ADHDの検査をしたいけど、費用が気になる…。
保険は適用される?
「ADHDの検査は保険適用になるかどうか」について、お医者さんに聞きました。
保険適用・自由診療それぞれの場合の費用目安や、初診から診断がつくまでの流れについても解説します。
監修者
経歴
佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。
美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。
精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエットを開発。
ADHDの検査は保険適用になる?

ADHDの検査は、「保険適用になる検査」と「保険適用外(自由診療)の検査」の両方があります。
保険適用かどうか |
検査の種類 |
保険適用 |
などの一般的な検査
|
保険適用外(自由診療) |
など
|
※心理検査は、行われる検査の種類によって、保険が適用されるケースとされないケースがあります。
一般的なADHDの検査であれば、保険が適用されます。
MRI検査や血液検査を行う場合や、医療機関独自の心理検査などを行う場合は、保険適用外となります。
保険適用になる検査
保険適用となるADHDの検査には、
- 問診
- 心理検査
- 認知機能検査
などがあります。
保険適用の検査① 問診
医師や心理士が、生活上の困りごとや、気になっている症状について聞き取りを行います。
その際、日常生活で困っていることが、ADHDの症状に当てはまるか確認します。
ADHDは、大人になって発症するものではなく、生まれもった特性なので、子どもの頃のことも質問されます。
費用の目安
問診にかかる費用の目安は、2,500円程度です。
保険適用の検査② 心理検査
心理検査は、知能・発達などを確認する検査です。
質問項目への回答を、用紙に記述していきます。心理士が聞き取りを行うこともあります。
心理検査は、ADHDを直接診断するものではありませんが、総合的に判断する際の参考になります。
また、ADHDは、発達の段階で苦手なことがわかるケースが多いため、本人が「苦手と感じること」についてもチェックします。
※心理検査には様々な種類があり、検査の内容によっては、自由診療となることもあります。
費用の目安
心理検査の費用目安は、保険診療の場合、1,350円程度です。
自由診療の心理検査の費用は、20,000〜30,000円程度です。
心理検査には様々な種類があるので、受ける検査が多くなれば、その分費用はかかります。
保険適用の検査③ 認知機能検査
記憶力・判断力といった認知機能の確認を行います。
用紙に記入する方法の他、タブレットに入力する方法もあります。
費用の目安
認知機能検査の費用は、500円程度です。
保険適用にならない検査
保険が適用されないADHDの検査には、
- MRI検査
- 血液検査
などがあります。
自由診療の検査① MRI検査

脳の画像を撮影して、診断する検査です。
脳の発育の状態や、脳機能の異常などを確認します。
MRI検査を受ける際は、筒型の検査器に一人で入って、脳の画像を撮影します。
圧迫感を覚えやすく、閉塞感が苦手な人は「つらい」と感じるかもしれません。
また、検査中に鳴る機械音が苦手という人もいます。
費用の目安
MRI検査の費用目安は、30,000円ほどです。
自由診療の検査② 血液検査
採血した血液を調べる検査です。
体に悪い部分がないかを確認するために行います。
精神的な症状を引き起こしている原因として、「甲状腺疾患」や「脳炎」などの体の病気がないかを調べます。
費用の目安
血液検査の費用の目安は、2,000円程度です。
尿検査や歯の検査を行うことも
この他、尿検査や歯・耳・鼻などに異常がないかを調べる検査を行う医療機関もあります。
それぞれ保険適用外となることもあるので、事前に料金を確認しておきましょう。
ADHDの検査の相談は「精神科」へ

ADHDの検査は「精神科」で受けられます。
受診する前に、
- 現在、困っていること・対応できないこと
- 症状が出始めた時期
などをまとめておくとよいでしょう。
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2022-07-04
初めての精神科でちょっと怖い…。
初診では何を話すの?
「精神科の初診で話す内容」をお医者さんに聞きました。
医師に聞かれることや答え方の例、メモしておくとよいことについても解説します。
精神科で受診したことのある方の体験談も紹介するので、初診の雰囲気を知りたい方は必見です。
精神科の初診「何を話すの?」
今、ツライと感じている症状
いつから症状があるのか
心当たりのある「ツライ」原因(※)
現在服用している薬・服用していた薬
既往歴
飲酒・喫煙をしているか
精神科の初診では、上記の点について聞かれることが多いです。
※心当たりのある原因は、話せる範囲で構いません。詮索されたくないときは、「今は話したくない」旨を素直に伝えてください。
【体験談】初診では、こんなことを相談しました!
気分の落ち込みが激しくてつらい、と相談しました。
医師からは、「夜に睡眠はとれているか」「食事をとることはできているか」「どのような出来事があったか」を聞かれました。
(30代女性)
仕事での指導係の期待や厳しさに耐えきれなくなり、体にも不調が出ていることを相談しました。(30代女性)
精神科というと重く捉えてしまうかと思いますが、行ってみると自分だけ悩んでいるのではないと実感しました。
軽くお話しするだけでも楽になれると思います。(30代女性)
精神科と聞くとハードルが高いですが、行ってみると普通の場所ですし、内科の待合室と何ら変わりありません。
かかりつけ医の先生に相談して、紹介状を書いてもらうのも手です。(40代男性)
「うまく話せるか」が不安…
うまく話そうと気負いすぎなくて大丈夫です。
焦らずにリラックスして、抱えている不安や困っている症状について、お話できる範囲で医師に伝えるようにしてください。
多くの精神科では、患者さんの現状や症状を正確に知るため、初診の診療時間を長くとってくれるケースが多いです。
初診での受け答えの例
医師に聞かれること
答え方の例
今困っていることはありますか?
最近眠れないです
常に不安な気持ちがあります
動悸がします。胸が痛くなることもあります
最近、何もかも楽しいと感じなくなりました
食欲がわきません
人が自分の悪口を言っているように聞こえることがあります
人につけられている・監視されているように感じます
集中力が続かず、仕事ができません
気持ちが落ち着かないので、何も手につきません
自分の全てが悪く感じます
気分が落ち込むと、なかなか戻りません
朝は起きられないのに、夕方になると楽になって動けます。でもまた次の日はつらくて起きられません
症状はいつから出ていますか?
○週間前からです
飲んでいる薬はありますか?
○○を飲んでいます
生活での悩みはありますか?
人間関係で悩んでいます
家族関係に悩みがあります
嫌いな人が近くにいます
子どものことで悩んでいます
夫(妻)とわかりあえません
仕事が続きません
今までに何か病気を患ったことはありますか?
○年前に~~を患い、○○科に通院していました
飲酒や喫煙はしていますか?
タバコは吸っていません。お酒は1週間に1回程度の頻度で飲みます。飲む量は、缶チューハイ1本程度です
今抱えている精神的・身体的症状の中で、「最もつらく、苦しいと感じている症状」を医師に伝えるようにしてください。
患者さんが最も困っている症状に対する治療を丁寧に行うことで、医師との信頼関係が築けると考えられます。
また、飲み合わせに注意が必要な薬や併用してはいけない薬があるため、服用している薬がある場合は、診察時に伝えましょう。
メモを用意しておくのもおすすめ
医師に伝えたいことをノートに書いておくのもおすすめです。
スムーズに話が進むと考えられます。
メモに書いておくとよいこと
困っている症状
症状が出るタイミング
症状が出てきてから現在に至るまでの経過(症状の変化)
今、悩んでいること(仕事の内容・人間関係等)
泣いてしまったらどうしよう…
初診で上手にお話できず、泣いてしまってもかまいません。
精神科の医師・スタッフは、患者さんの気持ちをしっかりと受け止められるよう、心の準備をしています。
ご自分の言葉で、伝えられる範囲の内容をお話していただくことが、症状改善のために重要です。
精神科での初診の流れ
予約
問診表に記入
診察前の予診(予診がない場合もある)
医師による診察・カウンセリング
各種検査(尿検査・血液検査・血圧測定等)
薬の処方等、症状に合わせた治療開始
会計、経過観察のための次回受診の予約
一般的に、精神科での初診は上記の流れになることが多いです。
初診にかかる所要時間は?
初診の所要時間は、30~60分程度必要になるケースが多いです。
患者さんの状態や症状を正確に把握するために、初診は非常に重要です。
そのため、初診の時間を長くとるケースが多いと考えられます。
初診費用はいくらかかる?
精神科の初診費用の目安は、3,000~5,000円程度(3割負担の場合)のことが多いです。
薬の処方がある場合、さらに1,000円程度必要になることもあります。
上記はあくまでも目安です。
受診する医療機関や実施される検査内容等により、費用は異なります。
保険は適用される?
精神科の初診は、保険が適用されるケースが多いです。
うつ病等の精神疾患の場合は、病状によって継続した通院が必要となるケースがあります。
その場合、医療費が軽減される「自立支援医療制度」が適用になることがあり、3割負担が1割負担に軽減されます。
※世帯所得に応じて1ヶ月あたりの上限が設けられています
診断書を発行してもらう場合の費用は?
診断書を発行してもらう場合の費用は、2,000~6,000円程度のことが多いです。
障害年金申請等、内容が細かい場合は、10,000円ほど必要になるケースもあります。
診断書の発行は保険適用対象外のため、自費扱いとなります。
医療機関や診断書の内容により、費用は異なります。
初診で診断書は受け取れる?
初診で診断書を発行してもらえることもありますが、数回の通院が必要になる場合もあります。
受診する医療機関や患者さんの病状(症状)によって変わってきます。
精神疾患は、毎日状態が同じということがなく、日々変わるケースが多いです。
そのため、確定診断するまでには、患者さんの生活環境・性格・病状等をしっかり把握する必要があります。
まずは“はじめの一歩”を踏み出そう
現状のつらい状況を打破するためには、“はじめの一歩”を踏み出す必要があります。
ぜひ、風邪をひいた際に受診する「かかりつけ医」のような感覚で、リラックスして受診してください。
ためらってしまう方も多いと思いますが、少しでも受診を検討されているのであれば、「心が助けを求めている」状態だと考えられます。
心の病気を専門に扱う精神科で受診して、治療に専念できる環境を整えることにより、つらい症状の改善が期待できます。
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▼参考
元住吉こころみクリニック 精神科・心療内科の初診を充実させるには?
「初診から診断まで」の流れ
- 問診
- 心理検査
- スクリーニングや認知機能の検査
- 結果を伝える(ADHDなのかどうか)
検査の回数にもよりますが、通常、初診から診断がつくまでに数ヶ月かかります。
「初診から診断がつくまで」にかかる費用は、
- 保険診療 → 10,000円程度
- 自由診療の検査を受けた場合 → 50,000円程度
となることが多いです。
※上記はあくまで目安の金額になります。詳細の費用は医療機関によって異なります。
診断後の流れ
ADHDと診断がついた場合は、専門医・臨床心理士による「行動療法」とともに、必要に応じて「薬物療法」が並行して行われます。
ADHDの人が働きやすい環境や、家庭で過ごしやすい環境を整えるためのアドバイスも行われます。
通院頻度・期間の目安
通院頻度は、月1回程度の人が多いです。
通院期間は、1年程度が目安となりますが、個人差があります。
費用の目安
保険診療の場合、通院1回あたりの費用の目安は2,000円程度です。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。