脇の下のリンパが痛い…!
痛みの原因は何なのか、お医者さんに聞きました。
「痛みを緩和する方法はある?」「病院は何科?」などの疑問にもお答えします。
乳がんが隠れているケースもあるため、しこりがある方は要注意です。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
脇の下のリンパが痛い…これはなぜ?
体に侵入したウイルスや細菌と戦うために、リンパ節が活発に働いている可能性が高いです。
これにより脇の下のリンパ節が腫れ、痛みが起こっていると考えられます。
また、脇の下の痛みはリンパ節が原因でない場合もあります。
女性ホルモンなどが影響し、乳腺によって痛みが起こっているケースもあります。
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2021-03-26
「脇の下が痛い…!」
「しこりはないけど、大丈夫?」
痛みの原因や何科を受診するべきかを、医師が解説します。
乳がんなど重い病気の可能性もあるので、要注意です。
脇の下が痛いけどしこりはない…これ大丈夫?
生理前に痛みがではじめ生理と共に消失する場合は、あまり心配いらないケースが多いです。
脇の下の痛みは、女性ホルモンの影響によって生じることがあります。
乳腺が生理周期に合わせて発達すると、脇の下付近にある副乳(※)も一緒に発達するため、脇の下に痛みを感じることがあります。
※副乳…本来、消えるはずだった乳腺組織のなごりで、その多くは脇の下にあります。
こんな症状は要注意!
しこりがない痛みでも
症状が2週間以上続いている
症状が日に日に悪化している
しこりや痛み以外の皮膚の症状が出ている
という場合は、乳がんなど病気の可能性があるので、一度医療機関で検査を受けましょう。
しこりがなくても、乳がん…?
脇の下にしこりがなく、痛みがあるだけでも乳がんの可能性はあるのでしょうか?
乳がんの可能性は、大いにあります。
乳がんで、脇の下が痛くなることはよくあります。
脇の下のリンパ節は乳房の近くにあるので、乳がんが転移しやすいのです。また、副乳にできる乳がんの可能性もあります。
実際、ご自身でしこりを確認できないケースでも、検査によって乳がんが発見されることがあります。
乳がんになりやすい体質
40歳代後半〜60歳代後半になりやすい傾向にあります。乳がんは、女性が発症するがんの中で最も多いがんです。男性でも発症することはあります。
乳がん発症には、女性ホルモンの一つであるエストロゲンも深く関与しています。
女性ホルモンのバランスが乱れやすい更年期の女性や、エストロゲンが多い人は注意が必要です。
40歳代後半〜60歳代後半の女性
体内のエストロゲンが多い人
エストロゲンを含む経口避妊薬を使用している人
長期のホルモン補充療法を閉経後に受けている人
自分の親や子どもで乳がんになった血縁者がいる人
初潮年齢が低い人
閉経年齢が高い人
初産年齢が高い人
出産経験や授乳経験がない人
大量に飲酒する人
運動不足な人
閉経後に肥満になった人
乳がんの初期症状
乳がんの初期症状に当てはまる方は医療機関での検査をおすすめします。
脇の下が腫れる
脇の下が熱を持つ
乳房にしこりができる
乳頭からの分泌物が出る
乳頭や乳輪の皮膚がただれる
乳がんの検査方法
乳がんの検査方法は、「問診」と目で見て確認する「視診」、触って確認する「触診」をします。その後「マンモグラフィ(乳房X線検査)」や「乳房超音波」を行うのが一般的です。
問診では「自覚症状」「月経・妊娠などに関する事項」「過去の検診の受診状況」「既往歴や家族の病歴」などを確認します。
検査結果が「要精密検査」となった場合は、必ず精密検査を受けてください。
検査時間は医療機関にもよりますが、来院して帰宅まで1~2時間ほどかかると考えておいてください。
予約制をとっている医療機関もあるので、事前確認をおすすめします。
乳がんの治療方法
乳がんの治療は「手術」「放射線治療」「薬物療法」の3つがあります。治療方法はがんの進行度・体の状態・年齢・本人の希望を考慮した上で、担当医と患者が一緒に選びます。
手術によって、がんを取りきる方法が一般的です。
手術後に病理検査を行い、その後の治療計画を検討していきます。
がんの状態によっては、手術の前にお薬を服用する薬物療法を行うケースもあります。
発見が遅れると命を落とす可能性も…
早めに医療機関を受診し、検査することで痛みの原因をつきとめることができます。
乳がんは転移しやすく、発見が遅れると命を落とす可能性があります。
早期発見と治療が重要になるので、たかが脇の下の痛みだとは思わずに、体に不調がある場合は速やかに医療機関へ行きましょう。
\定期検診を受けましょう/
乳がんの早期発見のためにも、定期的な検診を受けましょう。
特に、40歳以上の女性は2年に1度、検診を受けることを強くおすすめします。
ほとんどの市町村では、検診費用の多くを公費で負担しているため、一部の自己負担のみで検診を受けることが可能です。
医療機関は何科に行けばいい?
脇の下に痛みがあるときは、まずは皮膚科を受診しましょう。
乳がんを疑われる方は、乳腺外科でもかまいません。
皮膚科を探す
乳腺外科を探す
▼参考
国立がん研究センター がん情報サービス
脇の下の痛みは、何科を受診すればいい?
女性は婦人科を受診しましょう。
男性は内科を受診しましょう。
病気が隠れていた場合、早期に治療を開始することで、悪化を防ぎやすくなります。
婦人科を探す
内科を探す
脇の下の痛みでよくある2つの原因
脇の下が痛む場合、
- 生理(女性ホルモンの影響)
- 風邪(リンパ節炎)
といった原因が考えられます。
原因① 生理(女性ホルモンの影響)
ホルモンバランスが変わる生理前に、乳腺が発達して腫れ・張りが起こることがあります。
乳腺が腫れるとその回りの影響が出て、脇の下に痛みを感じやすくなります。
また、乳腺に関わる原因として挙げられるのが、“副乳”の腫れです。
乳腺の発達伴って副乳も発達し、脇の下の痛みを引き起こすケースもあります。
副乳ってなに?
人類の進化過程で残った乳房の痕跡です。
多くの場合、脇の下や肋骨周辺にあります。
※有無には個人差があり、副乳がない人もいれば、両側、片側にある人もいる。
痛みを緩和する方法は?
水で濡らしたタオルなどを脇に挟み、10分程度冷やしましょう。
冷やすと腫れの広がりを抑えられるため、痛みが和らぎやすくなります。
強く触ったり、揉んだりすると悪化するので、触らないようにしましょう。
また、体を温めると痛みが強まるので、激しい運動や長時間の入浴は避けてください。
病院に行く目安
脇の下の痛みがつらい場合は、婦人科・産婦人科で相談するとよいでしょう。
また、しこりがある方は、乳がんの可能性も考えられるため、念のため受診することをおすすめします。
乳がんのしこりの特徴
- かたいしこり
- 表面がでこぼこしている
- 触っても動かない
など
婦人科を探す
原因② 風邪(リンパ節炎)
風邪を引くと、リンパ節に炎症が起きて脇の下がズキズキ痛む場合があります。
これは体に侵入したウイルスや細菌を侵入させまいと、リンパ節が活発に働いている証拠です。
触らなくても痛い、押すと痛いなど、リンパ節炎の程度によって痛みの感じ方は異なります。
風邪の場合はこんな症状を伴います
- 発熱
- 食欲の低下
- のどの痛み
- 鼻水
- 頭痛
- 腹痛、下痢
- 吐き気、おう吐
痛みを緩和する方法は?
水で濡らしたタオルや保冷剤を使って、脇の下を10分程度冷やしてください。
また、風邪のときは消化のいい食べ物を食べて、睡眠をとることが大切です。
ゆっくりと体を休ませ、細菌・ウイルスと戦う免疫力を高めましょう。
病院に行く目安
- 40度以上の高熱が出ている
- 腫れがひどく腕を上げられない
といった場合は、早急に内科を受診しましょう。
この場合「蜂窩織炎」や「亜急性壊死性リンパ節炎」など、他の病気の可能性もあります。
内科を探す
この症状は要注意!乳がんの可能性も
脇の下の痛みに加え
- 乳房にひきつれやえくぼがある
- 乳房の形が左右非対称になる
- 乳頭から分泌物が出ている(血が混じったような色)
- 乳房にしこりがある
といった症状に心当たりがある方は、乳がんの疑いがあります。
乳がんで脇の下に痛み感じる場合、病気が進行している危険性があります。
「乳がんかもしれない…」と思った方は、早急に婦人科か産婦人科、乳腺外科を受診してください。
※乳腺炎の可能性もあります
乳房にしこりが現れる病気には、乳腺炎もあります。
乳腺炎は、乳腺が詰まって炎症を起こしている状態で、乳房の腫れや痛みなどが起こります。
主な原因は“乳腺の詰まり”で、授乳中に発症しやすい点が特徴です。
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乳腺外科を探す
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2021-03-26
「脇の下に柔らかい腫れができた…」
「これってもしかして、病気?」
腫れの原因と医療機関は何科に行くべきかを、お医者さんに聞きました。
脇の下の痛みは、乳がんなど重い病気の可能性もあるので要注意です。
脇の下に「柔らかい腫れ」ができた…!これ大丈夫?
生理前に腫れ始めて生理と共に消失する場合は、あまり心配いらないケースが多いです。
脇の下の柔らかい腫れは、女性ホルモンの影響によって生じることがあります。
生理周期に合わせて、ひきつれを感じたり感じなくなったりするケースもあります。
こんな症状は要注意
生理周期に関係なく腫れている
腫れが大きくなっている
腫れ以外にも皮膚の症状が出ている
という場合は病気の可能性が高いので、皮膚科など医療機関で検査を受けてください。
ただし、どのような場合でも自己判断するのは危険です。
脇の下に腫れが生じたら、一度医療機関で診てもらうことをおすすめします。
よくある3つの原因
脇の下にできた柔らかい腫れは
リンパ節炎
脂肪腫
軟性線維腫(スキンタッグ)
が原因となっているケースが多いです。
原因① リンパ節炎
風邪症状や倦怠感をあるときは、「リンパ節炎」を疑います。
風邪や生理前など免疫力が低下しているときに、感染症を起こしやすいです。
そのウイルスや細菌が脇の下にあるリンパ節に侵入し、わきの下のリンパ節が腫れたり痛みを生じたりします。
感染が起きたリンパ節部分の皮膚が赤くなり、熱を持つケースもあります。
腫れの特徴
押すと痛い
腫れて痛い
赤くなって熱をもつことがある
自分でできる対処法は?
リンパ節が腫れている場合、タオルなどで包んだ冷却材で患部を冷やしましょう。
冷やすと、炎症が生じている場所の腫れを抑え、リンパの流れも改善が期待できます。
冷やしても痛みが改善しない場合は、内科を受診しましょう。
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原因② 脂肪腫
皮膚の下に脂肪細胞が増えてできた脂肪の塊(良性の腫瘍)が生じることで、腫れているように感じるケースがあります。
脂肪腫は、特に問題のない腫瘍です。1個だけできることもあれば、多数できることもあります。誰にでもできる可能性があります。
腫れの特徴
表面は滑らかでコブのようになっている
触ると痛みを感じる場合がある
約7.5cm以内の大きさであることが多い(数mmから10cm以上と様々)
自分でできる対処法は?
自分でできる対処法はありませんが、良性の腫瘍なので治療する必要も特にないです。
痛みが伴う場合や、腫れが気になる場合は、脂肪腫を手術で摘出することもできます。
皮膚科など医療機関を受診し、正しい治療や処置を受けましょう。
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原因③ 軟性線維腫(スキンタッグ)
軟性繊維腫(スキンタッグ)はいわゆる“イボ”です。
大きくなると腫れのように感じるケースがあります。
原因はわかっておらず「紫外線の影響」「摩擦などの刺激」「老化」などが関係していると考えられています。
大きくなると洋服と絡まりやすくなり、剥がれて出血するケースもあります。
腫れの特徴
特に痛みはない
茶色っぽい
ドーム状に盛り上がっている
周囲との境界ははっきりしている
自分でできる対処法は?
良性なので気にならなければそのままで大丈夫です。
大きくならないよう、増えないように日光に当てないといった皮膚老化を避けましょう。
医療機関を受診する場合は、皮膚科・形成外科にいきましょう。
形成外科を探す
もしかして、乳がん?
脇の下の柔らかい腫れは、まれに乳がんの可能性もあります。脇の下のリンパ節にがんが転移した可能性が高いです。
乳がんの特徴
乳房にしこりができる
乳房にただれやえくぼができる
乳房の形が左右非対照になる
乳頭から分泌物が出る
リンパ節に転移すると、脇の下に痛みのないしこりや腫れが生じる
リンパ節に転移ると発熱や寝汗などの全身症状が出る
何もしていないのに体重が減少する(目安として、半年で5キロ以上)
全身にかゆみや皮膚の発疹が現れる
乳がんは40歳代後半から発症しやすい?
40歳代後半〜60歳代後半の女性がなりやすいです。男性でも発症することはあります。
女性ホルモンの一つであるエストロゲンが深く関わっているため、体内のエストロゲンが多い人は発症しやすいと言われています。
「エストロゲンを含む経口避妊薬を使用している人」「長期のホルモン補充療法を閉経後に受けている人」は注意しましょう。
乳がんを発症しやすい人
更年期の人
自分の親や子どもで乳がんになった血縁者がいる人
初潮年齢が低い人
閉経年齢が高い人
初産年齢が高い人
出産経験や授乳経験がない人
大量にアルコールを摂取する人
運動不足の人
閉経後、肥満体形になった人
乳がんは何科?
乳がんの疑いがある時は皮膚科や乳腺外科で検査を受けましょう。
「問診」や「触診」の後に、「マンモグラフィ」や「乳房超音波」を行います。
検査時間は1~2時間ほどかかると考えておいてください。
予約制をとっている病院もあるので、事前確認をおすすめします。
検査結果が「要精密検査」となった場合は、必ず精密検査を受けましょう。
放置すると命を落とす可能性も
早期受診することで、脇の下の腫れの原因を特定し、適切な治療を受けることができます。
脇の下の腫れは、がんの可能性もあります。
放っておくと他の部位にもがんが転移し、最悪の場合、命を落とす可能性があるので、気になる症状がある場合は、早めに医療機関へ行きましょう。
医療機関は何科?
脇の下に柔らかい腫れがある時は、まずは皮膚科を受診しましょう。
皮膚科を探す
▼参考
国立がん研究センター がん情報サービス 乳がん
国立がん研究センター がん情報サービス 悪性リンパ腫
MSDマニュアル家庭版 脂肪腫
一般社団法人 日本形成外科学会
独立行政法人 国立病院機構 埼玉病院
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。