体は良性の腫瘍なので、あまり大きくない場合は経過観察となることが多いです。
症状の特徴
下腹部の激しい痛み
吐き気
嘔吐 など
痛みの対処法は?
痛みに対して鎮痛剤を使いますが、根本治療は卵巣のねじれを元に戻す外科療法を行います。
原因3.子宮筋腫
30歳~閉経前の女性に多い病気です。
子宮にできる腫瘍で、多くのものが良性です。子宮の内側や外側、筋肉の中など、できる場所はそれぞれです。女性ホルモンの影響で大きくなり、閉経後には小さくなります。
症状の特徴
生理痛が重くなる
月経量が多くなり、貧血を起こす
月経以外の出血(不正出血)
腰痛
頻尿
痛みの対処法は?
痛みは市販薬の鎮痛剤を服用しても大丈夫です。治療としては、子宮筋腫を小さくする薬物療法や、筋腫や子宮を取り除く外科療法があります。
原因4.子宮内膜症
特に若い女性に多く、20-30歳代の方に多く発症します。30-34歳が発症のピークと言われています。月経のある女性の約7~10%の方に発症すると言われており、最近では30台後半から40代後半の患者さんも増えているともいわれています。
子宮内膜が、何かの原因で子宮以外のところにできて発育する病気です。子宮以外の場所にできた内膜が排出されずに溜まってしまうことで、痛みを伴います。
子宮内膜症は、不妊の原因となります。
症状の特徴
腰痛
排便痛
性交痛 など
痛みの対処法は?
鎮痛剤や漢方薬を使います。痛みが強くなる前に鎮痛剤を活用しましょう。
医療機関では、ホルモン剤を使った内分泌療法を行うこともあります。根本治療として外科療法にて、病巣部や子宮、卵巣、卵管などを摘出することもあります。
こんな症状は早めに病院へ
次の症状が現れている場合は、一度婦人科を受診することをおすすめします。
下腹部に激しい痛み
生理痛がひどくなっている
排便・排尿時に痛みがある
なかなか妊娠できない
性交痛がある
おりものが増えた
生理の際の痛み止め薬の量が増えている
婦人科系疾患を治療せずに放置すると、他の臓器に癒着が起きたり、手術が必要になる場合もあります。また、不妊の原因にもなります。
婦人科を探す
婦人科を早期受診するメリット
痛みや症状の原因を早く知ることで、早期に治療することができるため、症状の悪化を防ぐことができます。また、治療方法の選択の幅も広くなります。
病気の早期発見により、妊娠に必要な機能も温存できる可能性が高くなるため、妊娠を希望する場合は早めの受診がとても重要です。
初診ではどんな検査する?
<初診の流れの例>
問診による症状の確認
触診や内診
血液検査
超音波検査 等
これに加えて、症状により必要な場合は、内視鏡検査やCT検査を行います。
卵巣炎や卵管炎などの場合は、おりものの検査をして、どのような細菌に感染をしているか確認する場合もあります。
生理中に受診してもいいの?
検査によって、生理中は避けた方がよいものもあります。
病院に一度連絡をし、確認してから受診することをおすすめします。
参考
公益社団法人日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=8
足の付け根の痛み「基本の4つの対処法」
- ストレッチをする
- マッサージで身体をほぐす
- 体を温める
- 市販薬を使用する
足の付け根の痛みを和らげるには、上記の方法で血流をよくすることが大切です。また、鎮痛薬で痛みを軽減させるのもよいでしょう。
それぞれの詳しい方法について、以下で解説していきます。
対処法① ストレッチ
- 床に座り両足を前に出して開脚する
- 背筋をまっすぐ伸ばす
- 両手をお尻の後ろにつけて、軽く体重を支える(指先はお尻のほうに向ける)
- つま先を前に倒すようにして、足全体を揺らす
仕事や勉強等の合間に、1日10分程度を目安に行いましょう。
「股関節から足が揺れる」という点を意識しながら行うのがコツです。
※両足を一気に開くと股関節を痛めるおそれがあるため、片足ずつゆっくり開くようにしてください。
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2018-10-24
「足の付け根が痛い…」
「股関節が痛みに効くストレッチ法が知りたい。
股関節の痛みのケア方法を、お医者さんに聞きました。おすすめのストレッチや病気の可能性についても解説します。
足の付け根が痛いときの「簡単ストレッチ」
ストレッチを行うことで、股関節まわりの筋肉をほぐし、柔軟になります。
これにより、股関節の痛みを和らげ、股関節がスムーズに動かせるようになります。
ストレッチの手順
仰向けに寝て、右側の腰を床につけたまま上に浮かせます。
反対の左側も同様に動かします。
お尻を床から離さないで骨盤を上下させるイメージです。
各3回程度繰り返します。
※ストレッチを実践するときの注意点
繰り返しストレッチを行うのは必要ですが、必要以上に負荷をかけると症状の悪化につながることがあります。回数を守ってストレッチはおこないましょう。
おすすめの「手軽な運動」
運動療法は次のように、無理なく毎日少しずつ続けられる手軽な運動で十分です。
おすすめの運動の例
椅子に座りながら足を開閉する
骨盤を意識的に動かす
意識して歩数を増やす
貧乏ゆすりをする
また、股関節まわりを冷やさないようにしたりしましょう。
余裕がでてきたら「筋トレ」も
筋力トレーニングを行い股関節まわりの筋肉を強化すると、股関節の痛みを緩和することができます。
足を肩幅ほどに広げて立つ(足先は気持ち外側に向けて開く)
両手を頭の後ろで組む
正面を向いたまま、呼吸をしながら膝をゆっくり曲げる
膝を曲げたまま、1秒停止する
ゆっくりと、もとに戻る
20~50回ほど繰り返す
※膝を曲げる際、前かがみになり過ぎると、膝や腰に負担がかかることもあります。壁に向かって立ち、両手を壁に当てながら膝を曲げると姿勢が安定し、前かがみになりません。
停止するのがつらい場合には、無理せずに、ゆっくり曲げて戻す動作だけでも大丈夫です。
無理なく続けられる範囲で運動するようにしてください。
ただし…こんなストレッチ・運動は「逆効果です!」
体を強く反らすストレッチは逆効果となるので、避けましょう。
体を反らせるストレッチは腰に負荷をかけますが、腰は股関節と連動しているので、股関節にも負担がかかってしまうことが多いです。
股関節に炎症が起きているとき、筋肉がほぐれていない硬い状態のときは、このストレッチを行うと股関節・腰の負傷につながる恐れがあります。
股関節が痛いときにできる「3つのケア」
股関節痛でつらいときは
股関節まわりの筋肉を強くする
和式→洋式生活に変える
薬を活用する
といった対処がとれます。
ケア① 股関節まわりの筋肉を強くする
筋力トレーニングで「股関節周囲の筋肉」を強化すると、股関節の痛みを緩和することができます。
ケア② 和式→洋式生活に変える
正座する機会が多かったり和式トイレを使ったりするような和式生活から、椅子やソファに座る、洋式トイレを使うといった洋式生活に替えることで、股関節への負担を軽減できます。
ケア③ 薬を活用する
痛みの程度や症状によっては薬を活用してもよいです。また痛みが強ければ受診前の応急処置としてロキソニンなどの市販の痛み止めを使用しましょう。
その際は医師の指示に従ってください。
股関節痛の予防・緩和には、筋肉をつけたり生活習慣を見直したりして、関節に負担をかけないようにすることが大切です。
こんな股関節の痛みは病院へ!
2、3日様子を見ても痛みが良くならず、悪化している場合は、軽い負傷ではなく病気が関係している場合もあります。
早期受診で、症状と病気を悪化させるリスクが軽減します。心当たりがある人は、放置せずに医療機関で相談しましょう。
整形外科を探す
股関節が痛くなる「病気」のケースも
病気① 変形性股関節症
発症すると、変形した軟骨がぶつかり合って足の付け根に痛みが出ます。
立ち上がる時
歩行時
に痛みを感じやすいです。
股関節の軟骨は、長い時間をかけてすり減ったり、変形したりします。
症状が進行するにつれ、痛みも増していきます。
病気② 関節リウマチに伴う股関節症
関節に炎症が生じ、周辺の軟骨や骨が変形して、関節部に痛みや腫れが起こる病気です。
女性に多い症状です。
発症初期は、手足の関節(指、肘や膝)に腫れ・痛みが生じます。その後、痛みが首や肩の関節に広がっていきます。
病気③ 大腿骨骨頭壊死症
大腿(だいたい)骨上端部への血流が妨げられ、骨が壊死(えし)してしまう病気です。
原因はまだわかっていませんが、アルコールの過剰摂取やステロイド剤の多量投与等があった場合に発症しやすくなります。
整形外科を探す
▼参考
変形性股関節症 - Mindsガイドラインライブラリ
辛い痛みや不調に効く!1日5分の背骨ストレッチ
対処法② マッサージ
- 床に座り足を伸ばす
- 片側の足の膝を曲げて、かかとをできる限り股関節まで引き寄せる
- 「太ももの付け根にある筋肉」を両手で引っ張り上げるようにして、膝を上下に揺らす
- 反対側の足も同様に行う
時間のあるタイミングで、1箇所につき20回を目安に行いましょう。
※「引っ張り上げる部分」を少しずつずらしながら、行うようにしてください。
対処法③ 体を温める
- 就寝の2時間前に入浴する
- 痛い部分に「温かいタオル」を当てる
- 暖かい服に着替える
- 冷房を控える
- 体が温まるものを食べる
- 軽い運動をする
足の付け根が痛むときは、上記の方法で体を温めてみましょう。
体を温めることで、血行不良が改善して硬くなった筋肉が緩みます。これにより股関節への負担が軽減されると、痛みも緩和しやすくなります。
対処法④ 市販薬を使用する
足の付け根の痛みがつらいときは、
などの鎮痛薬を服用すると、痛みの緩和が期待できます。
まずは、副作用が少ないとされている「アセトアミノフェン」の使用をおすすめします。
使用の際には、薬剤に記載されている服用方法を守り、適正量を超えないようにしてください。症状の改善が見られないときは、薬の使用を中止して病院で受診しましょう。
40代女性に多い「足の付け根が痛む」3つの病気
40代の女性で「足の付け根が痛む」場合、
- 変形性股関節症
- 大腿骨頭壊死症
- 関節リウマチ
といった病気が考えられます。
いずれも放置すると、歩行などの運動機能に支障をきたすリスクがあります。それぞれ詳しく解説していきますので、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
病気① 変形性股関節症
変形性股関節症は、股関節の「軟骨」や「骨」が傷んでしまう病気です。炎症や骨の変形を引き起こすことで、足の付け根に痛みを感じるようになります。
「肥満」・「長期間の肉体労働」・「股関節に負荷が掛かる運動」・「ケガ」などが原因で発症するケースが多いです。
変形性股関節症の症状チェック
- 足の付け根(股関節)の痛み・違和感
- お尻・太ももの痛み
- 股関節の動きが悪い
- あぐらをかけない
- 左右に揺れる(足を引きずる)ように歩く
- 「足の爪切り」や「靴下の着脱」が困難
生まれつき「股関節の骨の形」に異常がある人は、それがきっかけとなって発症する場合もあります。また、幼少期に患った病気の後遺症が要因となり、中年になってから発症するケースもあります。
疑われるときは、病院で相談しよう
変形性股関節症は、セルフケアのみでの完治は難しい病気です。疑われるときは、まず整形外科で受診し、足の状態を診てもらいましょう。
悪化すると、歩行機能に支障をきたすこともあるため、放置しないようにしましょう。
≪変形性股関節症の「セルフケア方法」≫
- 食生活を見直して肥満を解消する
- マッサージ・ストレッチで股関節の柔軟性を維持する
- 筋力をつけるために身体を動かす
肥満傾向の人は股関節に負荷をかけないように、適正体重を目指しましょう。運動は、水中ウォーキング・水泳など、股関節の負荷がかかりにくいものがおすすめです。
セルフケアを行うことで、痛みの緩和・悪化予防の効果が期待できます。特に「運動」や「ストレッチ」は股関節の柔軟性を高めるため、股関節の動かせる範囲も広がりやすくなります。
病気② 大腿骨頭壊死症
血流不良によって「大腿骨頭」が壊死してしまう病気です。壊死した大腿骨頭が潰れるなどにより、股関節に痛みが生じるようになります。
発症原因としては「アルコールの過剰摂取」・「ステロイド薬剤の長期間使用(大量使用)」・「喫煙習慣」などが挙げられます。また、「特発性大腿骨頭壊死症」という原因がはっきり分からないケースもあります。
大腿骨頭壊死症の症状チェック
- 足の付け根の痛み・違和感
- お尻の痛み・太ももの痛み
- 立ち上がり・歩行時の突然痛み
- 足を引きずるように歩く
- 歩行が困難になる
疑われるときは、病院で相談しよう
大腿骨頭壊死症は、悪化すると手術が必要になります。症状に心当たりがあるときは、まず「整形外科」で診てもらうようにしましょう。
診断を受けて早めに対処することで、手術を避けられることもあります。
≪大腿骨頭壊死症の「セルフケア方法」≫
- 杖を使い、股関節への負担を減らす
- しゃがみ込む姿勢をとらない(床ではなく椅子に座るなど)
- 入浴・ストレッチなどで血行をよくする
セルフケアでは、「足の付け根に負担を加えない」・「血行をよくする」といった点を心がけましょう。
病気③ 関節リウマチ
関節リウマチとは、関節に炎症が生じることで、徐々に「骨」や「軟骨」が壊されてしまう病気です。
原因ははっきり分かっていませんが、自分自身の免疫機能に異常が生じることで発症すると考えられています。
また、「歯周病」・「過度のストレス」・「喫煙習慣」・「長時間同じ姿勢で過ごす習慣」などが、発症リスクを高める可能性があると言われています。
関節リウマチの症状チェック
- 朝起きたときに手指を動かしにくい
- 関節を動かしていないのに痛みが生じる
- 倦怠感・発熱・食欲低下を伴う
疑われるときは、病院で相談しよう
関節リウマチは治療が必要な病気です。放置すると関節が変形し、激痛を感じたり、歩けなくなったりするリスクがあります。
疑われるときは、整形外科で診てもらいましょう。
≪関節リウマチの「セルフケア方法」≫
- 太っている人は減量する
- 股関節のストレッチを習慣にする
- 股関節を温める
上記のケアを行うことで、症状の悪化予防・痛みの緩和につながります。特に血行を良くすると、関節の痛み・こわばり感が和らぎやすいです。
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2022-07-04
更年期に入って、関節が痛い… 。
もしかしてリウマチ?
「更年期障害による関節痛とリウマチの違い」をお医者さんに聞きました。
それぞれの症状の特徴や病院に行く目安、何科を受診すべきかについて詳しく解説します。
「更年期障害による関節痛」と「関節リウマチ」の違い
更年期症状の場合、皮膚を蟻が這うような感覚(蟻走感)を感じることがあります。
関節リウマチの場合は、寒い季節や朝起きたときに症状が強くなるのが特徴です。
関節痛の原因
症状の特徴
更年期による関節痛
関節の違和感程度から始まる
肩や手指、膝などの関節痛やこわばり・腫れがある
皮膚を蟻が這うような感じ(蟻走感)がする
その他の更年期症状がある
関節リウマチ
関節の痛み・腫れ・こわばり
関節を押したり動かしたりすると痛む
左右対称に症状が現れることが多い
寒い季節や朝起きたときに症状が強く出やすい
ただし、いずれの場合も、関節の痛み・腫れ・こわばりなど、共通する症状があるので、ご自身で判断するのは難しいです。
痛みが強い・続いている
他の症状が出ている
といった場合には、病院で受診してください。
まずは、かかりつけの医師に相談することをおすすめします。
受診先に迷う場合は、「整形外科」で受診するとよいでしょう。
整形外科では、レントゲンやCT検査、超音波検査などにより、骨の異常や関節の腫れ・炎症の有無を調べてもらえます。
整形外科を探す
「更年期障害による関節痛」の症状チェック
関節の違和感
肩・手指・膝の関節痛
関節のこわばり・腫れ
皮膚を蟻が這うような感覚(蟻走感)
のぼせ・ほてり・動悸など、関節痛以外の更年期症状がある
上記に当てはまる方は、更年期症状によって関節痛が生じている可能性があります。
更年期には、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」の減少や加齢によって、
関節を支える軟骨や筋肉の衰え
関節内の水分減少
血液循環の悪化
が起こり、関節痛を生じると考えられています。
「更年期障害による関節痛かも」と思ったら…
関節痛の症状が一時的であれば、一旦様子を見てもよいでしょう。
更年期障害による関節痛の場合は、関節を温めることで症状が緩和されることがあります。
また、食事からビタミンB群・ビタミンC・ビタミンEを意識して摂りましょう。
これらの栄養素には、血行を促進し、骨や関節を維持する働きがあります。
▼ビタミンB群・ビタミンC・ビタミンEを多く含む食材
ビタミンB群
魚類
肉類
にんにく
落花生
ビタミンC
ブロッコリー
じゃがいも
いちご
オレンジ
ビタミンE
卵
アボカド
オリーブオイル
アーモンド
受診目安は?
先に挙げた症状が「つらい」と感じる、または日常生活に支障をきたしているようであれば、治療が必要な状態です。
医療機関に相談してください。
更年期障害が疑われる場合は、「婦人科」を受診しましょう。
婦人科では、診察や問診により、関節痛の状態や更年期に起こる症状の有無を確認します。
婦人科を探す
関節リウマチの症状チェック
関節の痛み・腫れ・こわばり
関節を押したり動かしたりすると痛む
症状が左右対称に現れている
寒い季節や朝起きたときに症状が強く出る
上記に心当たりがある方は、関節リウマチにより痛みが生じている可能性があります。
関節リウマチは、免疫機能が関節を攻撃することで、関節の炎症や痛み、こわばりなどを起こす病気です。
ただし、はっきりとした原因はわかっていません。
「関節リウマチかも」と思ったら…
関節リウマチには、専門的な治療が必要です。
セルフケアで対処しようとせず、医療機関を受診しましょう。
受診目安は?
先に挙げた関節リウマチの症状に心当たりがある場合は、医療機関を受診しましょう。
特に、関節の痛みや腫れなどの症状がどんどん悪化している場合には、躊躇せず受診してください。
進行すると関節が損傷し、変形していきます。
病院は、「リウマチ科」で受診することをおすすめします。
リウマチ科を探す
「痛みが強い・続いている」場合は、すぐに病院へ!
痛みが強い・続いている
痛み以外にも症状がある
場合は、すぐに病院を受診しましょう。
放置すると、症状が悪化して他の疾患を併発したり、重篤な疾患を見逃したりする恐れがあります。
また、原因によっては、早期に適切な治療が行われないと改善が期待できず、日常生活に影響を及ぼすようになる可能性があります。
原因がわからないときは、何科に行けばいい?
更年期なのか関節リウマチなのかは、自分で判断するのが難しいです。
受診する診療科に迷う場合は、「整形外科」を受診するとよいでしょう。
受診の際は以下の点を医師に伝えると、診察がスムーズに進みます。
いつから関節痛を自覚するようになったか
症状を自覚してからの経過
関節痛以外の症状
治療中の病気
服用中の薬
整形外科を探す
▼参考
更年期ラボ 更年期の症状 関節痛
あゆみ製薬ホールディングス リウマチの検査と診断
強い痛みが出たら躊躇せず「整形外科」へ!
- 強い痛みが生じている
- 昼夜問わず、ずっと痛みが続く
- 痛みがどんどん悪化する
- 太ももの痛み・しびれがある
- しゃがめない
- 足を引きずってしまう
- 歩行が困難
足の付け根に痛みがある方で、上記の症状が出現している場合には「整形外科」の受診をおすすめします。
病院での治療を受けずに放置すると、関節が変形して「非常に強い痛み」が生じるようになる恐れがあります。また、「歩くのが困難になる」など、日常生活に大きな支障が出るリスクもあるので、早めに診てもらうようにしましょう。
お医者さんに伝えるポイント
- 出現している症状(最も困っている症状)
- 症状が出現した時期
- 症状が出現するタイミング
- 痛みの持続時間
- 以前も同じ症状がみられたかどうか
- 患ったことのある病気
上記について説明できると、診察がスムーズに進むと考えられます。
診察では、症状について質問した後に、検査を行うことが多いです。一般的には、「血液検査」・「画像検査(X線検査・CT検査・MRI検査等)」が行われます。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2021-05-07
「足の付け根の外側が…急に痛い!」
痛みを抑える方法と考えられる原因を、お医者さんに聞きました。
病院は何科に行けばいいのかも解説します。
足の付け根の外側が急に痛い!大丈夫?
痛みが一時的なものであれば、あまり心配はいりません。
一旦様子を見てもよいでしょう。
まずは、痛みのある部分を安静にしましょう。
「炎症を起こしている」と感じる場合には、タオルで包んだ氷などで冷やしてもよいでしょう。
足の付け根の外側が急に痛む「変形関節症」の可能性大
足の付け根の外側が急に痛くなるのは「変形性股関節症」が原因となっているケースが多いです。
「変形性股関節症」の初期症状として、起き上がりや立ち上がり、歩き始めなどに痛みを感じます。
「変形性股関節症」は、股関節の軟骨に摩擦が生じ、軟骨が磨り減って変形した状態のことをいいます。これにより、足の付け根の外側に痛みを感じます。
症状の特徴
関節がポキポキ鳴る
お尻に痛みがある
痛みを感じるほうの足が短くなる
股関節周囲が左右対称に痛むケースもあれば、片方だけのケースもあります。また、片方が最初に痛み、もう片方の痛みが出るまでに、1年~数年ほど時間差があることもあります。
症状が進行すると、痛みが強くなるほか、常に痛むようになったり、夜中に寝ていても痛むようになったりします。
変形性股関節症の原因
変形性股関節症になるのは、先天性股関節脱臼や股関節の臼蓋形成不全が主な原因です。
※先天性股関節脱臼…生まれつき骨盤と太ももの骨のはまりが悪くて、脱臼を起こしている状態。赤ちゃんのときの、脚を伸ばしておむつを替える習慣が関係しているといわれている
※臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)…骨盤の形に異常があること。股関節に不具合が生じやすい
そのほか、加齢による軟骨のすり減りや、体重の増加もリスクになります。
自分でできる対処法は?
症状の改善策として、
体重を減らす
股関節周りの筋肉を鍛える
ことなどが役立つと考えられています。
痛みにより日常生活に支障をきたしている場合は、医療機関を受診しましょう。
病院を受診する目安
痛みがひかず、長時間続く(目安として1週間以上)
痛みで日常生活に支障をきたしている(歩くのがつらい等)
といった場合には、一度医療機関で相談しましょう。
病院での治療は、どんなことをするの?
変形性股関節症の治療方法としては、「保存療法」と「手術療法」があります。
1.保存療法について
治療を行うときは、まず保存療法を行います。初期の段階では、どのようにすれば日常生活で痛みが悪化しないのかを患者自身が観察し、選択できるように指導します。
体重が多すぎる場合は、ダイエットをする必要があります。心理的抵抗がないのであれば、杖の使用をすすめます。
痛みにより歩行が困難になると、運動不足となり筋肉の衰えに繋がります。筋肉を衰えさせないため、可能な範囲で水中歩行や水泳(股関節に負担がかかる平泳ぎを除く)を週に2、3回行うよう指導します。
2.手術療法について
保存療法を行っても症状が改善されない場合、手術を検討します。
自分の骨を生かして行う骨切り術のほか、関節の変形が進んでいる場合は、人工股関節手術を行います。
整形外科を探す
病院は何科に行けばいい?
足の付け根の痛みでつらいときは、整形外科を受診しましょう。
変形性股関節症を放っておくと、靴下が履きにくい、和式トイレの使用や正座が難しい、長時間立つ・歩くのがつらいなど、日常生活に支障が出ます。
また、腰や膝など他の部位にまで悪影響を及ぼすおそれもあります。
早めに医療機関を受診することをおすすめします。
整形外科を探す
▼参考
公益社団法人 日本整形外科学会 「変形性股関節症」
公益社団法人 日本整形外科学会 「発育性股関節形成不全」